カスタマー平均評価: 3.5
「アビエイター」のような話は期待しないほうがいい コッポラの「タッカー」、「ジパング」(かわぐちかいじ)第13巻とか、いろいろなところで、ハワード・ヒューズは登場しますが、実際どういう人物かはよく知りませんでした。
本書は、1966年にジョン・キーツが書いた本の和訳である。ヒューズは1976年に没しているので、その間に付いての記載はない。死亡したのは、1976年4月で、遺産は、宇宙開発研究と医学研究に寄付されるという点は、付注の「ハワード・ヒューズ略伝」を読んではじめて分かる。
「アビエイター」の原書かという点については、「後書き」では、エピソードの多くは公知であるので、直接の原書とはいえないとしている。確かに映画を見てみても、この本を下敷きにしていない部分の方が多いという印象である。特に巨大飛行機「ヘラクレス」を飛ばすことが彼の夢であったというような話とか白熱の法廷シーンといったものは、本書には一切出てこない。
読後の印象であるが、とにかく読みにくい本である。
知りたい点は、なぜ、ハワード・ヒューズが巨万の富を築いたか、なぜかくも神格化されているのかという点であったが、取りあえず答えは書いてある。
ハワード・ヒューズは、実は親が大成功したヒューズ工作機械の創設者であったため、巨万の富を引き継いだ上、ディートリッヒという有能な経営者がさらに発展させたことによるものであることが示される。TWAについても、有能な経営者に恵まれたようだ。
また、神格化された理由は、異常なまでに、私生活をオープンにしていない、というか、そもそもゴルゴ13のように、コンタクト方法は明らかにされているが、彼から電話がかかってくるかどうかも分からないというような状況が何十年も続いたことによるものである。
あと、映画産業との関わりが随分出てくるが、正直、彼の映像を見ようにも「アビエイター」で一部を見たに過ぎず、彼の功績についてはイマイチよく分からないということだろうか。
読者の立場によって評価が異なる書 私は、映画【THE AVIATOR】を観てからこの書を手に取った。 考えるに、読者は次にパターン化されると思う。1.いちアメリカの偉人?の伝記として読む者 2.映画を観る前の前知識として読む者 3.映画鑑賞後(私と同じよう)に読む者 4.その他航空業界や映画業界に興味がある者 1のスタンスで読むと、あまり面白みはないと思われる。 なぜならば、謎の人物だけあって読み手のもっと知りたいことまで 言及されていないと感じたのである。 淡々としていると言えば、聞こえはいいのかもしれない。 そもそも日本人にとってあまりにも関係がなさ過ぎるのである。 2のスタンスの場合。 映画のネタバラしになってしまうかもしれないが、読んでおいたほうが より楽しめるのではないかと思う。 映画そのものは、彼を知っていたほうがより楽しめると思ったのだ。 3のスタンスの場合。 映画の「あの」シーンの裏話や前後がわかると思う。 ※ここでいう「あの」とは、特定のシーンを指したものではない。 また逆になんでこのシーンが映画に入れなかったのかと思える部分も出てくると思う。 4のスタンスの場合。 業界の先駆者、革命児として知っておくべき人物だろうと思う。 彼は屑のような映画でも、宣伝方法を駆使して収益を上げるという 今のハリウッドモデルを作り上げたのではないかと思える。 少なくとも読む限りでは、映画は質ありきのような時代であったと思われたし、大々的な宣伝の類は行われていなかったのではないかとも思えたのである。 また私は社会人なので、途中からビジネスマン/経営者としてのヒューズに興味を抱いた。 一言で言えば、優れたビジネスマンでありアイデアマンであったのだが、近代経営/官僚制に組織を移行できなかった人物である。 ただ天才が故の帰結なのだろう。 凡人は、組織を官僚制にして機能的に動くようにするから。 星は3つである。 これは低評価という意味ではなく。可もなく不可もなくという意味である。 読み手によって感じることが違ってくると思うので。 最後に。 映画をこれから観る人、もう観た人は、これを読んで映画のシーンを思い出してはいかがでしょうか。 結構分厚いので、読み応えあります。
前半の世界一周飛行のあたりが面白かった 山師の先代が石油で築いた莫大な遺産。18才にしてそれを掌握。
成人前に「社会でものをいうのは、すべて金なのだ」という真理を体現。
望むものは何でも手に入るが何故が孤独。シドニィ・シェルダン好みの設定
でも実話。他人と共有すべき情報、時計・カレンダー・電話を必要としない男。
自分の部下は、深夜でもノックできるし公衆電話から叩き起こす男。
前半の飛行記録のあたりが面白かった。特に世界一周飛行の準備が
一番好き。不時着して熊に出くわしたらどうするんだ/モスクワで良質の燃料
が補給できないと/ヒトラーから領空許可を取れないと一体どうするんだ/
一つ一つ難問をクリアしていく、しかも水面下で極秘裏に。
ガキの頃を思い出す。僕の小さな胸をおどらせた、あの遠足の荷作り
(もっとも予算はミジンコとクジラ程も違うが、なにぶん自分は労働者なもんで)
これらは映画『アビエイター』では味わえない場面だ。
これを読めば分かる。ヒューズが莫大な遺産にブラ下った単なるマネー男
ではないという事を。「男は夢の奴隷だ」という誰かの台詞を思い出した。
より速く・より遠く・より高く・より快く空旅を。映画と飛行機このフタマタに最も
情熱を注いだ男。彼が機内映画サービスの発案者だったのもなるほどだな。
映画と冒険ロマン好きな人なら楽しんで読めるでしょう。ただ後半は少しシンドイ。
PS●パイロットと山師なら→『世界をだました男』新潮ディカプリオつながり。邦題センス悪。『Catch Me If You Can』
楽しく読めます 映画「アビエイター」のモデル、ハワード・ヒューズの生涯をジョン・キーツが綴る。 ハワード・ヒューズがどれだけ映画史に関わっているか知りたくてインターネットで検索したが、それではわからない部分がかなり知れた。 映画史に残る名作とどんなスタンスで関わってきたかなど。 なにせ、RKOオーナーになって、芸術的センスは?な方だけど風変わりで関わりたがった方のようなので面白いエピソードがたくさんある。 この本でも全部を知ることはできないだろうけど、好奇心を満たしてくれるだけの情報はある。 わたしは映画史のほうで興味がひいたが、同時に航空史へも興味がわいた。 映画史は例えば「緑色の髪の少年」について思想色が強い理由で気に入らなかった・・・とか、またキャサリン・ヘップバーンとのエピソード。 そして、この手の早熟な天才にありがちな少年時代はとてもきらめいて映画さながらワクワクする。 星が4つなのは、もっともっとエピソードがありそうだな・・・というちょっと満たされない感覚かな。
合作のよう この伝記は面白かった。 ただの異人伝と違うのは、 ハワード・ヒューズ本人が持つもやもやした魅力と、 この著者の書く、含蓄のある言葉に他ならない。 伝記というジャンルにおいて、特にハワード・ヒューズの生涯には、 参考にできるようなものはないと思う(境遇が違いすぎるから)が、 数々の風変わりなエピソードと、この作者の言葉には、 深いものがあるような気がする。
|