フィレンツェという都市が、いかにしてルネサンスのような画期的な芸術界の新世界を導いたのか。またいかにして「芸術の都」フィレンツェが凋落していったのか、改めてよく理解できました。フィレンツェ人の芸術への高い理解と気風が、フィレンツェ芸術の栄光と衰退の両方の原因となったという氏の説得力に満ちた説はとても興味部会ものがありました。
また作品中で紹介されているボッティチェリ(BOTTICELLI, Sandro)の《ミネルヴァ(パラス)とケンタウロス》についての読み解きは、この時代の芸術家達の思考を端的に表現しているようで面白いです。
これらの内容は、中村さんによる綿密なリサーチと、ご自身が見聞きしたことに裏付けされているから、読んでおもしろいだけでなく、ピアノや音楽についての知識も深まる。音楽オンチの私でも、この本に登場する音楽家の作品を聞いてみたいと思うようになった。
以前、ピアノを弾きながら料理をしている紘子さんをテレビで拝見して感嘆した覚えがあるが(ピアノと料理の腕前+ユーモアに)、文才にまで恵まれているとは。多才な方だと脱帽。