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[ 文庫 ]
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マニエリスム芸術論 (ちくま学芸文庫)
・若桑 みどり
【筑摩書房】
発売日: 1994-12
参考価格: 1,470 円(税込)
販売価格: 1,470 円(税込)
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・若桑 みどり
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カスタマー平均評価: 5
聖愛と俗愛の分断 聖愛と俗愛の分断はティツィアーノにおいては、画面上では垂直におこっている。つまり右と左に泣き別れになっている。ここまではとても参考になった。しかし、欲を言えば、それじゃー日本では同じことをどう考えるのかが知りたい。何事も比較しないと、特に日本人である我々は、日本と比較しないと、本当のことがわからないからだ。その意味で、たしかに若桑みどりのように、天正少年使節のような歴史的な日本と西洋世界の交流を追っていくことには、意義があるだろう。でも絵画論である以上、絵そのものから検討できないのか?例えば鈴木春信の浮世絵、「見立寒山実得」と比較したら。ここから先は、手前味噌だが「宇宙に開かれた光の劇場」上野和男・著という本を読むとわかる。日本では聖と俗を水平に分断するし、ティツィアーノのように一枚の絵の中だけで終わらせないことが見えてくる。また女同士だけの関係から男同士の関係へと飛躍する。この話はどこかしら鏡像の左右は反転しても、上下は反転しないというあの光学物理の話題を彷彿させる。この本ではだからこそ光学好きのフェルメール論が主軸となるテーマになっているのだ。
マニエリスムの再評価 日本人によって書かれた殆ど唯一のマニエリスムに関する本格的な論述であり、ルネサンスとバロックの狭間に咲いたあだ花のように蔑視されてきた芸術が開花した歴史的背景とその再評価が若桑氏の深い洞察と広範囲に渡る研究によって明らかにされていく。プラトンによって唱えられた現世における人間の姿、つまり肉体という牢獄に閉じ込められた精神の苦悶とそこから解き放たれる自由への渇望をこの危機の時代にミケランジェロは身を持って体験し、それを自分の作品に具現化させようと試みた。それはもはや現実的な実態とはかけ離れた精神的な実在に迫る表現であり、ルネサンスの物理的に精緻な物差しを使って彼の作品を計り、理解しようとすることは無謀だろう。更にブロンズィーノに至ってはミケランジェロの三次元的な形態は受け継がれたものの、その精神は寓意によってすり替えられた。彼は自分の作品を病的なまでに寓意で満たし、後の時代の人々が解読不可能になるほどの技巧を凝らせた。一方パルミジャニーノは既成の空間を反故にして見る者の視線から焦点を逸らし、なかば強制的に思考の迂回を図った。そうした方法がヴァサーリの言うマニエーラ、つまり作品の背後にある作者の思索を感知させる手段として追求されたのがこの時代の芸術だろう。そうした意味で本書はミケランジェロとその時代を画したアーチスト達の作品を理解するうえで非常に有益な示唆を与えてくれる。また後半部に置かれたマニエリスト達の作品の宝庫、フランチェスコ・デイ・メディチのストゥディオーロについての詳述も圧巻だ。
マニエリスムがよく分かる この本ではイタリアを中心とするマニエリスム美術の特色やイデーなどが明快に、快調な文
体で語られています。なかでもミケランジェロにマニエリスムの作風が著しいという事実に
は驚かされました。この巨人については知らなさすぎました。
またマニエリスムを支える最も重要な理念がネオ・プラトニズムであったことも説得力溢れ
る筆で描き出されています。私の好きな画家ブロンツィノが極めて重要なマニエリスム画家
だったことにも感慨ひとしおでした。
とにかくルネサンスもマニエリスムもバロックも、ヨーロッパの近世以降の芸術はキリスト
教やネオ・プラトニスムなど宗教哲学の背景なしには語れないことが痛感されます。こうい
うことは学校教科書的知識では実体的に捉えることは難しいでしょう。それにしてもこうし
た気鋭の研究者の著書を読み、図版を眺めていくと、近・現代絵画とは異なる歴史性の重み
を担った豊かな世界に体ごと包まれ、豊沃にされ、高められていくような感慨に誘われます
。
「マニエリスム」の歴史上の再発見 マニエリスムという語を初めて聞いたのは昨年フィレンツェに旅行した際、ウフィツイ美術館でパルミジャニーノ(Parmigianino, Girolamo Francesco Mazzola, 1503-1540)の《長い首の聖母》を見た際に上の空で聞いた説明でした。その時は何も分かっていなかったのですが、かすかに「首が不自然に長いという特徴があり、マニエリスム絵画の一つである」といいったような内容を記憶しています。 この一般的にあまり耳にしない単語が日本の美術史界でも常識のようになった今日この頃ですが、日本で初めて「マニエリスム」を紹介したのが著者、若桑みどり氏であるとのこと。この著書は若桑氏が「マニエリスム」の歴史上の再発見について雑誌上で論じた文章を一冊にまとめられたもの。 本のなかでは自然の描写よりも精神的な美を尊んだ画家の意識や、「フィグーラ・セルペンティナータ(蛇状形状)」と呼ばれる不自然に曲がった肢体、観念的な宇宙論など、マニエリスト達の特徴が圧倒的な数の例を参照しながら紹介されており、マニエリスムが一つのエポックで在りえたことが論証されています。 ともすればルネサンスという明るすぎる光に目が眩んで見逃しがちな16世紀絵画の特徴が鋭く洞察に富んだ視点で語られており、若桑氏の慧眼に脱帽するばかり。またこの時代のアンビヴァレントな画家の精神と、宗教改革とこれに対する反宗教改革に揺れる時代背景という共通点が相まって、氏の論の説得力を増しています。 それにしてもトスカーナ大公としてヴァザーリ(Giorgio Vasari, 1511-1574)といったマニエリスム画家達を保護した、フランチェスコ(Francesco I de' Medici, 1541-1587)とビアンカ(Bianca Cappello, 1543〜1587)に纏わる悲話はとてもイタリアの歴史の闇を現しているようでとても興味深い。またそのフランチェスコがヴァザーリとその工房に作らせた、パラッツォ・ヴェッキョのストゥディオーロなどは是非訪れてみたいと思いました。
説得力がある 西洋美術史の「影」ともいえる「マニエリスム期」を鋭い視点で研究している。マニエリスムを「危機の時代の芸術」と説く筆者の論には説得力がある。著者はフェミニズムの視点で芸術論を展開する美術史学の重鎮。
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[ 文庫 ]
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マーラーと世紀末ウィーン (岩波現代文庫)
・渡辺 裕
【岩波書店】
発売日: 2004-02-19
参考価格: 1,050 円(税込)
販売価格: 1,050 円(税込)
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・渡辺 裕
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カスタマー平均評価: 0
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[ 文庫 ]
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美学の逆説 (ちくま学芸文庫)
・谷川 渥
【筑摩書房】
発売日: 2003-12
参考価格: 1,575 円(税込)
販売価格: 1,575 円(税込)
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・谷川 渥
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カスタマー平均評価: 4
メタ美学 カントや記号論、グリーンバーグなど美学の基本問題を論じて入門的(?)でもあり面白い。あらゆる種類の学問領域がそうであるように、学として不安定な美学の根本から論じている。自分としては社会学的な美学問題を扱ってくれているのがとっつきやすいかった。
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[ 単行本 ]
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フーガ (文庫クセジュ 674)
・マルセル ビッチ ・ジャン ボンフィス ・池内 友次郎
【白水社】
発売日: 1986-03-05
参考価格: 999 円(税込)
販売価格: 999 円(税込)
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・マルセル ビッチ ・ジャン ボンフィス ・池内 友次郎
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カスタマー平均評価: 5
ようやく読んでうつ病にならない「対位法」の本を入手、奇跡! 対位法の楽曲をCDで聴いて、分厚い和声がバンバン鳴る曲から、ちょっとだけ離れられ、ウツも去ってホッとする。そう書いたら叱られるかもしれないが、半分以上事実です。
パレストリーナは、高校時代から自分の声楽系の「抗うつ剤」でした。
ダウランドのファンタジーは、模倣のイデアとして、撥弦楽器ギター系の「抗うつ剤」です。
しかしながら音楽書となると、和声学はかなり良本があるようですが、対位法となると、ホントに記憶にない。日本語で書いてあっても古代文字の本みたい。まして自分に言語能力がないから、行く先、不安と悲惨!
パレストリーナやダウランドの癒し系の曲とは丸で正反対。変なの・・・
でもこの本は読める!読んでウツにならないだけでも貴重。理解できるかどうかより、本をひらいていられる。精力剤ゼナよりやや安く、同じくらい?効き目あり。
僕など凡人にとって、この種の本を読んでいるということが、周囲から「変わっている」といわれるから、今のうち内緒でこの感激をレビューします。
もし知られたら「前奏曲とフーガわり」の本を買っただけといっておきます。ですからどうか、ものになるか否かは問わないで下さい、では。
新書版でも中身は本格的 音楽関係の理論書は少ない。特に最近では教科書レベルのものしかない場合が多い(良い本は多いのだが、多くは絶版になっている)。フーガについても同様である。 この本は、そんな中で、貴重な理論書である。基本的な対位法の話から始まり、バッハ、さらにそれ以後の発展、現代でもそれが続いていることまでわかりやすく、それでも本格的に書かれている。日本の文庫・新書でこういう本がないのは本当に残念だ。文句なし。 音楽を研究する人や愛好家から、フーガ(遁走曲)を小説の題名でしか知らない人や、なんだかわからないけど旋律が追いかけっこするやつ?というぐらいのレベルの人まで(そういう人には難しいが)ぜひ読んで欲しい本。
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[ 新書 ]
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葛飾北斎・春画の世界―カラー版・江戸の春画〈2〉 (COLOR新書y)
・浅野 秀剛
【洋泉社】
発売日: 2005-03
参考価格: 1,470 円(税込)
販売価格: 1,470 円(税込)
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・浅野 秀剛
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カスタマー平均評価: 5
教科書に載らない北斎のパワー。 この画狂老人(北斎のペンネーム)は、美しげな絵ばかりが教科書に載っているが本質はそこにはない。いわゆるエロチックな絵を描いているが、他の春画と比べてこの生々しさはどうだろうか。風景画を同時代の画家と比べてもやはり感銘を受けるほどのオリジナルを感じることができるが、春画は異様なまでのこだわりだ。英雄色を好むとは昔から言われる格言だが、画家がエロを描いて見せ付けられると、そのショックは実に大きい。 この指や細部、背景へのこだわり。浮世絵は、ペン絵のように線を増やす方向の表現が制限される。北斎はそれをデフォルメと構図、そしてポーズによってこの生きているような生命力を獲得していることが、たくさんの例によって示されている。 エロい、エロすぎ!天才といわれれば凡人の私は黙るしかなかった。
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[ 文庫 ]
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桂枝雀のらくご案内―枝雀と61人の仲間 (ちくま文庫)
・桂 枝雀
【筑摩書房】
発売日: 1996-12
参考価格: 693 円(税込)
販売価格: 693 円(税込)
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・桂 枝雀
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カスタマー平均評価: 4.5
持ちネタを語る 1984年に徳間書店から出た単行本『桂枝雀と61人の仲間』の改題・文庫化。
落語家の二代目桂枝雀が、持ちネタの60篇を紹介したもの。一編につき数頁がさかれ、粗筋、聞き所、自身が演じる際の工夫などが語られている。
ちょっと説明が雑で分かりにくいところもあるが、江戸の生活、習慣などにまで踏み込んで話してくれるので、落語の入門書としてお勧めの一冊だ。
著者の、より面白く分かりやすい落語をつくりだそうとしていた研鑽のあとがたどれるのも面白い。サゲの台詞や喋り方の工夫などはもちろん、高座での所作や登場の仕方まで、試行錯誤を繰り返しつつ、進化を試みていたようだ。それだけに、著者の悲劇的な最期が惜しまれる。
DVDやCDの実演を鑑賞しながら読むと、最高だろう。
落語入門 私は落語の入門書として活用しながら すっかり枝雀さんの虜になってしまいました。@まずは60作品のあらすじがわかります。 サゲの意味がわからなかったり、内容で難しかったところが この本のおかげで、楽しめるようになりました。 落語? それ何? 難しそう。 みたいな感じだった私が、すっかり落語好きに。 A次に枝雀さんのプロ意識を堪能します。 そんな部分に気を配っていたのか! とか。 そう演じるから、この噺は面白くなるのか! とか。 だんだん落語に前のめりになっていきます。 B最後に枝雀さんの人柄に心を動かされ始めます。 父親への想いや、師匠(米朝さん)とのエピソード。 周囲の人々との関わりあい方に驚いたり、共感したり。 おもろい落語のお地蔵さんみたいな人、から とても魅力のある人物に思えてきます。 マニアは『枝雀落語大全』を見聞きしながら読むと 面白さは2倍に、そして悲しみも2倍になってしまいます。要注意。
ささやかな枝雀の遺産 思い返すたびになんとも惜しい枝雀の死ではあったが、結果的に、ちゃんと落語の楽しみ方の一つを残してくれた一冊かもしれない。 限られた文字数の中に盛り込まれた60(61?)のネタの妙味、枝雀の解釈、背景にある関連のお話等注意深く読めば、単なるエッセイとは明らかに違い、といって決してこだわり本でもなく、さりげない文章から枝雀の落語に対するあくなき探求心、真摯な人柄が十分偲ばれると思うのは贔屓のしすぎ? その超がつくほどのまじめさが、文中で「長生きしたい」と強く思っていた枝雀を追い詰めたのかも・・・ もうライブが聴けないから1点減点、でも、ファンはいつまでもファンです。 合掌
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[ 文庫 ]
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少年とアフリカ 音楽と物語、いのちと暴力をめぐる対話 (文春文庫)
・坂本 龍一 ・天童 荒太
【文藝春秋】
発売日: 2004-04-07
参考価格: 600 円(税込)
販売価格: 600 円(税込)
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・坂本 龍一 ・天童 荒太
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カスタマー平均評価: 4.5
アフリカはあなたの隣に・・ タイトルにはアフリカの文字があるが、多くはアフリカの話ではない。
読み終えたときにこのタイトルの意味がスッと体に入ってくる。
そして程よく力が抜け、私自身本当に考えるべきことを考えさせられた。
「君なら殺すか」両者の対談によって意見が深く変化していくところも興味深い。
私たちは考えなければいけない。 いかに坂本龍一がアーティストであるかということがよくわかります。アーティストの仕事は考えることです。アーティストは、やはり考えることが大事だと言います。高橋源一郎は、唯一の本質的のコミュニケーション手段は考えることだと言っています。こうして読むと、果たして、高橋源一郎の考えと坂本龍一の考えがある程度重なっていることがわかり、はっとするのです。
P.230の天童荒太の発言。
「読者から『なぜホームページ』を開かないんだ。こっちは討論したいのに。お前の小説は対話がテーマじゃないのか』って(笑)。僕の言っている『対話』はそうじゃないんですけど。」
天童がここで言っている「対話」というのは、もちろん「考えること」です。読者は勘違いしています。高橋源一郎は討論とは結局、自分の意見の主張と他者の意見の壊滅を目的とする、考えるという行為からはもっとも程遠いものだと言っています。考えるということは、おそらく私たちが思っている以上にはるかに難しいのです。多くの人は小説に、映画に、歌に、常に答えを求めます。けっきょく、このシーンはどういうことを表しているんだ?と質問します。
多くの人は、何故そういう質問をするのでしょう? もちろん、答えを求めて、です。私は、そういう人に逆に聞きたいです。
「どうして答えが存在するなんて勘違いをしてしまったんですか?」
※この本にはいのちと暴力に関する答えなんて書かれていません。
タイトルが渋い 内容は重いけど、面白い対談集だった。
だいたい似たような雰囲気を感じてるのかな?・・・みんな。
「考え抜く」ことの大切さを説いてる部分があるけど、
「考えすぎ」なんじゃないかなという気がする。
でもこういう人達がいてくれると助かる(←いい意味ですよ)
歯に衣を着せない痛快な対談集。 坂本氏がガンガン過激な意見を言い、天童氏の優しさが包み込みながら、深いところまで話が進んでいきます。こういう人たちと一度でも面と向かって話ができたらなあ、と思いました。坂本氏の意見は結構過激で、読んでいてハラハラしますが、天童氏のひとの痛みを知り尽くした発言に、坂本氏の考え方が変容していく様は、何というか、下手な小説より、ずっと感動しました。
なぜ人を殺してはいけないのか? 対談の中で繰り返し訴えられていることのひとつに「もっと想像力を持て」というものがある。見知らぬ人ないし家族友人から背中に刃物を突きつけられながら、あなたは「なぜ人を殺してはいけないの?」と問うことができるだろうか。今、あなたが刃物で刺されて死ぬかもしれない間際に「殺されても構わない」と思うのだろうか・・・。想像力。 天童荒太はこれまで「家族の物語」を描いてきた。実は家族の問題を大局から俯瞰すれば、現在世界各地で起こっている「問題」と根っ子の部分は同質なのではないだろうか、というコトバに重みを感じリアリティを感じることができた。それだけでもこの対談集を紐解く価値はあったとぼくは今思っている。
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[ 文庫 ]
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バッハ (新潮文庫―カラー版作曲家の生涯)
・樋口 隆一
【新潮社】
発売日: 1985-04
参考価格: 580 円(税込)
販売価格: 580 円(税込)
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・樋口 隆一
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カスタマー平均評価: 4
劇的では無いからこそ「リアルな偉大さ」が見え隠れ 写真が豊富なうえ多方面の音楽界の方のコラムもあり?特にギタリストにとっては、あの山下和仁氏のコラムが嬉しい!?なおかつ安価…ということで、お奨めの一冊です!
特に他のバッハ本に詳しい訳ではないのですが、一読するとこの本に記載された「簡潔な記述」は、やや退屈に思えるかもしれません。しかしながら「芸術と生活:理想と現実」の中でたくましく(時にトンガッて、ケンカと和解を繰り返しながら?!)生きたバッハの人となりがポイントごとに押さえられ、同時にその背景的事実と愛情のある推論がうまく織り交ぜられている点は、何度も手に取るに相応しい<理想のガイド本>であるように思えます。
自筆楽譜写真やドイツのゆかりの地の風景写真を愉しむも良し、表裏のあった現実社会と音楽上の理想実現の間で揺れ動く心に想いを馳せるも良し…そんな様々な愉しみ方を見いだすことができる好著ですね!
写真がきれい!手頃な見るバッハ 最初買ったときはバッハの生涯を簡単に叙述するだけで簡単過ぎて物足りなかったのですが、他のより厚い本を読んでもう一度読み返すと、きれいなカラー写真と相まって魅力的にみえました。これはある程度バッハを理解した人がひも解くにふさわしい本だと思います。初心者が最初に読む本としては、薄過ぎてよく分からないのではないかと思います。
静かなバッハ バッハファンを自認していながら よく考えると バッハ自身に関しては何もしらないことに気がついた。本屋で探すと 文庫で本書を見つけて 早速読んでみた。
バッハという音楽は比類が無い。一方 バッハの人生は 案外平凡だ。耳が聞こえなくなったベートーベンや 夭折したモーツアルトに比べると 劇的なものは何も無い。仕事に苦労しながら 音楽に沈潜したバッハの人生は静かなものだった。
それが解っただけでも 本書を読んだ甲斐はあった。
小川(バッハ)ではなく大海(メール) バッハは小川(バッハ)ではなく大海(メール)であると言ったのはベートーヴェンだった。後世の音楽家たちに多大なる影響を与えたバッハの生涯を簡潔に綴る。その人生は必ずしも幸福であったとは言えないものの,彼の遺産は偉大であり,かつ永遠であることを知らされる。
手ごろなバッハ入門書 バッハの生涯と主要作品が簡潔で的を得た文章で紹介されている。カラー写真も多くて見やすい。文庫本なので安いし持ち運びにも便利。手ごろなバッハ入門書。おすすめです。
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[ 文庫 ]
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談志楽屋噺 (文春文庫)
・立川 談志
【文藝春秋】
発売日: 1990-03
参考価格: 570 円(税込)
販売価格: 570 円(税込)
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・立川 談志
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カスタマー平均評価: 3
熱意の空回り 噺家で落語を、あるいは、落語の将来を語らせたら、この立川談志「家元」しかいないと私は思っている。 「現代落語家論」「続・現代落語家論」などは、私たちが実体験できない昭和20年代後半の寄席文化や、そこで活躍した人たちの「現代」に通じる流れを語ってくれている。 残念ながら、立川談志師匠は、ここ数年、本来の噺家の輝きを失っており、談志独演会に通っていた者としては、忸怩たる思いがある。 その支障と言うか家元の著作ではあるが、少し、ご病気もあってか、熱意が空回りしているのではなかろうか? 意気や良し。全て支持する。しかし・・・
芸に賭ける男の凄さ、哀しさ、そして談志のすごさが判る本 私は実は談志も落語もほとんど知らない。本書はたまたま出張で時間がある時に肩の凝らない本をと思って買い求めたが、内容は深く、文体は優しく、粋がたっぷりで、芸に対する姿勢を正しつつ楽しく読んだというのが実感だ。 談志は古典芸能から現代芸能まで広く深く渉猟して己のものにしており、しかも見る目、選ぶ目がある。その彼と同じ時代を生き、名を成さずに逝ってしまった者たちを含む芸人への鎮魂歌であり、笑い飛ばしであり、後生に名を刻んでやる為の芸人歴史書でもある。 私が星3つとしたのは、未だ談志も落語・芸能も知らぬ私には本書の価値が測りかねたから。談志ファン、落語・芸能ファンにはおそらく限りない関心と面白さと、そして古き良き時代の暴露話を提供してくれる5つ星の本だろうと信じる。
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[ 新書 ]
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ベスト・オブ・ジャズ・ピアノ―これだけは聴いておきたい50人 (平凡社新書)
・小川 隆夫
【平凡社】
発売日: 2005-01
参考価格: 924 円(税込)
販売価格: 924 円(税込)
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・小川 隆夫
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カスタマー平均評価: 5
非常によかったです。 ジャズ初心者の私にとってジャズは難しいものというイメージがなかなか拭えなかったのですが、ジャズピアノとこの著作に触れることでそれがだいぶ和らぎました。ジャズは自分の好きなように楽しむことが一番だと感じました。本書はモダンジャズの創始者から活躍中の若手まで50人のピアニストを5つの時代に分類してあるのでジャズピアノの歴史が大体わかりました。また各々のピアニストの音楽活動、アルバム、人柄について小川さんとのエピソードを交え興味深く綴られていて非常に読みやすかったです。『おすすめの1枚』や芸術度・技術度・大衆度が★印で表わされているのもよかったです。
そばに置いておきたいジャズピアノの参考書 ジャズを聴き始めて30年以上になります。各自の好みにもよるでしょうが、やはり飽きがこないで繰り返し聴いて楽しめるアルバムの中核となるのはピアノトリオ演奏です。ピアノトリオで始まってピアノトリオで終わるのは半ば事実です。
当著は代表的なジャズピアニスト50人を選び、彼らの個人的エピソードもまじえて平易な文章で語り、それぞれの活動とお薦めのアルバムを紹介しています。
ジャズ評論家の書く類書には、偏った好みが反映されていたり、余計な講釈を交えて話をさらにややこしくしてしまうものが往々にしてありますが、当著では客観的に述べられていて好感が持てます。
評論家お勧めの一枚がビギナーにとって聴きやすいものとは限らないところであり、
「こんなアルバムを推薦するから、ジャズって難しい音楽だと思い込んでしまってアレルギー反応を示すんだよね…」
としか思われないものも幾つか含まれています。これが唯一、残念といえば残念です。
しかしながら、そうしたジャズ評論家の押しつけがましさを極力感じさせない好著であるのは確かです。
類書の中ではベスト 50人の重要なピアニストの紹介と代表作がコンパクトにまとめられている。同じような名盤選の中でも、この本は格段に読みやすい。加えて、ちょっとしたエピソードがとても面白く読めた。これなど、長年多くのミュージシャンと付き合ってきた筆者の真骨頂だろう。ここが数ある類書と違う点で、この本の大きな魅力だ。これまでに音楽の面でしか接してこなかったピアニストの幾人かについては、本書で紹介されたエピソードによってさらなる親しみを覚えることができた。筆者は、これまでにもミュージシャンから得た貴重な体験談をさまざまなところで発表している。ここでもさわり程度だが、そうしたエピソードに触れることができる。それらもいずれどこかできちんと纏めてもらいたいと思う。また、先のレビューアー氏も触れていたが、「サックス」編や「トランペット」編も筆者の紹介で是非読んでみたい。
こんな本が欲しかった ジャズを聴き始めて5〜6年の中級者(?)です。ジャズの本と言えば難しい言葉が多くて困っていましたが、この本は最後まですらすらと読めました。50人のピアニストとその代表作がわかり易い文章で紹介されています。何と言っても、小川さんの平易な文章に好感が持てました。思い入れたっぷりの文章ではないのですが、読んでいると筆者の思いがとても強く伝ってきます(ジャズを聴き始めたころにこんな本があればよかった)。初心者からわたしみたいなファンには打ってつけに一冊です。これからはこの本に出てくる作品を少しずつ聴いていこうと思っています。今後、サックス編とかトランペット編とかも出るのでしょうか? 期待しています。
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