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[ 新書 ]
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ノモンハン戦争―モンゴルと満洲国 (岩波新書)
・田中 克彦
【岩波書店】
発売日: 2009-06
参考価格: 819 円(税込)
販売価格:
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・田中 克彦
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カスタマー平均評価: 5
ノモンハン事件の実相 これまて戦記等ではよく語られてきたが、冷戦のさなかにあって資料的制約が大きく、実態に謎の多かったノモンハン戦争を、いまでこそ可能になった環境や資料にもとづいて明らかにした一冊。
特に現地の満州やモンゴルの実体験や調査に基づいているので、当時の現地の人々の感覚や見方がわかるのがとても新鮮である。当時の関東軍やソ連、そしてモンゴルの人々の思惑や利害がビビッドによみがえり、一般的な「ノモンハン事件」の理解や観念を塗り替えるものであるといえる。
純粋に軍事的なことは論じられていない(戦果、被害、勝敗の判定など)。またモンゴル学者らしく、モンゴルの文化・歴史・言語に関するトリビアが本書に深みと人間味を与えてくれる。
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[ 文庫 ]
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パール判事の日本無罪論 (小学館文庫)
・田中 正明
【小学館】
発売日: 2001-10
参考価格: 560 円(税込)
販売価格: 560 円(税込)
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・田中 正明
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カスタマー平均評価: 4.5
最早、「裁判」という名称を排すべき この書はパール博士の大部となる判決文の直接の要約を期待すると、すこし違う印象を受けると思いますが、パール博士以外の法律学者等の言葉も多数引用して極東軍事裁判そのものとその判決がいかなるものであるかを明快に示しています。
東京裁判という名称が長い間、司法裁判であるかのような印象を戦後の日本人に与え続けているわけですが、そろそろ、裁判という名称をやめ、「対日処分」というような呼び方にすることを考えてもいいのではないでしょうか?
極東軍事裁判は手続きからも訴因からも裁判といえるものでなく、いわば戦争行為の延長であり、日本民族という捕虜に対する虐待であったことを日本人は知るべきです。
その事実を理解しながら、あくまで判事という当事者の立場に身をおき、国際法に照らしてその虚構と違法性を訴え続けることにより、法の理念を貫こうとし、ふたたびこのような欺瞞が繰り返されることへ警鐘を鳴らしたたのがパール博士の偉大な業績であり、各国の国際法に関わる者が博士を賞賛する所以です。
占領期間中のGHQの秘密裏の検閲を解明した江藤淳氏の「閉された言語空間」と併せ、戦後レジュームがいかなるものであるかを知るために全ての日本人が読むべき書といえると思います。
閉された言語空間―占領軍の検閲と戦後日本 (文春文庫)
パール祭 一ヶ月に及んだパール祭も終わりました。初日に2位となり最終日は57位ですか。結構盛り上がったんじゃないですかね。「パール判事の日本無罪論」の検索件数も大幅に増えました。いろんな場所でいろんな部隊の足跡に遭遇したので、たくさんの人が動いていたことは知っています。誰も指揮する者がいないゲリラ戦みたいでしたね。一つ残念なのは、かつて「あわせて買いたい」の所に『台湾人と日本精神』があり、本書と一緒に読んでもらいたかったんですけど、例のNHK番組の影響で売り切れてずっと注文不能だったことですね。とりあえず皆さんお疲れ様でした。
歴史を認識するにはうってつけの一冊 学校では日本の一方的な侵略戦争であると信じ込まされてきたが、連合国側の押しつけてきた歴史であることがはっきりとわかる。日本側からの歴史もあるわけで、そこを認識するには最適。
日本は追い詰められて戦争に入らざるを得ない状況であったことがよくわかる。
靖国問題に関しても、朝日新聞記者の加藤千洋氏による記事を受けて、中国が日本を攻める材料にした。
いかに日本人が悪かったのかを押し付けるような教育やマスコミ報道による、盲目的に信じ込まされてきた歴史認識で日本人が委縮している。
ちなみに中国人は靖国神社に祭られているA級戦犯の意味を全く知らず、A級戦犯から日本総理になった岸信介を知らない。中国人も中国政府から利用されているに過ぎない。
この本を読むことで、日本人の歴史は日本人の手で取り戻す必要があることを痛感させられる。
パール博士に感謝! これはすべての日本人にとってとても重要な本だと思う。
戦後の日本人が自国の歴史について考える時、
東京裁判で裁かれた戦争犯罪のことは常に頭の中を
よぎるはずだ。
私も中学生ぐらいの頃から、明治以降の日本の歩みを
「侵略と他民族への犯罪」と意識せざるを得ない教育や
ジャーナリズムの状況の中にどっぷりと浸かっていた。
洗脳されていたと思う。
東京裁判で裁かれた満州事変から終戦に至る日本の歩みは
決してこのような形で裁かれるべきではなかったと
今にして思う。
国策としての過ちがいくつかあったことは間違いない。
しかし、当時の指導者個人が刑事責任を負わされて
7人が処刑されたのはまったく不当というしかない。
この本を読めばよく理解できるはずである。
パール博士が国際法の専門家として正しい判断を下して
その文章を残してくれたことに日本人のひとりとして感謝したい。
九段の靖国神社には博士の記念碑が建てられている。
英霊に頭を下げるとともに博士の記念碑にも手を合わせてきた。
入門書 私は歴史は美化すべきではないと考えているし、「日本は他国より優れている」といった歴史の語り方は嫌いである。どの国の歴史にも光と影があり、当然日本の歴史にも影の部分がある。しかし、現在の日本のマスコミによって流されるような「歴史」が、バランスのとれた客観的なものとは思えない。本書は常識的な内容であり、右寄りであるとは私は感じなかった。著者の田中正明氏は、かつて憲法九条を賛美していたような人物であり、本書が右寄りとされる現状がおかしいのではないか?本書は様々な点で入門書と言える書籍であり、幅広い層に読んでもらいたい。
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[ 新書 ]
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図説 地図とあらすじでわかる!古事記と日本書紀 (青春新書INTELLIGENCE)
【青春出版社】
発売日: 2009-01-07
参考価格: 977 円(税込)
販売価格: 977 円(税込)
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カスタマー平均評価: 4
日本人なら知っておきたい、古事記と日本書紀 前半は古事記、後半が日本書紀という構成です。地図や系図や写真が豊富で、コンパクトながら良くまとまっています。特に、いろいろな人物の関係がわかる系図は理解に役立ちました。
人物名については、前者がカタカナで、後者が漢字で表記されていて、その理由も最初に述べられています。また、単にあらすじの概要を述べるだけでなく、適時解説や該当する記載事項についての研究者の説を紹介してあります。
稲羽の素兎やヤマタノオロチ、大化の改新や白村江の戦い、といった日本人ならほとんどの人が知っている伝説や事件も登場します。
本書にも言及があるように、特に日本書紀の記述については一部でいろいろな批判もあるようですが、古事記と日本書紀がなければ日本の古代の姿はもっとおぼろげな形でしか伝わっていなかった筈です。ただ、それぞれ大著なので、このように簡単に読めるダイジェスト版の存在はありがたい。日本国の国家遺産としての「記紀」の重要性を改めて認識しました。
ちょっと違うかな? 古事記、日本書紀のストーリー展開をまとめて、図になっているので取っつきやすいです。
ただ、説の一つを断定して言い切っていたり、ちょっと違うかな、知ってる、教えられていることと異なるなと思うところも出てきて違和感を感じます。
上代文学専門の先生が作者とのことですので、神道学とは若干異なるところがあります。
記紀初心者、挫折組にお奨め 僕はこれまで古事記も日本書紀も何度か挑戦したのですが、古事記は何とか読
み切れましたが、日本書紀は読破した事がありません。
なのでこの二書は、僕の中で好きではあるんだけど、読み切れない書物という
扱いになっています。
そこで、この易しい本を手に取ってみました。
この本は「そこまで簡単にするの?」と思うほど易しく、これまで記紀で挫折
してきた人でも間違いなく読み切れると思います。
もちろん200頁程度の本な上、図表を多用していますので、記紀の全てが分かる
とはとても言えませんが、「これだけ分かり易い本で、ここまで理解できるのな
ら上々だな。」と思える程は理解できるので、良い本と言えると思います。
構成は、前半100頁程度が古事記、後半が日本書紀で、似た内容だからと混ぜた
りはしていません。また、記紀の違いにもしっかり言及してあり、好印象です。
図は、書のほぼ半分が図表と言えるほどで、分かり易さを大変助けてくれていま
す。
という事で、記紀初心者、または記紀挫折組の方にお奨めの本です。記紀を易し
く、深く知る事ができると思いますよ。
ハンディな入門書 古事記と日本書紀の図説入りの入門書。おのおの記述の流れに従ってトピックス的な話題を簡潔な章立てで説明。ハンディな整理本として好適。
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[ 文庫 ]
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ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)
・リチャード P. ファインマン
【岩波書店】
発売日: 2000-01
参考価格: 1,155 円(税込)
販売価格: 1,155 円(税込)
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・リチャード P. ファインマン ・Richard P. Feynman
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カスタマー平均評価: 5
面白いなー 物理学者としてではなく、一個人としての逸話集。
好奇心に満ち満ちているファイマンさんの、ユーモアに満ちあふれた体験が綴られている。
そんなエピソードを通じて、ファイマンさんの人柄や、すごさを垣間見ることができる。
物理の話は軽く触れられる程度。わからなくても全く問題ない。
文系の人が読んでも面白いのではないか。
物理学を教わっている身として、「教える」ことに関するエピソードには少し感動した。
センセったら、もう冗談ばっかり! リチャード・ファインマンのこの本は、物理学はもちろんの事、物理を離れた周辺雑記風なことやらを思うままに書き綴った自伝風味のエッセイ集である。
タイトルにもなっている「ご冗談でしょう? "Surely,you're joking,Mr.Feynman!"」というのは、ある茶会でのとあるセレブ婦人の「ホホホホホ!」という冷笑とともに発せられたお言葉だった。
彼はこの前の戦時中ロスアラモスでのマンハッタン計画に参画していた。本人いわく、ファインマン氏は原爆実験の爆発を「肉眼で見た、唯一の人間!」。彼はこのロスアラモス時代に最初の妻を結核で亡くしている。
しかし、原爆に関する記述は(上)(下)を通じてこの部分だけ。自らがその開発に携わったにもかかわらず、むしろ、その成果に満足しているような風なのが気になる。
「サングラスを掛けず、肉眼で原爆を見た唯一の人間」かどうかしらないが、少しは良心の呵責に耐えるということはなかったのか。
同じ日本の風呂を使った湯川博士は、その生涯を通じて原発反対の最先端に立ってきたというのになあ、もう! 「ホホホホホ」と笑われた事を忘れずに・・・・・。
彼の言動はまさに「ご冗談でしょう」と言いたくなるほどだが、読みやすい日本語訳とともに(下)でも我々を飽きさせない。
ファインマンが伝えたかったこと。 物理学者というと「お堅い」イメージがありますが…
・物理学の話になると超お偉いさんにもほぼタメぐちになっちゃう
・友達の部屋の「ドアを隠す」いたずらをしちゃう
・ストリップショー好き
…などなど、エピソードを読んでいくにつれその堅いイメージはスッと消え、時々笑いがこみあげました。ノーベル賞受賞してなかったら、普通のおっちゃんやん。と思うくらい。
とはいっても、やはり「天才」と言われるだけあって随所に見られる『考え方』にとても強いものを感じました。「理解する」ということへの認識、物事をとことんまで知ろうとする好奇心、そして、本質を見抜こうとする姿勢には、ただ「すげーな」と思うばかり。
そして、彼の「伝えたいこと」「想い」をいちばん強く感じられるのが、下巻のラスト「カーゴ・カルト・サイエンス」。1974年のカリフォルニア工大卒業生への祝辞だそうです。
いたずら心やユーモアたっぷりのそれまでのエピソードを読んで、最後にたどりついたこの「想い」には、とても心を揺さぶられました。
サクッと読めるのでおすすめ。
他人にも自分に正直に、そして楽天的に生きていくこと ファインマンのいたずら満載の自伝。
彼の行動の原動力は、好奇心。とにかく何でも自分でやってみる。・・・とここまではいいけれど、読心術を試してみたり、金庫破りに精を出したり、バーで殴り合いまでしたり。誰もが思い描く典型的な「物理学者像」と比較して、「この人、本当に物理学者?」と疑いたくさえなる。それが、ファインマンだ。
この本を読んだとき、私はちょうどプレッシャーやストレスなどを感じ始めて少々ナーバスな時期だった。だが本書から、「他人にも自分に正直に、そして楽天的に生きていくこと」を学び、肩の力が抜けた気がする。憂鬱の悪化を防ぐ即効薬。
自叙伝の最高峰 機知とユーモアの人、ファイマンさん。
他の多くのレビューに私も、たびたび同感。
本書の秀逸性を改めて、述べる必要はありませんね。
特に興味深く読ませていたのが、「二人の金庫破り」の章。
機密文書を保管するあらゆる金庫を開錠しまくり、その安全管理のずさんさを痛烈に批判。
この頭のキレ具合は、痛快。
あなたじゃなきゃ、安全ですって(笑)。
おもしろすぎます、ファイマンさん。
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[ 文庫 ]
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新撰組顛末記 (新人物文庫)
・永倉新八
【新人物往来社】
発売日: 2009-05-11
参考価格: 700 円(税込)
販売価格: 700 円(税込)
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・永倉新八
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カスタマー平均評価: 3.5
読みやすくするためだと思うんですが… 一度読んでみたかった作品が念願の文庫化。万歳!!即購入いたしました。
小説化されたものとは違い、実録ならではの重みがあり新撰組ファンなら一読して損はないと思います。
☆一つ減らしたのは…文体の読みにくさです。
元は文語文であったものを現代語に近い形に直して出版したようなのですが、その直し方が……悪いけど読みにくい。
文字表記を直しただけで通じるところは原文をそのまま生かし、意味が通じなくなっているところは現代語訳するという手法をとっているようなのですが。その結果として、文章のリズムが破壊されてしまっています。
江戸時代末期に教育を受けた人の文章と、出版社で手を入れた部分のつりあいが全然とれていないのです。
で、読んでいてどうしてもリズムに乗れない。原文に近いところは読んだ後では現代語の部分がどうもまだるっこしく感じられてしまいます。その結果、読み進むのに結構時間がかかってしまいました。
全部現代語訳するか、原文をそのまま収録し分かりにくいところには注釈をつける方式の方が読みやすかったのではないかと思います。
原文フェチなのでかたよった意見かもしれませんが…。新八さんの書いたものを掲載当時の形で読んでみたかったと思う気持ちもあるんですよね。
幕末期の斬りあいを大正期に語る?タイムマシンのような。。。 本書は子母澤寛や司馬遼太郎の「新撰組」物の資料のひとつになった重要な本。永倉は、かなり長命で、大正期まで生きたので、近代出版の環境が整った中で語って本になったところが凄い。もっとも幕末から太平洋戦争終焉までは、たったの70年余りであるから、新撰組の隊員が大正期に語っても、時間的にはそれほど稀有なことでもない。が、とにかく酷く何も変わった時代だからまるでタイムマシンで経過したかのような感じがする。司馬の本では、気風が良くて腕は隊でトップを争うほどとして描かれ、近藤のエゴも、土方の残酷さも、沖田のナイーブさも、その他隊員の無知と強欲と乱暴さも無い、強い「常識人」として清涼感さえ漂うのだが、本書を読んで、ややがっかり。というより本書の内容が「本当」だと思うが、まず撃剣の腕はやや中途半端で実践に強い暴れん坊という感じだ。決して司馬の本に出てくるような名門の皆伝の腕ではない。幕末期の多くの武士の無知と無教養は昨今明らかになっているが、例外に洩れず、本書を読むとかなり「ひどい」。神経も荒っぽくのんびり屋で、だからああやって生きてこられたのか、という感じがする。そんな永倉が語っても、「向こう側」はあんまり見えてこず、生の資料を読んだ時に出会うことが出来る、語り手の無意識の言辞から読みとれる、過去の現代との大きな違いみたいなものも、残念ながら見出せない。なによりも、新撰組が酷い集団でチーマーみたいなものであることは分かるが、それは司馬や子母澤の本でも理解できる。TVで勝海舟や西郷と同等に扱う製作者の常軌を逸した思い込みは、黄印の部類だと思う。
生ける伝説の事実 もともと池波正太郎氏の「幕末新撰組」で永倉新八に魅力を感じたのですが、池波氏のリアルなフィクションもとても素晴らしいですが永倉の談話は魅力的です。新撰組の時代はわずか150年前の話なのでとても親近感が湧きます。150年前を「わずか」とするか「150年も前」とするかは人それぞれですけれど。永倉が逝去する大正まで新撰組を想いを持っていたと想像すると明治維新という激動にロマンを感じます。
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[ 文庫 ]
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日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)
・網野 善彦
【筑摩書房】
発売日: 2005-07-06
参考価格: 1,260 円(税込)
販売価格: 1,260 円(税込)
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・網野 善彦
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カスタマー平均評価: 4.5
目から鱗の歴史講義 網野氏の著作はどれも面白いが、気合いを入れないと読めないものが多い。一方で、この著作は通勤電車の中で気軽に読めるくらい平易な文体で書かれている。編集者への口述筆記がベースになっているらしい。
職能民や女性の社会的位置づけの変化、縄文時代の交易の様子、「水呑」の実態等、学校で習った歴史がこれほど怪しげなものだったとは。
この本に書かれている話は、短大での講義内容をもとにしているらしいが、当時の学生の反応は今ひとつだった由。猫に小判、短大生に網野先生か。
面白く思索の糧になるが、批判的に読むことも必要 重要な指摘を多く含んだ、読みやすい良書と言っていいと思います。私は個人的にうがったものの言い方をする人が好きではないので、網野氏のような論者は敬遠していましたが、本書を読んで認識を改めました。ただ、いくら一般向けの講義録をおこした本とはいえ、どの史料を根拠に述べているか書いていない部分が多いのはマイナスだと思いました。
本書で一番面白かったのは、「畏怖と蔑視」の章です。犬神人や河原者といわれた中世の最下層民は、巷間言われたきた差別を受けるだけの存在ではなく、「ケガレ」につながる職能から「畏怖」を受ける存在であって、自らの職能に誇りを持っていたことを明らかにします。それが、どのように近世の最下層民につながっていったかはわからないとしながらも、社会が文明化され、自然への畏怖が失われたことが原因ではないかと言います。これは映画「もののけ姫」のテーマとも繋がります。日本社会・日本人にとって重要なテーマです。
一方、批判的に読んだ方がよいかなという部分もかなりあります。著者は日本国という国家ができたのは律令・国号を導入した天智・天武帝の時代といいます。別に、間違った指摘ではないのですが、ここでいう国家とはネイションではなくエトニですね。ですので、それまでの「倭」との断絶を強調する必要はないと思います。
また、天皇制がいずれ必要なくなるだろう、そのときには日本という国号も再考すべきだとも言っていますが、本書で述べられた歴史的知見からそこまでのことが言えるのかと率直に思いました。
日本の、特に中世の歴史への見方が深まる一冊 最近読んで、日本の歴史などの記述がとても面白かった本に、松岡正剛『17歳のための世界と日本の見方』(春秋社)があります。その講義の中で、「網野善彦さんのような日本歴史の研究者が、非定住型の人々を中心にした歴史観を打ち出し始めて、私はおおいに共感しています。網野さんの本は一度読んでみてください」とあって、それで本書を手にとって読んでみました。
日本の歴史のなかで、南北朝動乱期の14世紀を境にして、文字の普及や貨幣の流通、それに伴う商業と金融のあり方が大きく転換すること。とりわけ興味を惹かれたのが、14世紀を境として「穢れ(ケガレ)」の観念が大きく変化したこと、とともに、中世の非人や河原者など被差別民たちの社会でのあり方の変遷を考察した「畏怖と賤視」の章でした。
歴史の教科書の表面的な記述だけでは絶対にうかがい知ることのできない歴史の真の姿が、生き生きと立ち上がってくるかの如き記述。深く、幅広い歴史の暗がりへの洞察力。鮮やかに目を開かれる思いがしましたね。歴史的な絵図が多く掲載されているのも、中世の人々の様子が伝わってきて、リアルな雰囲気を出していました。
日本の歴史のさらに深く、さらに奥へと分け入ってみたくなった時、その取っかかりとなるにはまず格好の一冊ではないでしょうか。本書を読んで、日本の歴史の暗がりを垣間見せてもらった気がしました。
網野史学の入門書 この本を読んだ時の衝撃は忘れられません。ある人がコラムの中で取り上げていて、試しに読んでみたのですが、学校で習った歴史やそれまで信じていた一般常識がみごとに覆されました。中世が考えていたよりも進んだ世の中で本当に驚きました。内容は高度ですが、もともと中学生向けということもあり非常に読みやすいです。網野史学の入門書として最適です。これに感動して、網野先生の本を片っ端から読み漁りました。先生の史学が学会でどのような位置づけにあるのかはよくわかりません。教科書には取り上げられていない様なので、異端に位置しているのかもしれません。しかし、論証を読む限り説得力があり、納得の一冊です。
未来への提言に向けて「よみなおす」 日本国が形成される過程で醸成された百姓=農民という固定観念では見えてこない日本社会の豊かな実像が述べられていました。
「よみなおす」という題名を当初「おさらいする」の意で本書を手に取りましたが、全くその期待を良い意味で裏切ってくれました。現在の課題(特に国家・権威・市場など)から過去の出来事を捉えなおすという意味で「よみなおす」著者の取り組みは、新たな視点から歴史を「よみなおす」だけに留まらず、未来についても独創的な示唆に富む内容でした。
また小生のようなサラリーマンにもわかりやすい文体で、かつ安直に流れず科学的な態度が貫かれている点でも素晴らしいと感じます。何よりも「○○は十分に考えておく必要があることだと思うのです」と将来的な意味をもつ課題についての問題提起が多くされ、学問としてだけでなく社会の今後の発展を一貫して考慮されている著者の態度に感銘を受けました。
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[ 文庫 ]
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そうだったのか!日本現代史 (集英社文庫)
・池上 彰
【集英社】
発売日: 2008-12-16
参考価格: 760 円(税込)
販売価格: 760 円(税込)
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・池上 彰
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カスタマー平均評価: 5
日本現代史を学ぶ決定版!! 超オススメです 戦後からバブル前までの日本がどのように復活を遂げてきたのか、その光の裏にある影の部分にどんなものがあったのかについて、丁寧に書かれています。現代史を概観できると共に、それぞれのパートでとても考えさせられる内容になっていて、各章を読み終わるたびにもっと深く知りたいという気持ちにさせられます。是非読んでみてください。
「日本」を知る。 大人になると自然と政治経済が理解出来るようになっている、身についているものだと子供の頃は漠然と思っていた。しかしこちらから歩み寄らなければいつまでも何も身につかないのは道理で。単語で聞いたことはあるがそれは何かと問われればイメージでしか浮かんでこない、それぞれの事象を点として理解はしているがそれが線にならない。そんな人にこそ是非手に取って頂きたい。堅苦しい言葉で埋め尽くされた書物だけが必ずしも良書とは限らない。大人も子供も皆が理解しやすい様配慮された本書は正に良書だと言える。本書冒頭「はじめに」で池上氏が取り上げているリルケの言葉が印象深い。『遠く過去となってしまった人々も私たちの内に在るのです、素質として、私たちの運命の上の重荷として、ざわめく血潮として、また時の深みの中から立ちのぼってくる姿態として』『』部分は抜粋。
知っておくべき内容だと感じた 日本の戦後で大きい話題となった事項について分かりやすく書かれています。
それぞれの出来事は覚えているのですが、歴史的背景とつなげることにより理解が深まりました。
今現在の日本を知る上で戦後の出来事を理解しておくことは非常に役立つと感じました。
点が線になり面になる 戦後のいろいろな出来事を「自衛隊」「安保条約」「日教組」「沖縄」「田中角栄」などテーマを絞って解説してくれています。
私にとって、それぞれの事件・事象は「点」で知っていても、それがどういう流れの中で起きたのかは整理でないままでいました。本書のシリーズはテーマを絞って「線」を作ってくれ、結果的にわたし自身の中に戦後の歴史に関して「面」を形成させてくれるます。
歴史を語るとき、その時代の価値観を理解しなくてはいけないと言いますが、冷戦・安保・社会党など、今の若い人たちに説明しにくい時代の雰囲気も伝えてくれます。
「日教組」を「にっきょうぐみ」と読む若い人もいるそうで笑えましたが、それが時代の変化なのかなとやや寂しさもあります。
戦後の日本現代史を俯瞰できる好著。歴史は時空間・スケールを変えて繰り返されると再認識。 昔、学生の頃に日本史・世界史を学んだ際には、第二次世界大戦後の話は身を入れて勉強していませんでした。理由は単純、学校では「試験ではあまり出ないから」という理由で授業で採り上げなかったので、「じゃ、勉強しなくて良いんだ」と一人合点してしまったのです。(本当に恥ずかしい話です。(-_-);;) 物心ついて世界・日本のニュースをフォローするようになると、戦後史の視点がスッポリと抜け落ちていることに気付き、頭を抱えることが少なからずありました。
このような経験を持つような方には、本書を自信を持ってオススメできます。スッポリと抜け落ちていた様々な事実が頭の中で繋がります。ジグソーパズルのピースが次々と埋まるかのような感覚でしたね。一冊読み通すと、本書で語られている事象は【時空間・スケールを変えて】現代に姿を現わしているかのような既視感(deja vu)に襲われます。高度経済成長とそれに伴う公害問題は、いま正に中国で起きていることです。不動産"バブル"とその崩壊・金融不安は、21世紀のアメリカで繰り返されています。もちろん、日本で起きたことがソックリそのまま繰り返された訳ではありませんが、「歴史を学ばない者は同じ過ちを繰り返す」という言葉の通りではないかと思う訳です。
そういう訳で本書の内容を知らずして、日本(及び世界)の今後は語れないとも思いました。(今年あたり政界再編があるかどうか? 各党はどのような手に打って出るだろうか、などのヒントがありますね...) なお、日本の現代史は世界での出来事・時代背景と連関していますので「そうだったのか!現代史」「そうだったのか!現代史<パート2>」と併読することをオススメします。
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[ 文庫 ]
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龍馬の黒幕 明治維新と英国諜報部、そしてフリーメーソン (祥伝社文庫)
・加治 将一
【祥伝社】
発売日: 2009-06-12
参考価格: 700 円(税込)
販売価格: 700 円(税込)
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・加治 将一
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カスタマー平均評価: 4
納得の推理 「フリーメーソン」、「スパイ」と刺激的な言葉に、ついつい、よくある”眉つばもの”あるいは”荒唐無稽なオカルト的”読み物かなと思ってしまう。しかし、読み進むうちに、これまで心の隅にひっかかっていた素朴な疑問が、「なるほど、そうか!」と解ける気持ちよさを感じ始める。
薩摩と長州の辺境の2藩が何故幕府を倒せたのか?脱藩した下級武士たちが何故自由に動きまわり、海外に行き、時代を動かす力を持てたのか?確かに素直に考えてみれば実に不思議だ。ここに「刷り込まれた歴史の常識」の怖さがあるのだろう。
日本の歴史の動きには、絶えず世界の歴史の動きが影響している。その当然のことを維新の背景として見事に透視し描き出した著者の思考は見事だ。
「フリーメーソン」、「スパイ」といった刺激的な言葉は、多分、著者が意図的に用いた挑戦的な言葉だと思える。これらの言葉がどうしても気にかかる方は、「人脈」、「意を受けた者」とでも訳して読めば、十分納得が行くのではないだろうか。
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[ 文庫 ]
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氷川清話 (講談社学術文庫)
・勝 海舟
【講談社】
発売日: 2000-12
参考価格: 1,050 円(税込)
販売価格: 1,050 円(税込)
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・勝 海舟
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カスタマー平均評価: 4.5
解説が・・・ 本文については満足ですが、解説が・・・何と言えば良いか・・・かなり異様です。
吉本氏に対する個人攻撃が、まるで極悪人を断罪している様で、ものすごく読後感が悪くなります。
編者たちが海舟語録の復元に費やした労力には敬意を払いますが、この解説は負のベクトルが強すぎてバツだと思います。
粋でイナセな江戸っ子の放言譚 勝を嫌う人間は大抵が小説家の勝観が元であることが多い。
曰く、近藤勇を見捨て、会津を見捨てた男ということらしい。だが、勝を嫌う前に勝の置かれ
た立場を考えるのが先決であろう。
ある意味勝の放言ばかりであるが、それだけではない勝自身の反戦観が書かれており
日清戦争を「兄弟喧嘩」という例えは優れているかもしれない。
言いたい放題言いまくった勝ではあるが、的を外さず厳しい警告は現代に相通じるものが
あるのかもしれない。
幕末を30年生きた男の肉声を聞いているような文体。 勝海舟は幕末を30年生きた。自分を殺しにわざわざ自宅に来た竜馬を海外に目を向けさせ、西郷と談判して無血開城させ、大久保に東京の繁栄をたのんだ。
幕末から明治の生き証人は、維新後30年して、徳川慶喜を明治天皇に会わせることによって仕事に締めくくりをつけた。
本書は司馬遼太郎の「竜馬がゆく」などを読んでおくと、人物評伝等はとても興味深く読めることでしょう。また、今日の政治のあり方や当時の時勢を知る資料ともなるでしょう。
しかし、今の時勢にこういう人はいない。貧乏は30まで続いて庶民の気持ちもよく分かるようだし、剣術・禅の稽古で胆力を鍛えたようだし、学問も「活(いき)(学問」だという。なんといっても弁が立つ。
勝が生きていたら「みんな間の抜けた政治家ばかりだよ。外交もなにもできていない。いつの間にかマグロも日本の食だと独占していたら、海外に占拠され始めた。ものの値段もどんどん上がるね。市場原理だ。規制緩和だなどと、内向きの都合のいい法螺吹いていないで、外を見ないと、朝鮮やヲロシアにやられちまうんじゃないかい。」などと言うかもしれない。
べらんめえ 勝海舟でスッキリ 勝海舟のべらんめえ口調で歯に衣着せぬ物言いが味わえる本です。
江戸無血開城の幕府側の立役者、勝海舟。
1899年明治32年77歳で亡くなった彼の、
晩年70代の頃の言葉とは思えぬほど威勢のいい言葉が収められています。
語られているのは、
自分の生い立ち、幕末動乱期の体験、
出逢った人々の事、
その中でも特に西南戦争で自刃した西郷隆盛についての想い出の数々が感動的です。
こんな口調で語っています。
「西郷に及ぶ事が出来ないのは、その大胆識と大誠意とにあるのだ。
オレの一言を信じて、たった一人で、江戸城に乗り込む。
オレだって事に処して多少の権謀を用いない事もないが、
ただこの西郷の『至誠』は、オレをしてあい欺くに忍びざらしめた。
この時に際して、小籌浅略(しょうちゅうせんりゃく)を事とするのは
かえってこの人のために、腹を見透かされるばかりだと思って、
オレも至誠をもってこれに応じたから、
江戸城受け渡しも、あの通り立談の間に済んだのサ。」
平易な言葉で時事、当時の明治政府への批判なども語られていますが
様々な事柄に言及する言葉には『武士道』が一貫しています。
言行一致、肉体を離れた観念は意味がない。
強い肉体に強い精神が宿る。
政治は常に『正心誠意』
刺客に狙われ続けた海舟ですが、常に丸腰で応対していたそうです。
自分を殺しに来た刺客に対して
『お前の刀は抜くと天井につかえるぞ』とか
『斬るなら見事に斬れ。勝はおとなしくしていてやる』
などというと、たいていの者は向こうから止めてしまった、
こんな風に一度も逃げもしないで、斬られずに済んだ、などとという逸話も語っています。
こんな豪傑の75歳の時、翌年の戌年への発句がこれです。
「男らしく 大喧嘩せよ いぬの春」
福翁自伝と読み比べると面白い 近代と前近代をまたぐエリートの放談という意味ですごく興味深い。
勝は至誠が何より大事であると繰り返し、事前に綿密に計画を立てて挑む近代的な外交交渉スタイルを否定。勝海舟と西郷隆盛という至誠同士の交渉が江戸城の無血開場をもたらした、と主張する(手前味噌すぎ?)。法やシステムに寄らない前近代の為政者のスタイルを垣間見せる。
そして何より興味深いのは、同時代の知識人の福澤諭吉との認識の違いだ。
勝と福澤共にスタートは蘭学で外国語に堪能、しかも双方とも名うての剣豪で、双方とも頭の切れ味に優れ、そして共に咸臨丸の航海でアメリカを知る。
そんな似た経歴の二人ながら、日清戦争の評価に現れる二人の対アジア観はまるで対極。
この二人の立場の違いは今なら丁度、親米派と親中派の対立のご先祖みたいなものだろうか。
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カスタマー平均評価: 3
やっぱりの内容だが 正直最初あまり買う気がしなかった。
戦国時代の名将のナンバー2を取り上げるのは賛成だったが、
どうせN●Kの番組の流れを引き継いで無理やり現代のサラリーマン渡世に応用したら
どうとか、ウザいビジネス哲学みたいなものを説教されるのが予想できたからである。
予想に違わずそういう記載も散見されるが(笑)、
それ以外の記載が意外にまとまっていて面白い。
著者も断っているが史実のみならず伝説や風聞も交えているので
武将の人となりが、親しみやすいイメージとして湧くのだろう。
番組のゲストのお偉いさんがこぼした裏話をわざわざ紹介しているが、
これがどうでも良すぎて笑える。
そうしたイヤらしさも含めて楽しめる人にはお勧めしたい。
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