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眠りの森 (講談社文庫)
・東野 圭吾
【講談社】
発売日: 1992-04
参考価格: 580 円(税込)
販売価格: 580 円(税込)
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・東野 圭吾
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カスタマー平均評価: 4.5
東野圭吾お得意の純愛模様も織り交ぜ、読みやすい良作 月9の「ガリレオ」も好調なスタートを切り、今や押しも押されぬ作家となりつつある東野圭吾お得意の、恋愛+ミステリー小説。なんと15年も前の作品で、確かにポケベルの描写はあったけど、携帯電話の描写はまったくなく、15年で世の中だいぶ変わったなぁ、と感慨深くなる作品でもあった。
バレエ団で起きた、傷害致死事件。強盗に入ったと思われる男であったため、正当防衛となるかが鍵である事件だったのだが、様々な証言や捜査を進めていくうちに、状況がほころびていく。そして、バレエ「眠りの森の美女」の稽古中、バレエ団の目の前で第2の殺人が起こるのであった。。といったスタンダードなミステリと、浮世離れしたバレエ団の描写、刑事の加賀とバレエダンサー美緒の東野圭吾お得意の純愛模様も織り交ぜ、読みやすい良作に仕上がっている。
夢を叶えるためには、何かを犠牲にしなければならない 本作は、高柳バレエ団を舞台とする連続殺人・殺人未遂事件の真相解明に、
お馴染み加賀恭一郎刑事が挑むというものです。
バレエ団という、素人考えには非常に華やかに思える集団の舞台裏では、
バレエに全てを捧げたストイックな人間模様が展開している。
そして、加賀をはじめ、捜査官たちの予測は次々に裏切られていく。
ついに真相を見破った加賀の見たものは…。
タイトルの「眠りの森」とは、チャイコフスキー作曲の超有名作品に由来します。
ちなみに、魔法によって100年の眠りにつくこととなった悲劇の姫君の下に、
王子が現れるという筋が有名ですが、本作の「王子」とは…そう、加賀恭一郎なのです。
本作は、終盤の展開の美しさと物悲しさが印象的な、人気のミステリー作品です。
驚きと悔しさと爽やかさが共存している作品 タイトルの「驚きと悔しさと爽やかさが共存している作品」というのは東野作品で「推理小説」に分類されるものに共通していえることです。
いつも東野圭吾に勝負を挑み、負けています。読みながら、驚きの声を上げ、読んだあとは悔しくてしょうがありません。しかし、なぜか読んでしばらくすると爽快感が起こります。「本当に東野圭吾は素晴らしい作家だ」とこのときしみじみ思います。本作品でも、同様でした。
私は今後も東野圭吾に勝負を挑み続けます。そして、また同じことを繰り返していくことでしょう。
奇麗事なく非常にリアルに描かれています 加賀恭一郎シリーズ、第二弾。
バレエ団を舞台とした、一連の事件、そして加賀恭一郎とバレリーナ、浅岡美緒の悲恋物語。
あらゆる部分が、奇麗事なく非常にリアルに描かれていると感じました。
まず、捜査の進められ方。理論整然と捜査が進む、「いかにも小説」といった展開ではなく、捜査員が何度も何度もバレエ団を出入りする所や、状況から仮説を立てるにあたる、捜査員同士のやりとりなど、まるで現実の捜査模様を垣間見ているようなリアルさがあります。
また、バレエ団という特殊な団体の内情。日頃私達が舞台上で見るバレエの美しさではなく、その裏舞台で見られるダンサー達のストイックさ、そしてバレエ界の厳しさが強く強く伝わってきました。
そして、若き加賀恭一郎の、1人の刑事としての自分と1人の男性としての自分の狭間で微妙なバランスを保ちつつも捜査を進めている様子は、初めから激しく恋心を表に出すよりも、むしろその気持ちの強さを感じ、ラストはとりわけ胸が締め付けられるものを感じました。
加賀刑事の悲しい恋 加賀シリーズ2作目、とあるバレエ団で起きた悲劇の物語。
加賀刑事がバレリーナの1人である浅岡美緒という女性に恋をするのだが、
刑事としての彼の魅力と、1人の男性としての彼の魅力、その双方がたっぷり描かれている。
バレエってあまり馴染みのない世界だが、ダンサーたちの踊りに対するストイックな姿勢や人間関係、
それらの独特な空気がすごく分かりやすく書かれていて夢中になって読んだ。
想像を絶する努力で築きあげられた"プリマドンナ"の地位、
それはどんなことをしてでも、守らなければならないもの。
華やかな世界の裏側に隠された彼女たちの苦悩・・ちょっと悲しい物語だが、
加賀刑事の美緒に対するピュアな恋心がそれを大きく救ってくれているように感じた。
それがこの作品の醍醐味であり、全てである。
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極北の狩人―アラスカ、カナダ、ロシアの北極圏をいく (講談社文庫)
・椎名 誠
【講談社】
発売日: 2009-06-12
参考価格: 630 円(税込)
販売価格: 630 円(税込)
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・椎名 誠
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カスタマー平均評価: 0
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コンスタンティノープルの陥落 (新潮文庫)
・塩野 七生
【新潮社】
発売日: 1991-04
参考価格: 500 円(税込)
販売価格: 500 円(税込)
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・塩野 七生
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カスタマー平均評価: 4.5
歴史を感じさせる 単純にその時代に引き込まれる。
全部で3部作あると聞いたので
他の作品も読みたくなった。
甘美でスリリング、それでいて歴史の醍醐味が溢れ出る 塩野作品の中でも「初期作」というべき物語。
私が高校生のとき“塩野七生”という素晴らしい書き手に出会い、
大学期に「西洋史を専攻しよう」と決意させてくれた、感動作。
よい点その1:「歴史は数々の人間たちの手によって作られていく」という視点。
この作品も、ビザンツとオスマン=トルコ、それぞれの“立場”を生きる人間たち
?国王、一家臣、聖職者、商人など?の複数視点から、
コンスタンティノープルの陥落が詳細に見つめられています。
あるSF小説に「真実は複数あるんだろうな」という台詞がでてきますが、
そのとおり“コンスタンティノープルの真実”はひとつではありません。
戦争を引き起こす者の真実、それに加わった王や臣下、
騎士・商人・庶民としての真実が克明に浮かび上がり、
本質的な歴史のダイナミズムが伝わってきます。
その2:決して感情的にならず、つねに冷徹かつ、
客観的な文体で描かれているところ。
非常にシリアスで、べたな起承転結や情感を一切廃した著者の文体は、
青年帝王マホメッド2世の姿をより残忍に・美しく際立たせ、
必死の抵抗を試みながらも費えてしまうビザンティン帝国の悲劇を
リアルに映し出しています。
「甘美でスリリングな歴史絵巻」と裏表紙の解説文が的を得ているとおり、
オトナで知的な雰囲気が存分に溢れたスペクタクル歴史巨編です!
マルチ・アングルで観る歴史映画のような素晴しい小説 本作は1453年のコンスタンティノープルの陥落=東ローマ帝国の滅亡という歴史的瞬間に焦点を合わせた小説である。攻撃側の大将オスマン・トルコのスルタン・マホメッド2世と防御側の東ローマ帝国皇帝コンスタンティヌス11世が主要な登場人物になるのは当然として、他に多くの現場証人を登場させている。ヴェネツィア艦隊の司令官、艦隊付きの青年医師、フィレンツェ商人、トルコに味方する(させられる)セルビア軍人、東西教会合同を推進する枢機卿、それよりもギリシャ正教の信仰を守りたいとする修道士と彼の友人のイタリア人であるカトリック教徒、ジェノヴァ居留区の代官といった人たちである。本書はトルコ軍と東ローマ軍・ヴェネツィア軍との戦いをこれらの人の見聞きしたことを通じて克明に描いている。地中海貿易の拠点として、そして諸宗教・諸民族の接点としてのコンスタンティノープルの最後を多角的に描いた構想が素晴しい。一つの国・文明が滅びる瞬間に対して公平に敬意をもって描こうとする作者の態度に敬服する。もちろん、実際の戦闘の様子やその中で繰り広げられる個々人の心理的葛藤の描写も優れている。間違いなく、作者の歴史小説の代表作である。是非本書を一読することを薦める。
「…いっそのこと死を選ばれよ」 細かな情景や人物の描写はさすが塩野先生という感じであたかもその時その場にいるかのような印章をあたえてくれました。当時のビサンティンの人々は自らの都を最高の言葉で褒め讃えておりその一つにこのようなものがあります。“我らが都が冠するは正十字を掲げた崇高なる皇帝の名であり双頭の大鷲がおりるに相応しき地にある。その美貌と繁栄はまさに、光のごとし”皆さんにも是非この光の都の落日をこの本で目の前で味わっていただきたいです。
中世のロマン豊かな歴史絵巻 作者の「地中海戦記」三部作の第1作。ローマ史研究の第1人者として定評ある作者が、地中海に場を広げ、1千年以上続いたビザンチン帝国(古代東ローマ帝国)の終焉を描いた歴史絵巻。この戦いは十字軍に端を発する領土問題でもあり、キリスト教vsイスラム教の宗教問題でもある。コンスタンティノープルは勿論現在ではイスタンブールと呼ばれているが、何故か日本人にも郷愁を誘う街だ。海峡を挟んで東側はアジア風、西側はヨーロッパ風の魅力的町並みだそうだ。
登場人物は多いが、当時のオスマントルコの若きスルタン・バグダッド二世を中心に描かれている。彼の一言がコンスタンティノープル陥落のキッカケにもなっており、無鉄砲とも思われる彼の性格が結果的に英雄の称号を彼に与えた。この他、作者の専門とも言えるヴェネツィア帝国を初めとするローマの諸国の人々が描かれるが、何と言っても驚かされるのは作者の得意分野とは思えない戦闘場面が巧みに描かれていることだ。
防護側の城壁の様子、戦闘用帆船の描写等、当時の資料を良く調査した後が窺がえる。また、オスマントルコ軍は先兵に捕虜を使うが、その先兵の強さの秘密など興味深い話題も多い。コンスタンティノープルの陥落はキリスト教文明(ヨーロッパ文明)、イスラム文明双方に影響を与えた中世の一大事件であり、それを華麗な歴史絵巻にして見せてくれる快作。
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旅をする木 (文春文庫)
・星野 道夫
【文藝春秋】
発売日: 1999-03
参考価格: 500 円(税込)
販売価格: 500 円(税込)
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・星野 道夫
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カスタマー平均評価: 5
本物の経験に根ざした穏やかな死の哲学 死のエピソードに満ちた本だ。
青年時代の親友の死、アラスカで出会った友人や動物達の死、そして自分自身が隣り合わせている死。。
それでも、読んでいて全く暗い気分にならないのは、きっと著者の時間軸が一人の人間の一生を
遥かに超えているからだろう。
アラスカの厳しくも美しい大自然の中で暮らした著者の中には、氷河の流れのような何万年と
いう時間軸があって、個々の生命の死も、その遥かな尺度でとらえている。
それは頭で理解できるものではなく、著者のように本物の経験を積んだものだけが得られる
心境で、だからこそ、この本の静けさはこんなにも特別に感じられるのだろう。
私を含めた普通の人々は、一生アラスカに行くことさえないだろうが、著者の本物の言葉に
触れることで、もっと広い視野から自分の死を見つめられるように思う。
それは、とても穏やかで幸せな経験だ。
アラスカの自然を感じる 実際に星野さんが見、聞き、体験されたことが書かれており、読んでいるとアラスカの自然がありありと目に浮かぶようです。紀行文が好きな方、旅行にいきたいけれど時間の無い方、ちょっとリラックスタイムに読むと雄大な自然に身を浸した気分になれるかも知れません。
また日記、もしくは手紙のような形式で書かれているのでどのページから読んでも良いのと、読むのに区切りがつけやすいのもこの本を大変読みやすくしています。
中高生にもお勧めです。
静かに胸に染みる思いの深さ、澄んだ眼差しの素晴らしさ 1978年にアラスカ大学に入り、アラスカに移り住んでから十五年。この地の自然と人々の暮らしにすっかり魅せられ、旅を続けてきて、いつしかここに根を下ろそうとしている著者が、アラスカでの思い出を振り返り、自分とアラスカとを結ぶ強い絆を歌い上げたエッセイ集。静けさをたたえた文章の中から、ふつふつと湧き上がり、立ち上がってくるアラスカへの熱い思い。文章の隅々まで、森と氷河の自然に包まれたアラスカの大地の息吹が浸透していて、胸にひたひたと満ちてくる素晴らしい味わいがありました。
十五年前、アラスカという未知の土地にやって来て、暮らし始めた頃の自分のひたむきな姿を、アルバムの一頁目を開くようにして綴った「新しい旅」。本書の冒頭に収められた、1993年6月1日の日付が文末にあるエッセイから、アラスカをめぐる著者の旅の軌跡に引き込まれましたねぇ。なかでも、次の文章の底に流れる著者の思い。静かに、豊かに胸に沁みる思いの深さ、澄んだ眼差しの美しさが忘れられません。
<頬を撫でる極北の風の感触、夏のツンドラの甘い匂い、白夜の淡い光、見過ごしそうな小さなワスレナグサのたたずまい・・・・・・ふと立ち止まり、少し気持ちを込めて、五感の記憶の中にそんな風景を残してゆきたい。何も生み出すことのない、ただ流れてゆく時を、大切にしたい。あわただしい、人間の日々の営みと並行して、もうひとつの時間が流れていることを、いつも心のどこかで感じていたい。> p.231 「ワスレナグサ」より
著者・星野道夫という人間への思いのこもった巻末解説、池澤夏樹の「いささか私的すぎる解説」と題した文章がいい。本文庫の表紙カバーの絵、ほんめ つとむの「およぐシカ」の装画も、とてもいい。
「もうひとつの時間」を感じたい 木村伊兵衛賞を受賞しているというから、カメラマンとして相当な腕を持つ人だったのでしょう。
名カメラマンが良いエッセイを書くという例は他にも見受けられます。感性の磨き方が共通して
いるのかも知れません。
そういう人たちが名エッセイストという境地に達するかどうかはともかくとして、本書は今は亡き
名カメラマンが書いた、読者の心にまっすぐ届くエッセイであり、編まれているのは名文です。
アラスカの自然をこんな平易な言葉で、光景が目に浮かぶほど、風が頬に感じられるほど、寒
さが肌に刺さると思えるほどありありと描けるのは、すごいです。
著者の言う「もうひとつの時間」は確かにある。それを感じてみたくなりました。
偶然の必然性 星野道夫のエッセイ集。
ひとつひとつのエッセイが自然、人間、つながり。
人が成長する上で、捨てていったなにかを作者はもっているようで知らない土地のアラスカであるが懐かしさが込み上げてくる名作。
今あなたが過ごしている時、他の場所のゆったりとした時間を感じる時がありますか?
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神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)
・村上 春樹
【新潮社】
発売日: 2002-02
参考価格: 460 円(税込)
販売価格: 460 円(税込)
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・村上 春樹
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カスタマー平均評価: 4.5
人の心の拠り所とは 関西大震災を題材として,人が生きてゆく上での心の支えや,生きる原動力,あるいは常識だとか日常,人生観などというものが,いかに脆くて儚い虚構であり,夢幻のようなものであるかということを描いた作品だと感じた。
現実というのは,人の心の中心にあるそれら真実とは似て非なるものであり,また時としてそれを大いに裏切る。 たとえば大震災という出来事が現実として起こり,それまで人々がどっぷり浸るように信じきっていたモノが根本から徹底的に破壊されたとき,人が直面するものは一体何なのか,ということを筆者は考えたかったのではなかろうか。
『super-frog saves tokyo』 という物語で,金融機関で働く主人公のもとに突然現れた大きなカエルが,東京の地下に潜む巨大なミミズを 『退治する,退治しなくてはならない』 と言う。 それはカエルにしか出来ない仕事であり,それで東京を救うのだ,と信じて疑わない。 そしてある日,巨大ミミズとの死闘を演じてきたカエルは,力尽きるも自分が世を救ったのだと信じて,満足げに死んで,朽ちてゆく。
カエルにとって 『巨大ミミズとの闘い』 というのは,カエルの心の中心に据えられた大いなる虚構であり,同時に人間一人一人が信じきっている 『真実』 というものを表している。 それは人の生きがいでもあり,本人にとっての常識であり,あるいは日常と呼ぶべきものだ。 それは仕事であったり,子供であったり,ポジティブなものやネガティブなものであれ,何にせよ本人にしか見ることの出来ないモノである。 人の心はその虚構によって支配され,また虚構のために生きて働いて,それに命をかけて,力尽き,最後は死んで土に帰る。 つまり,このカエルというのは主人公自身であり,また人間の誰もがこのカエルなのである。
村上春樹の作品は,一見チンプンカンプンで意味不明なストーリーなようでいて,そこに秘められた比喩や暗示を見出すと,とたんに目から鱗が落ちたように一貫したテーマが見えてくる。 浅いようでいて深く,深いようでいて浅いような,そういうところが村上作品の魅力なんじゃなかろうか。
柔らかい世界観 阪神大震災のエピソードがところどころに織り込まれていて、被災地の人々にとっては、なんらかの感情を沸き立たせ物語に引っ張り込む作用をもたらしている。様々な要素が組み合わさった、なんともいえない味わい深い文章が収録されている。静かな情景描写の中に性描写が織り重なり、人の生と死について考えさせるストーリー展開。面白いです。
信頼できる「震災との距離感」 「地震のあとで」書かれたこれらの短編では、地震そのものは登場人物から遠いところで起こったものとして描かれる。神戸という地名に何か心の傷を持っている登場人物達が、地震があっても無くても関係ないように他の土地で生き難そうに生きている。震災はテレビや新聞、旅行ガイド等を通じて語られるだけだ。そして、いつも通りの淡々とした村上ワールドのストーリーが語られる。地震を直接経験しなかった者はこのようにしか地震を語れないし、このように生きていくしかない。
ここ一番の盛り上がりで登場人物がやたら泣く作品ばかり書くので、実は村上春樹は余り好きな作家ではないのだが、震災に対して神戸出身の彼が示してみたこの「距離感」は信頼できると思った。
阪神淡路大地震の闇と心の闇が通じ合う孤独を抱えた人々の魂の再生の物語 この短編小説集は、阪神淡路大地震の闇と少なからず孤独な心が通ずる主人公達の魂の再生の物語だと私は理解しました。最後の「蜂蜜パイ」の淳平は西宮市夙川出身で早稲田の文学部を卒業した短編専門の小説家、つまりそれはもう一人の有り得たかもしれない村上さんの姿でした。本書は読者の人生経験に即して深いメッセージを伝えることが出来る優れた短編小説だと思います。
以下に6つの短編から印象に残る言葉を抜粋します
1.UFOが釧路に降りる
問題は、あなたが私に何も与えてくれないことです、と妻は書いていた
2.アイロンのある風景
私はこの人と一緒に生きることはできないだろう。この人の心の中に入って行くことはできそうにないから。でも一緒に死ぬることならできるかもしれない
3.神の子どもたちはみな踊る
潮の満干や、野原を舞う風や、星の運行や、そういうものは決して自分と無縁のところで行われているわけではない
4.タイランド
生きることと死ぬることとは有る意味では等価なのです
5.かえるくん、東京を救う
ヘミングウェイが看破したように、ぼくらの人生は勝ち方によってではなく、その破れ去り方によって最終的な価値を定められるのです
6.蜂蜜パイ
何かをわかっているということと、それを目に見えるかたちに変えていけるということは、また別の話なのよね
これまでと違う小説を書こう、と淳平は思う。愛する人々をしっかりと抱きしめることを、誰かが夢見て待ちわびているような、そんな小説を
死とむかいあう 100年の星霜に耐える大傑作。
死、なるものと真摯にむかいあい、死についてのその時点での氏の回答が述べられているように思えました。それは恐怖でも、畏れでも、宗教でも、慰めでもない、得たいの知れないものですが、生に対する慈しみと共感を感じました。すこしだけ死ぬのが恐くなくなりました。
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銀河ヒッチハイク・ガイド (河出文庫)
・ダグラス・アダムス
【河出書房新社】
発売日: 2005-09-03
参考価格: 683 円(税込)
販売価格: 683 円(税込)
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・ダグラス・アダムス
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カスタマー平均評価: 4.5
これがブリティッシュジョーク?とにかく面白かった とても面白いSFだった。度重なる自虐に時折入る世界観的な無駄知識。うまく世界観を作り出しているので非常に面白かった。
話は二人の主人公、アーサーとフォードが突拍子もない出来事に巻き込まれながら進んでいく。地球人のアーサーに時折宇宙人であるフォードが解説を入れていくのだが、フォードにとって当たり前なことがアーサーには理解不能なのでそのギャップを見るのが面白い。
元がラジオドラマだったということもあるのか展開はとてもスピーディで、次から次へと起こる出来事に大笑いしながら読むことができる。特にヴォゴン人の詩を聞かされるエピソードが個人的にかなり好きだ。詩を聞かされることによって死ぬ思いをするなんてなかなか純粋な地球人には理解しにくい。でもその理解のできない突拍子もなさが本当に面白いし、この小説の魅力だと思う。宇宙人がいるとしたらこんなやつもいたっていいのではないかな?会いたくはないけど。
すごくテンポよく読むことができるので今までSFに手を出したことのない人でも気軽に読むことができると思う。
哲学者も笑いのめしているのが痛快! 海外ユーモアSFならハリィ・ハリスン読んでいれば充分だろと、
馬鹿にして読んでなかったが、アーサー・C・クラーク も
ミチオ・カク もけっこう好意的に本書を紹介してたので、
意外とハードなのかと読んでみた。
数字データの間違いが多すぎてハードSFとしては読めないが、
ユーモアSFとしてはハリィ・ハリスンより本格SFに近くて楽しめました。
哲学者も笑いのめしているのが痛快!
神の非存在証明は笑えるがとても参考になります。
何故生きるのかという疑問に見事な答えを提示した
本物の哲学SFとしても読めます。
何故?と問うから答えが見つからないですらー。
どこで?と思索することが大事ざんす。
宇宙の真理なんて期待しないほうが。 日本では絶版になっていたのでまず原作(英語版)を読み、もっと知りたくて再び出版された翻訳版も買いました。
いきなりの序盤からもう面白い。あれこれナンダカンダと並べる暇もなく意味もなく地球が消滅してしまったアーサーと宇宙人!のフォードそれにザフォード達が繰り広げる意味無しの宇宙で展開する、、、コメディーです。
出版された時代は7-80年代なのに現代のこのようなジャンルの本と比べてもまだまだこの作品のほうが優れている傑作です。あまり考えながら読むと訳がわからなくなったり面白さも半減してしまうので心をオープンにして読んでもらうとニタニタと笑いながら楽しめること間違いなしです。私のお気に入りはロボットのマーヴィン。彼がどうして危機にあるアーサー達を救ったか、ラストは予想外です。
残念ながら著者は亡くなられているのですが彼の発想はほんとうにユニークで唯一だと思います。
病みつきになりそう
SFと思って読み始めたので始めは少し肩透かしを食らいましたが、奇想天外な舞台設定のコメディと割り切って読み出すと結構楽しめました。特に憂鬱感一杯のロボットMarvinには笑わされました。残念なのは当方の英語力不足で理解できないギャグが結構あったところ。続編もあるようなので、トライしてみようと思う。
しょうもない話 小学校中学校時代に、いろんなSFを読んだのを思い出しました。
荒唐無稽なしょうもうない話です。
言葉遊びみたいな部分もありますが、私には十分に理解できませんでした。
しょうもないSFが好きな人には、お勧めです。
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嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)
・米原 万里
【角川書店】
発売日: 2004-06
参考価格: 580 円(税込)
販売価格: 580 円(税込)
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・米原 万里
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カスタマー平均評価: 5
抽象的な人類の一員なんて、この世に一人も存在しないのよ。 チェコのプラハにある『平和と社会主義の諸問題』の編集局に勤務することになった父親。
小学校4年生から中学校1年生までの時期を父の勤務地プラハで過ごした著者の、プラハ・ソビエト学校の同級生達との愉快な思い出話と、 日本帰国後「プラハの春」、弾圧の時代を経たプラハに同級生達の消息を訪ね、各国をめぐる様子が描かれています。
思春期の女の子らしいたわいもない会話や出来事の合間合間に、それぞれの家庭の思想や、国家、生い立ちがこぼれてきて、物語に新鮮な驚きと緊張感をもたらし、
30数年後に同級生を探す旅は、紛争地域にも足を踏み入れる文字通り危険な旅になります。
国際色豊な学校の様子が興味深く、各国に暮らす人々に向ける著者の視線に感嘆させられました。
著者の思想がしっかりとしているため、
それぞれの価値観をもつ各国の人々の間を旅する描写も安心して読み進めることができる
面白い本でした。
米原さん戻ってきて なんて面白い本なのだろう! そして米原さんてなんてスゴイ人なんだ
ろう!それが読後の印象です。
米原万里さんについては「ブロードキャスター」などのコメンテータと
してよくお見かけしていましたが、紹介される肩書きは「ロシア語通訳
・エッセイスト」だったと記憶しています。何者なのか興味もなかった
し著書を読んだこともありませんでした。
どこかの新聞書評で高く評価されていたこの作品を読んで、彼女があり
とあらゆる意味で凄い、凄すぎる人だと知りましたが、すでに時遅し、
彼女は2006年にガンで早すぎる一生を終えていました。
日本共産党幹部の娘として、冷戦下の東欧で世界中から集まった共産党
員の子弟用の学校で超エリート教育を受けたときの思い出話と、ソ連崩
壊後にかっての同級生を探しにゆく話なのですが、人間はイデオロギー
や人種・民族を超えて一つになれるということを示唆してくれます。
また、共産主義というもののウソ臭さや建前論を暴きつつも、一品手作
り的な人としての教育や人材育成には労力をおしまなかったソビエトの
凄さを教えてくれます。
冷戦終結後にかっての同級生たちが外国人に対し手紙の返事すら禁じら
れていたことと、それぞれのその後の重すぎる人生を知るというような
お話です。このような人生体験を経てロシア語を身に付けた米原さんの
ような人はもう現れないであろうし、このような作品を執筆できる人も
いないと考えた場合、その損失の大きさに慄然とせざるを得ない。
ペットの話や通訳の話などもおもしろいが、できればソビエト式の教育
や東欧での生活などもっと書いてほしかった。(手遅れであるが)
白・赤・青...「大きな物語」と「小さな物語」が激しく交錯した、四人の少女の物語 「平和ぼけ」と言われる日本に於いて、完全に戦後生まれでありながら、「大きな物語」と「小さな物語」がかくも激しくスパークした瞬間に少女時代を過ごし...しかも、長じて語学と文才に恵まれ、このような本を書く事ができる...そんな米原万里と同時代人・同国人であった事を、私たちは誇りに思い、「二物(三物以上?)」を与え賜うた神に感謝すべきでしょう(私は無心論者だが)。
考えてみれば、日本は戦後、「冷戦」というなのもう一つの大きな戦争の大きな歯車を担っていた訳で、決して「平和ぼけ」なんていう言葉で自国民を貶めて欲しくはない、とおもう。
米原さんの軌跡を思い浮かべるたびに、こんなおっきくて複雑な体験をした日本人も居たのだ、と。
考えてみれば、日本共産党の大物代議士の娘であるにもかかわらず、(党とは80年代に訣別したようだが)、社会的にこれほど注目され大きな働きをした人も珍しいのではないか? 凡百の反共主義者が小賢しく思えて来る。
「心臓に毛が生えている理由」という本に収められている「...真実を書いた理由」という文章で、NHKの「世界・わが心の旅」の取材が土台にある事を知ったが、決してTVの副読本みたいなかんじじゃなく、一冊の独立したノンフィクションとして屹立していると思う。
本書はいきなり読んでも十分に引きつけられるが、もし共産党やソ連などに興味や知識が無かったならば、先に、「終生ヒトのオスは飼わず」の第二部あたり読んで下地を付けてからの方が、より深く味わえるのではないか、と考える。そして、本書を読んだ後は是非、「オリガ・モリソヴナの反語法」も手に取って欲しい。
この二冊はワンセット、コインの裏表みたいな感じだ。どちらもゾクゾクと痺れ、このまま急いで読み終わるのがもったいない、という焦燥と、早く結末を知りたいという欲望のせめぎ合いを、感じるでしょう。
そして、読了後しばらく、プラハとモスクワあたりに、心はさまよい続けます。
国境を越えて人はつながることができると体感的に理解できる 1960年代の初め、著者はチェコのプラハにあるソビエト学校にいた。そこで生まれた様々な国からきた同級生との友情、そして数十年後の再会。その間にはソ連崩壊、プラハの春、民主化運動など、その時代時代で個人を翻弄する世界の動きがあった。この本の面白さは、小学生から中学生という時期だからこそ、かたよった思いがなく、人物本位で友人関係が築け、その思い出をもって数十年後の再会に劇的な印象を与えていること。60年代プラハ、そして現在のルーマニア、ユーゴスラビアなど政治体制の激変を直接体験した貴重なエピソードがふんだんに披露されていること。様々な比較文化の視点が述べられていることである。文章も本当に読みやすく、読後感もよい素晴らしい本であった。
世界はひとつ、と思わせてくれる 昨年だったか一昨年だったかに急逝された米原万里さんの実体験記。
米原さんはロシア語の同時通訳をやっていた方。そして、この人の書く本はどれも人間の真実を衝いていて、もの悲しくも温かく、時にはセクシーで、時には爆笑を誘う。
この本の粗筋を書く能力は僕にはないので、とにかく心ある皆さんに読んで頂きたい。
この本には、ロシア、ルーマニア、日本、イギリス、ドイツ、アメリカ、ユダヤ、イスラエル、ユーゴスラビア等々インターナショナル満載である。
そして、読んでいてわかるのは、資本主義にも共産主義にもそれぞれ明暗があり、一人の人間に弱さも醜さも、強さも美しさもあるということ。それはつまり人間の真実である。
今、未曾有の経済危機なんていうけど、くだらない。今回の件の本質は一部の特権的な人や国(アメリカ)が宴のあとを僕らもたざる者、弱き者にツケ回ししようとしているだけのこと。
経済なんて、永遠に成長できるはずはないのだから、今回の件を機に贅沢をやめればいいだけのこと。その方が地球を長持ちさせてくれる。
結局、いつの世の中にもどこの世界にも悪漢はいるし、志士もいる。しかし残念なことは、今の世の中の方が悪漢も甘いマスクをし、志士はその数が減り深く潜行するようになり、そして志士たちを理解し見つめつづける米原万里さんやこの本で描かれているリッツア、アーニャ、ヤスミンカのような大人びた少女達もきっと減っているだろう事だ。
世界は今も昔もひとつ。願わくばこの本の時代よりも、更に親しくひとつとなることを。
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アスラクライン〈2〉夜とUMAとDカップ (電撃文庫)
・三雲 岳斗
【メディアワークス】
発売日: 2005-10
参考価格: 578 円(税込)
販売価格: 578 円(税込)
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・三雲 岳斗
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カスタマー平均評価: 4.5
途中で・・・ 地下の反省室に閉じ込められたトモハルを助けにいく場面があるのですが、その際、205ページには樋口にアスラマキーナや悪魔については話してはいけないと言っているのに普通に話してるんですけどどうして?
まぁ… スクールパンク第2巻は、UMAです。内容はまさにタイトル通りに仕上がっております。操緒ドンマイ。需要はあるさ。
うーん 評価としては「微妙」としか言いようのない2巻。
1巻もそうだったけどなんかプロローグみたいな感じ、拾ってない伏線もあるし。
シリーズとして後で面白くなることを期待しての星三つです
まぁ、雰囲気的に。。。 今回は、怪物退治の合宿をします。
なんていうんですかネェ、、いい言葉が見つからないです。
前回のほうが正直面白かった気がします。
まぁ、こういうのは1買ったら2買うみたいなもんですので、1買った人は買うべきです。
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[ 文庫 ]
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おでんの丸かじり (文春文庫)
・東海林 さだお
【文藝春秋】
発売日: 2009-06-10
参考価格: 530 円(税込)
販売価格: 530 円(税込)
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・東海林 さだお
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カスタマー平均評価: 0
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[ 文庫 ]
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沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(上) (新潮文庫)
・山崎 豊子
【新潮社】
発売日: 2001-12
参考価格: 700 円(税込)
販売価格: 700 円(税込)
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・山崎 豊子
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カスタマー平均評価: 4
ちょっと毛色が違うような よく3巻は毛色が違うとありますが、4巻も前3巻とも毛色が違うような気がします。
主人公はいったん影を潜め、脇役たちの横領や悪事の流れなどが説明されていて一種、告発本のような内容になっているような・・・
これはこれで、航空会社や業界の狡さ等が見えていいと思いますが
退屈な人には退屈な内容になっているのかもしれません。
けどこれを読むと全5巻を通して、筆者が訴えたいことの全容が見えてくるような気がします。
ただ、1,2巻は小説、3巻はドキュメンタリー、4巻は告発本みたいになっているように思えますので
本の性質がコロコロ変わっているように思えるので人によってはつらいのかも。
けど、だからこそ全巻通して言いたいことがあるように思えます。
著者の憤りに共感。 本作は、全5冊からなる「沈まぬ太陽」の完結編であり、
第3巻・御巣鷹山篇の直後の国民航空社を舞台に、
政官業の癒着の著しい同社会長に任命された、関西出身の財界人国見と、
新設の会長室に国見自ら抜擢した、シリーズ全体の主人公恩地らの奮闘が描かれます。
清廉潔白の理想主義者であり、社内の根深い労使対立の解消をきっかけに、
絶対安全のフラッグ・キャリアとしての信頼と誇りを取り戻そうとした国見、
そして、彼に忠誠を誓い手足として動く恩地。
しかし、「初期のガン患者」に過ぎないと思われていた同社は、
既に全身に魑魅魍魎が跋扈する「末期のガン患者」であり、
直近の御巣鷹山墜落事故に対する畏れも知らない不遜の輩どもに食い荒らされ、
国見・恩地ほか、心ある者は次第に孤立無援となっていく…。
本作のうち、本「会長室篇」は、政官業の癒着と腐敗を、
国民航空社を舞台に絶望的に描いており、読んでいて暗澹たる気持ちにさせられます。
ちなみに、人物の描き方は、善人と悪者がくっきり分かれていて非現実的に感じるし、
フィクションとノンフィクションを混交した小説手法は、著者自身冒険的と感じている上、
批判の余地ありと思えます。
しかし、著者のあとがきは、政官業の癒着に象徴される、
日本の精神的不毛に対する義憤が満ちており、
本シリーズ全体に対する熱い思いも溢れていて、全面的に賛同した次第です。
国民不在の国民航空 会長室編では、御巣鷹山の墜落事故後、組織の建て直しを図るため
首相に請われて国民航空の会長に就任した国見正之を中心として
物語が展開する。恩地は新設された会長室の部長に抜擢される。
国見会長は建て直しの手始めとして分裂している組合の統合を目指す。
整備士や機長など各部門から会社の現状について意見を聞くのだが、
その中で、「自分達の理想像」を熱く語る者はいても、「お客様にとって
の理想像」を語る者はいない。
一例を挙げれば、ある機長が、「昨年ソウルで着陸復行をした際、乗り
合わせた大蔵大臣から機長のアナウンスが無かったと指摘された為、
オペレーション・マニュアルがアナウンスをするように改定された。
しかし、安全上、課業順位最下位とも言えるアナウンスを、神経を最も
使う着陸復行、最進入の途中で課すなど考えられない。このように我々
の立場にたって考えてくれない職制である」と憤る。
この機長は、自分達が乗せているのが荷物だとでも思っているのだろうか。
乗客の立場にたって考えてみれば、アナウンスも無く着陸復行をされたら
不安を感じるのは当然である。機長が忙しければパーサーがアナウンス
すれば良いだけの話ではないだろうか。
このように、この会社の社員はお客様の立場にたって考えるという意識
が欠落しているのである。まるで社会主義国の航空会社のようだ。
上層部の腐敗や癒着などより、社員のこのような考え方の方が利用者
としては怖い。まさに国民不在の国民航空である。
この航空会社を国民航空と名付けたのは、作者である山崎氏の痛烈な
皮肉なのではないだろうか。
著者会心の傑作! 企業の利益優先と人間性の欠如は現在も多くの人命を奪っている。
JR脱線事故、安曇野の観光バス事故、多くの長距離トラックの事故など上げたら数限りなく出てくると思う。
20年前に警鐘とも言える事故を経験しながら、この国はどうなって行くのかと不安になる。
刑罰的人事を描いた1―2巻での企業の腐敗、人道の欠如は520人を人柱にする大事故に発展した。
著者は見事な取材で、3巻にあの忘れてはならない未曾有の大事故を立体的に描ききり、当時報道されきれていなかった事実をも描いている。
この4巻では、うわべだけの謝罪をすませ、のうのうと私欲をむさぼる、役人的特殊法人と言う”お役所”と改革に立ち上がる人々の戦いが始まった。
この巻では個人的に組合活動をささえる家族たちに頭が下がり、事故現場に一周忌に集まった遺族たちの叫びに涙した。
人が良心を取り返し、金銭意外に人生の目標を持たなければ、事故の本当の解決は遠いのではと思う
この事件を知らない若い世代の方にも是非読んでいただきたい作品であり、その際”クライマ?ズハ-横山秀夫”も一緒にお読みいただけましたら、この事件の社会的影響がより理解できるはずです
こんなことが日本社会で行なわれていたとは・・・ ここまで日本社会が腐っているのかとまざまざみせつけられたことはない。
この話ははるか昔のことだが、いまだに同じようなことが行われていて、
特殊法人を民営化するのに断固として反対する族議員や、
公共事業の利権をむさぼる政治家・官僚・企業の実態をみるにつけ、
ほんと日本はどうしようもない腐敗に満ちた社会なのだということを、絶望的に思い知らされる。
ただ最後に社員の告発によって、その腐敗の一端が暴かれるものの、
それを突き詰めていくと、前総理大臣の金稼ぎにまで及んでしまうことを考えると、
捜査が進んだところで、いかようにも圧力をかけ、腐敗を闇に葬ってしまうことができることを考えると、
日本社会に正義はないのかとまたも絶望感を覚える。
この本を政治家・官僚・企業は読んで悔い改めるべきだと思う。
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