写真がきれいで花織りの本物を見たくなります
夫婦椀を購入しました。黒い漆器と赤い漆器。漆の樹液は透明で、黒い漆は墨などで、赤い漆は朱泥などで着色したものだそう。
椀の芯の部分がどのように出来ているのかを、できあがったばかりの品を見て判別する方法はないそうです。長期間使ってみて、剥げたり、ひびが入ったりすれば、木地に悪いものを使っていた、と知れるそうです。また使う前から艶が出るように、漆に油を混ぜたものなども、ひびができる原因になるそうです。
銀座に新しくできた輪島塗のお店で、夫婦箸を購入しました。漆の器の作り方も産地により様々、この本では輪島の工法を誉めていません。それで著者は輪島では嫌われているそうです。産地で嫌われても自分の思ったとおりのことが書けるのは、著者は漆工芸の人間国宝であり、漆に関して他人の意図を気にかけたり、自分の感性を疑ったりする必要のないポジションにいるからです。だからおもしろい。どの産地のものも等しく誉めているムック本などとは大きな違いです。先達からの「お導き」により、実物に触れる前に観念的な価値観ができてしまうのはちと怖いですが、ひとつずつ実物にあたって、著者の意見が正しいか調べるには時間も知識もお金も不足。ありがたく今後の漆器購入の参考にさせていただこうと思います。
親戚がゆずってくれた古い和服は、刺繍の上から漆を塗ってありました。この本を読んでから、なんだか自分の周囲が漆づいてきたような・・・。 うるしってこんなに奥が深かったのか〜 漆聖とよばれたという松田権六が、うるしの並外れた堅牢さや不可思議な生態、またそうした生態を駆使して育まれた漆塗りの技術など、うるしとそれにまつわるものの魅力を余すところなく語りました。本書を読み終わる頃には、目の前の漆器を見る目が変わっているのではないでしょうか。 筆者がうるしと歩んだ60年をつづった第2部は、読み手を刺激する豪胆なエピソードに溢れていて一種の人生読本としても魅力的です。
氏のDJをラジオでそのまま聞いているようです。文庫なので僕はかばんに入れて、よくCDショップに行ったもんです。 この本でいい音楽に出会えた大学に入るまではビートルズに夢中だった。無人島に持っていくCDはビートルズだけでいい、などと友人とよく話した。ビートルズに影響を与えたブラックミュージックにも興味があったが、何から聴いていいのかわからなかった。そんなある日、友人が「俺たちが求めていた本があったぞ」と興奮してこの本を教えてくれた。紹介されているCDを聴いた時、こういう音楽を知りたかったんだと思った。世の中にはまだまだ僕の知らない素晴らしい音楽がたくさんあるのかと思うとワクワクして、世界がすごく広がったような気がして嬉しくなった。著者の音楽に対する愛情が伝わってくる素朴な文章もとても好きだ。
たくさんある小説の中でも、個人的な一番のお勧めは『件(くだん)』でしょうか。数ページのものすごく短い小説なので、あんまり書くとネタばれ(まぁ、ネタといえるものも特に無い小説なのですが)になってしまうのであまりかけませんが、「件」というのは顔が人間で体が牛という妖怪(?)のような化物のことで、主人公があるとき突然気付いたらこの件になっていたというところから始まる話です。ただこれだけ書くと、何となくカフカの『変身』のような雰囲気もありますが内容は全く違います。詳しくは実際に読んでみてください。これまで味わったことの無い奇妙な雰囲気を味わえるはずです。
『件』のほかにも、表題作になっている『冥土』や、名作の誉れ高い『旅順入城式』など百閧フ小説世界をじっくりと楽しめる一冊、お勧めです!! 夢がテーマ、というか百關謳カが見た夢の話。特によかったのは「冥途」。私も亡き祖父の夢を見て泣きながら起きたことが何度かあるので主人公の気持ちはよくわかる。気がする。
他に「花火」「件」「豹」は特にリアルな訳のわからなさがあって怖かった。不思議という言葉だけでは済まされない奇妙にリアルな感じ。夢なのに。あとがきに「ハッキリしないが夢の法則のようなものに忠実らしく思われる」よいうようなことが書いてあったがまさしく同感。芥川龍之介による評が載っているのもよかった。