湯浅芳子が20代終わりから30代にかけての数年間を二人がつきあって別れたという事実は読む前から知っていたから、ずっとなんで別れたんだろう?なんで別れることになるんだろう?という疑問への答えを探しながら、一気に読み終わってしまった。
なんといってもここに描かれた湯浅芳子は、かっこいい。特に初めの頃の手紙のやり取りから見える、率直で繊細なところには、はっきり言って惚れる。盛り上がっている最中に、「どうも考えて見るのに、私はあなたの空想にまつり上げられ、分にもなくいい気になっていたところがあったようで実に厭だ」というあたり。
芳子はきっぱり自分の性的指向を正面から受けて立っていて潔い。もちろん彼女が「女」らしくはなく、短気で我ままだったことは当時もっと褒められることじゃなかっただろうけれど、私はこう生きる/生きていくしかない、という覚悟を決めた生き様に私は強く惹かれた。
実を言うと、これは日本にあったレズビアンの恋愛を描いたノンフィクションだ!とこの本のどこかに書かれているんじゃないかと、私は期待しながら、読んでいた。確かにそうでしかないけれど、あえて書かないとこの筆者は決めているようだ。それでは分かる人には分かるけれど、分からない人にはきっと気がつかれない。強い愛情関係が二人の間にあったという婉曲な説明では、「レズビアン」がありえると思ってない、昔から存在していたし今現在存在しているとは思ってもない人は、そこに性的なものが存在したことを(最後にはうまくいかなかったとしても)見逃してしまうと思うから、レズビアンの読者である私は、書いて欲しかったのだ。ああ、今だったら「自然」じゃないことなんていくらでも言い返せるよ。