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[ 文庫 ]
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半分の月がのぼる空〈6〉 (電撃文庫)
・橋本 紡
【アスキー・メディアワークス】
発売日: 2006-02
参考価格: 557 円(税込)
販売価格: 557 円(税込)
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・橋本 紡 ・山本 ケイジ
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カスタマー平均評価: 5
人生は、まだ続いている 蛇足とおっしゃる橋本先生。いえいえ、とんでもない! 十分に本編補完として楽しめました。吉崎さんのパートがけっこう痛かった。些細なこと(とはいえそうに無い気もしますけど)で壊れる関係とか、打算なく付き合う勇気とか、相変わらず考えさせられます。この巻個人的な見所は、裕一が部屋で写真の現像をしている間に、みゆき&司のカップルと里香が色々やっているシーン。あと、「悪事(?)千里を行く」。推奨BGM:コブクロ「Million Films」
未来を、大切なものを、僕たちは自らの手で選んだのだ。 公式の本編終了はこの巻です。あとの二巻は外伝というか短編というか・・・とにかくこの巻のラストが時系列でのラストにもなっています。
5巻末のあとがきにて橋本先生が自ら「6巻は蛇足と感じるかも」とおっしゃってました。僕はそうは感じなかったし、最後の最後に里香らしさを感じられてむしろシリーズの締めにはよかったと思います。しかし蛇足と感じる人が皆無とは言えないため、もし今から全巻そろえようという方がいらっしゃいましたら、1?5巻を買ってみて、この続きを読みたいと思えたら買い足す。という風にした方がいいかもしれません。他のカスタマーレビューを見る限りでは心配なさそうですが一応ね
23?28歳。この数字を見たら短いと考えてしまうでしょう。でも期間の長短ではないことはあなたもわかるはずです。きっとこの先も里香は裕一と笑顔で生きていく。それが幸せなんだから。
永遠なんてない。いつか完治する、なんてご都合で終わらなくてよかったと思ってる。
そんなのに裕一は、里香は、命をかけていたなんて思いたくないから
有限の・・・それも人より極端に短い命だからこそ、二人はきっと人一倍幸せな日々を過ごしたんだろうなって思いたいですね
本当に良かったです…。 最初のキッカケは本屋で漫画を手にしてからでした。だから6巻まで全て出版された後でした。絵の雰囲気が好きで立ち読みをしたのですが、内容を読んで、みるみるうちに引き込まれていきました。内容はとても平凡で、でも大切なものを内に秘めている…。主人公である祐一と里香は色々な事を乗り越え考えて、最後には自分で選択していきます。終わりの見えない終わりを二人で生きていくことを。この作品は1巻からしっかり読んで下さい。お願いします。そして6巻を読んで下さい。俺は祐一と里香が日常を暮らしていけることを「良かった。」と思いましたし、この作品に出会えて「良かった。」と思いました。作品を読みながら沢山泣いて、沢山喜んで…。この本はこの先、何度も読み返して、ずっと側にある本だと、そう感じています。
良かったね 表紙を見て里香が制服を着ていて、一話タイトルが「スクールライフ」。
良かったね、と素直に喜んでしまった。
この物語は何も起きません。5年先は分かりませんが。
少なくとも、この話の中の主人公達の今には、進路のことぐらいしか問題はありません。
里香にとっては普通の生活を送るというのが重要なのです。
この巻はそういう話です。
1巻から5巻までを読んで、この普通の話に納得してしまいます。
エピローグを迎えて何も起きなかったことにホッとしてしまう、
不思議な物語です。
この先の物語も読んでみたい気もしますが、悲しい場面が出て来るくらいなら、
ここで終わりでいいです。
(サイドストーリの短編集は別ですよ。)
蛇足ではありません。 作者のあとがきに蛇足かもしれない、と書いてあったけどそんなことないと思います。
人間の未来は無限に存在しています。どこへでも行けます。とても魅了的でみんないろんなことを頑張って自分の『オリジナルの未来』を両手で掴もうとします。
しかし裕一はそれを諦めました。諦めたって言い方はなんか変ですけど。
裕一にも普通にサラリーマンで働いている未来もあったはずです。(現にそういう場面が回想的にありました。)
でも、自分自身の意思で選びました。『里香と一緒に生きていく』という未来を選択したのです。もちろん永遠ではない事をしっかり自覚しています。
まだまだ高校生だからわからないこともあるはずです。
それでも選択したその心意気、志に素直にすごいと思います。
なんとなくではありますが、何十年も生きつづける気がします。
この話を通じて人間の心の強さ、みたいなものを学んだ気がします。
5巻を読んだ人は絶対読んだほうがいいと思います。
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[ 文庫 ]
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岳物語 (集英社文庫)
・椎名 誠
【集英社】
発売日: 1989-09
参考価格: 450 円(税込)
販売価格: 450 円(税込)
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・椎名 誠
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カスタマー平均評価: 4
シーナさん作品ナンバー1 20年ぶりに読み返してみました。やっぱり素敵です。20年で随分スレた大人になってしまった私ですが、この本を読むと今でも優しい笑みがこぼれます。我が子を見守る優しい目線の「おとう」椎名さん。結婚相手は良いダンナになる人より、良いお父さんになる人がいいな、と思ったものでした。
今の時代、こんなに子供らしい子供って生き残っているのかな……。
父と息子は真横に並んで 30歳過ぎてから、年々夏らしい事と遠ざかっているような気がする。
その点椎名家のガク少年は全身で夏を浴びまくっている。
今さら自分の体力的に真似るのは無理なのだが、やっぱりちょっぴり羨ましい。
なので夏を感じたくなる度に文庫本引っ張り出す。
バカちんまるだし男子だった頃の自分がページの端で鼻をほじりだす。
日の出と同時に起き出し、もちろん日中は汗みどろで遊び倒すガク少年やミッタントッタン。
晩飯食ってからも夜空の下で、寝る直前まで動いている。
そんな少年たちの憧れの大人、カヌイーストの野田さん。に、較べて点でだらしない椎名おとう。
親から子へ。上から下へだったりした関係が。子から親へ。1人と1人。横に並んで話す関係になる。
そんな事が書かれているのが好きだ。最後2人で宿に泊まって釣りをしに行く話に、
肩肘はらない親子の姿を感じる。児童文学の古典だと思います。
重松清【日曜日の夕刊】の中の傑作短編【サマーキャンプへようこそ】も併せてどうぞ!!
「元・男の子」から「次期・大人の男」へのラブレター この物語は、父から息子への熱烈なラブレターだ。
最近(と言っても20年も前だけれど)の親の過保護っぷり、それに伴なう子どもの軟弱さや狡猾さへの批判、なんていう深読みはせず、ただただ「我が子ながら、けっこういい少年だよなあと思う」というメッセージに耳を傾けて欲しい。
こんな育てられ方をしたら、愛をまっすぐ受け止めたり、贈ったりできる「けっこういい大人」になれるんだろなあ。
中学受験の思い出に 一定の年齢以上の人なら、この本を読むと中学受験の国語の長文を思い出すと思います(今はどうか分かりませんが)。特に、麻布や武蔵・栄光などの記述中心の学校対策を標榜していた模試を受けたことが一回でもあるなら、85-90年前後の試験では頻出の文章でした。
岳物語・続岳物語を読むと、どんなにぶっとんだ子どもなのかと想像をめぐらせることとなりますが、(とりあえずラー油たっぷり餃子やカヌー・喧嘩修業をする少年のくだりから、私の周囲にはいない雰囲気の子どもだと思っていました)後年、作者のどこかの文章で岳少年のその後の人生を目にして「なるほどこういう子どもはこういう生き方を選んでいくのか」と感心しました(否定的な意味ではなく、素直に”自分とは違う人生だな”と感動したのです)。
懐かしさを感じる方のみならず、小学校高学年の子供さんから親御さんまで、ご一読をお奨めします。
ささやかで、ちょっとせつない日常物語 父(40代)と長男(保育園から小学生)の1980年代を舞台にした暖かで、ささやかで、ちょっとせつない日常物語です。
もう20年以上も前に出た本です。僕はもう3回以上読み返しました。
高校か大学の頃、初めて読みました。その時はだた愉快で、とても内容の軽い話だなと感想を持ちました。その頃からシーナの本は好きでした。
2回目は、海外生活をしていた時です。どうしても日本語のゆるい本が読みたくて、オランダのホテルオークラの書店で3倍くらいの値段の文庫本を奮発して買いました。それで高級なウイスキーのようにちびちび読みました。良いストレス解消でした。
そして3回目は、自分が保育園児の父となってから、なんとなく読みたくなり、文庫本を買いました。なんとなく父シーナの楽しさ、切なさがわかるように気がして読んでいます。
父と息子の愉快で楽しい日々、そんな時期は息子が小学生、中学生までですかね。10年くらいですね。お互いの人生の中では、あっという間です。男の人生の中で、父から息子に何かを伝える期間なんでしょうか。
僕もこんな物語を書いてみたいです。
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[ 文庫 ]
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にじんだ星をかぞえて (朝日文庫)
・上原 隆
【朝日新聞出版】
発売日: 2009-06-05
参考価格: 693 円(税込)
販売価格: 693 円(税込)
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・上原 隆
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カスタマー平均評価: 0
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[ 文庫 ]
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石榴ノ蠅 (双葉文庫 さ 19-29 居眠り磐音江戸双紙)
・佐伯 泰英
【双葉社】
発売日: 2008-09-11
参考価格: 680 円(税込)
販売価格: 680 円(税込)
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・佐伯 泰英
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カスタマー平均評価: 4
佐伯泰英の様式美 豊後関前藩での磐音の戦いはあくまでも藩の存亡をかけての戦いであり,小林奈緒はその被害者に過ぎなかった。磐音は(となれば当然のことながら作者も)奈緒のためではなく国のためだけに戦ったことに納得していなかったのではないだろうか? 前作「紅花の邨」では紅花の咲く夏の山形藩を舞台に豊後関前の時と同じようなお家騒動が繰り広げられる。しかしその戦いは豊後関前の時と形は似てはいるが全く対照的であり,奈緒の幸せを得るためだけの止むを得ない戦いとして描かれているのだろう。実際作者は前作220頁で磐音に「今また同じような悲しみが奈緒どのの身に振りかかっているのであれば,それがしの豊後関前での決着の付け方が曖昧であったということにございましょう」と言わせている。
そう考えてみるとおこんが磐音を送り出したのも,奈緒のための磐音の戦いが終わらなければ自分たちの仲は完全なものにはならない,という設定によるものかもしれない。しかしシリーズの形式が重んじられる一方で感覚的に相容れない部分があるのも確かで,特に本作「石榴の蠅」ではそれが著しい。奈緒が磐音に顔を合わさず逃げたのは(奈緒のための戦いが終わりそれぞれが持つ愛の道に進むのではなく)奈緒が磐音を思い切っていないこと(40頁),(おそらく)奈緒が送った蝋燭の明かりの下で紅をさしたおこんと夜を過ごす(44頁)など,読み手がなんとか納得しようとしても違和感を覚える描写も多い。
とはいえ,わたしもなんだかんだと書いたが期待しているのはマンネリとなっても構わないし,話が大きくならなくても結構であるから,地に足をつけた主人公たちが苦労しながらも市井に生きる丁寧に描かれた時代劇である。そのためにも作者におかれては批判・要望に過度に付き合わず好きな小説を自分の好きなように書かれる事を切望している。
次の物語の始まりかな? 前回の「紅花の邨」の物語はインターバルだったのでしょうか竹村武佐衛門の行く末、霧子の行く末 一太郎の恋(?)源太郎の養子縁組、物語の始まりがちりばめられています、品川柳次郎も佐々木磐音も落ち着き始めた今、物語の展開は家基元暗殺 田沼失脚と進む中で新たな展開を見せてくれそうです。
ここ、1、2回を経て大きな展開が予想される物語の始まりのような気がします。
竹村さんの行く末は果たして 居眠り磐音シリーズの最新刊です。
蛇足ながら、NHKドラマで山本耕司さんが主演されている「陽炎の辻」の原作です。
さて。
今作のあらすじは、再び次期公方様の徳川家基がおしのびで江戸の城下に出たいというのを磐音たちが助力し実現する話を軸に、佐々木道場の成長株のでぶ軍鶏こと利次郎の成長、旧友の竹村武佐衛門の行く末などを描いています。全体的には全巻が冒険活劇だったのに対して、今回は緩やかな大河ドラマの群像劇という面が強くなっていました。
自分が興味を惹かれたのは、竹村武佐衛門の行く末。三羽がらすのようにしていた品川柳次郎が着実に自分の家の基盤を固めているのに対して、子だくさんで大酒飲みで家計が苦しいのにケガをしてしまって力仕事ができなくなった武佐衛門。彼が武士を捨てるかどうかという局面にまでたたされた(今回結論は暗示でしかでませんでしたが)状況をどうしていくのか。
個人的には、いくら内職や力仕事をしていても武士は武士で、武士を捨てるということはあまり現実的でないかと思っていましたが、当時では武士の株ごと捨てたり富裕な町民と縁組みすることで形式的には武士のままだが実は士分を捨ててしまう侍もいたようですし、このあたりを著者がどういう風に物語していくのか興味深いです。
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[ 新書 ]
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計算力を強くする (ブルーバックス)
・鍵本 聡
【講談社】
発売日: 2005-08-21
参考価格: 840 円(税込)
販売価格: 840 円(税込)
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・鍵本 聡
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カスタマー平均評価: 4
数字が苦手な人はぜひどうぞ 私は大の算数・数学嫌いです。
暗算なんて、繰り上がりがあるともう全然わからない・・・。
という状態でした。
でも、この本を読んで、楽に計算するコツが少しわかりました。
基本的に算数・数学が苦手な人を対象に書かれているようで、
とてもわかりやすいです。
とはいえ、一回読んだだけではわからない箇所もありましたが。。。
何度か読んでわからなければ、実際に手を動かして計算してみると
わかります。
この本に書かれている、
少しの暗記(掛け算の結果を覚えます)+ちょっとした工夫
をすることでだいぶ計算が早くなりました。
買い物のときもやっぱり役に立つし、
会社でも話の中でパッと計算して
「おっ、計算速いな」って思われたら、何かいいですよね。
数字嫌い、という人にこそ役に立つと思います。
計算って楽しいな ビジネスにおいては数字を抜きには語れない。
少なくとも、数字に関わる仕事を担うのであるならば、数的感覚を鋭くする工夫を怠ってはいけないと思う。
仕事はチームプレイが基本だが、構成員が数的感覚に優れている場合、そのチームの収益性は他を圧倒するほど高いものといえる。
この本は、計算を楽しくする工夫が詰まっています。
目からウロコが落ちる点も少なくないです。
是非、読んでほしい本です。
この本の真価は、紙を用意して自分で書きながら答えを導き出すところにあると思います。
計算って楽しいな、と思う瞬間を味わえると思います。
数字を扱う人間にとって、実はベーシックな秘伝だったが 近時流行っている計算テク本の走りで、日常生活で役立つ暗算の色々なコツを紹介しています。
実際に同じような要領で計算してた人って意外と多いんじゃないかと思いますが、練習問題も豊富なので腕試しにも使えます。
特に概算のコツはビジネスで役立つので、経理屋として個人的に「こういう計算方法がビジネスマン全般に普及するといいな」と密かに思っています。
暗算の速い人間をめざして そろばんができる人はちょっとした暗算ができて、
すごく羨ましかった。
本書は、そういう人に向けた本です。
確かに数字に強いとビジネスでは色々と便利です。
暗記の重要性、また、ちょっとした工夫で簡単に
計算できるコツを教えてくれます。
頑張れば、すごい計算力がつくでしょう。
でも、もう頭がついていかない。。。
脳がまだ若い人には、チャレンジして欲しい。
でもホント面白いです。お奨めです。
考え方を変換する なるほど、まさしく視点の変換である。
確かに一部は小学生にも応用可能なテクニックがあるが、基本的にはある程度の「算数」の地頭が出来上がっている中学生以上が対象だろう。
数学アレルギーの元となる「ひらめき」は必要なく、どちらかといえば文型の頭で「覚えて、論理的に展開する」能力が必要だろう。
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[ 文庫 ]
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宇宙クリケット大戦争 (河出文庫)
・ダグラス・アダムス
【河出書房新社】
発売日: 2006-04-05
参考価格: 683 円(税込)
販売価格: 683 円(税込)
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・ダグラス・アダムス
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カスタマー平均評価: 4
評価困難 一作目、二作目だけで評価するのは難しい
単純にこの本だけ読んだらおもろいと
思うねんけどどうでしょう。
「若きゼイフォードの安全第一」が読めてラッキー
連作で読まないときついかも
ファン待望の新訳版です 『銀河ヒッチハイク・ガイド』ファン待望の第三作がついに発売されました。かつて新潮文庫版が発売されたのが‘85年なので、なんと20年以上経っての新訳版発売ということで、とても感慨深いですね。
内容については「前二作に比して出来が悪い」ということがよく言われますが、そのナンセンス・無軌道ぶり、ラストのほろ苦さは素晴らしく、当方はこれまでの三巻中で一番のお気に入りです。ちなみに当作において、一作目でのペチュニアのぼやきの意味が明かされるのですが、これはなかなか衝撃的な馬鹿馬鹿しさです。
また、本邦初訳の短編『若きゼイフォードの安全第一』もオマケで収録されているのが嬉しいですね。
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[ 文庫 ]
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夏草の賦 [新装版] 下 (文春文庫)
・司馬 遼太郎
【文藝春秋】
発売日: 2005-09-02
参考価格: 570 円(税込)
販売価格: 570 円(税込)
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・司馬 遼太郎
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カスタマー平均評価: 5
夢の途中 長曾我部元親のものがたり。
作者は、元親を、臆病さが生み出した、智謀の将としている。本書の前半は、謀略の限りをつくした土佐統一戦を、正室の菜々の視線を交えて語られる。ここでは、元親の腹黒さと対照的に、菜々が、天真爛漫な女性として描かれている。
元親は、四国統一から天下へ向けての夢想のため、戦乱をかけぬけた英雄であるが、信長からは、鳥無き里のこうもりとして軽んじられ、秀吉からも、天下人たる器量なしと断じられていたのが興味深い。
後半では、20年かけて苦心惨憺切り取った領地は、秀吉との戦に敗れ、あっさりとりあげられてしまう。元新の、秀吉という大きな器を見せつけられた衝撃、夢半ばで目覚めさせられた悲嘆は、想像に難くない。秀吉政権下にあって、恭順の姿勢に変わっていくのだが、折々に見せる悔しさは痛々しくもある。
元親と嫡男 信親の挿話は感情移入してしまうこと必定で、島津征伐での信親の最期は胸がうたれる。つづく菜々の逝去も相まって、元親が愚人と化してしまうのがもの悲しい。登場人物が魅力的であればあるほど、その死は痛ましく、元親が、お家断絶の引き金を引いてしまった事情が鮮明になる。
長曾我部盛親が主役の『戦雲の夢』とともにいつか大河ドラマ化して欲しいと思う。
それでも人生は続く 元親は結局秀吉に降伏し、二十年かけてとった四国から土佐一国にもどされ、いまさら秀吉という主をもつことになった。その痛ましい境遇を、下巻ではあますところなく伝えています。スポーツなんかでも、「この相手にはどうしてもかなわない」という圧倒的な実力差(格の違い)を経験したことのある人は多いと思いますが、元親も秀吉に対して軍事的な面でも人物としても「格の違い」を悟り、軍事的な野心を放棄してしまったように感じます。そうした諦念の中それでも人生は続くし、それは夢をあきらめた人が(私もその一人だが)夢を振り切って生きていくせつなさとダブるものがあります。
夢破れて 四国統一を目指した若き長曽我部元親、
秀吉に降伏した後の晩年の長曽我部元親、
まるで別人のようです。
天下を夢見て、戦い続けてきた。
大勢の部下の命を失ったのも、
すべて天下を目指すことで忘れてきた。
それが、秀吉に屈伏し、天下人として
圧倒的に巨大な存在を目の当たりにする。
自分は天下を取るに値するという、
人生を肯定してきたものが崩れてしまったのでしょう。
悲哀に満ちた晩年は、共感を覚えました。
信親を失ったときの悲しみが
夢破れた元親に追い討ちをかけます。
いっそのことあの時、秀吉と決戦していればと
何度思い返したことか。
読み応えのある一冊でした。
戦国武将のむなしくも数奇な人生 四国の武将、長曾我部元親の人生を描いた後編。
内面的な弱さを持ちながらも四国を平定した元親は、信長の侵攻、その死、秀吉の天下統一など、戦国時代ならでは目まぐるしい環境変化に翻弄されます。地理的に中央のパワーバランスを瞬時に知ることのできなかった彼ほど激しく浮き沈みを経験した武将もまれなのではないでしょうか?
20年かかって四国をものにしながらも結局もとの土佐一国の大名に戻ってしまうむなしさ、嫡子と愛妻を相次ぎなくし生きる意欲をなくしていく元親の心模様、感情の揺れというものが
人間臭く描かれます。
個人的な印象ですが、司馬作品は戦国時代以前を描いた作品のほうがより一層、人間性(心の内面のようなもおの)をいきいきと描いているように感じます。この作品も戦国の世で数奇な人生を歩んだ武将のはかなさをいきいきと描いた佳作と評価します。
知られざる戦国の雄 「功名が辻」を読んだ流れで土佐藩以前の高知に興味を持って読んでみました。四国統一を成し遂げたとはいえ、マイナーな扱いを受けている長曽加部元親。その人となりがよく描き出されている作品だと思います。また当時の土佐国が、日本の中でも後進地域であったことも驚かされ、「日本も広いなぁ」と妙に感心させられました。
ところで元親は天下を目指していたと語られており、土佐国に生まれていたことが彼の不運だったようなことが書かれていますが、私個人としては仮に本州に生まれていても天下を獲ることは無理だったと思います。本州には信長だけでなく、甲斐の武田や越後の上杉などがいたわけで、それらの武将と比較しても特に秀でた武将とは思えない。逆に本州に生まれていたら、早々と歴史の舞台から消えていたことでしょう。ラストはかつて四国を制覇したものとは思えない、切ない終焉が待っています。ぜひご一読を!
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[ 文庫 ]
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きみにしか聞こえない―CALLING YOU (角川スニーカー文庫)
・乙一
【角川書店】
発売日: 2001-05
参考価格: 500 円(税込)
販売価格: 500 円(税込)
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・乙一
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カスタマー平均評価: 4.5
初めて読んで 消えないような酷い傷を受け自分にはもう何もないように思えても、懸命に生きる人々の手の中には救いや希望が必ず残っている。
「全員幸せ!全てが最高!」な終わりを求めていた友人は「暗くて辛い」と感じたようですが、私はなんだか慰められているような気分でした。
深い傷が一瞬で癒える魔法はないし、苦しいこともなく何もかもがうまくいっている人なんていないし、今この瞬間も理不尽な目に合ってる人はいる、、普段はぼやかして生きているそういうことを強く意識しました。
登場人物の会話に違和感をおぼえて物語からさめてしまうところなど(私が東京と神奈川で育った人間だからでしょうか…?乙一さんは福岡の方ですよね)文章があまり好みでなかったので☆を2つ引かせてもらいました。
切なさといえば・・・ 切なさといえば乙一さん。
何の救いもない世界。
それだけでいいのかとも考えてしまう。
それだけ?
ブンガクの「今」 これはなにより、時間の書き分けがとても上手い作品だ。タイムスリップしたり異次元との交流を描くことは、小説という虚構の世界においてほとんど常套手段ともいえるのだが、ライトノベルとかJブンガクなどと呼ばれる系統のなかでも筆頭と目される本作者の特徴的な、それこそ王道とも言える「自然主義の語り」を採用しながら、しかしまったく異界の方向を示してはいないことが、なにより評価できる。逆に言えば、どんなに破天荒で荒唐無稽でいい加減な物語を捏造しても、それが本来の「自然主義の語り」に即していれば、ただそれだけで純文学の指標にも俎上されるということの証明になっているのではないか。評価できる、なんて大上段から言ってはみたものの、実はなによりも、そのことが衝撃となっているのだ。まさか自分が(これまではいわゆる純文学しか読まなかったし、読めなかった)、ラノベを読めるとは思っていなかった。時間の書き分け、に話しを戻せば、映像ならいくらでも分かりやすく場所移動や時間移動が可能だ。言うなれば一目瞭然なわけだが、これを言葉だけで表現するとなると、やはりそれなりに技術が必要であって、一度でも移動に失敗したら読者の意欲は一気に落ちてしまう。しかし読んでいて、そういった失望はまったく感じなかった。これはやはり、作者の力量と言えるだろう。純文学といっても今ではすっかり幅が広がって、小難しいものはないのだ。頑なに芥川やドストエフスキーにこだわる人種は仕方ないが、少しでもブンガクの「今」を感じたければ、乙一から始めるのが妥当かもしれない。
切ない・・・ 普通の恋愛小説かと、思って読んでみたら
ちょっと不思議なお話だった
乙一さんのお話ははじめて読んだんだけど
最近、読みやすい小説しか読んでなかったから
最初はちょっと、読みにくかったかな
でも、気がついたらはまってて、
あっという間に読み終わった
なんとなく先も読めたけど
それでも、面白かった
なんていったらいいのか。。。
「切ない」
この本に入ってるほかの2編も含めて、
「切ない」
この一言かな・・・・
他の本も読んでみたくなったなぁ
上手い! 文章はそこまで特別ってわけでもないのに惹きこまれます。
若い世代の人に結構人気が出るような書き方だと思います。
一文一文が心に直球で伝わってきてとても良い感じです♪
私は今まで乙一さんの本を読んだのはこれが初めてです。
初めて読んだわりに意図が伝わりやすく気に入りました!
この中の物語では「傷」のお話が私的にはおススメです。
途中の挿絵も上手くて良い雰囲気をかもし出しています。
合計で3つお話があるから、読んでいても飽きないです。
まだ乙一さんの本を読んでない人に読んでもらいたいな☆
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[ 文庫 ]
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サロメ (岩波文庫)
・ワイルド
【岩波書店】
発売日: 2000-05
参考価格: 378 円(税込)
販売価格: 378 円(税込)
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・ワイルド ・Wilde
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カスタマー平均評価: 4.5
戯曲です。 悲劇ということになるのでしょうか?
美しき王女サロメの、
預言者ヨカナーンへ対する、
“狂気の愛”が描かれています。
全体的に暗い雰囲気で包まれていますし、
好みが分かれそうな内容です。
本に関しては、
改訂版でも旧仮名遣いがされています。
「読みにくい」と言うほどではないのですが、
読もうと思う方は注意が必要です。
残念ながら、
個人的にはそこまで楽しめなかったので評価は星3つです。
ワイルドの豊麗な視線 まずは何といってもピアズレーの挿絵に魅了される。挿絵だけでも本書を手元に置く価値がある。そして福田恆存の格調高い翻訳。日本語の響きが誠に美しい。おもしろかったのは、ワイルドの描くヨカナーンの美しさである。サロメが讃えるヨカナーンの肌の白さ、その髪、その脣。それは若い娘の視線にはありえない描写であって、その耽美的な視線はまさにワイルドそのもの。手元の新約聖書を紐解いてみると、マタイ伝、マルコ伝は実にわずかな描写であった。しかもヨハネの首を欲したのは、娘ではなく、その母だった。それを恋の悲劇に仕立てあげたとは、さすがにワイルドである。
マタイ伝第14章第3-12節「実はヘロデは、自分の兄弟フィリポの妻ヘロディアのことでヨハネを捕らえて縛り、牢に入れていた。ヨハネが「あの女と結婚することは立法で許されていない」とヘロデに言ったからである。ヘロデはヨハネを殺そうと思っていたが、民衆を恐れた。人々がヨハネを預言者と思っていたからである。ところが、ヘロデの誕生日にヘロディアの娘が、みなの前で踊りをおどり、ヘロデを喜ばせた。それで彼は娘に、「願うものは何でもやろう」と誓って約束した。すると、娘は母親に唆されて、「洗礼者ヨハネの首を盆に載せて、この場でください」と言った。王は心を痛めたが、誓ったことではあるし、また客の手前、それを与えるように命じ、人を遣わして、牢の中でヨハネの首をはねさせた。その首は盆に載せて運ばれ、少女に渡り、少女はそれを母親に持って行った。それから、ヨハネの弟子たちがきて、遺体を引き取って葬り、イエスのところに行って報告した」
マルコ伝第6章第17-29節「実は、ヘロデは、自分の兄弟フィリポの妻ヘロディアと結婚しており、そのことで人をやってヨハネを捕らえさせ、牢につないでいた。ヨハネが「自分の兄弟の妻と結婚することは、律法で許されていない」とヘロデに言ったからである。そこで、ヘロディアはヨハネを恨み、彼を殺そうと思っていたが、できないでいた。なぜならヘロデが、ヨハネは正しい聖なる人であることを知って、彼をおそれ、保護し、また、その教えを聞いて非常に当惑しながらも、なお喜んで耳を傾けていたからである。ところが良い機会が訪れた。ヘロデが、自分の誕生日の祝いに高官や将校、ガリラヤの有力者などを招いて宴会を催すと、ヘロディアの娘が入ってきて、踊りをおどり、ヘロデとその客を喜ばせた。そこで、王は少女に、「欲しいものがあれば何でも言いなさい。お前にやろう」と言い、更に、「お前が願うなら、この国の半分でもやろう」と固く誓ったのである。少女が座を外して、母親に、「何を願いましょうか」と言うと、母親は、「洗礼者ヨハネの首を」と言った。早速、少女は大急ぎで王のところに行き、「今すぐ洗礼者ヨハネの首を盆に載せて、いただきとうございます」と願った。王は非常に心を痛めたが、誓ったことではあるし、また客の手前、少女の願いを退けたくなかった。そこで、王は衛兵を遣わし、ヨハネの首を持って来るようにと命じた。衛兵は出て行き、牢の中でヨハネの首をはね、盆に載せて持ってきて少女に渡し、少女はそれを母親に渡した。ヨハネの弟子はこのことを聞き、やって来て、遺体を引き取り、墓に納めた」
幽玄 他にもサロメの日本語訳本はありますが
文体と格調の美しさと簡潔さはこの福田さんの訳本が一番でした。
此処に出てくるサロメの姿は月の光のようにはかなく消え入りそうでいて
最後抑えていた感情を全て曝け出して愛する男の首に接吻する狂える女。
神秘的で幽玄・・・そして可愛いらしくも強い少女です。
ビアズリーの挿絵(これも素晴らしいのですが)すらこの名訳の前にかすんでしまうほど。
この福田さんの訳本が無ければ自分はここまでサロメという作品に魅せられなかったでしょう。
文句なしにお勧めです。
コンパクトな毒 短くて、毒気に満ちている。ウィスキーボンボンのような作品ですな。本の薄さに手軽に味わえると思うと悪酔いする。子供のときに、所詮お菓子なんだからと、ボンボンをつまんで食べたら頭がクラクラしたのを思い出す。
同じような台詞が反復するのは音楽的な効果を上げている。ディオニュソス=酒の神=悲劇の神=音楽の神というニーチェの認識をうまく具現した作品。淫蕩に輝く月や薔薇の花弁が視覚に強烈に浮かんでくるので、造形芸術=アポロン的な要素も、その音楽性にうまく連動しているといえる。本当に、『悲劇の誕生』に書かれていることを実践しようと思って狙って書いたんじゃないかと思えるくらいだ。
まさに「古典的」翻訳。ビアズリーの挿絵の完載が魅力 作品自体については、あえて言及しない。福田恆存の翻訳は1958年のもので、そもそも旧仮名遣いを使用するなど福田らしいものである。それを踏まえれば、かなりに高水準ではあると認めるし、本作の「古典的名翻訳」と呼ぶだけの価値はあると思う。
しかし、現代の目からすると「古い!」と思わずにはいられない。特に、女性の言葉遣いは「日本語の変化」でも極めて顕著な部類である。この訳からは、サロメが十代の少女(15歳くらい?)であることが一般読者には伝わらないと思う。
著者の言うように戯曲としてより、R.シュトラウスのオペラとして有名になっていうせいもあろうけど(但し、福田の解説はいささか大げさで、劇としての上演も面白い試みがある)、改版時に訳者は既に逝去されていたことを思うと「新訳」を期待したし、今でもそれに変わりはない。
但し、従来未公開であったものも含めビアズリーの挿絵が完全収録されているのはこの岩波文庫版の大きな魅力である(これで確実に☆が1つ増)。
巻末の「解説」も上記のように多少の問題はあるけれど、文庫本のものとしては十分なものである。
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[ 文庫 ]
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あの頃ぼくらはアホでした (集英社文庫)
・東野 圭吾
【集英社】
発売日: 1998-05
参考価格: 580 円(税込)
販売価格: 580 円(税込)
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・東野 圭吾
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カスタマー平均評価: 4.5
作家・東野圭吾のルーツ? 作家・東野圭吾のルーツを知りたくて手に取った1冊。
彼の小学生から大学生までの人生の歩みを面白おかしく綴ったエッセイで、
読みながら「本当にアホだなぁ」と爆笑したり、時には苦笑いもしてしまう。
中学時代のエピソードには「こんな酷い学校に通っていたのか」と驚いたが、
それでいてグレもせず、道を大きく踏み外すこともなく、可もなく不可もなくで過ごした高校?大学時代。
定期を偽造した話が特に面白く印象に残ったが、
こういう創造力と想像力こそが彼の小説においてさまざまなアイディアを生み出す源となっているのだろうな、
と思わず納得してしまった。
普通の家庭に育った普通の子供(のはず)なのに、今や時代をときめく売れっ子作家。
彼の幼い頃を知る近所のおばちゃん(今はおばあちゃんか)連中や同級生達は、
一体どういう心境でその活躍を見ているのだろう。
「あいつはこういう子供だった」という話を、彼らからも聞いてみたくなる。
共通の思い 著者の大学卒業までについてのエッセイです。
とても面白かったです。もう何度も読み返しています。
学校給食、中学の不良、金欠、異性、体育会系、単位の取得、就職活動等、
昔も今も、男子学生の悩みは共通なんだなあと思いました。
ただ、どうしても男性の方がこの作品に共感しやすいということになってしまうかもしれませんね。
悩める男子学生・浪人生に読んでもらいたい 本作は、おそらく現在日本で最も売れている作家の、
小学校から大学卒業に至るまでの半生記です。
怪獣やブルース・リーなどといった、
当時の流行に胸をときめかせたり、
大人のさもしい魂胆に翻弄されたり見抜いたり…。
金がない中で女心を射止めるために奮戦し、
荒れに荒れた中学時代を巧みに生き抜き、
高校の文化祭では映画製作に没頭し…。
ご丁寧に(笑)浪人までしてくれたおかげで、
一大イベントである、大学受験にまつわるエトセトラもふんだんに盛り込まれています。
大学に入ってからの体育会の理不尽な風潮や、
学問に対するリアルな実感も、思わずうならされます。
本書を読んでいると、学校時代の自分自身の思い出が、
まさに走馬灯のように蘇ります。
思い起こせば楽しいこともあったし、辛い思い出もいっぱいあったけど、
よくぞ頑張ってきた、また明日から頑張るかと、
個人的に元気をもらえました。
著者の一貫した明るい語り口、新作落語のような一話ごとのまとまりの良さも、
読んでいて心地が良かったです。
悩める男子学生に強くお奨めします。
赤裸々 こんなにハチャメチャな青春時代を送ってきた人が、いまや当代きっての人気作家。
これを読むと、今いい学校に入ることを目標にして勉強にばかり浸かっている若者は、もったいない人生を送っているなぁ?と感じます。
本当に好きなこと、やりたいことを見つけるのが青春時代。そんなことをさらりと教えてくれる本です。
怪獣のくだりの思い入れが強すぎ、ちょっとついていけないところで、星一つ減点とさせていただきました。
期待ほどでは・・・ 中学時代の学校の中での出来事などはそこそこ面白く読めたが、怪獣談議は自分がよく知らないこともあり、ちょっと入り込めなかった。
ファンなら作者の人柄を知る上で読んで損はないと思うが、やっぱり普通の小説の方を読んでればいいや、と思わされた。
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