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[ 文庫 ]
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他諺の空似―ことわざ人類学 (光文社文庫)
・米原 万里
【光文社】
発売日: 2009-05-12
参考価格: 600 円(税込)
販売価格: 600 円(税込)
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・米原 万里
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カスタマー平均評価: 4.5
やはりジョークの切れがよい 2003?6年にどこかの月刊誌に時々穴をあけながら連載されていたエッセイのようです(少なくとも1年に5?10編。著者の「満身創痍」という言葉の使い方から類推。訃報を聞いた時はびっくりしたけれど)。
人間が作る「諺」のパターンには、欲や愛憎が絡んだものは世界共通でありながら、「捨てる神あれば拾う神あり」といったものは日本独特ださうです。そんな諺をネタにした切れのよい小咄(ジョーク:多くはシモネッタ)のあと、同じような意味を持つ世界の諺を紹介し、オチをつけるというパターンの読みやすい本です。
ただ著者の面白さは、通訳という職業を介して日本人と他の国の人とのギャップをうまく紹介するところにミソがあると感じているので、政治への批判は個人的にはやや不快でした。そう思いながら読んでいても、オチでは吹き出しそうになっていましたが。
そうこう言っても読了してみれば、サブタイトル通り、ちゃんと人類学になっているような気がします。
諺で世相を斬る ことわざを網羅的に紹介する、腑抜けた本も多数あるが、本書は2003年から2006年の日米関係やロシアの政治を中心に、諺という刀でバッサバッサと政治や社会を切っていく。そしてフランス小咄のような「お色気」(がちょっと度が過ぎていることもあるが…)もあり、その筆力・見識・知識とウィットに圧倒される。
こうして米原さんが書き残して下さったおかげで、無意味な死にならずに浮かばれた「無名の人々」もいると思う。感謝したい。また、こうして生きている私たちが1999年からの激動の10年を振り返るとき時の、良き羅針盤になる本だと思う。
繰り返し読みたい名著だ。
米原万里流「多事争論」:小噺+各国の諺+政治批評 小噺(こばなし)で始め、小噺に関連する日本&外国の諺を列挙し(太文字で印刷)、最後に強烈な政治批評でしめる、という感じで書かれたエッセイ集です。(何本か例外はありますが)身近な諺が如何に普遍的なものなのか、卑近な小噺の世界をズーム・アウトすると如何に国際情勢についても言い当てられるものなのか、について考えさせられました。
そして、本書は米原流「多事争論」なんだな、とも思いました。「自由の気風は唯(ただ)多事争論の間に在りて存するものと知る可し」(→「自由の気風は必ず反対意見が自由に発表され、少数意見の権利が保証されるところにのみ存在する」)という福沢諭吉の言葉を(自らの死期を覚悟して)体現しようとされたのではないか、と思います。本書の内容は2003?2006年の国内・国際事情が色濃く反映されており、当時の権力者達にかなり毒づいています。(そこで本書の好き嫌いが分かれるかもしれません...) 現在(2009年)も米原さんがご存命なら、どの様に書き続けられていたか(or 書かれたモノを振り返ったか)、興味があるところですが、そういうエスプリの効いた文章がもう読めないのは残念です。
痛快 日本を覆う白か黒かの劣化したマスコミの論調とそれと裏腹の小児病とでもいうべき病に人々が罹患しているのではないか。と思いたくなる騒がしく、しかし空虚な状況の中で、遺作とはなったがこのような本が残されたことを感謝したい。
.タバコについて。昭和30年代、東京の肺がん発症率はロンドンの百分の一であった。それが、急速に増えたのは何故か。喫煙人口が増えたわけではない。増えたのは車である。
しかし、車には誰も文句は言えない。
.詐欺が流行っているが、詐欺師はカモにすべき相手の世俗的欲望を適当に刺激する。(欲深いが何回も引っ掛かるので納得)
最大の詐欺師は、元総理大臣であろう。あまりに大きな詐欺であったので解りにくかったし、人々は騙された事を認めたくなかったが、アメリカの惨状を前に見たくもないものを見ざるをえなくなった。(また、騙されるかも)
.世界最強の軍事大国アメリカの「国際テロリズム」という物語。(蟻が国際的脅威となるものか)
これについては、エマニュエル・トッドの分析が紹介されている。端的に言えば、この「テロとの戦い」という虚構の正体は、アメリカの脆弱な経済なのだ。幽霊の正体見たり枯れ尾花。
他に多数あり。期待されたい。
大人の人間が一人不在となったのは寂しいことだ。継ぐのは佐藤優か。
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宿命 (講談社文庫)
・東野 圭吾
【講談社】
発売日: 1993-07
参考価格: 650 円(税込)
販売価格: 650 円(税込)
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・東野 圭吾
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カスタマー平均評価: 4
話に引き込まれます。 いかにもミステリーというストーリー展開で、導入部分で惹き付けられてそのまま話に引き込まれたって感じでした。
ちょっと全体的に暗い印象でしたが面白かったです。
ただどこまでも報われない主人公がちょっとかわいそうでした。
衝撃のラスト 東野さんの作品を読むのは2作目でしたが、とても面白かったです。
殺人事件自体の謎解きも面白いですが、二人のライバルの皮肉な宿命が衝撃的でした。
途中から大体の展開は予想出来ましたが、それでも終章を読みながらドキドキしてしまいました。
最後の一文にこの物語の全てが集約されているような気がしました。
あんまし・・・ 本の裏に書かれている内容を見るとすごく興味をそそられました。
しかしあんまし良くなかったかな?所々ワクワク感はあったけど
登場人物が多すぎて混乱しました。
二人の「宿命」 子供の頃から宿敵で、境遇が全く違う二人の男が、長い年月を経てとある殺人事件が起こり、捜査する者とされる者として出会う。
自分の初恋の女性が、宿敵の妻となっている現実は、主人公である「捜査する者」勇作にとってはあまりに酷。
そんな勇作が、殺人事件に何らかの形で、勇作の宿敵であり「捜査される者」晃彦が関わっていると感じ、探り出そうと動く様子を読んでいたら、「犯人は誰か?」ということ以上に、「勇作と晃彦の関係はこの後、どのような結末を迎えるのか?」に興味を持っている自分に気がつきました。
そんな二人の結末は、意外なのもあり、「ラストはこれが一番いいのだろう」と納得したのもありました。「宿命」という言葉が、とても重く感じる結末でもあります。
ただ、同時に寂しさを感じた部分もありました。
もしこのストーリーに続きがあるのなら、「全敗だ」と語ったある登場人物の、未来が明るいものになっていることを願って止みません。
宿命とは 最後の設定に「おお!」と唸ってしまったが、宿命という題名のとおり犯人探しというよりも、「血縁」というか「運命」というか人間同士の不思議な繋がりがテーマになっているように感じる。実験の件は現実感がなく、「こんなことはありえない」という物語だが、ラストのもっていきかたに好感がもてるし、後味も悪くない。
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一瞬の光 (角川文庫)
・白石 一文
【角川書店】
発売日: 2003-08
参考価格: 780 円(税込)
販売価格: 780 円(税込)
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・白石 一文
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カスタマー平均評価: 4
ありあまる なんとなく手に取った本作だけれど、未だにどんよりとした余韻を引きずっている。主人公・橋田のこれまでの価値観が揺らぎ、大いなる裏切りと悲劇(?)へと向かう後半のテンポが圧巻で、一気に読み耽ってしまった。
リアルにそして劇的に進行する大企業の派閥抗争とは裏腹に、人物造形はむちゃくちゃ浮世離れしている。橋田はクールで頭が切れ、長身の二枚目。東大卒で若くして大企業の中枢まで登りつめた超エリートで、ケンカもセックスも強い。もう男からしたらスーパーマンのように「ありあまる」設定だ。彼は周囲の人間を残らず因数分解して、時には暴力や地位を利用して冷徹に切り捨てる。彼が関心のある人物というのは、その「潔癖」な審美眼に耐え得る数少ない有能な人物か、もしくは物語の核となる二十歳そこそこの女の子・香折のように、簡単に読み解くことのできない「ありあまる」過去とパーソナリティを持つ人物しかいない。逆に橋田の、自分の眼鏡に適う人物に対する信頼や愛情は、厚い。
最終的には、絵に描いたようないい女である瑠衣との未来までも、橋田は見切りをつけてしまう。美人で令嬢で料理がうまく、おまけに性格も良いという、これまたやけに「ありあまる」女を。
「ありあまる」知性と潔癖さが手を取り合うと、人は独りになってしまうのだと感じさせるラストだった。
主人公が情けない 主人公は東大出身のサラリーマン。
会社の闇をめぐって繰り広がられる物語の中で、彼の知性の鋭さが発揮される。
賢くてかっこよくて本当にデキる人間なので、彼みたいに賢くなれたらと思った。
かつて師匠であった扇谷と最後に対峙する場面など、鳥肌が立つ。
しかし、この男が物語の一番の核である香折をめぐる話になると、とたんに情けなくなる。
作中の女性に言わせれば、「賢すぎて無理しすぎ」
終盤になると、確かに頭は賢いのだが自分の気持ちに関しては全然わかっていないような印象を受けた。そして結局最後は後味の悪いものになってしまったと思う。まさに後悔先に立たず、という言葉がお似合いだと思う。
とはいえ、世界観がしっかりしていて、会話のやり取りなどもウィットにとんで面白かった。
他の作品も読んでみたくなる 最後まで読み終えるとなんとも言えない感じになります。
男社会で仕事に生きる超エリート主人公が最後こんな人生になるとは正直びっくり。
お金有り、令嬢と訳ありの女の子とのダブル恋愛ありと、男にとってロマン街道まっしぐらの主人公。
次第に選択を迫られてくる辺りから「次はどうなるんだ、で次は」とページをめくる手が止まらなくなります。
しかしどうなんでしょうね。
男から見ると面白いと感じるこのストーリー、女性からするとどう映るのか。
香折でも瑠衣でも、どちらに感情移入しても切ない気持ちになるのですかね。
瑠衣が最後の別れ際に言うセリフなんて、とっても悲しいものですよね。
白石 一文さんの作品はこれが初めてで、読み終えたその日に別の白石 一文さんの本を買いにいくくらい私にはいい本でした。
デビュー作とは思えない完成度 人物造型や状況設定などの面でやや違和感を覚えるところもあったが、第一級の現代小説であると思う。(橋田浩介がどうしてそこまで中平香折に惹かれたのか、個人的には本書の内面描写だけではどうもしっくりこなかったことを正直に告白しておく。なお、会社人事をめぐる橋田の行動に関する部分は、そのプロットや描写も含め、実に読み応えあり。)
それにしても、仮に当方が橋田であったら、「私、浩介さんのおもちゃだもん」(文庫版524頁)と云い、「もう、浩介さんにお料理作ってあげられないんだね」(同574頁)と告げて去っていった瑠衣の抜群の肉体を手放すはずはないだろうなと思うこと頻り。
なお、文中のウィリアム・ジェイムズ『宗教的経験の諸相』からの一文(同453頁)は、心に残る至言。「なにか大事が起きたとき、人は自問自答して、多くの人は“誰かがことにあたるだろう”と考えるが、稀には“なぜ自分がことにあたらないでおられよう”と考える人がいる。この両者のあいだに、人類の道徳的進化の全過程がある。」
くさい ちょっと格好つけすぎで、格好のつけかたが的外れで、くさいという印象が、拭いきれずに、途中で読むのが嫌になってしまった。
設定に、ときどき無理がある。「その設定はおかしいだろう。」と、興ざめでストーリーに入っていけない。取材不足ではないだろうか。
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つきのふね (角川文庫)
・森 絵都
【角川書店】
発売日: 2005-11-25
参考価格: 460 円(税込)
販売価格: 460 円(税込)
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・森 絵都
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カスタマー平均評価: 4.5
未来への船 学校で書かされる「進路希望調査」には、
いつも不安にさせられていたことを思い出しました。
たくさんチャレンジしてみたいことはあるのに、
あの紙にいざ書こうとすると、何も思い浮かばなくなってしまった覚えがあります。
だから、さくらが進路希望欄に「不明」と書いた気持ちに深く共感しました。
未来への漠然とした不安が、この物語では繊細に描かれています。
心ならずも親友を裏切ってしまったことで落ち込み悩むさくら
穏やかで優しくて、でも心に傷を持ち全人類が乗れる宇宙船を設計し続ける智さん
うっとうしいけど憎めない、尾行というちょっぴり不気味な趣味を持つ勝田くん
万引きや薬の誘惑に負けてしまうさくらの親友梨利
みんなそれぞれ現実に悩んでて、未来とうまく向き合えない
そんな登場人物たちの姿は自分と重なるところがあるように思います。
「この世にはあいまいにおかしい人などいくらでもいるのかもしれない」
という言葉が印象的でした。
最初、宇宙船に乗せてね、と智さんに頼んでいたさくらの心境の変化も
心に残る場面でした。
銀のバレッタに手紙、古文書など小物の使い方がすごくうまいです。
夜の水たまりに浮かぶ「つきのふね」がとっても素敵です。
ノストラダムスw ストーリーの中心付近にノストラダムスの大予言があるってのが微妙だよなぁ。
小説の中とはいえ、中学生になってもあんな与太話の影響を受けるなんてゆとり教育のなせる技か?
中学2年生の語り口! 本作は、親友梨利と仲違いして危うい精神状態にある主人公さくらと、
同じように脆くてうまく周囲と適応できない3人の仲間の、
奇妙なようでピュアな友情を描く青春小説です。
本作で印象深いのは、狭い世界に囚われているようでいて、
物事の本質をしっかり捕まえているように見える、さくらの語り口です。
梨利との仲直りにはなかなか踏み込めないものの、
智と勝田というイタイ(笑)男たちに向ける目線は、
ときに温かく、ときに冷静で大人びています。
ノストラダムスの予言(懐かしい…)が囁かれる1998年、
中2の自分の世界が壊れてしまいそうな、本人たちにとっては重大な出来事が相次ぐ。
さくら(と勝田)が、その解決のために懸命に町を疾走する様子、
そして終盤の怒涛の展開は、パワーに満ちていて読み応えがあります。
優しいのか激しいのか。 森 絵都という作家らしさが凄くでている作品のようには、感じます。
優しいのか激しいのか。
他の作品では、もっとちらっとしか見えない作者の激しさがかなりむきだしになっているような。
その点で、好きな人には、もっとも好きな作品かもしれません。
でも、物語の核となっている智の手紙の、最後の2行が余分だと思います。
あれは、子どもはかかない言葉だと感じます。
幼い子どもらしさを、「は」と「わ」・「チェロ」を「チョロ」とわざわざ間違えることで出そうとしてるのも、智が勉強もよくできる子どもだったことを考えると不自然な気がしました。
みんな傷ついている 角川の夏の100冊のうちの1冊だった。
ブックカバーがほしかったので、適当に選んだ。
読み始めてノストラダムスの話から始まったので
これは・・・ライトノベルなのか?と、思いきや
ノストラダムスの件(くだり)は、こころの不安を暗示していたのかと得心した。
万引きグループから抜け出せない友人と
万引き現場を見つかってつかまってしまい、
その事務所から逃がしてくれた青年の心の闇
主人公と友人をストーカーのように尾行する少年。
それぞれが、それぞれの心の傷と闇を持っている。
テーマは、暗澹としているのだが全体として美しい音楽のような本だった。
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最悪 (講談社文庫)
・奥田 英朗
【講談社】
発売日: 2002-09
参考価格: 920 円(税込)
販売価格: 920 円(税込)
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・奥田 英朗
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カスタマー平均評価: 4
痛いほどリアル オリジナルは1999年2月リリース。文庫化は2002年9月15日リリース。
奥田作品で毎回感心するのは人物描写が完璧だ、という点だ。ここに登場するまったく接点がない3人の日常生活の人物描写があまりにもリアルで、とてもフィクションとは思えないほどだ。これは奥田作品全部に共通した特徴と言える。まさに『痛いほどリアル』だ。
複数の登場人物を時間軸をずらしながら小説を創り上げるのを得意とする作家で思い浮かぶのは、ぼくの場合伊坂幸太郎だが、奥田秀朗の場合、伊坂のように時間軸をずらしてストーリーがねじれをもって進行するのではなく、3つの世界が同時に進行してるように感じられる。つまり、描いているモノのリアリティがそう感じさせているように思える。逆に言えばリアルな3人の末路は予想どおりで、若干残念な気がぼくはする。
そうは言ってもこのリアリティだけでも読者を惹き付ける魅力は十分だろう。読むのが辛くなるリアルさが悲しい。
確かに最悪なのだろうが・・・ 日々の齟齬を看過することで取り返しのつかないうねりとなっていく様は圧巻です。
三者の群像劇のくだりは淡々としながらもかなり読ませる。三者の人物描写は過剰なほど周到に描写されている。結末への仕掛けとしては充分すぎるほどの分量を用意している。ただ、その群像劇が終盤には集約されて行くのだが、その仕掛けが功をなしたとは言えないほど拍子抜けする場面設定を結末に配置している。生い立ちも現在置く生活もまったく異なる三者を結末に集約するのは無理があるのではなかろうか。三分割にして三者三様の「最悪」な結末を用意してくれたほうが有難い。
傑作人間ドラマ なかなか分厚い頁量だったので、ゆっくり時間をかけて読もうと思っていたのですが、
どんどん加速度がついていき、気がつくとあっという間に読了してしまいました。
三人の主人公がそれぞれ徐々に人生の坂道を下っていくわけですが、まず何よりその
人物描写と心理描写の巧みさ。
特別肩肘張った語彙を乱発せず、的確にかつ軽快に彼等の生活や心理状態を描き出しており、
読み進めるほどに彼等の存在が具現化していく錯覚を覚えていきます。
最初はトゲが刺さったくらいの人生の道が、後半、怒濤のように急勾配の坂道を転げ落ちる様子。
特に三人が交錯してからのクライマックスは、気の毒を通り越して声を出して笑えるほどでした。
ありえないだろ!と思いつつも、いや、川谷さんならやりかねん、とか思いながら読んでいる自分がいました。
それまでの地味で暗い降下具合から一気にぶっ飛びます。
この緩急の付け方も絶妙。
終盤、ホロリとさせる場面もあったりと、どちらかというと人間ドラマに近い感じですね。
自分的にはとても楽しめましたが、殺人事件やミステリー、サスペンスなんかを期待して読んだ人は
もしかしたら物足りなさを感じるかもしれません。
背筋が寒くなる。 奥田英朗と言えばイン・ザ・プールや空中ブランコのイメージだったので、本著も同様に大いに笑わせてもらえると思っていたので、川谷、みどり、和也、それぞれの最悪の状況のシリアスな描写に最初は若干戸惑いました。
ただ、窮地に陥った時の3人それぞれの言動や考え方のハチャメチャ振りは伊良部先生のキャラクターに通じるところがあり、別の意味で笑わせて貰いました。
根っからの悪人ではない3人が、ヒョンな切欠で堕ちていく様子はやけにリアリティがあり背筋が寒くなるほど上手く描かれています。
奥田英朗の底深さを感じさせる作品です。
テンポがいい 結構分厚い作品だけど続きが気になってあっという間に読めた。川谷、みどり、和也の三人が銀行で交錯してからの奇妙な関係がおもしろかった。
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スカイ・クロラ (中公文庫)
・森 博嗣
【中央公論新社】
発売日: 2004-10
参考価格: 620 円(税込)
販売価格: 620 円(税込)
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・森 博嗣
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カスタマー平均評価: 4
読みたい順に あえて、出版順に読まず、時系列で読んでみました。
でも、5冊の読後感という観点からは、どこから読んでも良いのではないか?
と感じました。
金太郎飴みたいな感じです。
ただ、細かいけれど、重要な伏線は、出版順に読んだ方が味わえるかもしれません。
とにかく楽しめます。
空は遠い 実は、映画を見てから読みました。
飛行機に詳しくない私には、専門用語はさっぱり解りません。
映像を見た分想像しやすくなったので、正解でした。
読み始めると想像以上に面白く、シリーズを一気に読んでしまいました。
無限ループの軌道に乗ってしまって現在三週目です。
刊行順第一作目の「スカイクロラ」。
淡々と、時に詩のように語られるキルドレの生と死。
その向こうに何が見えるのか。
自分の命を懸ける自由も勇気も持ち得ない大人の私は、例えそれが大人にならない子供達に与えられた数少ない選択肢の一つであったとしても、自分の思うままに、機体に自らの命一つを載せて空へと駆け上がって行く彼らの姿を、羨ましく眺めてしまうのです。
最後の数行、母に甘える幼子のような純粋で愛らしくすらある言葉が、心に響きます。
空を飛ぶイメージ シリーズの内、何巻が最終かどうかなど構成方法については、いろいろ意見が分かれると思います。
作品や作者の分野が何かと言うことには興味はありません。
ただこのシリーズは空を飛ぶことをイメージできる人は素直に物語の中に入り込めると思います。
インメルマンターンとかバレルロールとかのマニューバ関連の言葉とか、エルロン、ピッチなんて航空用語がイメージできないと読んでいて楽しくないと思います。
それくらい飛ぶことについては丁寧に書かれています。
エレベータと聞いてデーパートを思い出すようだと、文体とか作者の過去を引き合いに出したくなるんじゃないでしょうか。
空を飛ぶことをイメージして楽しめる人には、お勧めの本です。
きっとシリーズ全巻を一気に読みきれるでしょう。
そのくらい空を飛ぶことと、空に居ることを丁寧に書いている本です。
シリーズ全作と他の方のレビュー読後の感想 作品内容については、文体にしか触れていません。読まれる方はご注意を。
初めて森さんの作品を読んだ時は、私も好きになれない文体だなと思いました。
ですが、このシリーズを読んでからは、簡潔だからこそ美しい静寂・躍動が表現できているんだと思っています。
ただ、自分の読解力、想像力が足りないだけだったんだなと^^;
まさに、「小説が映画化されてイメージが壊れた、と思う人は、その程度のイメージだっただけ。」だということではないでしょうか。(←コアかな^^;)
小説なんだから、その作品を書いた人、その他大勢の読んだ人の数だけ受け取り方があって、極端に言えばハッピーエンドかアンハッピーエンドかすら違ってくると思います。
結局、その小説が好き、っていうのは、その小説を読んで受け取ったイメージが自分好みだったってことで、このシリーズを特に読み込めなかった人や、著者が書きたかったことがわからないと言う人(著者が書きたいことなんて知る必要は無いし知ることなんてできないと思いますが)は、ただ文字を読んだだけだったのではないでしょうか。
このシリーズを教科書のように読んでも、時間を無駄にするだけかと思います。
私はこのシリーズを読んで、空が好きになりました。
限りなく言葉の使い方を工夫している作品 子どもたちが戦闘機に乗り、人を殺す。物語自体現実なのか、主人公の夢なのか、この「スカイクロラ」だけでは分かりにくい。続編も読む必要があるのだろう。
無駄のない言葉、戦闘用語などもあるが説明がシンプル。限りなく言葉の使い方を工夫している作品。
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ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)
・村上 春樹
【講談社】
発売日: 1991-04
参考価格: 490 円(税込)
販売価格:
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・村上 春樹
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カスタマー平均評価: 4.5
ある思い出 村上春樹の作品、その中で真面目に最後まで読みきった唯一の作品です。
それも最初は自分一人で、二回目は患者さんと一緒に。
淡々とした文体で、内容よりも主人公の感情の起伏の乏しさや、周囲への関心の希薄さ、対人関係への関わりの優しげで狡猾な拒絶、そんなところが一読目の印象でした。
そのあたりが生々しい感情の発露を前面に押し出す作品と異なり、長年の統合失調症で言語の解体化、ほとんど「はい」と「いいえ」しか話せない病状、を生じつつある重症の患者さんにも侵襲性が乏しいかもしれないと思い、一緒に少しづつ読むことにしました。
心配された性的表現、今日の目で見ればとても控え目なそれも、にやりと笑ってすらすらと読んでくれたのです。徐々に病状が改善し、少しづつですが語彙が増えていきました。
しかし、ある日突然治療は中止となりました。
身体疾患の悪化でその患者さん、急死されたのです。
彼のために良かったことだったのかどうか、いまだにわかりません。安易に標準的治療から外れることは、慎むべきだと思いますが。
この作品や、賢治の銀河鉄道、なぜかこの患者さんに好まれました。
静けさや悲しさも、文体というフィルターペーパーで侵襲性、破壊性をろ過されているからかもしれません。
しかしそれは、欠点でもあるでしょう、過酷で凄惨な今日を生きる人間にとっては。
ボンボニエール ? 思い出の玉手箱 めくるめく長い月日を経て、自分の全身全霊をかけて愛し抜いた直子という女性の記憶の断片が、飛行機の中で流れていたビートルズの「ノルウェイの森」の曲と共にデ・ジャ・ヴとしてよみがえってくる・・・。
時代は学生運動の全盛期。大学生活を送っている主人公の「僕」は、自殺していった姉や恋人の死に打ちのめされ、まるで三途の川をさまよう亡霊のように生きている直子へストイックな愛を捧げる。
死という荒波に押し流されてしまいそうな彼女を苦しみの世界から連れ出して、二人で明るい生活を築いていきたいけれど、もがいてももがいても「僕」の心の中でずっと咲き続けている可憐ではかない直子という花の花びらが散っていくのを、どうすることもできずに遠くからじっと眺めているような焦燥感と絶望感。
そこはまるでノルウェイの森のように深くて暗い闇の世界。
そして最愛の人を失った哀しみを乗り越えて、新しいパートナーと愛を培って自分の居場所を見つけながら生き抜いていくというラストシーンは、ノルウェイの森という深い暗闇の中に差し込んだ一本の光の矢のように光り輝いていました。
私はこの本を読んでいる時もこのレビューを書いている時も、ずっと涙がとまりませんでした。
「人を愛するという事はどうしてこんなにも切なくて哀しいものなのでしょうね」
んん 村上さんの作品は初めて読みました。というか小説自体をほとんど読んだことがないのですが、小説というものの在り方について考えさせられませた。
小説というものが果たす役割と読者がそれを如何に解釈しているかによって大きく評価が分かれると思います。
私自身が今この小説について簡単に表現しろと言われれば、酒・タバコ・女と男子学生の物語とでも答えますが、性的描写が嫌に頭に残ります。
この物語と同時代を生きた人にとってはこの物語がどう映っているのでしょう。
これが当時のリアルなのかどうか、それが気になってしょうがないです。
ただ、なぜか次が次が気になってどんどん読み進められたので私自身は満足です。単純に非リアルなものに魅かれるのかもしれません。
年末読書三昧 ほぼ二十年ぶりの再読。高校を卒業し、横浜の大学に入学した時に買った本書。ずっと家の本棚の中にいました。今回二十年ぶりに上巻を読み返してみて、記憶に残っているのが、右翼の学生寮と自分のお小遣いで玉子焼き機を買う女の子の話の二箇所だけだったので、本当に新しい読み物として再読しております。村上節は健在で、地下水脈のように彼の文章独特の言い回しが流れており、静寂な世界観が繰り広げられています。まるで枯山水。所々にアクセントがあり、そこで読み手がグットくる仕掛けとなっています。いい読書体験が出来ています。
物語の話は下巻を読んだあとで、下巻のレビューで。
一番好きな小説です 2ヶ月に1回くらい読み返します。
読むたびに切なくなり、深く考えさせられます。
生涯絶対に手放せない本です。
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信長の棺〈上〉 (文春文庫)
・加藤 廣
【文藝春秋】
発売日: 2008-09-03
参考価格: 530 円(税込)
販売価格: 530 円(税込)
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・加藤 廣
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カスタマー平均評価: 4
全巻読みましたがレビューはここだけね 物書きが物書きを通じて「語る」という形式がまず面白い。
決して新しい試みではないが、おそらく本来の書き手(=加藤氏)にとっては、それぞれのキャラクターを、本の中の書き手にどう語らせようか、という作業は、パズルを当てはめていくようなとてもスリリングなものであったに違いない。
歴史小説、というものはある程度「場」が限られており、しかも信長の時代というのは日本史の中でもとりわけ細かく語られている時期でもあるし、なかなか想像力を踊らせにくい状況ではないかと思う。
そこに、「物書き」を主人公としてもってくることにより、その想像力をも加えた形であたかも二重の効果を狙ったのがこの作品ではないだろうか。
登場人物もあまり耳慣れない人々が多い。巻末に付記された参考文献の多様さを見ると、どれほどの下敷きがあったのかがわかり、恐れ多い気がする。
そしてそれらの人々にパーソナリティを与え、大きなミステリーの謎解きに迫っていく手法はとても緻密で読み応えがあった。
信長の遺体はどこに葬られたのか?
冷徹な目のあの英雄がどんな死に顔を見せていたのか?
憎むことも愛されることもとても極端だったこの人間の本性をところどころに鏤めながら小気味よく話が進んで行くのはとても爽快だった。
でもね
どうして
色恋が
それも
交合の
シーンが
必要なの?
そこだけ点を引かせてもらいます。要らないよっ!
日本史上最大のミステリー 『明智光秀はなぜ、信長を裏切ったのか?』
これは日本史上未だ解き明かされない最大の謎の一つだが、
本書は主人公を信長の物語の語り部たる太田牛一の視点で描くことによって、
新たな解を導き出している。
織田随一の武将光秀が裏切った背景にあったもの、
典型的なホワイダニットを解き明かしていく物語は70歳を超える処女作とは思えない意欲作であり、その力に読み手としてぐいぐい引き込まれていくものがあった。
オススメの一冊です。
虚仮(こけ)を虚仮と観じて読み楽しむべき本 津本陽氏が「本能寺の変」はなぜ起こったかで「論理的欠陥」が多すぎると評した本。1.信長の遺体は阿弥陀寺の清玉上人が引き取ったという説、2.朝廷黒幕説、3.本能寺からの秘密脱出路での信長圧殺説、4.秀吉の中国大返しが迅速すぎる謎を組み合わせて物語を構成しているが、2は著者が著作を開始した約10年前の有力説。暦問題を含め公武の深刻な軋轢はなかった、本能寺の変は光秀の単独犯行という説が現在は支配的。上記1?4は津本氏の上記著作や信長は謀略で殺されたのか等で論破されているので、興味のある方はそちらを読まれたい。1点指摘すると、現代でも激しく損傷した焼死体の男女の判別すら困難だから、信長の遺骸が見つからなくても不思議はない。遺骸に執着する主人公の行動が理解できないが、それで本書を蹴ってしまってはおしまい。上記1?4の少数説に、秀吉の出自・桶狭間の戦いに関する作者の推理(どちらも根拠があるとは思えないが)を合体させた空想物語と割り切って読むなら、伏線の張り方の巧みさ等、「ミステリー小説」としてはなかなか面白い。信長が少人数で本能寺に泊まった理由についての推理は傾聴に値する。しかし、本書を歴史の真相に迫った「歴史小説」と捉えるのは危険。例えば家康は本能寺の変後に堺を出発したとするのが定説。何故本書では変の前に出立したとするのか、根拠を明確にした著者の立証の機会を望む。
信長の宗教弾圧を難じる縄田一夫氏の解説は的外れ。司馬遼太郎、塩野七生氏等が説くように、我々が平穏に暮らせるのは、信長が宗教勢力から牙を抜くという荒療治を徹底したからだ。
本書は特に信長・本能寺の変に詳しくない人の入門に適するが、読者は本書での推理にとどまらず、英雄信長の生涯・本能寺の変という日本史最大級の謎への関心を深めることを期待する。
様々な謎の解明を試みた意欲作(異論もあるだろうが・・) 本書は75歳の新人(?)作家による
本能寺の変をめぐる様々な謎の解明を試みた意欲作。
主人公は信長や秀吉に仕え、「信長公記」の著者としても知られている太田牛一。
本書の著者と同様に牛一も70過ぎの老人であり、
信長の謎を追う牛一の姿は次第に著者の分身の様に思えてくる。
そんな牛一が美貌の若い女性に惚れられて子供まで儲けてしまう所には
思わず苦笑してしまったが、
終りのほうで牛一が「老いの妄想とお笑いくだされ」と言ったセリフは、
牛一の口を借りた著者自身の言葉と私は理解した。
本能寺の変や桶狭間の合戦にまつわる様々な謎や秀吉の出自の秘密などが、
テンポ良く明らかになっていき(都合良すぎる展開もあるが)、
最後まで飽きずに一気読みできる。
斬新で大胆な見方 この物語は本格歴史ミステリーといっていいと思うが、過去何回もモチーフにされてきた「本能寺の変」における織田信長の遺骸未発見の謎がメインテーマである。
信長唯一の伝記「信長公記」の作者であり、かつて信長と秀吉に仕えた元武士の著述家、太田牛一が主人公となり、この謎に迫る。
著者は牛一の視点を通して、すでに何人もの作家や歴史家が挑んでおり、いささか手垢がついた感のある「本能寺の変」の謎の真相ばかりでなく、「織田信長」その人の人物評価をはじめ、「桶狭間の戦い」の真相や「太閤秀吉」の出自にいたるまで、客観的・論理的に新しい解釈をしている。本書がベストセラーとなっている所以だろうが、私も「こんな斬新で大胆な見方もあったんだ」と興味深く読んだ。
著者はもともと経済・経営の専門家として、その著述・講演活動や企業の経営指導が高い評価を受けており、この作品が75才にして初めて発表した小説とのことだが、とても作家第1作とは思えない筆力に圧倒された。
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[ 文庫 ]
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猫語の教科書 (ちくま文庫)
・ポール ギャリコ ・スザンヌ サース
【筑摩書房】
発売日: 1998-12
参考価格: 609 円(税込)
販売価格: 609 円(税込)
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・ポール ギャリコ ・スザンヌ サース ・Paul Gallico
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カスタマー平均評価: 4.5
観察眼とユーモア 猫好きで知られるポール・ギャリコの一冊。
「人間から見た猫」ではなく「猫から見た人間」をテーマに、いかに猫が人間をうまくコントロールしようとしているか、ギャリコが皮肉とユーモアをたっぷりと交え、語ってくれる。
これだけ書くと、何だか嫌な感じの本に受け取られそうだが、そんな事はなく、むしろこの本は猫への愛情と尊敬で溢れている。
なぜ人間が猫に魅せられるのか、なぜ猫は人間と共に暮らすのか。
ギャリコは、きっと両者の間にあるものを敏感に感じ取っていたんだろうと思う。だからこそ、猫に魅せられ、この本を書いたのだと。
内容のほうですが、猫好きなら恐らく終始にやにやしっぱなしでしょう。僕は実際そうでした。電車の中で緩みそうになる頬を必死で押さえてましたw
猫が好きでしかたない。そういう人にこそ、この本を読んでもらいたいと思います。
ギャリコが書こうとしている事に、きっと共感できるはず。
とっても猫らしい 最初に読んだのは、単行本で出たばかりの時だった。猫好きにはたまらない一冊ではないかと思う。我が家の猫も捨て猫だったのだが、父親が猫嫌いで飼うのは難しいかと思っていたら、いつのまにか父をたらしこんで?家猫に成り上がっていた。どうやって父をたらしこんだのかと常々疑問に思っていたが、この本を読んで、ああ、こういうことだったのかと納得がいった。本当に猫の立場から書かれている貴重な一冊ではないか。
私は、猫派ではなく犬派なのですが… 猫を飼ったことがありません。
道端の猫に声をかけても、絶対に無視されるか逃げられます。
猫を見て、可愛いと感じたことは、皆無ではありませんが、他の動物より少ないです。
多分、猫との相性があまり良くないのかもしれません。
なんだか、馬鹿にされているような気すらしてきて…。
で、この作品を読んでみたら、分かってしまいました。
私、猫に嫉妬していたのかもしれません。
あんなふうに、気ままにふるまえたらいいなあと。
あんなふうに、クールになれたらいいなあと。
猫に憧れているのかも。
ある意味、この作品、「わたしの教科書」と言えるかもしれません。
猫の気持ち 猫の気持ちを理解できる「猫語の教科書」
まるで猫が書いているようです。
いえ、猫が書いているんです。
そう思って読んでください。
いえいえ、そう信じて読んでる読者が99.9%です。
最高です 我が家の猫のかかりつけの獣医さんにおいてあったものを待ち時間に少し読み、翌日購入しました。
ポール・ギャリコの猫への洞察はもちろん、人間(特に男性…)への洞察の深さに脱帽です。
「猫は好きじゃない」といいつつ私の連れ猫にメロメロになってしまった夫に読ませたところ、夫は納得しながらもなお「でも、ウチのコは特別僕の事が好きなんだ!」と主張しています。
完全に猫の術中にはまっていますね(笑)。
「ありがちな猫もの」ではないと思います、是非是非ご一読を。
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[ 文庫 ]
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ナイチンゲールの沈黙(下) (宝島社文庫 C か 1-4 「このミス」大賞シリーズ)
・海堂 尊
【宝島社】
発売日: 2008-09-03
参考価格: 500 円(税込)
販売価格: 500 円(税込)
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・海堂 尊
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カスタマー平均評価: 3
飲物に例えればビタンサン。 おかえりぃ。
ようやく、白鳥氏のご登場!
田口先生からは怨まれると思うが、多くの読者がこの尊大かつ強引な暴君を待ち焦がれていたに違いない。
あれあれ?
でも、残念なことに白鳥さんは今回、同級生だった加納刑事に抑えられて、前回の火の鳥ぶりはやや抑えられてしまっています。
わがままし放題・・にしようにも、たぶん生態系で上位にあるんでしょうな、加納刑事は。見事に白鳥さんのはちゃめちゃぶりの振れ幅は小さいです。はいとても一般の振れ幅に戻っちゃってます。
ちらほらと超人ぶりは書かれていますが、でも正直、前作のパワーに比べると半減。
事件も、前作のAIを浸透させようという試みに比較すると、なにを言いたかったのかがいまいち薄い。
面白い、標準以上。
でも、なんだか中途半端・・飲物に例えたらビタンサン。
・・・いろんなサイトを見たら本来これは、次回作のジェネラル・ルージュの凱旋とペアの作品だったのを二つにわけたらしい。ははぁ、なるほど。
というわけで、作者の、あるいは編集者のワナにはまって、次回作のジェネラル・ルージュに手を伸ばすのであった・・
血を吐き歌うナイチンゲール 歌の上手な看護師・小夜は、
酔いどれ迦陵頻伽と呼ばれる有名な歌手・冴子と
彼女のマネージメントを務める城崎に見込まれた。
一方、小夜が務める小児科病棟の問題児・瑞人の父親は殺され
警察が調べ始めていた。
「チームバチスタの栄光」の続編として読むと
田口先生や白鳥といった登場人物がそろっているという楽しみと
前作とまったく違うテイストにとまどうという難点がありました。
見事ななぞときで爽快感があった前作に比べ、
小夜たちの歌という脳の働きのラインと
素朴な印象のミステリの両輪は、小粒な感じがしました。
お話としては面白かったですが、前作のインパクトが強かったから
ちょっと残念な感じでした。
境界線を教えるべき大人が、易々と境界線をまたぐことの罪 チーム・バチスタの栄光に続き、ロジカルモンスター白鳥登場。
物語を事件解決に導く...が、推理小説と考えると事件解決の方法は余りにも現実離れしています。
境界線を教えるべき大人が、易々と境界線をまたいでみせたことが、事件を複雑にさせたという総括に関しては同感です。
白鳥を無理に連れてこなくても・・・ 歌声が脳波に与える影響をミステリー化させた
ところに無理がある。
これは小児科の子どもたちの物語としてまとめた方が
無難であったように思う。
医療ミステリーにこだわる必要もなかったのではないかと
感じます。特にこの物語に白鳥さんはいなくてもいいし。
オレンジ病棟物語として描いたほうが感動があってよかった
かもしれない。無理なミステリーは面白くない。
こんな結末ですか。。 白鳥が登場して少し面白くなったが、
盛り上がりに欠けた。
ミステリー小説だと思い読み進めたが、
なんだか納得していないままにフィナーレまでいってしまった。
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