内容は、古代人の人間臭い側面を実によくあぶり出しており、素養に欠ける私に歴史の楽しい読み方を教えてくれた。年代順にこだわるあまり、飛鳥や奈良はイヤというほど何度も訪れており、阿呆らしくもあるが、そのことがむしろこの地域の歴史の重層性を体現しており、読者に歴史の本質を見せてくれているような気もする。
日本通史の旅は海を越え、韓国や中国も訪れている。歴史に忠実にと、わざと時間のかかる船旅を選択するこだわりもおもしろい。それでも毎回の日程やコースを丹念に追っていくと、短時間のうちにきわめて効率よく史跡巡りをされていることがわかる。さすがだ。
日本史という相手がとにかく膨大、莫大、というより無限大なので、まともに取り合おうとすれば、それはもはや無謀である。時間もお金もどれほどかかるか分からない。制限が「年代順」だけなのでかえって扱いが難しい。果たして宮脇さんはどう取捨選択し、通史の旅を綴ってゆくのだろうか。今後がとても楽しみである。
人間にとっての空間の捕らえ方の歴史的考察も興味深いし、「空間」とは身体から切り離された概念ではなく身体そのものを含む場の履歴であるという理論も現在非常に重要な概念と思われる。都市や環境、建築や土木にかかわる人だけでなく、人類として自分の行く末を案じている人皆に読んでほしい本である。