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豊かさの精神病理 (岩波新書) 善悪の彼岸 (岩波文庫) 人はなぜ戦争をするのか エロスとタナトス (光文社古典新訳文庫) やさしさの精神病理 (岩波新書) 神との対話 普及版〈1〉個人的な真実について ウィトゲンシュタイン入門 (ちくま新書) 心理学化する社会 (河出文庫) 自殺予防 (岩波新書) アンベードカルの生涯 (光文社新書) 戦うハプスブルク家―近代の序章としての三十年戦争 (講談社現代新書)
豊かさの精神病理 (岩波新書) 善悪の彼岸 (岩波文庫) 人はなぜ戦争をするのか エロス.. やさしさの精神病理 (岩波新書.. 神との対話 普及版〈1〉個人的.. ウィトゲンシュタイン入門 (ち.. 心理学化する社会 (河出文庫) 自殺予防 (岩波新書) アンベードカルの生涯 (光文社.. 戦うハプスブルク家―近代の序章..

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豊かさの精神病理 (岩波新書)

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豊かさの精神病理 (岩波新書)

・大平 健
【岩波書店】
発売日: 1990-06
参考価格: 819 円(税込)
販売価格: 819 円(税込)
豊かさの精神病理 (岩波新書)
大平 健
カスタマー平均評価:  4
人はカタログの中で生きられるのか?
 この本全体に、”現在”そのものが、どうしようもなく現れている。  露わになってくる場所は、精神科の患者の診療の場である。  この時代を生きている人々は、できうる限り葛藤を抱えたくない。葛藤を回避するために、間にもの(主にブランド品)を入れる。結果として、当の相手と直接対峙する事態から逃れられる。愛情、親しみ、その他の感情的な重みは、たとえば贈りものの金額の多寡によって量られる。患者は、医者に事態を説明するために、延々と、ブランド品を中心とした<モノ語り>を続けていく。  人々は“ポリシー”をもって、カタログ雑誌を利用しながらブランド品を買う。つき合う人、さらには自分自身さえもブランド品にたとえて考えることも多い。それが、彼らの自己実現であり、個性となる。ものをより高級品に買い替えることによって、彼らの生活は“ステップ・アップ”されていく。自分も相手もそう考えていると思っているが、必ずしもそう考えるだけでは、自分が、相手の態度が納得できない、という事態の中で、彼らは精神科を受診することになる。  読みやすく、言っていることも大変よく分かる。だが、読み終わって、克明なカタログを熟読したような印象が残る。チャート式シリーズの参考書を開いたときのような感触と言ってもよい。私には、この本自体が、登場する患者の話が、一冊の本にまで大きくなったもののように感じられる。  わかりやすいことに異を唱えるつもりはない。だが著者は、この本の執筆時に、この問題の先にあることまで視野に入っていたと思う。この論理が破綻する、そのとば口だけでも触れてほしかった。無いものねだりというものなのだろうか?
モノを通して感じる豊かさ、モノを介さねば感じられない豊かさ・・・それが日本人の豊かさの精神病理
精神科医による「豊かさとは?」の分析。 自分の個性や、健康、幸せを、"モノ"を手に入れること、あるいは"モノ"に代替させたり、"モノ"を媒介させることによって実現しようとする、そんな人々がいる。 よりよい"モノ"で、ステップアップしようとする人々が葛藤する姿は、日本社会の様々な問題と重なる部分が多いように感じた。精神病理の新しい視点を提供してくれる。
入門書的なおもしろさ
ああ、こういう人いるよなぁ?っ、と おもしろさ(興味深さ)ゆえ納得し、 自分のことを反省することもできた。 キーワードは「モノ語り」 豊かさゆえのアイデンティティの欠如。 「モノ」を拠り代にした心の安寧。 現在の「格差」意識の流行を背景として 読んでみても非常に興味深い。
★彼女のモノ集めは、実は”自信”集め★
●「精神化の敷居もずいぶんと低くなったものです」ということで<よろず相談>。 ・カタログ時代のパーソナリティ(二つのオメガ、他) ・グルメ・ブームの精神病理(美食の効用、他) ・不倫ゲームの構造(モノこそが愛、他) ・ペットの両義性(人間もペット、他) ・「幸せ」に似合う家族(子どもの制服は親の勲章、他) ・豊かさの精神病理(自分への投資、他) ・ジャパニーズ・ドリーム(現代モノ社会、他) ●「自分についてであれ他人についてであれ、人そのものを描写し説明するのが苦手なのです」というところに、モノを通してでなければ自分自身や人間関係を把握制御できない病理の要因がありそうである。 ●それにしても<モノ語り>患者の<問題探しゲーム>から始めなければならない患者の診療増加というのは、精神科医にとっても大変な世の中になったものだ。
空虚な人々
読んでいて、疲れました。「やさしさの精神病理」を読んだときもそうでしたが、こちらはさらに疲れました。自分や他人の性格が描写できず、服装や持ち物でしか語れない人々。普通というか従来「その人はどう意地悪なのですか」と聞かれたら、「口の利き方はいやみだし相手の痛いところをつついてくるし」といった性格描写くらい、特にインテリでなくても出来たはずが、それすらできない人々。政治や世界情勢の話をすることはあるのでしょうか。それともファッションやグルメ以外の話はまるで出来ないのでしょうか。 犬が安いからという理由で捨ててしまった女性にはショックを受けました。犬は単なる商品ではなく、血の通った動物です。精神科医の立場上しかるわけに行かないのはわかりますが、一言注意してもよかったのでは。 こういう人たちの話を読むと、ねえねえイラク問題についてどう思う、だとか、この間フランスで大規模なストがあってねえ、そうなのよフランスはファッションとグルメの国であると同時にストと労働組合の国でもあるのよ、などといった話題をふっかけたくなります。いったいどんな反応が帰ってくるのかしら。そもそもこういう人たちはそんな話題に興味もつのかしら。「大きなこと」には興味ないのでしょうか。身の回りのことしか興味ないのでしょうか。

善悪の彼岸 (岩波文庫)

[ 文庫 ]
善悪の彼岸 (岩波文庫)

・ニーチェ
【岩波書店】
発売日: 1970-01
参考価格: 735 円(税込)
販売価格: 735 円(税込)
善悪の彼岸 (岩波文庫)
ニーチェ
Friedrich Nietzsche
カスタマー平均評価:  3.5
善悪を考える入り口にある書
もともと“ツァラトゥストラ”の解説書として書かれたというだけあって、この本は分かりやすいです。 なんといっても読むべきは第二、第三章で、ニーチェ思想の入り口として、最低限必要な事はここに書いてあると思います。 第四章では彼の残した見事なアフォリズムを楽しめます。 有名な“怪物と闘う者は、そのため己自身も怪物にならぬよう気をつけるがよい”もここにあります。  しかしながら第五章以降は、果たして読む必要があるのかどうか私にはなんとも言えません。 ニーチェという人はとにかく戦闘的な人で、戦う相手がキリスト教だとかそれに付随する道徳だとかという、強大かつ明確なものである場合、彼の論旨は冴えに冴え、まさに尋常ならざる論理の一斉射撃が発動しますが、“ドイツ人というものは”“イギリス人というものは”“学者というものは”はたまた“女というものは”と、不特定多数を十把一からげにして罵詈雑言を浴びせるとき、読んでいる方としてはなんともやりきれない反発心が胸にわいてくるのを抑えることが出来ません。 一言で言えば“天上天下唯我独尊さん、じゃあ、あんた自分はどうなんだよ!”ということです。 この本の第五章以降はまさにそのような文章が多いのです。 ある意味、こういう文章によって誤解され、彼の本質を理解しない勘違い野郎たち(ナチスとか)に利用される宿命を負ってしまったのではないでしょうか。
価値規範の破壊
人間が善悪・道徳を論じる際に、何を根拠として「善は?である」「悪は?である」といった具合に定義できるのでしょうか。それは個々の経験から導き出されるもの、各自の置かれる状況から考えられるもの、またはそれぞれの心の働きに左右されるもの等々いかようにも述べることが可能であると思います。 善または真理の探究が崇高なものとして何も懐疑されなかったということが重要な視点だと思われます。「善とは何か」「真理とは何か」その命題に人間が何らかの価値を与えようとするとき、または認めようとするとき、人間が恣意的に勝手に決めつけた模範的価値・理想的価値が誤謬として生み出されているのではないか。善を行う人間・真理を知る人間など存在するのだろうか。ニーチェは、これらの命題を考究したように思います。 「おお、ヒューマニティーよ!おお、愚劣!〈真理〉とか真理の探究といえば、何やらもっともらしいものがある。ところでその際、人間があまりに人間的にそれをやらかすと、―「ただ善をなすためにのみ真理を求める」という次第となる―、賭けてもよい、彼は何ひとつ発見はしない!」(第二章 自由なる精神) 「善悪の何たるかを知っていると信じているもの、おのれの賞賛や非難をもって自画自賛し、おのれ自身を善と称しているもの、それは畜群的人間である」(第五章 道徳の博物学について) したがって人間が到達すべき最終的な段階は、模範的価値・理想的価値を知るに至ることではないと考えているように見受けられました。 模範的価値・理想的価値を知る人間は、狭隘な人間自身・自分自身を信仰しているにすぎない、そのことが強烈に印象に残っています。
これはきつい、むずかしい
悪いことは言わんから、道徳の系譜、を先に読んだほうがいいと思います。難しいばかりではなく、翻訳が悪いのではないかと思われます。

人はなぜ戦争をするのか エロスとタナトス (光文社古典新訳文庫)

[ 文庫 ]
人はなぜ戦争をするのか エロスとタナトス (光文社古典新訳文庫)

・フロイト
【光文社】
発売日: 2008-02-07
参考価格: 620 円(税込)
販売価格: 620 円(税込)
人はなぜ戦争をするのか エロスとタナトス (光文社古典新訳文庫)
フロイト
カスタマー平均評価:  5
アインシュタインとの往復書簡
アインシュタインの手紙への返事から始まっているところが、とても興味深かった。 確かアインシュタインは「僕は精神分析なんか受けたくない。」と言っていたと思うけれど、その精神分析の開祖であるフロイトと往復書簡を交わすことになったのが、結構面白い。 このイベント(?)は、ヒトラーがドイツで政権を握る一年前に行われた。 この手紙のなかで、アインシュタインは、「人間を戦争の脅威から救い出す方法はないものでしょうか?」という問いを投げかけている。それを受けてフロイトは、愛国心と銘打った、ナショナリズムの暴力性や危険性を指摘している。支配階級による、宗教や、マスメディアなどを用いた国民のコントロールの中には、権力欲を満たすための欲求、利益のみを追求しようとする欲望がある。そして、人間には、破壊する欲求が働いているからこそ、それを利用し、国民の「愛国心」を駆り立て、コントロールすることができるのだと言う。 これは、今でも何ら変わりのない事だと思う。 それから、人間に本来備わっている攻撃的な欲動が文化によってあまりにも抑圧されると、その欲動が行き場を失い、主体の内部へと向かうと書かれている。 タトナスへの欲動を抑える為には、文化的な圧力が最も有効だけれど、「自己の死」へと向かってしまうのは危険なことである。 全体の破壊と主体の破壊。 人間が本来持っている欲動なのだから、完全に無くしてしまうということは難しい。 でも何故、わたしたちはそれを押さえつけようと必死に足掻くのだろうか。 フロイトが考えた結論を知りたい方は、是非本書を手にとってみて欲しい。
かなりネガティブな時期のフロイト先生
中山元の訳によるフロイトの文明論集第二弾。 今回は、いつの時代も世界のどこかで繰り返される悲劇「戦争」、そして人間として避けることのできない「死」についてのお話。収録されている論文は、フロイト全集や他の文庫にすでに収められているものだが、この光文社版、というよりも中山の訳は文体がやわらかく、現代の日本語に直されていてとにかく読みやすい。注も充実していて、続巻が楽しみになる。 最初のアインシュタインへの回答の文章と、その次の論文は書き上げられたのが第一次世界大戦勃発以降であり、フロイトは人類史上に残るこの大戦に相当ショックを受けていたことがわかる。人類全体に対して不信感を露わにしているといっても過言ではない。 もともと彼の精神分析は、人類の本源的な無垢性や道徳心を信じてはいない(幼児性欲の理論など)側面があったが、戦争の経験を経たことで、フロイトはこの当時特に人間の先天的な「善性」「道徳心」に対してかなりネガティブな見解を示している。それに加えて、彼の思想の転回点となった「快感原則の彼岸」におけるエロス以外の欲動(=破壊欲動)の発見も伴い、本書所収の論文「戦争と死に関する時評」では「戦争は廃絶することができないものである」(95p)という、かなりペシミスティックな結論を導き出している。 その他にも、本来欲動は利己的であるから、外部からの教化で利他的に振る舞うことができるようにはなっても、真の意味で利他的な人は少なく、ほとんどの人は利己的な欲動を満たすために表面上で利他的なっているだけであり、要するにみな偽善者だと喝破する(残念ながらそれを私たちがまっさきに否定できない、というのも悲しいことではあるが)。 「喪とメランコリー」では喪、すなわち他者との死別から、メランコリー(=鬱病)を考察する。主体が(相手の生死を問わず)愛する人を失うことは、リビドーの対象の喪失をも意味し、自我はその緊急事態に直面して、自らの一部を対象と「同一化」することで事態に対処しようとする。すなわち、自らの一部にリビドーを向けかえるわけだ。しかしそのとき、かつて対象に向けられていたそのリビドーはアンビヴァレント(愛しさと憎さが入り乱れた感情)なものであるから、新たにそれの対象となった自我の一部は苦しめられ、その結果として鬱病患者は特に自己評価が低くなるのだという。 これって失恋したら共感できる話だよね。
精神の解明。「生と死の欲動」或は「超自我・エス・外界と戦う自我」
本書は1.読みやすい翻訳、2.豊富な注釈、3.熟慮された章立、4.内容理解に役立つ訳者解説(とフロイトの年表)等の特徴があり、フロイトが精神分析により導き出した以下の重要な理論を分かりやすく理解できると思います。 (1) 人は生への欲動(エロス)と死・破壊への欲動(タナトス)を愛憎のように合わせ持って生きている。 (2) 人の精神は、超自我、自我、エスで構成されており、自我はいつも超自我、エス、外界と戦わねばならない運命にある。 5章構成、1.「人はなぜ戦争をするのか」(アインシュタインへの書簡、1932年)2.「戦争と死に関する時評」(1915年)3.「喪とメランコリー」(1917年)4.「心的な人格の解明」(1933年)5.「不安と欲動の生」(1933年)の内、 第1章のアインシュタインは、訪日の際に日本という国がこの世に存在することを神に感謝し、ヴァイオリニストの千住真理子氏の祖父母が渡欧の船中で彼のヴァイオリンの音色にとても感動したという逸話がありますが、 彼の質問「なぜ人間は戦争を止められないのか。人間には攻撃衝動があるではないのか」へのフロイトの希望と絶望を抱えた回答がとても印象的です。 第3章「喪とメランコリー(鬱病)」では鬱病の症例の内、喪のように愛する人を失う、或はそれに類似するものを失うことに起因する事例について、喪の場合の愛する人の喪失から回復までの「喪の仕事」と比較しながら鬱病の原因を、「エロス、タナトス、超自我、自我、エス」の理論で究明します。 愛する家族や友人が鬱病を抱えている方は、その病の出自がどこに有り、彼・彼女の発言が何を意味するのか理解し、どうつき合えば良いのか考える一助になるかも知れません。 蛇足ですが、父に対する「喪の仕事」を未だ終えぬ間に、共に暮らすゴールデンを一昨日亡くし、愛犬のそれをも背負った独り暮らしの母がこの病に罹らないように祈ります。
「生に内面化された死」への深い洞察
第一次大戦の悲惨な体験は、「野蛮さを克服した文明人」というヨーロッパ人の誇りを打ち砕いた。フロイトもまた大戦に大きな衝撃を受けたが、彼のその経験は精神分析の理論を深化させた。「快感原則の彼岸」(1920)に登場した「死の欲動Todestriebe」という概念は、彼の弟子たちにもよく理解されなかった問題概念であるが、本書に収録された「戦争と死に関する時評」(1915) 「喪とメランコリー」(1917)「人はなぜ戦争をするのか」(1932) 等を読むと、フロイトが大戦をきっかけに死を深く考えたことが分かる。戦争は、家族や同国人など「愛する人々」だけでなく、敵兵という「憎むべき人々」の大量の死を体験させる。つまり、愛・憎しみ・死を一体のものとして経験させるのが戦争なのだ。フロイトは、愛と憎しみの両面をもつ「他者の死」を、自我の構造に内面化する。愛する者の死は我々に深い喪失感をもたらすが(喪に服し、鬱=メランコリーになる)、そこには対立する二つの契機が葛藤している。一つは、愛する者は私の所有物すなわち私の一部であるから、私の中で他者は生きているという、死を認めない気持ち。もう一つは、愛する他者といえども私の自由にならない絶対的なよそよそしさ=敵対性があり、その憎しみの契機ゆえに私は、彼/彼女の死を認め、望みさえする。「現代人は無意識のうちに愛する者の死を強く望んでいる」(p93)という驚くべき逆説。愛には必ず憎しみが含まれるというフロイトの洞察は、メラニー・クラインの登場を予感させる。
文庫でたどる後期のフロイト理論
 人間にある死の欲動とは? 人格を形成する「超自我」「エス」とは?……シリーズ第2弾の本書は、フロイト後期の精神分析理論(メタ心理学)を紹介しており、第一次大戦以降、理論改造しながら心の深層に鋭いメスを入れ続けた〈フロイト・ワールド〉の一端に触れることができる。  収録しているのは、彼が研究生活の後半に発表した書簡や論文など5編。  表題の「人はなぜ戦争をするのか」は、晩年の1932年にアインシュタインと交した公開の往復書簡。「人間を戦争の脅威から救い出す方法はないのか」――など、アインシュタインが質問したのに対する回答だ。  この中でフロイトは、人間には生を望む欲動とともに、自らの死を望む欲動(タナトス)が存在する、とした「欲動論」を要約。死の欲動は外部に向けられると破壊欲動になることなどを指摘、「人間の攻撃的な傾向を廃絶しようとしても、それが実現できる見込みはない」と、悲観的な見解を示したうえで戦争防止に向け独自の提案をする。この欲動論は最後の「不安と欲動の生」(1933年)で、不安の考察を進めながら詳述されている。  また、「心的な人格の解明」(同前)では、人の心をひとつの装置と捉えた「心的装置論」をわかりやすく解説。前期のフロイト理論で心のうちを〈意識〉〈前意識〉〈無意識〉の“3領域”に区分して考えたのに対し、さらに〈自我〉〈超自我〉〈エス(Es、原始的自我)〉という、人格を形成し、エネルギーを持った深遠な領域まで踏み込み、それぞれの特性や相互関係を解き明かしている。これは精神分析にとって大きな方向転換であり、後に発達する自我心理学の出発点になった理論だ。  このほか、「戦争と死に関する時評」(1915年)において、第一次大戦による道徳の崩壊を欲動論と死の問題、両面から検討。「喪とメランコリー」(1917年)では、愛する者の死に対する人間の反応を分析、それが病へと移行するプロセスを究明している。  全体を通じ、第一次大戦を境に精神分析体系の変革を試みたフロイトは、より心の奥深くへと探求の錨を下ろし、理論を深化させていったことがわかる。中でも「生」と「死」の二元的な欲動を追究した欲動論は、彼が最晩年に確信を抱くまでになったというだけに興味深い。かなり専門的な内容だが、訳者が紙幅を割き丁寧な解説をしているので、これからフロイトを学んでみようという人も比較的スムースに入っていけよう。

やさしさの精神病理 (岩波新書)

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やさしさの精神病理 (岩波新書)

・大平 健
【岩波書店】
発売日: 1995-09
参考価格: 819 円(税込)
販売価格: 819 円(税込)
やさしさの精神病理 (岩波新書)
大平 健
カスタマー平均評価:  4
症例分析から社会評論へ
本作は、精神科医が、新しい「やさしさ」と関わる精神病患者の症例を紹介し、 そこから導かれる今時の「やさしさ」の法則を解明しようとする、 精神病理+社会評論のベストセラー新書です。 主に多様な属性を持つ若者の患者を面接しながら、 著者は、彼らの言説に表れる「やさしさ」の正体をはっきりさせようと試みます。 その成否は、正直言って1度読んだだけでは余り伝わってきませんでした。 例えば、第3章は「ポケベル」に焦点を当てて論じていますが、 今や死に絶えたツールと言ってもよく、いまいち実感がわきません。 そのような社会評論の成否はさておき、毎度著者の本を読んでいて感心させられるのは、 精神科医の日常や精神病の実態が、こなれた文章から手に取るように伝わってくることです。 本作にも、個人的に感銘を受ける症例があり、興味深く読むことができました。
本当に必要なヤツは読まないだろうな
 「やさしさ」とは何かの本質をとらえた名著。  普段、新書はあまり読まないのだが、これは出版当時、会社でイジメに遭って「あちら側」と「こちら側」を行ったり来たりしている友人にストーカーされていた時期だったので、つい買い求めた。私自身も「やさしさ」にとらわれていたことに気づかされたし、うっすらと感じていたけれど自信がなかった「間違ったやさしさ」を裏づけてくれて、ありがたかった。  いわゆる「アダルト・チルドレン」だったと思われる彼女、危うく引き込まれそうになって縁を切ったが、今、どうしているだろうか。
是非。
カタイ文章を読むのが苦手ですが、この本は3日で読み切れました。 「精神病理」という、少し一般の人にはもしかすると難しく感じられるかもしれない名のつく本でありながら、文体も全くカタイものではなく、のめり込んで読む事ができました。 仕事や人間関係(家族、友人、恋人)などに対しての自分自身の考え方に、全く新しい観点を与えてくれます。 全体を通じて過剰な「やさしさ」の問題点を指摘され、自分自身の行動や性格を見つめ直させられるという”心と身体が引き締められる”ように感じさせられる部分もありながら、一章一章、読んだ後には何とも言えない”心と身体がフワッと軽くなる”ような感覚も与えてくれる、不思議で、なおかつ圧倒的な印象を残す本です。
連作短編のような…
小説の連作短編のような印象です。 たぶん、あえてフィクション風に書かれているのだと思います。 そのため読みやすかったのですが、ところどころ「嘘」臭い感じも。 なんでもかんでも「やさしさ」に転換するところなどは、こじつけじゃないかな、とも思いました。 とはいえ、バブル時代ぐらいから、「清潔」とともに「やさしさ」というものが異様に意識されてきているのは確かだと思います。 「やさしさ」をテーマにした広告コピーの影響かもしれませんが。その辺の背景も分析してくれれば、もっと読み応えがあったと思います。
★席を譲らないのも”やさしさ”!?★
●病気の範囲に入ってきた各種「行き過ぎたやさしさ」とは? 具体例で分析する。 ・”やさしい”時代のパーソナリティ(やさしくない”やさしさ”、他) ・涙のプリズム(私達の気づかい、他) ・ポケベルのささやき(失われた絆、他) ・縫いぐるみの微笑み(あんた何者?、他) ・沈黙のぬくもり(言葉は邪魔、他) ・”やさしさ”の精神病理(”やさしさ”からの逃走、他) ・心の偏差値を探して(「自分」発見!、他) ●きょうびのやさしさはホットでもクールでもない、お互いに相手の気持ちの中に踏み込まない「ウォーム」なやさしさだという。それにしては相手の都合を無視する携帯でのつながりを異常なまでにもとめる精神というのはどのような病理なのであろうか。

神との対話 普及版〈1〉個人的な真実について

[ 新書 ]
神との対話 普及版〈1〉個人的な真実について

・ニール・ドナルド ウォルシュ
【サンマーク出版】
発売日: 2001-01
参考価格: 840 円(税込)
販売価格: 840 円(税込)
神との対話 普及版〈1〉個人的な真実について
ニール・ドナルド ウォルシュ
Neale Donald Walsch
カスタマー平均評価:  4.5
低級霊からの霊界通信記だと思います
霊界通信の本を読むときにはどの次元の霊からの通信かが非常に重要になります。 この本を読ませていただきましたが、およそ高級界からの通信とは思えない内容でした。低級霊の悪ふざけか邪霊の類の通信だと思います。(私の所感ですので異議ある方は申し訳ございません。お許し下さい) そう思った理由の主な点は (1)この霊が自分を天地創造の神(最高神)であるといっている。 少し霊界のことを勉強した方ならおわかりになると思いますが最高神が直接人間に語りかけるなどということはあり得ません。また、高級霊になればなるほど謙虚であり、「自分は宇宙の最高神だ」などとは絶対におっしゃらないでしょう。 ※ちなみに何巻か読み進めていくと「自分は最高神・神ではない」と正体をばらしますが、なぜかその後もこの著者との問答はつづいていきます。 (2)理性よりも感情でものごとを判断するように煽っている。 人が正しくこの世で生きていく為には、常に理性(良心)に照らして判断しなければなりません。まさにその逆を言っています。 (3)他人を幸せにする為にはまずは他人をけ落としてでも自分が幸せになってから… ここまでくると、現在の人知の理論で考えたような内容で真理とはかけ離れています。高級霊が一環して説くのは「他人の為に自分を役立てる」「自己愛よりも利他愛を」「人を救うと求めずとも自分も救われる」etcです。 この本を読む前に、もしくは読まれて「おもしろい」「為になった」という方にも、まずは三大霊訓のひとつ「シルバーバーチの霊訓(近藤千雄訳)」をお読みいただき、より深く意義ある人生にお役立て頂きたいと心から願います。 私自身は、このような内容の本で「霊界の実相」や「神の仕組み」の間違った理解が世の中に広がるのを心から危惧いたします。 最後にこの本を読まれて「すばらしい」と思われている方々には、本当に失礼な内容のコメントになったことをお許し下さい。私個人の感想でございます。
この本に出合えてよかったあ☆
いったいこの本を何度読んだことだろう。タイトルに神とあるので、人に薦めると妙に勘違いされて敬遠されがちだけど、全然宗教の本じゃないですよw 実際に神と対話をしているという内容なのですが、その会話がまた楽しくて一気に読んでしまいますw ただ頭からこのような本を否定する方(自分もそうでしたけど・)はまだ読む準備が出来てないのかもしれません。 実際に神と対話してるかを信じるか信じないかは別として、例えそうじゃないとしても実際に面白すぎますw 人の人生を変えるくらいのインパクトがあるかもしれないので是非一度は読んでみてください♪ ちなみによく本屋に平積みしてあるスピリチュアル系の100万部のベストセラー「人生の法則」とかすべてうまくいく「宇宙の法則」みたいな本とは違い深い内容で一線を画していると思います。しかもわかりやすいです。 ただ小さい本屋とかにはあんまり売ってなかったりしますw いままで全く何もわかっていなかったことに気がつく方が大勢いると思います。 ようは世の中の疑問の答えがすべてかかれています。 しかも簡単でわかりやすく書かれていて、その円を描いて繰り返される見事な構成と内容に 自分は実際に人間がこんな書き方が出来るのか?? と思いました!こんな完璧な文を書ける人がいたら、それはそれである意味すごい。 文章や言葉もすべて完璧で突っ込みどころもなく、あらゆる問いに完璧で理解できるように なっています。 こういった真理や世の中の秘密や仕組みを書いた本は、人類の歴史上数多くあったが、理解しにくい本が多かったと思う。 どんな本でも理解出来ないような書き方じゃ全く読んでも身につかないが、ちゃんと理解できるように簡単なのがいい!しかも難解でわからなそうになると、ちゃんとまた自然にわかるように書いてあるのが凄い☆ なんか難しいこととか専門用語ばかりの本って、著者の自己満足がはいってたり思うことがあるけど、やっぱ本て読む人にちゃんと理解出来るように書かれてるのが優れてると思うんですが、さすが神だけあってその辺は完璧でしたw てなわけで、初めて神を信じてしまった本がこの本である。 あまりにも真実だと思えることばかりの内容なので、実際にそのとおりにしたら人生が大きく飛躍しましたし毎日が楽しくいい感じになりました! ホント今の政治家の人とかにも読んで欲しい内容です。 もう人生のバイブルなので手放せません。ホント出会えてラッキーな本でした。 気になる内容は、もう多岐にわたりすべての疑問が明らかになるのですが、子育てから政治、経済、宇宙の仕組み、精神やなぜ感情があるか?お金、セックス、時間の概念、宇宙人w?、などなど盛りだくさんの内容で何と宗教までぶったぎりますw 小中高、大学すべてで学んだことより実生活では全然役に立ちました☆ これで一冊648円は安すぎる! 子供から大人まで幅広く大勢の人に一度は読んで欲しい本です。 ちなみにこの本に出会って以来、他の本があまり面白くなくなってしまったのが悲しいですw 是非一度読んでみて♪  ってこんなにベタ褒めすると必ず否定する方もいると思いますが、その理由さえわかりますw
薦められる本
数年前に読んでいたなら理解出来なかったかもしれない。 あるきっかけで興味を持った量子論から始まり、バシャールまであらゆる本を読み進めて行く内に難解ながらイメージが出来るようになりました。 その下地があったので、この本はすんなり読み進められましたように思います。 その意味では、異次元世界探求の仕上げ的内容だと感じました。 個人的な感想を簡単に述べるならば、感性に訴えてくる物が有り、充分人生に活かせられる内容であると思います。
学ぶのではなく本当の自分を思い出すだけ
人生は学ぶのではなくすでに知っていることを(人は光であること)思い出すだけ。なぜなら人生は学校ではないから。カルマはなく、自分はどのような人であるかを自分自身で決めるために本当の自分とは正反対の人生の経験を選択する。正反対のものを鏡にして見ることで光であることを思い出すから。そんなことが書いてあります。
無条件の愛とは、どのような『考え方』であるか
世界には、論理では解決不能な、いくつものパラドックスがあります たとえばこの世界は一見、いや明らかに不完全なものですが 瞑想により、深い境地に至れば「この世界は完璧である」と言い得る境地が訪れます。 他にも 「瞑想をした後に、瞑想が必要なかったと悟る」 「神は内にあり、外にある。有であり無である。光であり光でない」などなど…これらがパラドックスです こうしたパラドックスについての理解があれば、この本の良さがわかると思います こうした方法で、この本は『無条件の愛とは、どのような「考え方」であるか』を説明しているのです。 そうしたことは本来、瞑想をしなければわからないものなのですが この本ではたくみな比喩で読者を導き、イメージを喚起させてくれます いろいろシリーズがでてますが、特にこの神との対話三部作は 精神世界に興味を持ちたての人にオススメです 「何で世界はこんな状態なんだ?ひょっとして人類の意識全体に問題点があるんじゃないか?」 という意識が徐々に浸透してきた現代だからこそ、広く読まれてほしい本です

ウィトゲンシュタイン入門 (ちくま新書)

[ 新書 ]
ウィトゲンシュタイン入門 (ちくま新書)

・永井 均
【筑摩書房】
発売日: 1995-01
参考価格: 756 円(税込)
販売価格: 756 円(税込)
ウィトゲンシュタイン入門 (ちくま新書)
永井 均
カスタマー平均評価:  4
「言語ゲーム」の記述に関しては希薄
特に後期哲学に関しての入門書として読みました。 「言語ゲーム」に関しては、理論や説明に相当省略部分があるように思いました。 私はそのためほかの「入門書」とあわせて読んでみましたが、やはりすこし内容がこの部分に関しては薄い気がします。 ただし、ある文芸批評家はこれ一冊で「ウィトゲンシュタイン」がわかったといっていましたから、ある程度の知識が前提とされるのかもしれません。
断念して品位を保つ
本書はウィトゲンシュタインの初期、中期、後期へと時代を追って、問いと考えの変遷を追う。哲学は答えではなく、新たな問いを投げる。著者は、この本を哲学の本であって、人物紹介でもなければ、解説書でもないと述べる。 言語ゲームに至るまでのウィトゲンシュタインの語りの過程が、その後の確実性の問題まで、新鮮で興味深かった。限界を突き詰めていくような考えの過程。問いの答えがないと覚るしかない限界。そうとしか言いようがない事態、あるがままに受け容れるしかない与件、そして語りえないとすら語りえないもの。 私とあなたは、どうしてこれほどわかりえないのか。 私はあなたがわからない。語りえぬものを語ろうとして私は失敗した。私の背後にありもしないものを読み取られて幻滅した。 私はあなたの注意を私に向けたい。それ以上のなんの意味があっただろうか。あなたは私をわからない。 私の興味のあるところでは、他者理解や私的言語について、もうしばらく反芻して吟味し、咀嚼していきたい。読者が「私の問い」を問うたら、おそらく本書の目標達成に一助をなすのではなかろうか。
独特の観点
ウィトゲンシュタインの思考の変遷をその人生にも触れながら描いていく著作。非常にコンパクトに、うまくまとまっていると思われる。ある種伝記的な色合いを持つ。 しかし問題の中心は著者自身(永井均氏)の問題に帰されるように見える。 「私」が「この私」であるのはどうしてか?単なる「独我論」に集約されない、共有されない独我論。 そのような問題を提起することに自分で言っていて矛盾を感じるが、この書はウィトゲンシュタインを通して著者永井均氏の問題を訴える書であると私は感じる。この問題自体は非常に面白く、ここから哲学は面白い!と思う人もきっといると思う。著者の読みではこの問題はウィトゲンシュタインが終生抱えていた問題だという。その読みも面白い。 ウィトゲンシュタインの哲学は「語りえず、示される」ものを雄弁に語りたくなる、そんな哲学だ。永井氏を惹きつけてやまないものもそんな一面にあるかもしれない。そして同氏の問題も「語りえない」問題だ。この本を読んでああすごい、と思える人は哲学が向いているかもしれない。そんな知的好奇心を強くくすぐる一冊。
立派な態度
序文におよそこういうことが書かれています。 『そこに解りにくい問題があるとします。それを解りやすく伝えたと  しても、それが解りやすくなることなどありません。しかし、でき  るだけそれを解りやすく伝えることには意義があります。なぜなら  それが解りにくいということが、いっそうはっきりするからです。  いっそうはっきりすると、途方に暮れることとなります。この地点  から、その解りにくい問題があなたの問題となるのです。これが  哲学の成り行きです。また、解りにくい問題に解決をのぞまれるの  であれば、どうか他をお読みになられてください。・・・・・この  入門書を読んで、私の理解するウィトゲンシュタイン的問題を、あ  なたが私と共有してくださったときには、ウィトゲンシュタイン自  身の著作にどうか分け入っていただきたい。もし、そうならないの  であれば、ウィトゲンシュタイン的問題と、あなたは無縁だったの  す。』 永井さんの「SO COOL!」な面がかいまみえるような気がしませんか? このような立派な態度で書かれたものには、信がおけます。
変な評ですが
 「はじめに」「序章」そして「おわりに」を読むだけでも価値があります。
 本書は「入門書」と名付けられていますが、入門書ではありません。むしろ著者永井均の、ウィトゲンシュタイン読解を通じて自己の哲学を打ち出した書、という位置づけが妥当でしょう。わたくしは、よって、他のレビュアーの方のように、この本を読んで原著に当たりたいという気持ちにはなりませんでした。むしろ、この本から出発してさまざまな諸問題について自ら考えてゆくことを、本書は推奨しているように読めました。
 著者のウィトゲンシュタイン理解が正当であるかどうか、ということはあまり問題にはならないような気がします。少なくとも、著者によって呈示されているウィトゲンシュタイン像がとても魅力的であることは事実なのですから。
 少なくとも、「独我論」という問題について、独力で思考した経験のある読者であれば、賛同するか否認するかは別として、ここでの意見の呈示に対して、まことに筋の通った、かつ思考の流れとして必然的なものであることは理解できると思います。
 永井氏はさいきん流行の哲学者だそうですが、フランス現代思想を偉そうに語るふたむかし前の似非哲学者(今でもその残党はあまた生き残っている)に比べて、ずっと誠実であるという印象を受けました。

心理学化する社会 (河出文庫)

[ 文庫 ]
心理学化する社会 (河出文庫)

・斎藤 環
【河出書房新社】
発売日: 2009-01-26
参考価格: 840 円(税込)
販売価格: 840 円(税込)
心理学化する社会 (河出文庫)
斎藤 環
カスタマー平均評価:  5
文庫版あとがきでの筆者の主張の変化に注意
思想・文学がリアリティを失い、自らの実存を仮託するリアリティがなくなった現代では、薄められ一般人にも利用可能なものにされた、お手軽な心理学・精神医学の言葉がその欠落を埋めている、つまり社会が心理学化している、というのが本書のアウトラインだ。詳しくは本書単行本版に多くのレビューが載っているので繰り返さない。 ただし、文庫版発売のために書き下ろされた文庫版あとがきに書いてあるように、単行本出版時から5年経ち、社会の変化に伴って本書での筆者の考えにも微妙に変化が生じていることに注意する必要がある。筆者は「心理学化」というアイデアは過去のものになってしまっていると思っているようで、いまや個人は社会学の「個人の内面に介入しない言葉」が心理学の代替になってきている、つまり「社会の心理学化」から「社会の社会学化」になりつつあるという。しかし、そうした事態に対し、精神分析的な倫理を見出し、実践していこうという筆者の結論は変わっていないようだ。以上のことから、未読の方には単行本より文庫版をオススメしたい。

自殺予防 (岩波新書)

[ 新書 ]
自殺予防 (岩波新書)

・高橋 祥友
【岩波書店】
発売日: 2006-07
参考価格: 777 円(税込)
販売価格: 777 円(税込)
自殺予防 (岩波新書)
高橋 祥友
カスタマー平均評価:  5
自殺は「自由意思のない強制的な死」ということをクリアに提出している良書。自殺に関する誤解が氷解する。
昔、『完全自殺マニュアル』という本がベストセラーになったけど、 これは、『自殺予防マニュアル』としての本。 自殺を望むものがいるとき、自分がとるべき行動は? 内容は具体的で非常に濃い。 「自殺したい」と特定の相手に打ち明けたとき、 「自殺したいなんて言っているうちはまだまし」と、 解釈している人はすぐにこれを読んで考えを改めなおしてほしい。 <自殺>は、 [ヒトが「生きたい」「死にたい」の間のジレンマに陥り、そのジレンマの中で「死にたい」を選択せざるを得ないほど精神病理的に追い詰められた、自己意思によるものではなく強制的な死]だという著者の定義は素晴らしく的を得ていると思う。 新書版で自殺に関することだけではなく、 うつ病に関する最初の入門書にもなりえるので、 (うつ病の最悪の病態が自殺なので)、 メンタルヘルス、自殺について考えることが、 少しでもあれば手に取ってみてほしいと思います。
自殺についての知識がコンパクトに
この本の長所 自殺についての広範な知識がコンパクトにまとまっているところ。年代ごとの自殺の特徴、世界の情勢、心構え、主にうつ病の治療法(うつ病が原因で自殺する人が多い)、行政の取り組み、ケアと、知識の範囲が過不足ないように感じた。 この本の短所 1.家族を強調しすぎる嫌いがあると思った。 2.精神科医だからか、「困ったときには精神科医に」的なコメントが目立った。 しかし、これらは、専門家に相談することが妥当だったりするので、星を減らすほどでもない。 結論―長所星5つ、短所は星を減らさず、星5つそのまま。
バランスのとれた良書
 著者は精神科医としての経験から、自殺とはどういうものであり、自殺しそうな人にはどのように対応すればよいかをていねいに記述している。私は、「第2章 自殺の心理」の記述を、一つひとつかみしめ、たいへんに興味深く読ませていただいた。そして、自殺予防としてはもちろん、職場のメンタルケアのためにも多くの人が読むべき本だと思った。  また、自殺した人の妻のように、残された人の苦しみについてもしっかりと書かれている。私は同じ職場の人が自殺し、少なからずショックを受けた経験があるので、しみじみと読ませていただいた。  一方で、世界における自殺予防の取組み、今後の予防施策のあり方のような記述もていねいに解説されており、本当にバランスのとれた良書だと思います。
いま、いったい何ができるのか?
自殺者の数が交通事故で死亡する人の4倍。 この事実を耳にするようになって、何年経つだろう。 職場で何回話してきただろう。 何回耳にしても、口にしても やりきれなさが残ります。 この本の中では、 うつの初期から進行と軽減していく過程がわかる「症例4」と 残されたご家族と向き合った「症例5」が印象に残りました。 考えさせられる内容です。 ...いま、いったい何ができるのか?、と。
大切な人を死なせないために
今僕は、自殺したいと願っている大切な人を抱えている。 その人の思いはどうなっているのか・・・ もちろん人の思いは、本を読むだけではわかりっこない。 でも、下手なかかわりはいのちを失わせることに繋がる。 100%死を決めて自殺する人はいない。 いつも生と死を激しく揺れ動いている、という指摘、 その意味で自殺は自らが選んだものというより、追い詰められた 選ばざる死であるという著者の主張は、 僕も大声で伝えたいこととなった。 本書を読んでよかった。気をつけたいことが良く分かる。 ものすごく実践的だった。しっかりした入門書です。 死なせたくない、大事な人がいる方、お勧めします。 そして、僕の大事な人も、一緒に生きていくことが出来ますように。

アンベードカルの生涯 (光文社新書)

[ 新書 ]
アンベードカルの生涯 (光文社新書)

・ダナンジャイ・キール
【光文社】
発売日: 2005-02-16
参考価格: 1,050 円(税込)
販売価格: 1,050 円(税込)
アンベードカルの生涯 (光文社新書)
ダナンジャイ・キール
カスタマー平均評価:  5
お師匠さま!
数年前インドに行った時、現地人ガイドの話でアンベードカルという存在を知った。「新仏教の創始者」という紹介だったので、初めは胡散臭く思っていた。 本書を読み進めるうち、その人柄や行動力に引き込まれていき、私は勝手にこの人の弟子になったのであった。 たくさん売れる本とは思えないので、再び絶版となってしまう前に入手しておいた方がいいかも知れない。 訳者の山際素男氏が、まえがきの最後で「本書を世に問うて下さった光文社の小松現氏に心から厚くお礼申し上げたい。」と仰っている。同感!
なぜ日本では無名なのでしょうか?
インドに関する偉人と言えば、ガンジーくらいしか思いつかないのが、ごく普通ですが、インド国内では、ガンジーを凌駕する人気を誇っているのが、アンベードカルです。 彼は不可触民(ヒンズーに於ける最下位のカースト)の生まれながら、大変な努力の末、イギリスとアメリカで博士号を取得し、インドでは初代法務大臣として憲法の起草に従事し、その傍ら、不可触民の地位向上の為に、それこそ粉骨砕身した人物だったのです。 本書ではそんな彼の生き様を余すところ無く伝えていますが、彼の意志の強さ、ねばり強さに大いに共感すると共に、このような人物を全く知らなかった自分の無学さに打ちのめされる思いがしました。
こんなすごい男がいたのか!
不可触民として生まれ、独立インドの初代法務大臣にまで登りつめたアンベードカルの生涯は、とにかく激しいの一言。インドのカースト制に挑み続け、何度も絶望し、最後には仏教徒として生涯を終える彼の姿に、インド社会の複雑さを思い知らされるとともに、それでも戦い続けた彼に賞賛を禁じえない。

特に、ガンジーとの丁々発止の対決は必見。ガンジーを見る目ががらりと変わる。

本書は伝記でありながら、筆致は非常にドラマチックで、ぐんぐん引き込まれる。インド近代史を知るのに欠かせない一冊だと思う。


戦うハプスブルク家―近代の序章としての三十年戦争 (講談社現代新書)

[ 新書 ]
戦うハプスブルク家―近代の序章としての三十年戦争 (講談社現代新書)

・菊池 良生
【講談社】
発売日: 1995-12
参考価格: 735 円(税込)
販売価格: 735 円(税込)
戦うハプスブルク家―近代の序章としての三十年戦争 (講談社現代新書)
菊池 良生
カスタマー平均評価:  4.5
江村氏著の「ハプスブルク家」または同じ著者による「神聖ローマ帝国」を先に読んでおくとよいでしょう。
30年戦争に関する日本語による一般歴史ファン向けの本を私は寡聞にして他に知らないから、本書の価値は依然として高いと思う。作者は近代の序章としての戦争であったという観点に立つ。意味するところは、宗教対立とハプスブルク家などの自分が帝国になって単一の秩序・正義を打ち立てんとする普遍主義とが結びついた正戦がいつ果てるともしれない消耗戦しかもたらさないという本戦争の結末から、多数の秩序・正義の並存を認めるシステムを認め、これ以降欧州では戦争は限定戦に合理化され、「宗教のドグマから逃れ」、領主が集合離散を繰り返す非常備軍中心の戦争から、常備軍を維持する徴税制度を備えた国家間の戦争に移行したということ。佐藤賢一氏著「英仏百年戦争」を読んだ者としては、英仏に遅れて他の欧州でやっと国民意識が芽生える契機が訪れたのだなという感想を持った。(もっとも、独・伊を統一する国民国家の成立はもっと後。本戦争はそのドイツからオーストリアが外れる遠因になった。)それにしても、日本の応仁の乱の如く何と錯綜した人物・領邦間の関係であることか。本書をよく理解するためには同じ新書の江村洋氏著「ハプスブルク家」と本書と同じ著者の「神聖ローマ帝国」を事前に読み、同帝国のかたちとハプスブルク家の関わり、長い両者の歴史での三十年戦争の位置づけ及び前後を含めた概略に親しんでおくことを薦める。いきなり本書を読んでも、普遍主義・帝国理念等で始まる第1章でつまずく人が多いのでは?第2章で実際の戦争の展開の記述に入ってからは、傭兵隊長ヴァレンシュタインやスウェーデン王グスタフ・アドルフ等歴史を飾る一級の人物たちの活躍やエピソードに魅了される。しかし、これだけ複雑な経過を辿り登場人物の多い戦争なのだから、もっと地図が欲しいし、系図・年表・索引を付けて欲しかった。最後に、いつもながら戦争の惨禍には粛然とする。
帝国理念の蹉跌と近代国家像の登場
 帝国やフランスをはじめとする大国が挙って参戦し、中欧全域を阿鼻叫喚と荒廃の巷と化した三十年戦争。ヴァレンシュタインやグスタフ・アドルフ、そしてリシュリューなど、当時の名に負う梟雄たちが死闘と権謀術数の限りを尽くした舞台こそ、この17世紀の欧州大戦に他なりません。  もともと宗教的熱情の迸りに端を発した紛争ですが、関係各国間の複雑な利害の絡まり合いの中、いつしか国際関係の現実に根差した「近代的」戦争へと変容を遂げていき、ウェストファリアで講和がなされた頃には、欧州におけるパワー・ゲームのルールは全く新しいものに変化し、また、各国の統治システムも面目を一新することとなりました。  さて、本書は、主としてハプスブルグ家側からこの戦争を概観し、その背景と経過を紹介するとともに、戦争の過程における国際関係と国家システムの変容を分かり易く説き明かそうとするものです。  本書の中で筆者は、この戦争の基本的な性格に関して、カール5世以来の「帝国的」普遍主義と地域的個別主義との相克として捉え、各国・諸権力側の現実的な利害打算の中、中世的理念が最終的蹉跌を来たす過程を描き出そうとしています。  三十年戦争は、その後の国際関係の根本的方向性を規定する契機となった極めて重要な事象ですが、我が国では一般向け概説書の類は少ないようです。そうした中、本書は、平易な言葉を用いつつもポイントを押さえた記述振りとなっており、たいへん貴重な一冊だと思います。  なお、著者はもともと文学畑出身の方であり、その語り口には独特の味わいを感じます。
宗教対立から国家対立の時代へ
三十年戦争は十六世紀のルターの宗教改革で西欧がカトリックとプロテスタントの両陣営に分裂した状態を受けて、十七世紀にハプスブルク家が再びカトリックの盟主としてヨーロッパに覇を唱えることから発した戦争である。初期の宗教地図を巡る戦いから、次第に国家的利害の角逐に性格を変えていくのがこの戦争の特徴である。例えば最後に参戦したフランスはカトリックであるが、敵国内のプロテスタントに援助を与えたり、異教徒オスマン帝国と結んだり、宗教にこだわらない外交を展開している。ウェストファリア体制では「主権国家」という概念と近代の国際法秩序が生まれた。これはやがて欧州のみならず、植民地化していくアジア、アフリカなどの他の地域にも適応され、現代に到るものである。ヴァレンシュタイン、グスタフ・アドルフなどの英雄が活躍する時期であるが、ヨーロッパがこの戦争を契機として近代の道を歩んでいくありさまも見逃せないものがある。
歴史文学的な味わいをもった三十年戦争史
 17世紀に欧州を広範囲にわたって巻き込んだ三十年戦争を概観する講談社現代新書。日本人には世界史の教科書で出遭う程度にしかなじみのないこの戦争を、C.V.ウェッジウッドの「三十年戦争」をタネ本にして描いた(あとがきより)一冊とのことです。

 権謀術数渦巻く近世戦争の中で、神聖ローマ帝国皇帝フェルディナント2世、その傭兵隊長ヴァレンシュタイン、フランス宰相リシュリューといった主役陣が入れ替わり立ち代り歴史の表舞台へ現れては消えていきます。著者が本書で用いる文体は学術書のそれというよりは歴史文学のそれであり、品位溢れるものです。歴史の壮大な物語が私たち読者に与えてくれるものと同じ昂揚感を本書で味わいました。

 殊に印象的なのはスウェーデンのグスタフ・アドルフ王が戦地に斃れる場面です。戦争の一方の側にとっては偉大な英雄であったグスタフ・アドルフの死を物語風に簡潔な文章で描いた箇所(128頁)は、戦争の虚しさや哀しさが立ち現れてくる描写として際立っています。

 三十年戦争を終結させたウェストファリア体制が、欧州普遍主義からナショナリズムへの転換、ラテン語よりも固有言語の尊重、殲滅的戦争から限定的戦争への合理化などを推進していく歴史的転換点になっていったという最終章のまとめは大変分かりやすく、私のような歴史学の門外漢にも違和感なく受け止めることが出来ました。
いま少し新しい観点を
慥かに、三十年戦争の沿革を知ることのできる唯一の本だと思いますので、その点は非常に高く評価できると思います。しかしながら、底本になっているのがウェッジウッドの古典的作品のため(もちろん、この本も素晴らしく価値ある本ではあるのだが)、三十年戦争という事件に対する評価があまりに古臭く、従来のマイナスイメージの観点を脱しきれていない館があります。現在三十年戦争の研究はドイツでも非常に盛んに行われており、それにともなって新しい観点もどんどん提出されているので、より新しい本や論文でウェッジウッドの視点を補って欲しいと思いました。しかし、三十年戦争についてこれだけ詳細に書いてあるという一点では大変に意義ある、そして価値ある作品です。底本になっているウェッジウッドの翻訳が出るという話ですが、それが出るまではこの本は大変価値をもつことでしょう。


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 更新日 2009年7月8日(水)  ※ 表示価格は更新時のものです!      メール      相互リンク