はっきり言って、中学生レベルの逐語訳。
冒頭言ったとおり、一昔前はこのスタイルが当たり前だったので誰も文句は言わなかったのだが、いまやわかりやすくてなんぼの時代。下手なプライドが敷居を低くすることを拒んでしまったのか。
これを買うよりは未来社から出ている『道徳情操論』を図書館や古本屋で探して読むことをお奨めします。 アダム・スミスおたく向け古典の内容についていまさらとやかく論評できるような立場でもありませんし、技量も持ち合わせていませんので、翻訳についてレヴューします。
まず、対象となる読者層がかなり限られる翻訳と構成になっています。学術的興味からではなく一般的読者としてこの文庫に接するのはかなりきついといえるでしょう。初版の再現を目指しているのか、完全版を目指しているのかも良く分かりません。付録の挿入の仕方などに関してもかなり疑問が残ります。
訳語は典型的な逐語訳になっており非常に読みにくくなっていますが、一昔前の学術書といえば大抵こんな感じだったかと思います。原書の版の違いによる関係代名詞の変更にも言及するあたりも専門家向けといえるでしょう。
現代社会の諸問題を改めて考えるため???社会科学の原点であるアダム・スミスを一度読み直してみようか、なんて気持ちからこの文庫を手にすると後悔するのはまず間違いありません。心してかかりましょう。