著者と同様の思考経験をもたない読者としては,わからないことも多く,独我論のようにも唯言語論にも受け取れてしまいもするし,そうではない世界を見ているようにも思う。 でも,なにか教え,あるいは誘惑し,挑発するところのあるユニークな本だ。
このレビューって参考にならなさそう最初中1のとき社会の先生に借りて読んで、最近自分で買いました。やっぱおもしろかったです。
抽象的なことが嫌いな人や自分の頭で考えるのが嫌な人はやめた方がいいでしょう。語り口は平易ですが、理解不能な人もなかにはいるはずです。
大学に受かって時間ができたらどんどん原典を読んで、今よりもっとバキバキ自分で考えて、「巨大な疑問符」の下に到達してスカッと「討ち死に」してみせるぜ、という気分に明るくなれる本です。著者のいう「発狂の瞬間」はよくわかります。怖いです。
なんだか支離滅裂になりましたがとにかくおもしろいです。私にとってこの本は「きっかけ」となってくれました。
しかしながら、内容的には、読者の目を惹くようなものも多いのではないでしょうか? トルコにおけるスルタンのハーレムについて、カサノヴァについて、ダ・ヴィンチについてなどなど。 また、ヴェネツィア共和国の外交官・大使による(本国への)報告書が大きく取り上げられているのが、本書の特徴・醍醐味です。 著者によると、これらの内容は、どんな内容であれ、非常に冷静かつ客観的に書かれており、マス・メディアの無かった当時の風俗を知るのには、非常に貴重な資料だそうです。
歴史の表舞台に出てこない歴史を、著者の視点を通して読める、いいエッセー集だと思います。 エスプリに富んだ楽しいエッセイヴェネツィア共和国の一千年の興亡を描いた大作「海の都の物語」に書ききれなかった、いわばこぼれ話を中心にしたエッセイ。塩野さんの本は読んでみたいが、「海の都の物語」や「ローマ人の物語」のような分厚い超大作はちょっと…という方に特にお薦め。
特におもしろかったのは、トルコのハレムの話(トルコはヴェネツィアの宿敵)。”官能的”の一言では片づけられない、ハレムの知られざる実態と、その中でしたたかに生き抜いた女たちの姿が興味深い。これをテーマにした歴史小説があれば読んでみたいのだが。
世界最古の叙事詩「オデュッセイア」は、実は朝帰り亭主が女房に言い訳するための壮大なホラ話だった…という説もケッサク。軽い文体の中に、男性心理への深い洞察が潜んでいる。
アガサ?クリスティーが40歳の時の写真しか載せなかった…という話を皮切りに、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスが、長生きしたにもかかわらず、20代の若い時の彫像ばかり作らせ、しかも美化修正してしまった…という、容貌についての話にも大笑い。
などなど、読みやすい文章で気軽に楽しめるが、エスプリと人間洞察に富んだ、とてもおもしろいエッセイである。お試しあれ。 歴史が苦手な人も...正直、 イタリア?歴史?塩野七生?どれも興味はあったものの、敷居が高く(?)聞きかじりだけにとどまっていたのですが、ふと手にとって見て読み始めたら、世界史の授業が大の苦手だったことがうそのように、鮮明に歴史の現場を感じることができました。
この本自体が、特に題材、時代を限定したものでないこともあり、
古代ローマ、コンスタンティノープルから、近代のヴェネツィアまでを駆け足で、いったりきたり散策できる楽しみと、次はこの本を(この時代・都市・人物)を読んでみようと思わせる、入り口になりました。 ちょっとした地中海の余暇を体験いつもどうりで期待を裏切らない、豊かで充実した内容。買って損しません。通勤の電車で、お風呂の中で、又は寝る前のひとときに。あなたを地中海のバケーションに連れていってくれます.読みやすい長さのエッセイ集。塩野さんの辛口の 語り口は絶品です。
幼年時代の山手線と渋谷の記録(第1章 山手線―昭和八年)に始まり、著者が時刻表にはまっていった切欠、戦前の優等列車への作者の羨望(第2章 特急「燕」「富士」「櫻」)、開通間もない丹那トンネルや清水トンネルへの旅行記や戦前の黄金時代の鉄道・旅行の様子が描かれた後、旅行が抑制され、そして次第に禁止されていった戦時中の緊張した旅行(第9章、第一種急行1列車博多行―昭和十九年 等)、終戦日の鉄道と著者の記憶(第13章 米坂線109列車―昭和二十年)、そして終戦後の混乱した時代の鉄道旅行などが描かれる。
自分は買ってからもう何十回と読み返しているが、それでも読み返したくなる神秘的な何かがこの本にはこめられているように感じた。
特に第13章の終戦時の記録、そして増補版に付けられた敗戦後の鉄道についての概要的記述は感動的である。鉄道は歴史の転換点のときも、敗戦後の混乱の中でも動いていた―日本の鉄道員の偉大さ、鉄道というシステムの凄さと素晴らしさがしみじみと感じられた。敗戦直後の日本国民に生きる希望を与えた物の中に「鉄道」は間違いなく入るだろう、と確信させられたのである。
この作品は「時刻表2万キロ」に匹敵、いやそれ以上かもしれない著者の名作である。ぜひ一度読まれる事をお勧めする。
ただ、現段階では関氏の見解が正しければ、という大前提そのものの証明
がやや不十分だと感じる。通説含む他説への感情的批判もないかわりに、他説との相互比較、そのうえでの自説の正当性の説明、という態度にやや欠ける。小説ではない、学問的価値という部分ではこういう表現はマイナスだと思う。記紀中心の通説に伍していくには、もっと証明や比較検討の視点が必要だと思います。その点の分だけ、星を1つ減らしてます。
日本が富国強兵殖産興業というスロウガンのもとに、世界の一等国といなるまでのあいだ、他方でどのような実態が浮き彫りにされていったのか…いまは学校でも教えない(昔も教えなかったかも)忘れ去られた歴史です。つい百年ほどまえの話なのですが、近代百年の意味も中身も、考え方が変わります。