構成は2部になっており、第1部は彼が過ごした下層階級生活の実態を描いたルポ。ロンドンの『どん底の人々』等著明な作家が社会の底辺に潜り込んで階級的貧困の存在を世に伝えようとした書は幾つかあるが、本書は類書の中でも最も生々しい肌触りに満ちている。これについては実際に読んでみて貰う方がいいだろう。
第2部では、「何故社会主義は支持されないのか」と云う問いによって具体的に現存する社会主義の問題点を指摘し、それを批判すると云う形で、逆説的に社会主義を論じている。直接理論的な内容を話すのではなく、彼個人の経験で得た実感を基に論を進めているので、この手の論考としてはかなり異色の出来になっている。彼によれば、問題は現在の自称社会主義者達が、労働者階級のことなど理解しない中産階級のインテリ共でしかも変人の類いが多いと云うこと、そして人生を無味乾燥にし、労働の意味を奪ってしまうであろう「進歩」や機械化と云うイメージが、社会主義そのものに対する保守的な反感を誘う、と云う点にある。要は宣伝が下手だと云うことなのだが、他の論客なら下卑た視点だとして避けて通るであろう問題に正面から切り込んでいるところに本書の特色がある。
原書は1937年に左翼図書普及会の選定図書としてゴランツ社から出されたものだが、ヴィクター・ゴランツがコチコチの社会主義者の代表と云う立場から、本論を反駁しつつ解説した「序文」を書いている。印象論を基調とする本論には明白な間違いも多いのだが、これに対するプロパガンダ的な反論も仲々面白い。
花街の女性って、一本筋が通ってる気がしました。
芸を磨いて生きていくってかっこいいです。しきたりや伝統等、重いものがあるってのもわかります。