秀才型組織は分業を進め、プロセスが複雑な官僚型組織となりがちである現在、分業をできるだけなくし、プロセスがシンプルな「原始的組織」にすることの重要性を主張します。
文庫版出版にあたり、追加された三枝氏による解説も秀逸。以下は、本編の中で私が印象に残ったポイントです。
●「どうしたらこれを早くできるのだろうか」「どうしたらこれをうまくできるのだろうか」「どうしたらこれをより少ないコストでできるのだろうか」などということではなく、「そもそもなぜそれを行うのだろうか」を問うべき
●組織をリエンジニアリング(=リストラクチャリング)するのではなくて、ビジネスプロセス自体をリエンジニアリングすべき
●アダム・スミス以来の分業による効率性を追求することは、プロセスを複雑にし、結果的に競争力を弱める。リエンジニアリングによって、複数の仕事を一つの人・場所にまとめ、プロセスをシンプルにし、競争力を強める。
●従来タイプの上司が行ってきた監督・監視・管理・点検という業務は、人から人へ、部門から部門へ仕事が移ることによって発生するが、付加価値を生まないものである。リエンジニアリングによって、そのような業務は激減する。
読者によって、それぞれ何かしら得るものがあると思いますが、特に注目していただきたいのが「第1章 新入社員の心得」です。
今の職場と縁があったことに対して「運命と観ずる覚悟を」、「会社を信頼する」、「会社の歴史を知る」、また、周囲の人間関係について「礼儀作法は潤滑油」等が、書かれています。
最近のスグに仕事をやめてしまう、すぐ愚痴をこぼす、やたらと転職転職というような年代に、是非とも読んでもらいたいです。 しかしながら、「自己の利益ばかりを考える」というような世相を生み出したのは、一体、何なのでしょうか? 誰なのでしょうか? その責任の一部は、上の世代にもあるのではないでしょうか? そういう観点からは、つまり「中堅社員」「幹部社員」の方々にも、初心を思い出す気持ちで、心して「第1章 新入社員の心得」を読んでいただきたいのです。
「働く」期間を通して、本書は、様々な示唆を私たちに与えてくれると思います。
安い。薄い:160ページしかない。もちろん中身は充実。分かりやすい:経営について本当に無知であっても理解できる。シンプル:事例や歴史的経緯などは別に分けてあり、混乱しない。より高みへ:次を目指すための土台として100%機能する。例えば他のテキストで勉強中、わからない事柄が出てきても、本書を再読することによってほとんど解決する。
ファイナンスとは何か。そんな原理原則を、こころから丁寧に教えてくれる名著です。