私は言葉を読んでいて涙するところもあった。すぐに読める。誰にでもわかる。でも、実行できる人は少ない。彼の、経験に基づいたひとことひとことが胸を打つ。こんな社長だったら誰でも付いていきたいと思うだろう。今の政治家にこれを感じる能力があるのか。
特に、「夫婦が仲がいいと、経営もうまくいっているところが多い」の言葉に、この人の、人を見る目の鋭さを発見。人間は、つまり、脳だけではなく、ハートと身体でも生きているのだ。
日本語で読めることを感謝する。
会社の社員教育にうってつけだ。「社員心得帖」とあわせてよみたい。
ホッケー・スティック曲線とは、「く」の時を横倒しにしたようなもので、今まで右肩下がりで来たものが、ある日突然に屈曲点を迎えて、右肩上がりになるようなグラフ上の線のことである。合理的な理由なしに、このような屈曲点など現れないはずだと。
p.55 『一方、若手の中には、過去の過保護が依然として続き、トップが何かしてくれるであろう、という甘い期待から、自ら進んで維新を敢行するプログラムも勇気も持ち合わせていない人々が充満している。 経営がいくら複雑になったからといっても、本質的に30代の人々に不可能な事柄はほとんどないと思われるのに、ジッと10年、30年後の出番を待っているのであろうか。』
実際には、30代が動かすことが可能な新世界と、連綿と世襲されている旧世界があるんだろうなぁ。
しかし、著者が書いているように、旧世界を動かす必要があることなど、通常のビジネスではほとんどないと思います。
p.64 『こうした状況に対応するためには、 (1)まず判断を従来よりも分析的・科学的に行うこと (2)分析を行う力を内部的に付けること (3)判断を個人または特定職制のもの、という認識から、会社全体のものであるという認識にかえること (4)さらに、こうすることによって、一度下った決定でも、誰も当惑することなく、逆転できるようにしておく...』
一言で言うなら、無責任体制からの脱却かな。
p.171 『硬直状態...に活を入れ...新機軸を求める方法を考えたのである。 すなわち (1)考え方の転換 (2)戦略的自由度 (3)技術的ポートフォリオ の三つのアプローチを私は使っている。』
分析とかブレークダウンしたある面愚直なアプローチでも、カンに頼る(思考停止になる)よりも、圧倒的によいということかな。
あとがきの一番最後 『ごく少数の読者は、ものの考え方についての記述が非常に参考になった、と言ってくれた。本書は、この少数派の読者を対象としている。』
ツールは必要に応じていろんなものをパクればいいが、考え方が無い・考えてないやつは、パクることもしないということかなぁ。
もっと読みたくなったでしょ? 前作同様、いまだ色褪せず同著者の「企業参謀」続編です。応用編という事ですが、そんな事は同でも良い。私は20年ほど前に読みました(文庫本ではありません)が前作同様、いまだ色褪せずと思います。是非、是非、両著ともにお読みください。心からの推薦本です。