重要なのは“良い”方だ。まず,国分氏が,単著・編著ともかなりの数を手がけた練達の研究者であること。つぎに,日本で手にとる家電製品の多くが“Made in China”であることに驚き,WTO加盟の門前に立つ中国に興味を抱いた(理系の?)非専門家の読書家になら,手っ取り早くていい点だろう(手っ取り早いのは新書の長所であるのと同時に短所でもある。そもそも,中国などというビッグテーマを200頁足らずで論じ尽くせるはずはなく,議論(論証)が荒いのもそのせいだろう)。
緒論(第1章「中国とはなにか」)−現状(第2章「中国の世界」(国内)と第3章「世界の中国」(国際))−課題(第4章「21世紀の中国」)と,構成も標準的で誠実。
最大の特色は,最近の走資的社会主義国家=中華人民共和国を“普通の国”として描き出そうとしていること(中国が第三世界に属することを公言しながら第三世界が組織する公式機関に殆ど参加していない事実などにみられる現実主義)。
著者が慶應大学大学院卒である点も興味深い。殆どの中国専門家が国立大学大学院卒だからだ(しかも左翼運動あがり)。しかしよく考えてみれば,慶應大学には中国学の碩学=石川忠雄がいた。あなどれない。
不満なのは統計数字が殆ど用いられていない点だが,著者が政治学専門であり(この本の結論も,「政治の全面的改革」であった),出版形態が新書であり(数字の羅列はウケない),統計数字がすぐ古くなることを考えてみれば,無理な注文か。
「英国人にとって日本人は、経済が下落すれば、ただの有色人種なのだ」。さらに追いうちをかけるように「この国はマヌケだと考えるようになった」。さあ、さあ、どうする、これまでのイギリス観の訂正をせまられる。「英国の男は世界一退屈」え?っ、ほんとっすか。
これらのイギリス観は、すべて著者の経験にもとづく。切符売り場に駅員がいなかったので、窓ガラスをコインで叩きまわり「ろくに働きもしないで、ストばっかりして何よ! スカーギルを呼んでこい!」。駅員も負けてはいない。「トイレへ行ってて何が悪い。スカーギルは炭坑の労組議長で、地下鉄じゃねえ!」互角にわたりあってはじめて、旅行者には見ることのできないイギリスが、日本人にとってはもっともわかりにくい「階級」が、しだいに透けてみえてくる。
夏目漱石がロンドンに留学したとき二番めに住んだという建物に、著者も一時住む。そのうらぶれた住居の描写を読めば、漱石がノイローゼになったのもわかるような気がする。漱石だって彼女のように「なんでイギリスに媚びるか」と言うことができたら、ノイローゼになんかならかったろうに。そのためには、これだけの年月が必要だったのだ。日本人もかなしい。 ワーキングクラスの視点から見たイギリスの文化、イギリス人の習性、イギリス生活の実際上流階級でも下層労働者階級でもない中流階級(ワーキングクラス)の視点から見たイギリスの文化、イギリス人の習性、イギリス生活の実際が生々しく描かれています。公には広く知られていないことがらや、実際に長く住んでみると嫌でも目に付くイヤらしいところを、著者ならではの経験を通して具体的に説明している点で、とても有用な本だと思いました。イギリス(人)に関する暗部をあげつらって満足していたり、いかに著者が苦労しているかが延々と書かれているだけの本ではなく、ユニークな経験を通して著者が感じたり、考えたり、他人と議論した経過が書かれていいて、読み手として考えさせられる箇所も多々あった。 人間愛あふれる逸品イギリスという国のイメージをこれほどまでに打ち砕いた本は初めてお目にかかりました。私自身もイギリス初出張での感想は正に落胆の連続・・・。発着時刻がいいかげんで社内の汚い電車、やたら高い物価、必ず何かが壊れている地元のホテル等ネガティブな部分を上げればきりがありません。この理由は、自分もイギリスという国に憧れ、勝手な想像をいつのまにか描いていたからだと思います。本作品はその後の長期出張決定で渡英直前に購入し、行きの機内で熟読した一冊です。(驚きよりもうなずきの連続!)その一方で甘く切ない一編は"イギリス流お見合い”です。著者曰くこの”お見合い編は”読者へのサービス”との照れが見られますが、かさむ年輪とともに、人生において最後に愛した元夫への深い郷愁と愛情の裏返しと見受けられました。その点において意外かと思われますが、人間愛あふれる素晴らしい作品です。 先入観を裏切られた面白い一冊イギリスに興味津々。様々なイギリス関連本が出ていて、読み漁り、読むほどに実際の生活者としてのイギリスが知りたかった私には大変参考になり興味深く読めた1冊。(前作、イギリス人はおかしい、とあわせてよみました)
今までのイギリスに対する日本人の考え方がどこから来ているのか、イギリスにおいての実際の日本人への考えなど、今までの賞賛本にはない視点からの著者の切り口はとても為になりました。またワーキングクラスといっても、著者の高尾さんには高いレベルの教養があり、ただのハウスキーパー・・家政婦が見た・・的なイメージを持ってこの2冊を手にし、期待はしていなかった分、反対にその期待を裏切られる後味の良い本で、出合えて良かったと思っています。読後、私にとってますます興味深いイギリスになりました。
橋渡しができる筆者のような碩学だからこその視点を提供してくれる。
例えば欧米と日本の法制度を述べている箇所では、いかにも欧米型の法制度の発展が理想的で日本型の法制度の発展は理想的でないように書かれている。しかし法学の初学者を対象にしているのならば、特定の考えのみを伝えるのではなく欧米と日本の法制度の発展の特徴を併記して述べた方が初学者に考える材料を与えるという意味でよかったと思う。
また日本の行政権限の増大と議会の役割の低下の例として官僚の政治家に対する優位性が挙げられていたが、これは行政権と立法権の問!題ではなく行政権内部の問題である。さらに最も合理的な選挙制度は比例代表制であるとか自治体は小さな自治体が望ましいと述べているが、そもそも選挙制度に「最も」合理的な制度は存在しないし、大きな自治体も有能な人材が確保できるなど悪いことばかりではない。
著者は学者であるからご自身の考えを本で表現するのは悪いことではない。しかし初学者向けに本を書くのならば、著者の考えを主張するだけでなく著者以外の考え方も存在することも紹介したほうが初学者に考える機会を与え、初学者の向学心をそそるようなよい本になったのではないかと思う。