邪心=蛇身の構造をしている「蛇性の婬」は雨月の中でも最高傑作である。
人肉を喰らうようになった破戒僧を描く「青頭巾」は上田秋成の小説全般に繋がる心性を持っている。
「貧富論」は石燕の「画図百鬼夜行」に出る金霊の話。
個人的にお勧めな話は、日常と非日常、高尚と俗悪という相反する性質を持った破戒僧を描く、幻想的な悲哀を感じる「青頭巾」である。
簡潔で、蒼古の情趣のある雨月物語は泉鏡花が最も愛読していた書だという。
訳も上手で、分かりやすい講談社学術文庫の雨月物語は、最も良い雨月物語であろう。