後半になると著者の政治論・歴史論が増えてくるのですが、その辺りは正直なところ、刺激になりませんでした。著者の主張よりも、もっと、アメリカの学生たちに対する観察、解釈に軸を置いたアメリカ論が読みたいというのが僕の個人的な感想です。そうしてこそ、著者のオリジナリティが出てくるのではないでしょうか。 でもまあ、一読の価値はある良い本だと思います。 著者の”立ち位置”が見えにくく感じました”若さ”を強調するタイトルとは裏腹に、年齢を感じさせない、著者の冷静な観察眼と洞察とによって書き進められた本書であったが、
年齢を感じさせないが故の”違和感”が、一読して強く印象に残った。
その”違和感”とは、「著者の拠って立つところが見えにくい」ということである。確かに、俯瞰してみれば、「日米の違い」を探る視点からは「日本」が何らかの”立ち位置”になっていることは間違いなく感じられるのだが、”戦争”はとどのつまり、人と人とがきっかけとなっておこすもの、すなわち「人」というところに注目した場合、彼女の”立ち位置”が途端に見えにくくなる。
つまり、「国」や「社会」という1つの”組織体”に焦点を当てた観察眼/洞察には理解し、時には同意できるところもあるのだが、「人」というミクロに焦点をあてて読もうとすると、著者自身の人となりも見えにくく、また名前が紹介される(著者を取り巻く)アメリカ市民1人1人の人となりも見えにくいことに気付く。
全般を通じて、非常に「概念」「理想形」を軸とした観察眼/洞察になっているようにみえるところが、”戦争”の本質に迫りきれていない(むしろ本質から目がそらされてしまうような)感を受けることになり残念。
社会の裏表、人間の裏表を理解する試みを継続しつつ、それを超えるような著述活動を今後著者が目指されんことを祈念したい。特にその「裏表」の間にこそ、戦争/暴力といった争いの根源、そして苦悩が潜んでいるはずだから・・・。
その過程で、自ずと著者の”立ち位置”が行間から現れてくるに違いない。(もしかしたら著者は”立ち位置が見えない”書き手を志向しているのかもしれないが、”立ち位置が見える”というプロセスを経た後にはじめて、"立ち位置の見えない”書き手としての大成の道が見えると考える)
そしてそれはまた、なぜ軍事侵攻がテロリズム対処の処方箋にならないのかを考えるきっかけにもなる。
普段日本のメディアで触れられない、「軍事の観点からみたテロリズム」について知りたい人には絶好の入門書だと思う。同著者による兄弟本『テロー現代暴力論』よりも内容が明快で充実している。
「人間」を出発点として議論をスタートし「社会統合機能」をキーワードに法と社会の関係を論じています。
本書でいう「法」は具体的な実定法(憲法や刑法や民法など)ではなくより広い意味の法を指していて、大きな視点で法と社会の関係を記述しています。議論の主な範囲は法哲学・法制史・法社会学などいわゆる基礎法と呼ばれている分野です。基礎法分野に興味がある人には入門書として最適だと思います。
具体的な実定法がどのように社会と関わっているのかは書かれてはいませんので(たとえば憲法と社会の関係 ・ 民法と社会の関係 ・ 刑法と社会の関係など)そうした各実定法の社会における機能について関心がある場合やそれぞれの実定法の概略に興味がある場合はたとえば白取祐司「事例DE法学入門」などがよいかも知れません。
ある医師は、精神科で統合失調症と診断された人の中にアスペルガー症候群の人がいるとして、診断の見直しをしている。確かにアスペルガー症候群の人が多くいた。こんな感じで、精神科領域では、アスペルガー症候群の人は結構身近にいるんです。でも、アスペルガー症候群の知識が乏しい専門家も身近に多いんです。
この本は、プロ化した家族には物足りない本と映るかもしれないが、アスペルガー症候群のアウトラインが押さえてある。入門書としては、◎。 周囲の援助者のための書アスペルガー症候群や学習障害は従来の障害と違って非常に対応の難しい障害である。身体は何の問題もなく、知的にも問題はない。アスペルガー症候群は自閉症の一種であるが、典型的な自閉症のように明らかに違いを感じるようなものでもない。
そしてたんなる学力不足や怠学との見分けが困難である。一部の学習機能に障害があるのであるが、本人も周囲も理解が進まず非常に苦しい立場に追いやられてしまうことが多いのが現状である。
本書ではアスペルガー症候群や学習障害をもつ人ではなく、その周囲の援助者のための書と考えた方がよい。知能の構造や発達の過程、類縁の障害、アスペルガー症候群や学習障害を理解するために必要な知識に多くのページを割いている。
著述が今ひとつ核心に迫っていないかのような印象もある。だが、特に学習障害はその概念も判断基準も確固としたものでないのが現状である。はっきりしないものを記述するのだから核心がぼやけるのも致し方ない部分もある。アスペルガー症候群や学習障害への理解はまだ始まったばかりである。今後もさらに人々の理解を深めていく必要があり、このようなとっかかりやすい書はなにがしか有益な働きをするのではないか。
『失敗の本質』にも書かれていたが、大東亜戦争で日本軍が負けたのは軍事的合理性を貫けなかったことに大きな原因があると思っていたので、その対極として、いかにアメリカ海兵隊が軍事的合理性に貫かれた組織であり続けたのかを知ろう思い、本書を手にしたのである。
しかしそこに描かれていた海兵隊の実体は、冷徹な軍事的合理性のみに貫かれた組織でなく、新兵訓練でしごかれた者同士の間に生まれる絆を重視し、数打ちゃ当たる式のマシンガンでなく一発一殺のライフルマンであることを基本とし、危険を冒してでも死傷者を収容すると言うものであった。
身を投じて敵手榴弾から仲間を救った黒人海兵隊員の名前がフリゲート艦の艦名になっている逸話などからも、誇りや絆や信頼と言ったものを基本としてアメリカ海兵隊と言う組織が成り立っていることを知らしめてくれた著作である。 大満足です。戦争・軍事関係に関心がある方ならば満足できる1冊です。●「前衛基地の防衛」が主任務である草創期の海兵隊がやがて「敵前強襲揚陸部隊」として成長し、第2次世界大戦・朝鮮戦争・ベトナム戦争、湾岸戦争などを経て米軍のシンボルになる様子が興味深く描かれています。●「戦争学」などで戦史を俯瞰した後で細部に肉付けしたい人には格好の教材です。 自己正当化筆者は経営学者で組織論が中心として研究している。過去にも、軍事関連で失敗から学ぶ研究を行っているが、今回は軍事オタク向けの本かもしれない。しかし、内容は海兵隊が何度も廃止の方向で検討されつつも、生き残っているのはなぜかについての本であり、組織が自己正当化しているだけのように読める。