○ 2004年にイチローが破るまで大リーグの年間最多安打記録を持っていた往年の名選手シスラーの息子は、終戦直後日本にいて、日本の野球復興にかかわった。○ 川上時代のジャイアンツは優勝するたびに読売本社内を隈なく優勝旗をもって練り歩かされ、その時、監督選手を冷ややかな目で見ていたのは、誰あろう、あのナベツネであった。 「庶民」から「大衆」への変貌とは?「プロ野球の父」「原子力の父」など数々の偉業を成し遂げたといわれた正力松太郎の生涯を凄まじいまでの取材力と観察力を駆使して綴られた、著者渾身の超傑作。この下巻では、公職追放から復権し、日本テレビ、プロレス、原子力発電所などのパイオニアとして名声を高め、史上唯一の天覧試合を成功させ、その死後までが描かれている。
正力氏の偉業に対する評価は、この本を読んだ人それぞれが判断してくれればいいと思う。あとがきでの著者の言葉「庶民というものが、いかにして大衆というものに変貌したのか」には、ここまでこの長いルポを読み進めてきた読者には衝撃的でさえある。昭和という時代によって、庶民が大衆に劣化していくその様を、正力氏の影を追いながらわれわれは見せ付けられてきたのだから。
筆者自身の弁によれば、「組織についての学問的研究があまり進んでいない、現代の組織を研究するには機密の壁という障壁があり難しい。」とのことでしたが、確かにその通りだと思います。 しかしながら、本書の発刊後の時代は、「バブル崩壊と日本経済の低迷」「年功序列と終身雇用の崩壊」「ルノーにる日産自動車のM&A、ゴーン社長によるV字回復」「金融自由化・護送船団方式からの決別」etc. があり、様々な組織研究のケーススタディ本が発刊されているように思えます。それは、時代の変革期において、誰もが、暗闇の中の光明を求めているからだと思います。 金融ビックバンとか、○○民営化とか、公務員の天下り問題とか、U印乳業の食中毒(食品安全管理の形骸化)、M菱自動車のクレーム隠蔽。。。新聞の第一面を賑わしている構造改革と不祥事というものは、組織論的に見ると、すべて「共同体」組織から「機能体」組織への変化が根底にあると、私には思えます。最近10年の日本を振り返れば、堺屋さんの先駆的な慧眼に感服するばかりです。
そういえば、こんな格言がありますね。 『歴史は繰り返す。』本書的に意訳すると・・・旧組織に対抗して勢力を伸ばし、やがては旧組織を滅ぼしてしまう新興組織も、時間が経てば、また新たな新興組織に滅ぼされてしまう。常に自己変革をしつづける組織だけが生き残ることができる。『奢れる者は久しからず。盛者必衰の理をあらわす。』