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[ 文庫 ]
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遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス (新潮文庫)
・藤原 正彦
【新潮社】
発売日: 1994-06
参考価格: 460 円(税込)
販売価格: 460 円(税込)
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・藤原 正彦
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カスタマー平均評価: 4.5
若々しい視点を失わない藤原氏 40代で、家族を連れて英国ケンブリッジに留学した藤原氏。
このエッセーで著者は、あたかも10代の若者が初めて英国に留学した様な新鮮な視点で英国社会・文化を描き出している。
特に、階級社会の英国の実情の把握は圧巻であり、この本は英国に留学・赴任するには事前に読んでおけば、かなり心の準備が出来るだろう。
壮年数学者の英国留学体験記 本書は、平成3年10月に新潮社より単行本として刊行されたのを文庫本化したものである。文部省の長期在外研究員として1987年8月から一年間、ケンブリッジ大学に滞在し、さまざまな学者や学生たち、近所の家族たち、こどもの学校のつきあいなどを素材に、読みやすいエッセイを書いている。
読んで印象に残っているのは、本書でたびたび出てくる「ユーモア」という言葉。それは英国独特の無常観に裏打ちされている。対照的に、著者はアメリカ留学体験もあり、ついジョークを飛ばしてしまう。それを藤原夫人がたしなめる。そのやりとりは読んでいて微笑ましい。
また、日本人には理解しがたいかもしれないが英国の階級社会。まるで映画に出てくるようなデフォルメされた卑しさのままに行動する人たち。ロワークラスを煽動するかのような大衆紙。荒れた公立学校。上流の人は下流の人たちをどういうふうに見なしているのだろうなどと考えた。
同じようでいて自分たち日本人との文化の違いを意識させられたりで、読んでいて退屈しない。
VS ハーバードMBA留学記 "ハーバードMBA留学記"(岩瀬大輔著)が面白かったので、
英国への留学バージョンとして知人に勧められ購入。
この2冊は比較されることもしばしば。
"ハーバード?"は米・MBAへの留学ブログを編集したのに対し、
"?ケンブリッジ"は英・数学科への留学体験記。
一つの本として評価したとき、こちらの方が完成度は高い。
藤原氏の数学者と思えぬ文章力には感服。
紳士だがこちらから絡むとほぐれてくれる英国文化の性質が、
はっきりと分かった気がする。
それだけではなく、時折挟まれる藤原氏独特の人生観もとても参考になった。
英国に留学したいと考えてる人に強く薦める一冊です。
イギリスから学ぶこと。 相変わらず面白い文章を書くので敬服しますね。「若き数学者のアメリカ」のとおり20代後半からアメリカ被れになった著者が、40歳を越えてからイギリスで1年間暮らして判った両国の違い。宗教、マナー、騎士道、人種差別、男女関係など等色々な観点から違いを感じていく。読んでいると結構イギリスに行って見たいような気がしてくるものである。食事の拙さが判っていてもね。経済の話題はアメリカだし、食物はフランスだし・・・。今までのアメリカ万歳からイギリスを通して日本の良さを再認識していったという流れは興味深いですね。ホントに日本は単純なアメリカ指向が是正されない国なのかもしれません。むしろアメリカよりも伝統を壊していくのが平気なのでは?と感じる昨今ですが・・・・。「国家の品格」にあるように武士道や日本語教育は大事ですね。
才能があったり,コネがあったりすると,いいなぁ 数学者としては文章は読ませる。文章は,種類こそ違え,森毅と同じくらい面白い。「遥かなるケンブリッジ」という題名も素人にはイメージ喚起的だ。最初の2章はイギリスの門前で,第三章から第九章まででイギリスに入場しており,最終3章で,溶け込んだイギリスの感想を述べるという構成。
イギリスの大学の様子や数学者たちの人間的な側面などがよくわかるが,私などは業界の人間ではないので,世界規模で有名な人物の人となりもただの登場人物に過ぎない。藤原のイギリス(人)評価は,イギリス人数学者には当てはまるかもしれないが,下層のイギリス人にはまずは当てはまらないだろう。国民性評価なんていい加減なもんだ。言いたい奴らが言いたいように言って,納得したがってる奴が納得しているという構図で,これといって根拠がない。統計的なウラなんかまずはない。そもそも,たとえば“国を理解する”という状態を成り立たせる条件はいったいなんだろうか? もしその国に住むことが条件であったりすれば,殆どの人に国は理解できない。とすれば,評価はまず不能だ。頭が悪くとも,こっちは向こうに住んできたんだ,だから僕のほうが正しい,なんて凄まれれば,周囲がアホなら勝てる見込みはまずない。もっとも,勝つことには意味はないのだが。
本書は1988年7月刊行の(ってことは帰国と殆ど同時)文庫本化。解説は南木圭士(作家・内科医)(1057字)
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[ 新書 ]
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友だち地獄―「空気を読む」世代のサバイバル (ちくま新書)
・土井 隆義
【筑摩書房】
発売日: 2008-03
参考価格: 756 円(税込)
販売価格: 756 円(税込)
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・土井 隆義
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カスタマー平均評価: 4
わかりやすい表現であれば テーマは、時代性があって、現代の状況をとらえようとしている試みが感じられ好感があります。
が、内容を読んでみて、読みづらいことこのうえないです。
集めている情報や、分析自体は、読む者に考えさせるとてもいいものだと思います。
しかしながら、文章表現が学術的な感じがして、読む側には労力が要ります。
もう少し易しく表現できるはずではないかと思えるのです。
また、引用がやたら多く、これも読みづらい(やたらカッコが多いので見苦しい)。
なんだかもったいないと思います。
スゲー 著者はかなり高齢の方なのに何故にここまで若者の気持ちがわかるんでしょうか?とにかくスゲーです親にとっては必読でしょうね!
正に烏合の衆 アメリカや中国韓国同様外に敵を作ったり常にネタを作らないと団結出来ない烏合の衆いつ崩壊するか分からない極限の環境の中で人々は生きていますもはや人の笑顔全てが嘘臭く感じますな嗚呼哀しい・・・
戦後教育の犠牲者達 歴史を断絶されひたすら個性自由人権という考えを押し付けられ何の思想も価値観も信仰も信条も無い空っぽの個人として生かさている現代の若者達は只々場の空気を読み付和雷同しているしかない一人になっても大丈夫と言う『支え』がないのですから
リアル過ぎる 著者の方若者の心情をよくわかってますね親は読むべきです絶対そうすれば子供達の抱えている苦悩が分かりますよ
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[ 新書 ]
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安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方 (中公新書)
・山岸 俊男
【中央公論新社】
発売日: 1999-06
参考価格: 798 円(税込)
販売価格: 798 円(税込)
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・山岸 俊男
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カスタマー平均評価: 4
糸井さんがオススメしていたので 糸井重里さんがインターネット的って本で紹介していたので読みました。
ちょっと難しいかなと思っていたのですが、意外にさらりと読める内容で、
特に、男女の差については、本質的な部分をついていて、30代でまだ未婚の自分には、
考えさせられるような。。。
兎に角、日本の心を取り戻すことからやろうかと思いました。
信頼する人は損か?得か? タイトルの『安心社会から信頼社会へ』をみると、一般論を重ねたビジ
ネス書の類のようにも見えるかもしれないが、本書は人々が取り結ぶ関
係性のパターン(構造)から(集団主義や個人主義のような)個人の行
動を説明しようとする学術的な試みである(後半の記述からすると、
一方的に説明されるのみならず、相互強化する関係であるらしい)。
社会的な不確実性の存在を縮減する仕組みとして、2つのやり方が提示さ
れる。ひとつめは、よくわからない人とは付き合わず、特定の信用でき
る相手とだけ付き合うというものである。もうひとつが、相手を見極め
る眼を磨いて、信用に足ると見定めて付き合う相手を決める方法である。
もちろんそれぞれに短所があって、前者は特定の相手とだけのつながり
になるので、もっと自分に利益をもたらしてくれる相手とのつながりが
犠牲になっているかもしれない。逆に後者では、相手を見極めるための
情報が足らなかったりして、見誤るかもしれない。
筆者は日本社会がもともと前者の方法で社会的な不確実性を縮減させて
いたにもかかわらず、だんだんと短所の部分が大きくなってきてしまっ
たという。これが「安心の崩壊」である。このような中で、不確実性を
縮減するためには、後者の方法へとシフトされなければならない。しか
し、先の短所がつきまとう。そこで筆者は見極めの材料となる情報をオー
プンにする仕組みづくりを提言している。
他者一般への信頼感の高い人/低い人にまつわる一般的なイメージと実
験によって導き出された結果のズレ。あるいは、2つの社会的知性とそれ
ぞれが適応的な社会環境(見ず知らずの人と関係が広がっていく可能性
の多寡による違い)との関連。上記までの内容を論証する際にこのような
点にも触れている。実験の対象者がほぼ学生に限られている点は実験の性
質上しょうがないことなのだろうが、実験結果を一般化して述べることが
本当にできるのか少し疑問が残るところもあった。ただ、そのような反論
が枝葉末節に思えるほど、説得力があった。
あと、2章で文化を「心の性質」としてとらえる見方と「社会のしくみの性
質」としてとらえる見方の違いについて述べている。例えば、日本人の集
団主義的と言われるような行動パターンを説明する際には、前者なら日本
人の心的側面に集団を志向するような性質を見出し、そこから説明するこ
とになる。それが、後者では、集団志向の行動パターンを誘引する相互監
視の仕組みがあるからだということになる。筆者は後者の立場にたってお
り、また社会科学の主流も後者だろう。よく「日本人は?だから」という
ような言説を目にするが、その多くが「心の性質」として語っていると筆
者は指摘する。本書の内容から少し離れた部分だが、社会科学的な発想を
学ぶ上では役に立ちそうだ。
安心VS信頼、ではないのでは? 山岸俊男さんの問題意識は、糸井重里氏との対談にあるように、米国の最新研究の成果をもって帰国して発表したら、日本の学会で無視された、という体験を踏まえて「日本の社会は(同質なもの同士で)安心していて、(異質なものの中から選別して)信頼していく力量に欠けている」というものですが、結論として、「日本社会は安心に安住してはいけないのであり、信頼社会に転換せよ」というメッセージには大いに違和感がありました。憤りはわかりますが、その問題の本質は、「自分の地位や利益を守るために学問的成果、理論的な正しさを無視しようとする集団エゴイズム」が学会に巣くっているという不満であり「安心」が悪いのではないと思うのです。問題は「安心VS信頼」ではなく「エゴイズムVS学問的成果を認める公共心」ではないかと思います。
ダニエルゴールマンの「SQ」を見るまでもなく、人間は、家庭内の安心という中で、他人への信頼や社会への適応力が育つ。職場も全く同じであり、安心してこそ、仕事に専念し成長を目指すことができるものです。それは心理学理論と実験成果でも明らかな事実です。
それなのに、山岸理論は、安心の構造を破壊することで、自立した個人としての「信頼の構造」ができると説く。これは危険で間違ったメッセージであると思います。ヘーゲルが、近代国家と自由な個人である国民の間に、企業などの中間組織・共同体があるべきであり、それなくしては、個人は孤独な疎外された存在となると警告しているように、山岸先生などのように「近代的個人」「自立した個人」を、理想化し夢想することは、企業や家庭などの共同体を破壊し現代人の疎外を深刻化させてしまうように思えてなりません。正しくは、家庭や企業や学会などの組織が「集団エゴイズム」に陥るのではなく、常に「公共的な使命」を追求することを忘れない、ことではないかと思うのですが…
ふとしたキッカケで変わる何か 爆笑問題と著者が対談(?)している番組をたまたま目にし、
その時に本書を知りました。
本で紹介されている実験の多くは
番組内で実際に爆笑問題の2人が参加していました。
本の多くは実験の説明・考察・専門的見解で、
心理学的要素と テレビで見たときに著者の研究に感じた斬新さ
を求めた私にとっては、少々拍子抜けの本でした。
パソコンを買い換える時、
メーカーを前と同じものにしようと思ったり
家族が一番"信用"できると思ったり…。
自分や自分の周りを見渡すと、
「安心社会」に安住している人が
たくさんいると気づき、ハッとします。
自分や社会を大きく変えるというより、
ちょっと違う視点を持つキッカケにできたら
本に出会った価値は充分あると思います。
”和”の正体とは!? 「日本人はお互いを信頼し合う”和”を大切にしてきたはず。昨今の不安な社会情勢は各人の心の乱れだ」と誰もが頷いてしまいそうなステレオタイプに対し、著者は「それは心過剰の文化理解にすぎない。社会的環境の変化に伴う人の行動誘因が変わったのであり当然の流れではないだろうか」と鋭く切り込んでいます。
つまり、固定集団内のみの”監視+安心”社会から、流動的集団における”不確実性+信頼”社会への移行時期であり、個々人が自分で考え、判断し、行動する創造的社会適用が大切である。そしてベースとして謂わば判断材料となる情報の透明性、開示がとても重要であると結論付けています。
本書は著者等による社会心理学の研究成果に基づいて議論されています。
調査・実験結果からの一般論への展開には尚早感はありますが、この点は著者も「更なる検討が必要」と認めています。人相手の社会心理学では観測により被験者自体が影響を受けてしまう一種の”不確定性原理”は宿命なのでしょう。
出版から8年程経っているのでその後の進展を追ってみようという気にさせてくれます。
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[ 文庫 ]
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文明の生態史観 (中公文庫)
・梅棹 忠夫
【中央公論社】
発売日: 1998-01
参考価格: 780 円(税込)
販売価格: 780 円(税込)
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・梅棹 忠夫
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カスタマー平均評価: 4.5
『文明の生態史観』の素晴らしさ 梅棹忠夫氏の『文明の生態史観』と初めて出会ったときの衝撃はものすごいものがありました。世界の歴史の発展過程の法則といいますか、その仕組みがものの見事に解明してあり、まるで手品の種を見せられたような鮮やかさを感じたものです。最初に『中央公論』誌上に発表されたのが1957年2月ですので、すでに半世紀以上過ぎたことになります。
その中でも、「東南アジアの旅から‐文明の生態史観・つづき」に記載されている有名な図は、今見ても実に魅力的です。真ん中に乾燥地帯をおき、その隣にI. 中国世界、II.インド世界、III. ロシア世界、IV. 地中海・イスラーム世界をおき、その周辺に日本と西ヨーロッパを対比して置いています。そして東ヨーロッパと対角線に東南アジアを置くという実にシンプルな構図の提示がいかに新鮮に映ったことか。日本や西ヨーロッパにおいて存在した封建制のあり方と共に、その高度な文明の成熟度合いを見事に表した図だと思います。簡単な図式で文明の歴史が説明できる、とまでは梅棹氏も断言していませんが、近代化とその後の発展過程を見るにつけ、分かりやすく捉えやすい図式としては最高のものだと思っています。
20世紀に書かれた本から心に残る本、後世に残したい本のアンケート調査で、司馬遼太郎『坂の上の雲』、西田幾多郎の『善の研究』、夏目漱石『我輩は猫である』についで、本書が第4位に入ったそうです。それほど普遍的な内容を持った論考であったわけで、歴史の捉え方が50年以上支持されることに原著の魅力のほどが理解できると思います。
ユーラシア諸文明のなかの新しい日本観を築いた古典 本書は1950-1960年代に著者がアジア諸国を調査・旅行した経験を踏まえて、ユーラシア大陸における諸文明の見取り図を実証的・生態的に描いたものだ。著者は世界における日本の位置付けを熟考し、東洋・西洋という慣習的区分を乗りこえ、ユーラシア大陸を高度な近代産業文明の段階に達した第一地域、およびそうでない第二地域とに区分する。そして、日本をユーラシア東側における唯一の第一地域として、ユーラシア西側の西欧諸国と並行的に進化してきたのだという。第一地域はその特徴として、封建制の存在と早い時期からの市場経済の発達があげられ、第二地域はその特徴として、古くから文明が栄えて専制的帝国を築いたが、封建制を発達させることなく、絶えず遊牧民による破壊的圧力にさらされ続けたことがあげられる。
私自身の海外旅行の体験からいっても、例えば中国人とアラブ人の行動様式に多くの共通性があること、日本人と西欧人とに共通する資本主義・市場経済への適応度の高さ等、本書に納得できることは多い。また本書の図式によれば、日本人と中国人の文化的差異が、西欧人とアラブ人の違いに匹敵するほど大きいことになるが、これもよく納得できる。ただ、壮大な理論としては当然かも知れないが、複雑な世界をあまりに単純化していることや、日本人としての著者のプライドなのか、日本を過大評価する傾向が少々感じられる。しかしながら、本書は欧米先進国との比較ばかりだったそれ以前の日本論と違い、ユーラシア諸文明の中の日本文明という新しい視点を切り開いたことで、発表当時から大きな反響を呼んだことを納得することができた。
「東洋=西洋」を崩した、新しい文明観 単純な、「東洋=西洋」の文明観を否定し、筆者は間に「中洋」を設ける。
さらに、「西ヨーロッパ」と「日本」をそれぞれ1ブロックとして扱い、それを第1地域、残りを第2地域とする。
筆者の言うように、アジア地域よりも西ヨーロッパに、日本は多くの共通点を見出せる。
とりあえず、楕円で書かれたユーラシア大陸の区分図はすごいと思った。
左右の端っこに西ヨーロッパと日本、大陸を斜めに乾燥地帯が走って、中国、インド、ロシア、中東・地中海、の4ブロックに真中を分ける。
その後筆者は東南アジアと東ヨーロッパを導入するが、地図帳を見てみて、その正確な区分に驚いた。
本書は短編集のような構成で、軽く読めます。
生態史観以外にも、アジアの面白い風習や文化などもいろいろと書かれていて、そうしたところも楽しめる本です。
未来を支える名論文 固体とその発生地の環境条件との相互作用を考察する生態学的方法論をもとに、地球上の文明の比較がされていました。
地理的・時間的に広範に物事を見る想像力、事象を分析するための綿密な方法論、複数の学問領域を越える学際的研究など内容以外にも多いに学ぶことが多い好著です。本書には筆者の各種論文・公演が整理されているので、筆者の生態史観そのものの変遷(Succession)が見えます。
筆者の意図ではないにしろ、ダーウィンの「進化」論が西欧文明中心主義者を支えたように、生態学をもとにした筆者の文明の「変遷」論は今後の多極主義者の支えになる歴史的な意味をもつ論文なのではないでしょうか。
大物のアプローチ 東洋と西洋という区分による、(旧大陸についての)常識的な世界像を覆すような試論です。著者はこの区分の変わりに、第一地域(=西ヨーロッパおよび日本)、第二地域(=その他の地域)という大胆な区分を提唱しています。著者のこうした括りの根底にあるのは、現在(1957年)で、高度な文明を持つのは西ヨーロッパと日本しかないという事実への認識です。これをベースに、ではなぜ第二地域では高度の文明が未発達なのか?第一地域と第二地域の根本的な差異は何なのか?いうことを、封建制が発達していたかどうかなどの社会構造の違いや、地域環境的条件の違いなどに求めていくわけです。アウトラインでしかないと著者も認めているとおり、弱い具体例から主観論で筆を滑らせがちですが、当時相当議論を巻き起こしたそうで、斬新な世界像だったことが伺われます。著者のこうした世界区別の妥当性については口を挟める分際ではないですが、一読して明らかなように、対象に対するアプローチの仕方が一般の学者とは違ってかなり大胆なように思いました。さまざまな資料はあくまで従で、まずは自分のあたまでモデルを構築し、それを主としているような感じです。また補助線の引き方によって世界などいろんな見方ができるものだなといまさらながら再認識させてくれるような本でした。単に内容だけでなく、その対象への迫り方などについてもいろいろと参考になる本なのではないかと思います(ついでですが、ひらがなが多く中学生でも抵抗なく読めるかも)。
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[ 新書 ]
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社会学入門―人間と社会の未来 (岩波新書)
・見田 宗介
【岩波書店】
発売日: 2006-04
参考価格: 819 円(税込)
販売価格: 819 円(税込)
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・見田 宗介
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カスタマー平均評価: 4.5
どこからでも読めますね 第六章「人間と社会の未来」?名づけられない革命―のところが、いちばん面白かったですね。
ここで、著者は、ロジスティック曲線といわれる有名なS字曲線をもちいて、人間発生以来
の世界人口の変化を考察しています。オランダのベルハルストが発見し、マルサスも使った曲
線ですね。
著者によれば、1970年頃をS字の「変曲点」として、世界は、新しい局面に移行した、といわれて
います。
さらに、人類は、原始社会、文明社会、近代社会、現代社会を経て、未来社会へと移行する
のだが、この5段階にみられるそれぞれの特性は,継起的なものなのではなく、「重層的」
なものであって、この5層は現代を規定するのである、と。
このあたりが一番おもしろいところ、と思われました。
見田式社会学入門 大学時代に一般教科で社会学をかじっただけ(しかもサボり気味)だったが、
社会人になってから社会学に興味を持ち、何気なく手に取った最初の一冊。
大学教授の本ということで安心感もあった。
前半部分はほとんど社会学の知識はゼロに等しい私でも問題なく読めた。
学問するというよりは、詩的な文章で美しく語られる文学と思って良い。
特に「おまけ」的につけられたコモリン岬についてのコラムは単純に感動した。
後半は社会学についていよいよ作者の持論が語られて行くが、
これは社会学について多少の背景知識があったほうが読みやすいように思う。
読んだ感想としては、今までは社会学とは何を学問するものなのかぼんやりしていたが
ある程度の「核」を見ることができたし、より社会学についての興味を持てるようになった。
これから社会学を始める人にぜひお勧めしたい。
他分野に興味のある人にもお薦めな1冊 今更ながら、ふと図書館で借りて読んだ1冊。大学時代に経済学を学んだ身だが、今の風潮を体で感じているとなにか経済学的なセンス・思考・行動形態が人間を不幸にしている面も見えてきて、社会学関連の著書を読み始めていたところ、この新書に手が届いた。
この本は社会学の問題群を網羅した概説書ではなく、著者自身が社会学による「身のこなし方」を実践してみせてくれている体のものだ。内容的には他のレビュアーさんたちが解説してくれている通りで、読む人一人一人にとって、きっと多様な感慨を与えてくれるだろう。平易に書かれているようで、その筆致には深い洞察・研究の積み重ねが裏打ちされている。読み終わった後に、なにか元気が出るというか、別にポジティヴな事ばかりが書いているわけではないのに、読後は爽やかな気持ちになる。著者自身の魅力によるところが大きいのだと思う。
この著書は社会学専攻の方はもちろん、他分野に興味を持っている人たちにも興味深い1冊なのでは。序論でも訴えているように、社会学は結果として越境せざるを得ない領域であることが強みになっているのだから。今こそ社会学の方法論は有効性を持つのではないかな、という気がする。
教科書のようなものを想像していたが… 教科書のようなものを想像して手に取ったが、全く違った。本書では体系的な
議論は、なされていない。むしろ、もっと漠然とした問題設定がある。
本書では、社会学は人と人との関係を研究する学問だとされている。また、社
会の態様をゲゼルシャフトとゲマインシャフトの水平軸と意思の有無の垂直軸
の組み合わせから、4つに分類している。
本書全体を通して、社会における人間関係が現代社会においてどうなっている
か、近代社会ではどうなっていたか、近代以前はどうだったか、そして今後は
どうあるべきかということが模索されている。全体的にヒューマニズムに満ち
ており、暖かさのあふれた本だともいえる。個人的には、補章が一番おもしろ
かった。
魂の自由を相互に解き放つ社会を構想する社会学 本書は、前著『現代社会の理論』の続編と位置づけられます。新たに、現代社会の「内部問題」が語られ、吉本隆明の言う「関係の絶対性」の克服を認識した上で「交響体・の・連合体」という社会構想が提示されています。「新しい一千年記が、静かな歓びに充ちた幾世紀であるために」という著者の意図に相応しい社会学理論だと思いました。豊富な内容を以下にエイッとまとめてみました。
社会学は、「自明性の罠」から開放されて「想像力の翼」を獲得することを身上とする「越境する知」であり、世界の文化の古層に存在する「潜在態と顕在態」という世界の感じ方を理解する必要がある。
近代社会には「個性化の競合の帰結する没個性化」という逆説的な現象が出現している。現代社会には「情報化/消費化社会」という新たな構造が重層化されたが、限界問題としての「外部問題」(人口、資源、環境など)に加えて、「愛の変容/自我の変容」という感覚変容現象に由来する「内部問題」が立ち現れている。現代世界の困難な課題(2001年の同時多発テロに象徴される)は、「関係の絶対性」を強いる構造を解体し転向する思想が確立されぬ限り「自由な社会」の生き続ける道はないことを露にした。
名づけられない革命が進行している。それは、生産の自己目的化を転回して「享受することの幸福」の本原性を復位する「消費化革命」と、マス・メディアの一方向性を転回して「交信」のテクノロジーを用意する「情報化革命」により見はるかされる。初めに〈魂の自由〉を相互に解き放つような社会の形式を、どのように構想することができるかという問いが立てられ、すると他者の原的な両義性(他者は歓びと災いの源泉)に対応する二正面闘争が立ち現れるが、個人の同質性ではなく異質性をこそ積極的に享受する〈交響体・の・連合体〉という社会の構想とそこに至る思考プロセスは、その問いに答える構想を起動し展開する基軸のダイナミズムとしてありつづける。
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[ 文庫 ]
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自由論 (岩波文庫)
・J.S. ミル
【岩波書店】
発売日: 1971-01
参考価格: 735 円(税込)
販売価格: 735 円(税込)
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・J.S. ミル ・John Stuart Mill
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カスタマー平均評価: 5
自由とは好き勝手に自分のしたいことをできることではない。 この本の中で、ミルは、意志の自由についてではなくて、市民的・社会的自由について論じている。要するに、社会が個人に対して正当に行使し得る権力の本質と諸限界とについてである。
いかなる個人も、自分の生存を価値あるものとするためには、法律、もしくはそれが適しない事項に関しては世論によって、他人の行為に制限を加えることに依存している。そのため、必然的に、「社会による統制」と「個人の独立」との間の調整はどうするべきか、すなわち個人の自由への社会による統制や強制が、何のために、どのような場合にどのような形で、そしてどの程度まで容認されうるのか、またその限界はどこにあるのか、という問題が生ずる。
ミルは、社会による個人の独立への制限や強制を正当化するための単純な原理として、「危害の原理」を提示している。「危害の原理」とは、他者に危害を与えない限りにおいては、従って、彼自身に関係する事柄に関しては、個人は自由に各人の為したいことを為すことができるべきであるということである。そしてそれを根拠付けるのは、各人の自己防衛への欲求である。
ミルはさらに続けて、個人自身に関わりのある行動の範囲こそが、自由の固有の領域であるということを述べている。自由の固有の領域は、三つあり、第一には、意識という内面的領域である。良心の自由、思想および感情の自由、またそれと同じ原理のもとにある意見を発表し出版する自由などである。第二に、嗜好および目的追求の自由が挙げられる。すなわち、自分自身の性格に適合するように生活計画を設計し、その結果を引き受ける限り、自分の好きなように行動する自由である。そして、第三に挙げられているのが、各個人がこの自由から同じ制限の中で相互に団結する自由である。
そして、以上のような自由が絶対無条件に保障されていないところは、完全に自由な社会ではないのである。そして、ミルは 自由を以下のように定義している。
“自由の名に値する唯一の自由は、われわれが他人の幸福(good)を奪い取ろうとせず、また幸福(good)を得ようとする他人の努力を阻害しようとしないかぎり、われわれは自分自身の幸福(good)を自分自身の方法において追求する自由である。”
今こそ読まれるべき自由論 例えば日本国憲法が語る「公共の福祉」って、ほかの皆さんを慮って社会のことを
まず第一に考えて暮らしていきましょうね、なんて話じゃなくて、自由な人間と自由な人間の
権利が衝突したときに、あるいはしそうなときに限り調整を図っていきます、っていうこと
なんだよな、とこの本を読み返しながら、久しぶりに思い出した。素で忘れかけていた。
ミルのことばには150年のタイムラグを忘れて引き込まれてしまう、それほどまでに熱く真摯。
とりわけ満たされた多様な生のため、すべての自由の前提としての言論の自由を力説する
箇所の説得力たるや、圧巻の一言。
冒頭において提示されるこの本の主題、すなわち「社会が個人に対して正当に行使し得る
権力の本質と諸限界」などというのは、まさに彼自身が語る通り、人類の歴史と同じだけの
長さを持たざるを得ない課題のひとつ。
むしろ種々のテクニックの発達で、コントロールがかけやすくなった監視社会、管理社会の
今日だからこそ、ミルの慧眼はなおいっそうのリアリティーを帯びているとさえ言える。
無論、今日の自由論とて、ミルの下支えに与らぬものはいない。
必読の一冊。
自由への提言 内容については、いわずもがなでしょう。近代の倫理、即ち功利主義について書かれた不朽の名作である。
しかし、21世紀の普通の日本人にとっては、翻訳の日本語が中々理解し
にくいのではないでしょうか。翻訳とは、訳者の解釈なので、できれば原
典にあたることが望ましいといえます。他のレビューにも訳文についての
意見がありますが、当を得ていると思います。
因みに・・・
著者の倫理思想については序文で説明されています。本編は、その思想を
下に自由についての理論的な主張がなされています。
「イケてる社会ってどんなの?」と考える全ての人へ 現代倫理学の基軸である、功利主義的自由主義の古典。
「他人に迷惑をかけない限り何をしてもよい」
そんな社会がイケてるんだ! とミルは言う。
ロールズ理論をはじめ、現代の政治理論や倫理学の多くが
功利主義的自由主義に対する批判から生まれてきている以上、
「イケてる社会って何やろか?」と考える人はこの本から
はじめるべきでしょう。
自由とは、個人に幸福をもたらす条件を整える根本概念である 通読。この本だけではないが、およそ150年前の欧州では自由というものについて考察され、価値を認められていた理由はなんだろうか。ミルもその点について簡単に記載している。貴族や市民の責任免除や王権に対する制限といった自由から、個人の自由の概念が拡張されていったとはいうものの、それがなぜかについては書いていない。
再読。この本の主題は内面的自由ではなく社会的自由である。
ミルは、自由に関して三つの原理を呈示している。言論の自由、個性の自由、個と他との関係における自由の制限、がそれである。言論の自由は自由の最も根源的な条件であり、個性の自由は換言すれば多様性の容認であり自由の根源それ自体に関わるものであり、個と他との関係における自由の制限は他に対する行為の有害性だけが唯一の根拠である時にだけ許されるものである、と言っている。これ等の原理の妥当性を説明する事例がいくつか挙げられていて、それらは類推すれば現代でも十二分に通用する。
自由とは、個人に幸福をもたらす条件を整える根本概念であり、個人及び社会の能力を向上させる最大の手段でもある、と読み取れました。混迷する現代社会に共有できる思想の原理として、思い起こされて然るべき古典だと思います。
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[ 文庫 ]
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希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く (ちくま文庫)
・山田 昌弘
【筑摩書房】
発売日: 2007-03
参考価格: 714 円(税込)
販売価格: 714 円(税込)
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・山田 昌弘
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カスタマー平均評価: 4
刺激を受ける本であります このところこのネタで立て続けにtvドキュやニュースの特集を見る機会があったので、改めて構造的な部分を知っておこうと読んでみた。
なかでもいちばん「ずん」と来たのは
職につけないということが、アイデンティティを持てないと言う意味だという指摘である。
70年代などはむしろ、職業によってアイデンティティをからめとられることを嫌う風潮があったように思う。イデオロギーや宗教的理念のようなもののほうが上回り、単なるサラリーの手段としての職業などにアイデンティティを求めることの方が「ヤボ」な雰囲気があったのではないかしら(それを肯定しようとは思わないけれど)。
しかし結局、社会的生活を送る上での職業、自らを社会的存在と位置づける原点となるのが職業的意識とそれにともなうアイデンティティなのだろうな。それがないと常に社会から遊離した状態になってしまう。そういう「落ち着かない」人間に社会的?(「?」には倫理とか正義とか責任とかが入る)を求めることが無理なんだろうな。
さらに教育、家族といった視点からもこれらの遊離状況が分析されている。読みがいのある本であるとともに、参考文献がヤマと紹介されていて、学習意欲を思わずそそられてしまった。お正月休みは読書三昧!!
統計・経済・家族 格差社会についてブームを巻き起こした書物です。
著者も本書が原因となって、恋愛格差や健康格差、教育格差
の本が出版されたことを文庫版あとがき(292ページ)
で認めています。
かなり豊富なデータ用いており、あまり言及はされませんが
そもそも、日本が豊かだった時代など、短期間にすぎない
と論証したところは見事でしょう。年功序列や終身雇用も
そう長い歴史をもっているわけではないことを木本氏の意見を
批判しつつのべています。ただ自殺原因について依然として
統計では健康問題(不治の病)が自殺原因のトップであるにも
かかわらず、自殺増を2位以下の理由をもって表示するのは・・。
P180の年齢別自殺者数の統計では平成15年の警視庁の
統計を用いているのですが
なんと小さな注に
90年と比べ「伸び率の上位2項目だけ」をだけを抜粋と
かかれているのです。
これって相当統計にくわしく注視している人以外は絶対見逃すでしょう・・・。
かつてケインズ経済学を用い目のさめるような統計の用い方で
脚光を浴びてきた著者ですがこういうトリックを使うようでは・・。
といっても別の意味でも学ぶべきところの多い1冊ではありますが。
所得格差ではなく希望格差に注目した点が斬新 今、流行の格差社会の論法は、
小泉内閣の構造改革・規制緩和の推進
↓
セーフティネットの崩壊、自由競争激化
↓
勝ち組・負け組の二極化
↓
格差社会
というものだが、この著者は展開はまったく違う。
社会構造の変化、時代の変化に伴い、
いい大学→いい企業→終身雇用・年功序列
という予測可能な人生パターンが崩壊しつつあり、
先行きが予測できない社会になってしまった。
↓
職業の不安定化/家族関係の不安定化(離婚増など)/教育の不安定化
↓
将来の人生がどうなるかわからないリスク化社会
↓
年金がもらえるかもわからない、
一生この企業に勤められるかもわからない、
一生懸命勉強していい大学に入っても
社会人になって安定した生活を送れるかもわからない
↓
希望喪失、目先の生活に追われる若者の出現
↓
希望に格差が生まれる
↓
収入にも格差が生まれる場合もある
非常に説得力のある内容です。
袋小路・・・ 昨今の社会論評の書籍を読むたびに、ガッカリさせられるが、本書も正直なところ期待以上のものではなかった。
「人文科学」や「社会科学」はこの程度の内容で評価を得られるのか、
と最近は諦観の境地であるが、だとすれば私自身の認識(期待)の方を修正せねばなるまい。
優秀なレビューアーが正鵠を射ているので反復を避けたいが、
ニューエコノミーを背景にした個人的な「希望」の喪失感に
著者が社会格差の原因を求めているのだとすれば、視野狭窄であると言わざるを得ない。
個人的には「希望格差社会」論は、誤認であると言いたいところだが、
百歩譲っても展開性の乏しい仮説であって、出口は別の場所にあるのではなかろうか。
著者の社会分析には確かにうなずける部分もある。
しかし、複数のレビューに「学者の管見である」との声がある以上、
今以上にフィールドワークを広げる必要があるのではないか。
少なくとも著者が政府(国家)の政策決定に関与しているのならば、
ミスリードによって「亡国の士」と誹られることを覚悟しなくてはならない。
立場のある人が言いたいことを言うが、肝心なところで責任を取らない、
という社会的な体質こそが、社会閉塞感の根源であるのでは無かろうか、という私見を申し添えておきたい。
つぶやきもむなしく・・・ 日本の現実をまざまざと見せつけられた気がしました。
しかも実際に「予備軍」が私の身の回りにあふれていることに気づき、
さらにおそろしくなりました。
著者が客観的に示すデータが夢のない話のように思えて、心の中で何度も「そんなはずはない!」と苛立ったりもしました。
でもこれがやはり現実なんだと思います。
だからその現実をきっちり受け止めた上で、自分なりの夢を追いかけたいと思いました。
少なくも私の知るプー太郎には一刻も早く、それを伝えたいと思います。
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[ 新書 ]
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草食系男子「お嬢マン」が日本を変える (講談社プラスアルファ新書)
・牛窪 恵
【講談社】
発売日: 2008-11-21
参考価格: 880 円(税込)
販売価格: 880 円(税込)
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・牛窪 恵
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カスタマー平均評価: 4
男は変わった。女はどうだ? 今どきの若い女性からは「価値観が合いそう」、バブル世代の筆者からも「素直なイイ子」と好評な、オンナ化する男子「お嬢マン」。「男は妻子を養うべき」といった意識がないお嬢マンは、同世代の女性たちにも「奢られたりエスコートされて、ヘンな借りを作るのはイヤ。最初からワリカンのほうが気がラク」と受け入れられているようです。
が、そんな彼女たちも、お嬢マンがプロポーズしない(できない)ことには困り果てているようで、なんとかプロポーズさせようと躍起になっています。そのあたりに、「(恋愛で)男は女をリードするもの」という性役割から解放されているお嬢マンと、あくまでプロポーズは男のタスクだと思っている女性との意識の差がみられます。
第五章に「日本が忘れかけた職人芸や第一次産業の意義(中略)、その新たな価値を見出すことまで、お嬢マンがやってのけてくれるかも」とありますが、この部分は著者の希望的観測にすぎないのでは。なのでお嬢マンが「日本を救う救世主になり得る存在」だとは思えませんし、読後に「今日から変わろう。草食系男子・お嬢マンの発想に」という気にもなりませんでした。
むしろ第二章の「このままコクらない男子が増え続ければ、ますます未婚化・晩婚化が進行する可能性が高い」が正解では?
最後に「お嬢マンという生き方は、格差社会で男性間に広がる格差を埋めるための『平等力』だ」は指摘していますが、恋愛・結婚における男女間の不平等?男性に負担が大きい片務的な関係?を修正するためにも「お嬢マン」は有効であると思います。
息子がわかった 前髪にピン止めをして歩き、ケーキに目がない息子。これ普通?大丈夫か?悩める母はこの本を読んで納得。いまどきの男子はこんなのが増えてきたんだって思ったら、なんか少しほっとした。なんでも、昔だったら・・・と考えないようにするきっかけになりました。面白かったです。
フェルメールは草食系がお好き? 江戸川乱歩の短編に『算盤が恋を語る話』というのがある。日本の大正時代や昭和の初めころの草食系の男が、いかにしてOLの女に恋をうちあけるのかがわかる。草食系の男なんて昔からいた。今はやりだとは思わない。むしろ、今はやりなのは、こういう草食系の男たちを冷ややかに見る女の側の態度の変化である。そこで、江戸川乱歩の話もよいが、昔を知りたかったら、しかも外国の事情に興味があるなら、「宇宙に開かれた光の劇場」上野和男・著という本をお薦めしたい。ここでは17世紀・オランダが生んだ画家・フェルメールについて語っている。その絵、「紳士とワインを飲む女」に描かれた美青年。彼こそ一見すると草食系であり、日本の今風の男なのである。
深層心理が知りたかった いるいる、こんな20代男子。
スペックは小柄で細め、ぴっちりした服を着て、ビールは飲まず、
彼女がいなくても気にならない、おっとりした草食動物のような男子。
彼らの生態がインタビューに基づいて描かれているのだが、
著者が彼らの深層心理をいまいちつかみきれていないのか、
表面的なものにとどまっている気も
(腹を割らないのも、彼らの特徴なのか?)。
それに、彼らをターゲットにした商品を開発すれば売れるという
明るい展望が書かれているが、この草食化=男性性の喪失という現象は、
生物学的はいいこととは思えないのだが。そのへんも知りたかった。
新時代のオトコに迫る! 男なのに「乙女」!?
争いを好まず、スイーツ大好き、キレイ系の10代&20代男子の実像に迫った一冊!
やや極端な話題の展開だけど、こういう「オトメ系男子」確かに僕の周りにも増えてます・・・
現代の「オトコゴゴロ」をちょっと勉強してみませんか!?
「婚活」時代の女性にオススメです☆
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[ 新書 ]
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貧困の克服―アジア発展の鍵は何か (集英社新書)
・アマルティア セン
【集英社】
発売日: 2002-01
参考価格: 672 円(税込)
販売価格: 672 円(税込)
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・アマルティア セン ・Amartya Sen
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カスタマー平均評価: 4.5
民主主義の重要性。 ノーベル経済学賞を受賞した、
アルマルティア・セン氏の講演をまとめたもので、
民主主義の重要性を中心に展開されています。
読み手(私)の問題なのかも知れませんが、
読んでみて、
「へぇ。そうなんだ」
という感想しかありませんでした。
文章自体は講演を基にしているので、
読みやすいです。
ただ、話が重なっている部分があるので、
残念でした。
かなり評価が高いようですが、
教養のある人には驚くべきような内容なのかも知れませんが、
私個人としては、驚くべき箇所がわからなかったです。
この本の良さがわかるように、
努力しないといけないかもしれませんね。
評価としては星3つとさせていただきました。
心が洗われる思いの講演集 これはノーベル経済学賞を受賞した学者であるアマルティア・セン氏の講演集である。経済学者にしては述べていることが哲学的であるなあ、と思っていたら、後でこの本の訳者が解説してくれるには、セン氏は経済学と哲学の橋渡しを目指しているのだそうだ。ちなみに、この訳者の大石りら氏の訳と巻末のセン氏についての解説が真に適切で、セン氏の思想をよく理解しているからこその名訳だったのだなと感心した。
自分自身の思い込み或いは傲慢をいましめてくれたのは、セン氏の言う、民主主義の普遍性である。リー政権下のシンガポールの発展をして、発展途上国においては権威主義的体制国家のほうが経済発展に寄与する、との考えは常に為政者からの発言であり、一般庶民のそれではない、とセン氏はボツワナの事例を挙げて反論する。そのことは、別の言葉で言うと、民主主義、或いは社会の透明性に欠ける社会においては、10%の経済減速が及ぼすことの重大さは、国民一人ひとりが10%づつの負担をするということではなく、困窮にあえぐのは低収入の人々で、一部の富のある人たちにはほとんど影響はない、という事例でわかりやすく知らしめててくれる。
飢饉は食糧不足が原因ではない、巷の情報を隠したり、批判勢力を抑圧するという民主主義の欠如(独裁政治)が引き起こすのである、という説明には目からうろこが落ちる思いであった。
セン氏は更にアジアに対する一部西洋社会の人々による、民主主義或いは寛容性に対する誤った見方について、アショーカ大王の宗教に対する慣用性を引き合いに出して正している、中世の西洋におけるキリスト教異端者裁判のようなものはアジアにはなかった、という考察である。
経済学者だから何ほどの難しいことを言うのだろうかと思っていたが、真にわかりやすい語り口で、こういうものを読むことによって心の安らぎを得ることができたのはなによりであった。
当たりさわりなし 発展とは何かについての講演録。
<「発展とは、GNP成長、所得や富、また財を生産したり、資本を蓄積したりする以上のことを意味している。ある人が高収入を得ていることは、彼の人生における選択の一つであるかもしれないが、それは人間の生の営みすべてをあらわしているとはいえない」[…]「発展のプロセスは、人々に対して、個人的にも集団的にも、その資質を完全に開花させることを可能にして、また同時に、そのニーズや利害に応じた生産的かつ創造的生活を営むことができるような政策環境を創り出さねばならない。人間的発展はしたがって、人間の潜在能力を形成するだけではなく、これらの潜在能力をいかに活用し、発揮させるかということにも関わっている」>(p. 170、「解説」中の訳者による引用)
ということ。なんだかいろいろ書いてあるが、本書のタイトルになっている「アジア発展の鍵」とは、要するにそういう政策環境のことである。当たり前のことである。
ということで当たり前のことを当たりさわりなく述べているだけの、当たりとはいえない一冊。新書と比べるのもなんだが、『セイヴィング・キャピタリズム』のなんかの方がよほど中身のある議論を展開している。
非常に分かりやすい 貧困の克服は非常に分かりやすいです。
重要な要素が簡潔にまとめられています。
いくつかの考察は、今でも意義が薄れていないです。
学部の人だけではなく、普通の人も一読をお勧めします。
世界で最も重要な問題 本書は、「貧困」という最も恐ろしい問題に対する優れた分析と、発展のために何
が必要かが述べられている。
内容については他のレビューに詳しいですが、更に付け加えるならば、本書は貧困
と発展の問題の考察を通じて、人間に最も必要なこととは何か、を教えてくれるこ
とです。
実践的というよりは理論的内容になっています。なので、2006年度ノーベル平
和賞を受賞されたムハマド・ユヌス「ムハマド・ユヌス自伝」をも合わせて読まれ
ることをお勧めします。ここには、グラミン銀行を通じた、貧困撲滅のための「実
践」が述べられているので、センの言う理論の現実が見えてくると思います――両
者は必ずしも矛盾するものではありません。
もう一つ……本書はアジアにおける貧困と発展の問題を述べていますが、それは、
決してアジアに限られることではありません。ですから、本書では普遍的な価値を
有する議論がなされています。
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[ 新書 ]
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コールドリーディング?ニセ占い師に学ぶ! 信頼させる「話し方」の技術 (FOREST MINI BOOK)
・石井 裕之
【フォレスト出版】
発売日: 2008-07-05
参考価格: 1,050 円(税込)
販売価格: 1,050 円(税込)
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・石井 裕之
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カスタマー平均評価: 3
だまされた経験が必要だと言うから 私はこの本を2冊も持っています。
買わなきゃならない事情がありましてね。
いや、でも稀少本ですよ。
帯がこれだけ大きい新書本なんて滅多にありません。
もはやタイトルしか見えませんもの。
中身?
いやーよく学習してきたせいか、
全部前の本と同じように感じます。
驚くようなテクニックではない ニセ占い師の会話トリックを逆手にとって、健全なコミュニケーションに活用するためのテクニックを紹介した本です。
読みやすく、1時間程度で読み終わってしまいます。
書かれていることは、いたってシンプルで、「ストックスピール」「UVS」「RHS」「スイッチバック」などと、テクニック名をつけてはいるもの、驚くようなテクニックではありません。
本文中に紹介されている実例も、少し都合が良すぎるように感じます。
ひとつのテクニックとして、意識して使ってみるのと、それを知らずに実践しているのとでは、効果に差が出てくることは確かでしょうが、散々テクニックを説明した後に、「テクニックではなく、スペシャルなひとりとして相手に接することが重要」という結論に結び付けるのは、いかがなものでしょうか?
それを体験するためのテクニックということであれば、かえってテクニックが邪魔になるのではないかと思いました。
は? この本から何を得るのでしょうか?
よく意味がわかりません。こんなもん誰でも知ってると思うのですが?
あと会話に無理がありすぎます。もし自分がこんな会話されたら確実に「この人なんかたくらんでるな?」ってなると思います。不自然さ丸出しです。
期待はずれ まったくの期待外れ。
全般にストックスピールをベースにいくつかのテクニックを説明したにすぎない。
内容的には類書がいくつもある。
後半に出てくるライトハンドシステムはオリジナルのようだが、
いかんせん本の前半での印象がかなり悪いため、後半を読むころには素直な心では読めない。
本のタイトルにつられて売れているのだろう。
私もつられたひとりだが。
実用に値しないテクニック満載 「信頼させる話し方の技術」「人間関係も思いのまま」との宣伝文句から、
他人にコッソリ好感を与えたり、深層心理をコントロール出来るような裏テク本かと期待し、購入。
しかし、内容はあまり無く、どちらかと言うとタイトルそのまま、
占い師が使うコールドリーディングのテクニックが浅く広く掲載してあるだけの本でした。
普通、自らの深層心理を読まれて、「この人はスゴい!」なんて信頼はしないでしょう。
むしろ不愉快なのでは。
例えば「あなたは自分に厳しい方でしょう」と問えばYESと答えようとNOと答えようと
「やはりあなたは自分に厳しい」と言うことは出来る。
確かにコールドリーディングの基本テクですが、こんなこと同僚にやって信頼されるんでしょうか。
他にも、占い師か詐欺師でなければ使い道の無いテクニックが満載です。
と言うか、題名に「ニセ占い師」とありますが、じゃあ「真の占い師」っているんでしょうか。
内藤 誼人の著作の方がよほど有用だと思います。
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