珠玉の作品。 アンネ一族を取り巻く文化的、歴史的背景が分かる本です。470ページのなかなかの大著である。この伝記の特色は、アンネ一族の背景を多く語っている事である。両親であるオットー、エーディットの教養の背景など知ることができる。オットーの誕生日は1889.5.12(明治22年)フランクフルト生まれ。わたし(現在43歳)の亡祖父より10歳年長になる。なんとなくアンネとの距離がつかめるようだ。エーディットは1900.1.16(明治33年)アーヘンで生まれた。だいたい私の祖父と同じだ。その2人の間に、姉マルゴーが、1926.2.16(大正15年)に生まれた。私の母とだいたい同じ年だ。そしてアンネは1929.6.12(昭和4年)にフランクフルトで生まれたのである。父オットーはドイツで最高の伝統教育を受けた。文科系のレッシング・キジナジウムでラテン語と古代ギリシャ語を学んだ。エーディットは、フランス語と英語、ヘブライ語を学んだ。あと、家族が隠れ家でどんな本を読んだかなども書いてある。オットーは青春時代、ハインリッヒ・ハイネを崇拝していたという。エーディットは隠れ家で、スピノザの倫理学を読んだという。かくの如く、文科の教養においては平均的日本人以上であった彼らユダヤ人が、強制収容所送りとなり、あるものはガス室送りとなったのである。類人猿ではない、教養深き人間が虐殺されたわけである。この本によってナチスの狂気の罪の重さを実感できる。また、ユダヤ人に比較的同情的だったオランダにおいて、どうのようにユダヤ人狩りに移行していったか、法律の発令の経緯から順に理解することが出来る。狂気はある意味で合法的に着々と準備され装置されていったのがリアルに分かる。アンネファンは必読の一書。また、これを原作として制作されたTV映画「アンネフランク」がDVDで観られる。これも素晴らしい出来である。
私は、「川島芳子」と「ジョルジュ・サンド」の生涯が知りたくて、何気なく本書を手にしたのですが・・・
山崎さんのシャープな文章にたちまち釘づけ!!世界史&女性史フアン必見の1冊です。