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竜馬がゆく〈6〉 (文春文庫)
・司馬 遼太郎
【文藝春秋】
発売日: 1998-10
参考価格: 660 円(税込)
販売価格: 660 円(税込)
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・司馬 遼太郎
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カスタマー平均評価: 5
薩長同盟 犬猿の中にある薩長両藩を竜馬は利をもって説き、誰もが理想としつつも成功するとは思わ
なかった薩長同盟を成立させる。
才谷屋という商家と親戚関係にあり、亀山社中という日本発の会社を設立させるような天性の
商才を持つ竜馬だからこそできた同盟関係といえるだろう。
幕軍と戦う天才軍人高杉晋作らの活躍も見逃せない!
全てが竜馬を中心に動き出す 時代がこの男を欲していたのだろうが、日本という国が間違いなく竜馬を中心にしてグルリと回った。歴史の教科書には簡単に「薩長同盟」と書いてあるだけの事だが、これを成すためにどれだけの苦労があったかがよくわかる。
そして徐々に幕末のその先を見据える男が現れだす。高杉はクーデターで新政権を確立するなり「もう俺の役は済んだ。人は艱難なときは一致団結できるが富貴はともには出来ん。きっと仲間割れが起こる。俺はそれより外国へ密航して武器を買い入れ対幕戦争を有利にする」当時としては斬新過ぎることを言ったり、竜馬自身も「革命がなっても亀山社中のものは政府の役人にはなるな。世界の貿易商社を目指すのだ」とも言う。
そんな中、苦労を共にしてきた池内蔵太ら数名が竜馬の指示で長崎から鹿児島へ向かう途中に沈没して死亡してしまう。この時の描写には思わずもらい泣きをしてしまう。「すべて天命である」と自らを躾け死をいちいち悲しむ事を嫌う竜馬も一人うずくまって涙を流す場面は心中察するに余りある。
それにつけても買ったばかりの船が一日で沈没したり作った海軍学校は取り壊されたりと竜馬の運はそれほど良いとも言えないのだが、それをばねに跳ね返し続ける彼の胆力に恐れ入る。
おりょうに「昔のような純情さがなくなってきたわ」といわれ「純情だけでは人間の乱は鎮められんからな。古来、英雄豪傑というのは老獪と純情の使い分けの上手い男を言うのだ」と竜馬に言わせる司馬遼太郎の歴史観も素晴らしい。
秘密、タイミング、そして感情・・・ 坂本竜馬の物語、全8巻の6冊目である
6冊目の主題は、薩長同盟
水と油の薩摩と長州が
文字通り竜馬を介して
歩み寄っていく
ゴールは遠く、障害は多い
秘密、タイミング、そして感情・・・
だが、竜馬は成し遂げていく
藩ではなく、日本のために
類まれなる剣の腕、垣根を越えた広い人脈
人を魅了してやまない性格、そして誰よりも高い志・・・
同じ日本人として羨ましく、かつ、誇りに思う
国民的名作第6巻、薩長同盟なる! これまでは「海軍ごっこ」のようなことをしてきた竜馬ですが、ようやく維新の表舞台に登場し、なくてはならないキープレイヤーになります。
薩長を結ぶことが倒幕につながると考えつくものの、両者はお互いを敵対視。そこでの竜馬のやり方は「利で説くこと」。幕府軍に攻められている長州には薩摩から軍艦を、京都で兵糧に困っている薩摩には長州から米を、そしてその仲立ちは竜馬が結成した日本最初の株式会社ともいえる亀山社中がとりもつ。三者三得の方法で、薩長の敵対心を和らげ、ついに同盟締結までこぎつけます。
お互い体裁を気にする薩摩・西郷と長州・桂の間を必死に駆け回る竜馬の活躍が中心の第6巻です。ちなみに、入浴中の妻おりょうが素っ裸で危機を知らせたという寺田屋騒動や日本初と紹介される霧島への新婚旅行など有名なエピソードも豊富に散りばめられています。
いよいよ話が終盤に近づいてきました。 ついに不可能といわれていた犬猿の仲の薩長の手を握らせた竜馬。
どんな優れた交渉術をもっていたのだろうか、とても気になるところ。
明治という新しい時代の幕開けもすぐそこまでという第6巻。
7、8巻の終盤が楽しみです。
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三国志〈3〉 (吉川英治歴史時代文庫)
・吉川 英治
【講談社】
発売日: 1989-04
参考価格: 798 円(税込)
販売価格: 798 円(税込)
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・吉川 英治
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カスタマー平均評価: 5
劉備 実は劉備に関する資料はあまり無いそうです。この第三巻あたりの劉備は曹操に比べてあまり魅力が無いように写ります。曹操は日本で言えば織田信長のような感じに描かれ武士というよりはアーチストだったのでしょう。そして全て読み終えて劉備亡き後の孔明の苦難努力を考えると劉備はもう少し野心を表に出して天下統一に突き進んでくれればなと悔やんでなりません。でもどうして劉備関羽張飛の三人はこれだけ負けても死なずに生きながらえたのでしょうか。逆に考えると劉備のような人間は何人も存在していてその中で生き残れたが劉備だったのでしょうか? 私の大好きな孔明と曹操
が好きになった劉備ですから凄く魅力ある人物だったのでしょう。でも劉備のような人間が現代の日本に僕の隣に住んでいても何の興味も持たないような気がします。人物は時代とともに生きるのですよね。今の日本に必要なのはやはり いやいつの時代でも孔明かな。
赤兎馬が駆ける 1989年4月11日リリース。『草莽の巻(後半)』と『臣道の巻』からなる。赤兎馬に又がり最強だった呂布の最期に始まり、中心で勢力を増す曹操との接点に集中する劉備の動き、そして血判と印象深いシーンが続く巻だ。
だがぼくにとって最も印象的だったのは『黒風白雨』での猟師劉案が劉備を宿泊歓待するために、妻を殺して饗した場面だ。吉川英治はここで一度『三国志』の筆を止め、この場面に対する私信を述べている。曰く、日本の古典『鉢の木』を例に挙げ、最明寺時頼が寒飢をもてなすために、寵愛していた梅の木を伐って、炉にくべる薪にした鎌倉武士の話と比較し賞賛している。吉川英治が『三国志』の筆を止め、私信を述べるのは、この場面とラストの孔明の死の場面だけで、いかに吉川英治がこの場面の自分の思うところを誤解なく、読者に伝えたかったか、が分かる。
閑話休題。赤兎馬は関羽へと引き継がれる。この馬の最期などまさに『三国志』そのものだとぼくは思う。
陳宮が素敵 呂布の最期が印象的な第三巻ですが、私は陳宮の健気さが大好きです。
どんな策を献じてもまともに実行してもらえず、すぐに取りやめられたりします。
ふてくされたりもしますが、乞われればなんだかんだで嬉しそうに献策してます。
そして曹操との問答のシーン。
饒舌に堂々としていて、潔く格好いいです。
あの曹操と互角だったです間違いなく。
また、暗愚も暗愚な呂布だけど、陳宮はわりと好きだったんだなぁとなんだかグッときます。
そんなデコボココンビにグッとくる3巻です。
そしてそういう目で読むと、陳登・陳珪親子の小賢しさがこの上ないです。
印象的な場面が多い第3巻 三国志の中で最強の武将、呂布が死に、矢で射られた片目を食べてしまった夏候惇、敗走する劉備にせめてものもてなしをと妻の肉を出す話など、非常に印象的な場面が多い第3巻です。
玄徳ピンチ 第3巻で描かれるのは、董卓や呂布の時代を経て、曹操が都の実権をほぼ掌握した時代です。皇帝をないがしろにする曹操に対して危機感を持つ武将たちが打倒曹操の誓いを立て、玄徳も彼らの仲間となります。ところが、曹操暗殺計画が失敗に終り、玄徳もこの一味に加わっていたことを曹操に知られ、逆賊として討伐される身に陥ります。
討伐軍に敗北した玄徳は、関羽・張飛と離ればなれになってしまいます。曹操は関羽の軍人としての腕前と忠義の心に惹かれ、玄徳の妻子の命を助けることを条件に彼を配下に置きます。いよいよ話が盛り上がって来たところなのですが、私は4巻を持っていません。これから買いに行ってきます。
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スプートニクの恋人 (講談社文庫)
・村上 春樹
【講談社】
発売日: 2001-04
参考価格: 600 円(税込)
販売価格: 600 円(税込)
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・村上 春樹
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カスタマー平均評価: 4
こっちの方が100%の恋愛小説 「僕」が帰ってきたとか、そんなことはどうでも良いです。
年齢も性別も超えて、ただ純粋に恋に落ちて、誰かに死ぬほど恋焦がれるなんて、
ロマンチックじゃないですか。
すみれみたいな理屈も保身もない恋、
一度でいいからしてみたいものです。
慣れが必要か 初めて触れた村上作品。
もちろん好き嫌いはあるだろうが、独特な言い回しや展開に慣れが必要だなと感じた。
ノンフィクション作品に親しみがある身には現実離れ感が先に来てしまう。
他の作品も読んでみる必要がありそうだ。
徹底的な孤独と喪失感に満たされた恋愛小説 当初、単行本で発売当時(10年くらい前)に読み、同著者の「ダンスダンスダンス」や「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」に比べてあまりよい作品とは思えなかった。物語のカタルシスがなく、単調なストーリーに思えた。
今回、文庫本で再読すると、自分に変化があったのか、前回のような印象はまったくなかった!村上春樹の文章そのものが魅力的で、『気の毒なお月様が使い古しの腎臓みたいにぽこっと浮かんでいる」や「くだらない冗談を燃料にして走る車が発明されたら、あなたはずいぶん遠くまで行けるわよね」といったフレーズにあたると、目を閉じて、ゆっくりその言葉を味わって楽しめた。
スプートニクという人工衛星からイメージする無重力の広大な宇宙空間で絶対的な孤独と、大切なものを失う喪失感、それらにすべて許容して生きていかなければならない悲しさと勇気が与えられるような小説だった。
恋について 話の内容を簡単に説明すると、主人公、「僕」がする恋について、または「その他の登場人物」のお話です。
主人公と密接な関係を持っている「すみれ」は小説家になりたい22歳の女の子で、僕とは友達という関係でとても沢山話をするのです。恐らく世界中のどの恋人たちより最も長く語り合っている仲であると主人公は語っています。そう思います。
しかしその関係は恋に発展することはありません、なぜなら「すみれ」はある在日韓国人の女性と出会うことによって、生まれて初めての恋に落ちるからです。
「すみれ」はレズビアンなのです。そういうことについても彼女は「僕」に多く話します。在日韓国人の女性は会社を経営するとても奇麗な女性でした、名前は「ミュウ」といいます。
ミュウは「すみれ」を仕事の秘書として雇うことにします。そこから「すみれ」と「ミュウ」の関係というものが始まっていきます。しかし決してレズビアンの話ではないのでご安心ください。
「すみれ」「ミュウ」「僕」の関係がラブ・ストーリーで展開していきます。
展開していく様とか最終的なエンディングは・・・
まず印象的だったのは、その村上さん独特な登場人物同士の会話の表現です。
また、会話とは別に主人公の思考状態が逐一表現されます。その描写もとても面白くて、やっぱり惹かれるものがありました。
また、主人公と僕自身についての思考パターンにいくつかの接点がありました。
僕が本を読むとき、主人公に少なからず感情移入をしてしまいます。
そのことも思考パターンにいくつかの接点があった理由かもしれませんがそういう感じ方が小説の中の登場人物とリンクするということは結構まれです。
そう何冊もの本がそのようにリンクすることはないので、この本は特別な魅力みたいなもので僕は惹きつけられているのだと感じました。
絶対的な存在を2度失う者と邂逅する者の物語 絶対的な存在を持つ3人、言い換えれば、それを失えば完全なる孤独に陥る3人の物語。
「ミュウ」は25歳の時、絶対的な存在だった芸術(音楽)から捨てられ半身を失った女性。彼女は芸術(文学)を目指す17歳年下の若きすみれから彼女の芸術への想いを無意識に奪い、決して戻ることのない失った半身を取り戻そうとする。
「すみれ」は僕から深く愛され、求められているのを知りながら(文中のセリフから判断)、絶対的な存在を小説家になることからミュウへの恋と性欲と愛を貫くことへと変じる。
「僕」は不実な恋(不倫)で自らの精神(性欲)の均衡を図りながら、苦悩と共にこの世でただ一人の絶対者すみれを愛し抜く。
やがて3人はギリシャの島での出来事から、ある帰結へと導かれる。完全なる孤独を抱えてしまった人間の恋と性欲と愛の物語。村上さんのベスト作品ではなくとも、人間が抱える根源的な孤独と理不尽な恋と性欲と愛を深く考えさせられる稀有な価値ある小説です。
ミュウはすみれと(恐らく村上さんと)共にベートーヴェンの32曲のピアノソナタを音楽史上最も重要なピアノ曲とし、Wilhem Backhausの解釈を最も適切とした感性の持ち主ですが、絶対的な存在足り得るクラシック(音楽)と小説(本)は本書の裏の重要なファクターでもあり、「僕」と同様、本と音楽を絶対的な存在とし、絶対的な他者を喪失した人は深くシンクロせざるを得ない作品です。しかしそれは、決して負ではなく正(生)へのシンクロでした。
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声に出して笑える日本語 (光文社知恵の森文庫)
・立川 談四楼
【光文社】
発売日: 2009-04-09
参考価格: 740 円(税込)
販売価格: 740 円(税込)
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・立川 談四楼
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カスタマー平均評価: 5
破顔一生 読書人は、あざとい書名にダマされてはならない。
非読書人は、この軽い書名にダマされて御一読をなさるがよい。
タイトルから想像する以上に内容は濃く、文句なく面白い。
一読、破顔一笑。
再読、破顔一生、だ。
収録されているコラムの味は一篇ごとに異なる。
だから本書の一気読みは誠にもったいない。
寝床、通勤電車、トイレなどで数日をかけて少しずつ味読したい。
さまざまなシーンでのコトバをめぐる爆笑エピソードが盛り込まれているが、
文楽、志ん生、圓生、文治、志ん朝、そして、家元談志らが登場する
落語界の挿話が、やはり楽しい。
中でも、落語立川流の惣領、桂文字助伝説は最高だ。
2002年に毎日新聞社から出版された「日本語通り」の改訂版が同書。
旧書名に含まれる「通」の文字はSTREETの意味だが、
「その道の通」「精通」の通でもある。
落語家であり、多くの著作をものにする作家でもある著者は、
まさに、日本語の通人だ。
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陰翳礼讃 (中公文庫)
・谷崎 潤一郎
【中央公論社】
発売日: 1995-09
参考価格: 500 円(税込)
販売価格: 500 円(税込)
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・谷崎 潤一郎
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カスタマー平均評価: 4.5
リビングに蛍光灯 ?何でもない所に陰翳を生ぜしめて、美を創造する「日本人」、はいつから変わってしまった
のだろうか。いつから部屋を煌々と照らし出す癖が身についのだろう。しばらく本書を読み
進めると?欧州の都市に比べると東京や大阪の夜は格段に明るい?と記されているが、陰翳
を尊ぶ「日本人」が何故現在(昭和8年)変わってしまったかの考察は全くない。ただ昔の作者の
記憶の中にある暗闇を懐かしがっているだけである。 昨今やっと日本も間接照明という
輸入観念で陰翳が復活?したようだが、ちょっと前まではリビングを青白い蛍光灯で煌々と照らす
という暴挙がまかり通っていた。欧米の居室の陰翳、光の使い方こそ谷崎が求めていたもの
ではなかろうか?
?暗がりの中に美を求める傾向が、東洋人にのみ強いのは何故であろうか?と書いているが
本当に日本人、東洋人だけが暗闇を尊んでいたのだろうか。そんなに尊んでいたのならそんな
にあっさりとその美を捨て去ることができるだろうか。蝋燭の灯りだけで撮った映画「バリー・リンドン」
を谷崎は勿論知らない。
今こそ読まれるべき本 日本の夜は明るすぎる、と谷崎潤一郎が『陰翳礼賛』で嘆いたのは昭和8年のことだ。現代と比べたらさぞ暗かったろうと思われる時代である。
谷崎は単に明るすぎるのを嫌ったわけではない。ロウソクなどの柔らかな灯と、それがつくる陰が日本の文化であり、その文化が消えていく(あるいは変質する)のを憂えたのだ。
もっと言うならば、谷崎は灯火を暗喩に用いて、西洋文明を無条件に導入してきた日本人のあり方を疑問視しているのである。
「谷崎は実際には明るい家をつくった」などと的外れなことを述べて得意がっている輩がいるが、自分の知性の低さを公表しているようなものだ。
デザイン関係者必読 谷崎潤一郎による戦前の名エッセイ。
日本人の根底にある美意識を、当時急速に日本に浸透しつつあった西洋文化と比較する
ことで見事にあぶりだしています。
デザイン関連の何冊かの本で、陰翳礼讃のことが絶賛されていたので読みました。
最近読んだ本では「デザインの深読み(坂井直樹)」と「商いデザイン(永井資久)」、
これら以外にも昔読んだデザイン関連本の中にも陰翳礼讃のことが書かれていた記憶が
あります。
「デザインの深読み(坂井直樹)」によれば、陰翳礼讃は今や世界のプロダクトデザイナー
の愛読書になっているのに、日本のデザイナーでこの本を読んでいるのは年配者ばかりで
将来がやや不安だ、とのこと。
全く同感です。
70年以上も前に書かれたこの本がいまだに読まれ続けている、しかも世界中で。
この一点を持ってして、この本の秀逸さがわかっていただけると思います。
しかも読んでいて単純に面白く、とても読みやすいというのも素晴らしい。
それも、長く読まれ続けている理由の一つだとと思います。
日本の文化・美意識の素晴らしさを改めて教えてくれたこの本に、感謝です。
日本人として 高校の頃、国語の教科書に掲載されており、それを見てすぐに書店に走った覚えがあります。が、あろうことか無くしてしまった為、再度購入。この作品はもう何回も拝読していますが、その度に日本の美の奥深さを感じます。日本人ならば一度は読む価値のある一冊だと思っています。
what is already done cannot be undone......... たくさんレヴューがでているんですね。いまさら何も付け加えるものはありません。まず読みやすい。身近な話題(厠、旅行、男女関係、そして女性)が著者によって一刀両断に批評されていきます。小説と違って、ここには彼の美意識が具体性を持つ現象や道具へのコメントを通じて、直接に提示されているわけです。特に女性観の部分は一読に値します。しかし、この部分は、おそらく誤解されやすい部分です。現代では、もはや断片的にこの種のコメントをこのような形で述べることは許されないかもしれません。特に、「個性」ではなく「型」を重視する部分、そして日本女性を人形と捉えた部分(47ページ、125ページ)は、もはや現代の日本人には少なからぬ反感を引き起こす部分なのかもしれません。またステレオタイプ化した国民性の過度の一般化とそれへの依拠は議論を巻き起こす部分でしょう。しかし断片に現れる見解を、その基底の部分で支えているのは、著者の日本に対する美意識です。悲しいかな、この美意識を、谷崎が取り上げる具体性の中で再体験することは難しいかもしれません。やっと知的営為の産物として、かすかに思い出すことができるといったところでしょう。この全体的な哲学への理解なしで、これらの断片への好悪やその古めかしさを取り上げても、それは野暮な行為というべきでしょう。ここでは、これまでは不思議としか思えなかった鉄漿すら必然として説明されているくらいですから。そして、忘れてはならないのは、全編、著者のユーモアがさりげなくちりばめられています。
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夏の庭―The Friends (新潮文庫)
・湯本 香樹実
【新潮社】
発売日: 1994-03
参考価格: 420 円(税込)
販売価格: 420 円(税込)
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・湯本 香樹実
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カスタマー平均評価: 4.5
色鮮やかに 「人が死ぬところを見てみたい」
純粋な好奇心から、近所の一人暮らしの老人を観察し始めた3人の少年。
やがて老人と少年たちの間に友情の様なものが芽生える。
老人と過ごす時間の中で、少年たちは成長して行き、
老人自身も余生を積極的に楽しみ始める。
荒れ放題だった老人の庭は鮮やかに美しく変わって行く。
彼らの生活が色づいていくのに比例するかのように。
少年たちが老人から多くのことを学び、それぞれの
問題を解決できるまでに成長する姿が読者に光を与える。
また、老人はただの老人ではなく、歴史を抱く一個人であるとこの作品は教えてくれる。
そして何より、子供時代の夏の風景がリアルに思い出され、タイムトリップしたかの様な感覚を持つ。
雑草、蝉、プール、スイカ。
放置されて腐臭を放つゴミ袋。
私の力量不足かもしれない。
言葉でその良さを表現するのは難しい。
ぜひ一度読んでみてほしい。
美しい日本語 もちろんストーリーに引き付けられる部分も大きいのですが、日本語ってこんなに美しい表現力を持つ言葉だったんだと感じさせられた本は始めてかもしれません。
この作品は出来れば音読して欲しいと思います。
児童文学ですが、この作品の良さが実感出来るのは大人になってからかもしれません。
おばけは重い 私も、おばけってふわふわして軽いものだと思ってました。
重かったら…確かにもっと怖い気がする。
「もうすぐ死にそう」と言われているおじいさんの死を見ようと、観察する三人の少年。
でも観察しているうちに、おじいさんがどんどん元気になっちゃいます。
最初、家とコンビニの往復しかしていなかったおじいさん。
三人の少年と関わっていくうちに、八百屋や魚屋にも行くようになって
ついには少年たちをひきつれて電車にのって遠出もします。
この行動範囲の広がりとともに、おじいさんの人とのつながりも、少しずつ増えていきます。
人ってひとりでは生きていけないんだなって、思いました。
当たり前のことかもしれないけど、なかなか改めて実感することって
ないような気がします。
そして最後の最後、
山下くんの「夜中にトイレに行くのが怖くなくなった理由」にしてやられました。
私の気持ちを見事に「ぼく」が代弁してくれていますので引用します。
「チクショウ、山下、おまえってやつはどうしてそうなんだよ!」
まさにそんな感じです。
映画化 この作品は中学一年の時からずっと読んでます。図書カードには「夏の庭」しか書いてないほどでした。小学生の仲の良い三人組がひょんな事からおじいさんの死ぬところを見ようとする。そこから始まるひと夏の物語。最後は感動のクライマックス。そこに惚れました!
よい本でした いい本を読んだな、というのが読後の感想です。少年三人とおじいさんというところもとてもよかったです。これが少女三人だと、ここまで透明感がないというか、純粋でなくなるというか(すいません、少女の皆さん)。この男の子たちはこのままでおじさんになって、おじいさんになるんでしょうね。生命がいちばんきらめく夏を背景に、死というものを、まっすぐな少年の目をとおして読者の私自身も見れたこと、平凡な生涯にこそ語りきれない生と死が、たいへんな重さで、そしていとしさをもつことを教えてくれた一冊でした。
この少年たちと同じような年頃の方、そして、彼らと同じような年齢のお子さんをもつ親御さんに。
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沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)
・山崎 豊子
【新潮社】
発売日: 2001-11
参考価格: 620 円(税込)
販売価格: 620 円(税込)
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・山崎 豊子
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カスタマー平均評価: 4
情念と情景と・・・。 実際に目の前にしているかのようなアフリカの自然と会社の理不尽な仕打ちに慟哭する主人公恩地の情念の描写が絡み合いながら、それこそ息もつかせぬテンポで進むストーリー。
この分量を忘れさせるほどにぐいぐい引き込まれ、「アフリカ編」一気に読みました。
「アフリカ編」の最後は意外とあっけなく・・・な感じでしたが、読み応え有るビジネス小説です!
元・駐在員家族として…。 本作は、全5冊からなる「沈まぬ太陽」の第1部(上下巻)であり、
筋を曲げない硬骨漢の恩地元が、会社組織の中で味わう10年にわたる苦難を描きつつも、
全体の中では、第3巻・御巣鷹山篇の前フリの役割を担っているともいえます。
国民航空社のエリート・恩地が、労組委員長の職責を全うし、従業員の待遇、
すなわち空の安全を軽視する経営側に対し、正義感から激しい権利擁護活動をする。
これら本書の労組・不当労働行為を巡る部分は、労働法の勉強の教材になりそうです。
しかし、その報復人事として、パキスタン・カラチ支店への異動を命じられ…。
物語は、現赴任地ケニア・ナイロビでの野生的かつ空虚な生活が描かれつつ、
臥薪嘗胆の日々が回想されていく…。玉にキズなのは、回想がかなり長く、
やや間延びした構成とも取れる点でしょうか。
本書は、個人の尊厳に対する組織の過酷な仕打ちが克明に描かれており、
大多数の従業員の冷たい視線や理不尽な言動に、宮仕えの悲哀を感じさせます。
もっとも、本編で十分に描かれた国民航空の陰惨な実態が、第3巻、
御巣鷹山の悲劇の前提条件を形成していくという主張が、言外に込められています。
また、個人的に感銘を受けたのが、海外駐在の苦労や、
恩地の家族(妻と兄妹)の心情がリアルに描かれていることです。
私事ですが、私も幼時にのべ11年、アジアの3都市で父親の駐在に付き合いました。
幸い報復人事ではなかったよう(笑)ですが、母と私、妹(恩地家と同一の構成)は、
度重なる引越しや転校が嫌で、私などは情けなくも毎度メソメソしていました。
思うに、本書に表れた、発展途上国での生活の実態、それに対する家族の感情はリアルです。
同時に、おそらく屈託なく仕事をしていたように見えた父も、
少なからず異文化との接触、狭い社内での軋轢に耐えていたのではと推測します。
そういう意味で、本書と第2巻は、私にとってかけがえのない書物です。
そして、現在僻地で頑張る駐在員の方は、ぜひ、お子様に本書を差し上げて下さい。
私は約20年前に本書に出会いたかったです。
これから、すぐに(2)を読み始めます 筆者も心待ちにしていた映画化が実現するとのニュース。
筆者も心待ちにする、これまで映像化が何度も流れてきた、
そんな紆余曲折を耳にし、これは面白いに違いない!と同書を手にしました。
面白いです、実に面白いです。
登場人物も一人一人が丁寧に
描かれており、一気に読みきってしまいました。
これから、(2)をすぐに読み始めます。
物語にのめり込みながら、企業と政治、官僚の癒着構造もわかる名著。 全5巻ですが、のめり込むように一気に読めます。
あくまでフィクションということにはなっていますが、取材と事実に基づいた物語は、
この日本に生きる我々に、数多くの課題をなげかけています。
ほかの先進国の政界や企業、官庁では考えられないような利権、裏工作、癒着の構造。
それを糾弾するどころか、加担さえするジャーナリズム。
主人公にまつわる物語もかなり読み応えがあるし、
御巣鷹山事故の部分は涙なくしては語れませんが、
それより作者が書きたかったのは、こうした日本社会の暗部と
それを変えられない憤り、虚しさのようなものだと思いました。
できるだけ多くの日本人に読んでいただきたい本です。
組織と個人の関係を考えさせられる一冊 御巣鷹山事件を題材に、組織が有する不条理が如何に多くの個人の尊厳を踏みにじるかが綿密に描かれています。
将来の出世を約束されながらも自らの信念を貫き通す主人公が、労組問題をきっかけに海外僻地に追いやられ組織から駆逐されていく過程が生々しく語られていきます。御巣鷹山事件というひとつの事件を、一組織にまつわる事件としてのみならず組織外の政府、顧客、従業員やその家族まで含めた社会の一風景として絶妙に切り出している点が臨場感を高めています。
一体どうしてこのようなことが起こりえるのか、会社とは「誰」なのか、主体のない組織が如何に狂気じみた存在か、サラリーマンとして深く考えさせられます。特定の個人や組織だけでなく誰もが有し得る不条理が組織の名のもとに個人の運命を翻弄する様が描かれており、多くの方のレビューにある通りフィクション・ノンフィクションの議論はあるものの、本書は組織と個人の関係を考えさせられる社会心理学的な良書ではないでしょうか。
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沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下) (新潮文庫)
・山崎 豊子
【新潮社】
発売日: 2001-11
参考価格: 700 円(税込)
販売価格: 700 円(税込)
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・山崎 豊子
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カスタマー平均評価: 4.5
沈まぬ太陽2 アフリカ編(下) 主人公に対する、執拗な会社側の理不尽な報復。これに対して、自分を信じる仲間のためにも信念を曲げず、私腹を肥やす会社側に与しない姿が感動的です。実際には、主人公のようにされることはないと思いますが、少しでも報復人事等を経験した人は勿論、そうでない人も共感できると思います。また利益一辺倒の昨今、品質安全問題にも視野に入れたこのシリーズは、時代背景にかかわらず感慨深いものがあります。
会社の非情さが赤裸々に書かれる パキスタン、イラン、ケニアと、恩地の海外たらい回しの旅は続く。
組合の副委員長として共に闘った同期の行天は会社側に寝返り
順調に出世を重ねていく。
そんな中、1972年に国民航空の旅客機がニューデリー、ボンベイ、
モスクワと連続して事故を起こす。事故調査班として現地に派遣
された国民航空社員の苦闘が書かれる。
しかし、事故原因をパイロットのミスとする社員の考えは無視され、
会社には空港設備の不備であるとの報告が出される。また、事故
原因調査に同行したパイロットが、同じパイロット仲間を擁護する
ため、自分の目で見た事実を信じず、執拗に仮定の想像を繰り返し、
空港設備に責任を求める姿にはあきれてしまった。
このような体質が、日本航空(作中では国民航空)123便墜落事故
に繋がって行ったのではないだろうか。
やがて、恩地に日本帰国の話が出てくる。しかし、それは会社側が
折れた訳では無く、連続事故の背景に国民航空の労使関係が影響
しているのではないかと国会で追及されたからであった。会社として
は、更なる僻地へ追いやる計画もあったようだ。
家族との別れ、出世を重ねるかつての仲間、海外で一人仕事をする
孤独、日本で会社に差別されながらも頑張っている組合の仲間、様々
な思いが積み重なり、恩地は精神的に追い込まれていく。
執拗な報復人事、組合つぶし、安全軽視の体質など、会社の非情
さが赤裸々に書かれるアフリカ篇。
そして物語は運命の御巣鷹山篇へと続く。
続きが楽しみ 合員の待遇改善を目的に組合活動を活発に行ったことからアフリカに10年以上飛ばされていた主人公の恩地が組合員の働きかけでようやく帰国できるようになった。
アフリカ編(下)は読中爽快であったがその後はどうなるのか…楽しみである。
この面白さは最後まで挫折がないことは間違いない。
よかったが 色々な登場人物が出てきたが行天と主人公の対比
がよかった。
行天も主人公から見るとうまくやっている奴のようではあるが
彼には彼なりの信念があるのだと思う.
失礼ながらアフリカに左遷というのがどうも自分から見ると
それほどつらいことには思えなかった。
愛読書 実際、一度友人に借りて感動し、
どうしても自分の本棚に仕舞っておきたくなった書籍です。
全5巻を2回通り読んだことになります。
5巻で一つの物語である為、
各巻ごとの評価、というものは出来ません。
ノンフィクションであることで疑いなく沁み込んでくる内容。
疑いはないが信じられない現実が1ページごとに紐解かれていきます。
傑作です。
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[ 文庫 ]
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大聖堂 (中) (SB文庫)
・ケン・フォレット
【ソフトバンク クリエイティブ】
発売日: 2005-12-17
参考価格: 890 円(税込)
販売価格: 890 円(税込)
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・ケン・フォレット
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カスタマー平均評価: 5
人々の苦悩が分かる作品 大聖堂(上)から続く内容が気になったので読んでみたらやはり上手くまとまっている印象を受けた。全員が全員幸運になるのではなく、ひたすら悪い奴もいればひたすら良い面と悪い面がはっきりと分かれた人物も多くいる。こうした宗教歴史に関しての小説は信教との結びつきが強いイギリスならではの作品というのも納得がいった。前回とは話の中心になる人物が異なってきているが、それぞれが違う生い立ちから同じ出来事に対しての心情変化が比較できるのが何よりも面白い。それがこの物語の奥深さを感じさせる大きな要因なのだろう。下巻の展開が楽しみである。
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[ 文庫 ]
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若妻と誘拐犯―密室の43日間 (フランス書院文庫)
・夏月 燐
【フランス書院】
発売日: 2005-12
参考価格: 630 円(税込)
販売価格: 630 円(税込)
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・夏月 燐
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カスタマー平均評価: 5
秀作 レビューを読んで購入しました。若妻が数限りなく陵辱を加えられていくのが、サクサク
(ザクザク)ある意味、たんたんと進んでいくのがいい。この種の作品では、中途半端な
登場人物の背景・環境などが入ると興ざめだが、それも最小限。
したがって、これでもかこれでもかと若妻が責めまくられる。陵辱回数がさりげなく回数
カウントされるのが、昂奮する。さすがに、終盤は息切れ感があるが、とにかく、一人の
女を手に入れ、やりまくる主人公に、ひたすら脱帽です。
大のオススメ作品です。
完・全・凌・辱のオビに偽りなし 実はストーリーらしいストーリーはない。なぜなら冒頭でストーカーの主人公が若妻を誘拐し、夫の転勤で海外に行ってしまうまでの43日間にわたって凌辱しまくるから(その間、夫は勤務先での下準備のため不在)。誘拐は犯罪だが、ここで日数を決めていたり、ところどころに出てくるヒロインへの愛情表現と努力みたいなところに、主人公のギリギリの誠意というか、歪んだ愛情みたいなものを感じさせる。つまり、あくまでも主人公はヒロインを愛している、というポジションに立たせている。エッチシーンは、もうふんだんという表現を通り越して、いつでもどこでも状態。朝から晩まで、などというありふれた表現ではなく、寝かせてくれない、仮に寝かせてくれてもその間中、そして起きたらすでにその最中、という徹底ぶり。ページのどこを開いてもそのシーンである。媚薬を使うシーンも多い。しかし、体だけでなく心も侵食されていくヒロインは、最後の最後に決断をする(その決断は、まぁ、予想されるものだが)。ここまで余分なものを排除して(登場人物は、ほぼ主人公とヒロインのみ)凌辱に徹した作品も、現実的にどうかはさておき、官能小説としてはアリだと思う。目からウロコが落ちた。
不快だけど、気持ちいい!? 暴力や無駄な他人があまり登場せず、ねっとりと感じさせてくれます。
催淫剤や弛緩剤等ずるい小細工もフィクションならでは。
安全・安心・検査済みな健全で、なおかつウフフな催淫剤が本当にあるなら
ぜひ使いたくなりますね(^O^)
気に入った女性をモノにするための主人公の努力がさりげなく書いてあり
オババはつい感動!?しましたが、43日はちょっと長すぎるかも...
ねっとりしたHが前編に渡って繰り広げられます。 冒頭から、ねっとりしたプレイで誘拐した人妻をもだえさせます。ぺーじが進む事に体への陵辱だけではなく、精神への陵辱もよりねっとりとしたものになり、中だるみなどもなく最後まで楽しめます。
描写が生々しくて良い 初めは犯されつつ嫌が追うにも感じてしまうヒロインが非常にいい。
それが、段々体が馴染んでしまい、貫かれるたびに絶頂・・・たまりませんねえ。
最後は、もう一ひねり欲しいところでしたが、登場人物が少ないのが返って幸いし、
主人公とヒロインの濡れ場に集中できました。
全編、無駄な話が無く、こういう種類の小説としてはかなり良いと思います。
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