共同通信社は、日本中、世界中の報道機関にニュースを配信する会社だ。この会社にある情報は、取材を重ねた事実だ。本書では、その事実が余すことなく登場してくる。日本はこういう社会だったのか。こういう風に動いていたのかと、一抹の悲しさを伴って理解できるようになる。さすが通信社の社会部が執筆した本、非常に分かりやすいし読みやすい。書かれている内容を知らなくても生活できる。しかし、こういう世界もあるのだということを知っていれば、社会を見る目は明らかに変わる。
政治の世界、闇の権力社会も世代交代が進み、本書に登場してくる人物も故人が多い。しかし彼らが亡くなったからといって、その構造が劇的に変わるということはないだろう。日本に息づく闇の社会、その闇に鋭くスポットライトを当てたのが本書だ。
そんな効果を持つ文章やアイディアを、ウィルソン氏がどうやって表現できるようになったか。そこへいたるまでの彼の個人史的経緯が、非常にあからさまになっている自伝です。「赤裸々」というと、どうしても「本来隠しておくべきこと」を、あえて引きずり出してさらした印象になりやすいものですが、ウィルソンの独特の自己信頼によって、そういう赤裸々な自伝特有の欠点は、目立ちません。
私自身、大学生時代には、何度か繰り返して読み、なかなか精神的な地力を与えてもらった一冊です。上から引っ張り上げてもらうような力というよりも、下から押し上げられるような感じです。
これほど世話になっている本に対して、あえてケチをつけるとすれば、友人・知人の名前が次々に現れすぎていて、少々雑然としたところがあるでしょうか。
最後に個人的感想を述べると、結局いちばん私が気に入っているのは、コリン・ウィルソンの「少年時代」です。
因みに、この本に書かれていることは80年代前半、今から20年程前のことだが、全く色褪せていない。
ソレデハ… 武器を手にするしか方法はないのか・・・。マルコスの圧政がはびこる戒厳令下のフィリピンで暗躍する、マルクス・レーニン・毛沢東主義を信奉するゲリラ組織「新人民軍」。これが野村進のデビュー作であるにもかかわらず、冷徹な視線を常に保ちながら、ゲリラ組織に従軍する出色のルポルタージュだ。実は近所の国であるフィリピンのことをぼくはよく知らなかった。スペイン、アメリカの植民地、日本軍の占領、冷戦構造の中、アメリカの後ろ盾に支えられたマルコス独裁政権・・・歴史の荒波に翻弄され続けたフィリピンの人たちの忸怩たる思いが行間から濃厚に立ち込める。軍事闘争(テロリズム)しか解決の糸口はないのか・・・。宗教を一切否定するマルクス主義とカソリックが8割近くを占める国に「接点」はあるのか。なぜ彼らが銃を手にしなくてはいけない羽目に陥ったのか。現在の社会情勢を鑑みても約20年前に出版された本書が色褪せることはない。
しかし、大杉とはそんな生真面目な男だったのだろうか? 「反権力」という分かりやすい図式に押し込められてしまい、自らに横溢するエネルギーを打ち上げ花火のようにパーッと爆発させる破天荒な彼の姿が見えてこない。「自由」という言葉にしても、鎌田氏が使うと陳腐な正義に転化してしまう。せっかく魅力的なタイトルをつけているのに、この言葉に込められたはずの疾走する躍動感が全く伝わってこない。 資料を丹念に調べ上げた努力ち?大いに買う。だが、鎌田氏の筆致は硬くて息苦しい。社会悪の追求はできても、人間そのものの面白さを生き生きと活写するのには向いていないのではなかろうか。