文京区小石川の一画で、中世のような暮らしがつい数十年前まであったのか、とおもうと感慨深い。慶喜公が蟄居中の運動不足を補うために廊下を幾度も往復したこと。江戸城から元将軍と共にくだってきた老女。疱瘡で肌をいためたためにお嫁入りできなかった一條家の姫、その身代わりに一條家の養女となって皇室に入った姫の話。
徳川家の姫君、と聞くと平民には縁のない世界の人だが、上流階級では天皇家こそが天上人で、徳川家といえども家臣の扱いだとか。世界の違いに愕然。姉姫は幼い頃から天皇家にお嫁に行くと決まっていたとのこと、それは喜佐子姫方の母親が有栖川宮家の王女であったから。
「戦前の学習院はどなたもみんなどこかでご親戚」との文にあるとおり、上流階級の血縁による紐帯の深さを想像した。
この本の中では、美しく賢く大人びた方として描かれる喜久子姫は「菊と葵のものがたり」という本を出しているが、その口調から察するに、意見のはっきりした活発な方のよう。
併読すると、同じ事柄に対する姉姫と妹姫との視点の差がわかって興味深い。
「子供部屋」とのタイトルどおり、幼少の時期の行事、食べ物、しつけなどについ頁の大部を割いており、結婚後の生活についてはごく淡白に描かれている。大人になってからの生活については同著者の「殿様と私」に詳しい。 夢のような生活!!!いいなぁ!!!と思わず思ってしまう御伽噺にでも出てくるような「お姫様」たちの生活!!!一般人には普通知ることができません。そこを榊原喜佐子さんのご好意で当時の日記を編集しなおすというかたちで、世に出ることになりました。おもしろいですよ!!!
また、太平洋戦争が必ずしも華族階級の人達全員に賛同されたものではなかった、ということがわかります!!!文中に李王が出てきますが、興味をもたれた方は、「日韓皇室秘話 李方子妃」渡辺みどり著を読むと良いと思います!!!
中野氏のマレーシア、福岡での取材活動にも眼を見張るものがある。最近なかなかお目にかかれない行動力+洞察力である。ルポライター養成の教科書としても使用できるのではないだろうか。 マレーシアで活躍した伝説的日本人強盗 怪傑ハリマオのモデルにもなった日本人の物語。東南アジアに関心のある人ならば一度は耳にしたことのあるこの名前は実在の人物だった。
彼は子供の頃に家族と一緒にマレーシアに渡り、しばらくは平穏な暮らしが続く。ところが、シナ事変をきっかけに在マレーシア華人が過激な反日運動を展開、ハリマオの妹を殺害する。ハリマオはこの仕返しに、マレー人と徒党を組み、中国人をターゲットに金品強奪を繰り返す。
イスラムに改宗し、現地に溶け込んだハリマオの生き様に共感を覚えた。彼は、中国人から奪った金品を貧しいマレー人に分配したという。
歌舞伎町コマ劇場前に毎晩立ち、家族のために"殴られ屋"を生業とするその凄まじい生きざまを見ていると、人間はどういう手段を使っても生きる方法がある、という勇気を得た思いです。リストラや借金苦に苦しんでいる世の中年男性へのエールともいうべき本でしょうか。
普通、そのような内容ですと、暗い話として読後感も暗くなりますが、本来の性格の明るさとユーモアあふれるエピソードが全編に溢れ、"殴られ屋"で借金返済をするこの方法に賛同すら覚えます。
流石に、世界でこのような仕事を生業としているのは、一人だけですから、様々な国のメディアから取材申しこみがあったようです。マスコミに受けようと受けまいと、ただひたすら"殴られ屋"を営む壮絶な人生の結末はどうなのでしょうか。この後の続編も期待しているのですが・・・・。幻冬舎アウトロー文庫に相応しい「アウトロー」の生き様です。