ケネディー大統領に限らず、このあたりのプロパガンダ、国民に対するマスメディアの使い方、演出の仕方は非常にうまい。この点は、政治家や日本企業のトップマネジメントは学ぶべきである。 貴重な歴史資料 日本人には正直あまり実感がない(というかわたしも当時生きていない)のですが、キューバ危機は当時の米国人は本当に核戦争が起こる、という感覚をびんびん感じていたそうです。映画「13デイズ」はその感覚をよく伝えていると思いますが、興味をもったわたしはこのRFKの著作も読みました。日本語訳も出ているのですが、RFKが書いた部分は悲しくも非常に短いのと、"Quarantine"(臨検)の際のJFKのTV演説原稿が完全収録されてたりとか盛りだくさんなので、こちらもお買い得。映画のリアリティを再確認。 映画とセットでぜひ! 暗殺により完成はしていなかったロバート・ケネディの草稿をまとめたもので、映画『13デイズ』の原作でもありますが、兄JFKとともに渦中にいた当事者の回想だけに、淡々とした文章に、兄弟の深い政治的洞察がうかがわれ、心に響くものがあります。薄い文庫ですが、半分は記録資料となっています。これがまた貴重で、手元に置いてたまに読み返したい一冊。 ケネディ政権内部から見たキューバ危機の全貌 本書は、司法長官としてジョン・F・ケネディ大統領を支えた弟のロバート・ケネディが、キューバ危機当時の政権内部の動きを時系列に沿って記した回想録だ。著者自身が暗殺者の凶弾に倒れなければ、さらに書き加えられたであろう本書(の本文)は、80ページそこそこの分量にすぎないが、偵察機の撮影した写真の吟味から、対応策の立案・検討、そして海上封鎖へと至る意思決定のプロセス、そしてぎりぎりの段階でのソ連との交渉の舞台裏までが淡々と描き出されている。これを読むと、映画「13デイズ」が、多少の演出はあるにせよ、史実を忠実に再現しようと努めていたことがよくわかる(現に、映画の中のセリフを本書の中に見出すこともできる)。これが「アメリカ側から見たキューバ危機」という限界を持っていたとしても、貴重な資料であることに変わりはない。英文も平易で一気に読めるので、映画を観て、事件に興味を持たれた方には、ぜひ一読をおすすめしたい。■補足:このノートン版(1999年刊)には、かつてケネディ政権のアドバイザーも務めた歴史学者のアーサー・シュレジンジャー Jr. が序文を寄せており、後半部分には、Richard E. Neustadt と Graham T. Allison のふたりによる、45ページに及ぶ解説と、ケネディ大統領のスピーチやフルシチョフ首相からの通信文などの関連資料が収録されている(ただし、以前刊行されていたシグネット版にあった、マクナマラ元国防長官、マクミラン元英国首相の序文や、偵察機から撮影した航空写真などは収められていない)。ちなみに、グレアム・アリソンは、キューバ危機を分析した古典『決定の本質』(中央公論社)の著者である。なお、キューバの海上封鎖を国民に告げるケネディ大統領の演説や、国連の議場において、アメリカのスティーブンソン国連大使がソ連のゾーリン大使を追いつめる模様のオリジナル音声が、英文トランスクリプション・翻訳とともに、CDブック『20世紀の証言 第2巻 変貌する世界とアメリカ』(アルク)に収められている。