この巻の主人公は4代皇帝クラウディウス。見た目もパットしない50歳のおじさんがカリグラ暗殺でいきなり皇帝に担ぎ出されてしまった。歴史の勉強をよくしていたクラウディウスはなかなかうまく治世を行っていくのだが・・・ 真骨頂 やりたいことをやると言ってもやりすぎだったカリグラが暗殺され、皇帝に担ぎ上げられたクラウディウス。背も低くどもる癖のあった第一人者は、それでも実に真面目に帝国を支えることになる。
決して自分一人ですべてをやろうとしなかった彼は、個人的な使用人たちを秘書官グループとして活用する。当然、元老院としては面白くない。その上、やりたい放題な皇妃が加わる。ついには自分の奥さんに殺されるハメになる。
帝位の正当性を血に求めるならば、皇帝の重要な仕事の一つは子作りという事になる。中国では後宮を作り、そのいわば皇帝の家庭内の使用人が宦官で、官僚グループたる豪族や外戚との権力争いに終始した事を思い出す。ここまでローマにはそれがほとんど見られなかったのが興味深い。もっとも皇帝が子作りに精を出せばメッサリーナのような女性が多く出る訳で……この先はちょっと控えておこうか。
それにしても、「人間とは心底では欺されたいと望んでいる」という行には、多くの「ヤラレタ」と思わされたい男たちは手を打って喜んだのではないか。これぞ真骨頂とご多分に漏れず喜んだのだが、うれしいのだから仕方がない。素直に大喜びしておくとしよう。 知識と経験「悪名高き皇帝たち」の3冊目に登場するクラウディウスは、私たちに「知識が豊富なことに越したことはないけれど、過信してはいけないし、経験から得られるモノも大切なのだ」ということを教えてくれると思います。カリグラの治世の衝撃的でいて呆気ない終焉によって、名門出身者ではあるが、一教養人として生涯を真っ当しようとしていた50歳の地味なおじさんが、緊急リリーフとして帝国の表舞台の中央に立つことになります。それがクラウディウス。本の虫であった彼は社会経験がほぼ皆無にも関わらず、これまで蓄積してきたローマ帝国の歴史という知識をフルに動員して皇帝業に従事します。ある部分までは知識だけで賄えた。だが実践という経験を積まないことには超えられない一線が立ちはだかる。彼が名帝になれなかった所以です。人生において「頭でっかち」ではいけないのだ。静の知識と動の経験の柔軟なバランス感覚が求められるのです。
本書は『日本書紀』の欽明天皇以降を現代語訳したものである。この時代は、蘇我氏の台頭と物部氏の没落、崇仏と古来の信仰との関係、聖徳太子、推古天皇と馬子、蝦夷暗殺、壬申の乱などなど、今なお古代史研究の源泉となっている問題が目白押し。にもかかわらず、実際に『日本書紀』を読むと、すっごくめんどくさい、…もとい、難解である(ああっ、本音がっ)。しかし本書の場合、そんな煩わしさとは無縁で、すいすい読めてしまう。こんな簡単に読めてしまっていいのだろうか…、と何やら妙な罪悪感を覚える始末…。とほほほほ…。
無論、このまま読んでもいいと思うけれど、やはり岩波文庫版などと一緒に読み進めるのがベストだろう。現代語訳でどんどん読んでしまうと、本文では「要注意だ」と感じ取れる部分も、一気に読んでしまいかねない。古代史への興味からさらに一歩進んで、自分でもちょっと研究してみようかな、とか考えてる人は、やはり併読でしょう。 講談社学術文庫の宇治谷孟氏による現代語訳『日本書紀』『日本書紀』『古事記』のいわゆる「記紀」の解説書から、邪馬台国の存在や大和朝廷の成立など古代日本史を扱った本は数多にあるが、とにかく基礎資料たる『日本書紀』を、全部読み通さなくても、せめて参照できるように手元において置かなければ正確な知識の習得はおぼつかない。講談社学術文庫のものは宇治谷孟氏による現代語訳で、文章がこなれて現代人が『日本書紀』を手に触れるのに打ってつけのハンディな文庫サイズの二巻本である。岩波文庫のものは原文版であるが、非常に詳細な注釈がついているので両者を併用すると便利かもしれない。日本古代史に関心がある人で、専門家や歴史愛好家の書いたものを読むだけで満足しているような人がいるが、まさに自分たちの歴史を学ぶのであるから、きちんと『古事記』『日本書紀』の原典に当たり、それから様々な関連書に目を通すという、まっとうな態度を心がけてこそ、正確な歴史認識を期すことができると思う。 古事記にはない日本書紀の面白さ古事記は読んだことがあっても、日本書紀を読んだ人はなかなかいないのではないだろうか?説話的おもしろさに富んでいる古事記に比べて、いかにも官選歴史書的な日本書紀は確かに初めは非常に取っつきにくい。特に、日本書紀(上)の初めにある神代の記述は、複数の似通った伝承をもれなく記載しようとしていて、ここであきらめてしまう人も多いのではないか?しかしながら、日本書紀は中国・朝鮮との国交などについて詳しい記載があり、古事記とは異なった視点から古代日本を眺めることができる。特に下巻は、古事記に記載のない持統朝までの詳細な記述があり、特に壬申の乱の項では天武側の動勢が生き生きと活写されている。是非一度、通読されることを推奨します。
国家のリーダーが民主的な手段によって選ばれるようになった現代、カリグラのような人に国家の舵取りが任せられる危険性が大いにあるのでは、と考えさせられます。また、もし選挙が行われたとしたらティベリウスは間違いなく落選していただろうという著者の言、民主主義の良し悪しについて改めて考える契機ともなりました。 カリグラ〜ローマ帝国三代皇帝カリグラ。カリグラってどこかで聞いたことある響きだと思っていたが、映画だったのか。かなり過激な映画らしい。映画の方が気になるぞ。