近頃は一文中の句読点がやけに増えてちと読みにくくなったのが困るところだが、このエッセイの魅力は日常へのこだわりとにじみ出る生真面目さであろう。そんな細かいことどーでもいいのに…という事柄でも、作者は見逃さず事細かに描写する。そして、ここが作者の魅力でもあり欠点でもあるのだが、彼女の文章にはよくも悪しくも〈お嬢様〉の浮世ばなれした視点の面白さというものがある。一般の認識とのズレが生み出すおかしきエッセイ。一部の旅行記の耽美な文体より、ふだん調の文体の方が良い気がするなあ。
特に読者が人力車に乗っている設定で鎌倉の名所を巡るところでは、まるで本当に著者の引く人力車に乗せられ、ゆったりとそして颯爽と走るその車上で流れる景色を楽しんでいるようでした。季節ごとのお寺の楽しみ、鎌倉ならではのグルメ案内。地元を知り尽くした人ならではの情報も多く、一味違った観光案内としてもおすすめします。