世の中には運がある人ない人がいるようだが、もう少し詳しく見ると、ちょっと違う。
たとえば幸運がよく巡ってくる人は、「惜福」がある人だと露伴は言う。 「福の惜しむ」というのは、幸福に対してケチケチすることではなしに、逆に幸福に対してガツガツしないこと。たまたま巡ってきた幸福を使い尽くさないで、天に預けておく。そうすると福(ラッキー)に巡り会う確率がアップする。
自分に回ってきた福を独り占めしないで、一部は人に分け与えるようにするのは「分福」である。この工夫で、より大きな福(ラッキー)が来ることになる。レヴィ・ストロースもいうように、あるいは『金持ち父さん』もいうように、人間は、本当に欲しいものを、誰かに与える(プレゼントする)ことを通してしか、手に入れることができないのである。
幸運の女神が好むところを知り、女神が立ち寄る種をつくること、「福を植える」こととして「植福」という。
こういう幸福三説に『努力論』はかなりのページが割いている。
『努力論』は「努力しろ」とか「努力して成功しろ」というお道徳本でなく、「努力してるのに、さっぱりだ」という人向けに、露伴が頼まれて書いたもの。頼む方も方だが、引き受ける方も方だ。そして、露伴はやっぱり凄かった。 人生の友に露伴の文章は現代人にとって難しく読みにくい。私などは、理解するのに辞書を引きながら読んだりしたものだ。だが、そうした苦労をして読むのに値する本であると自信を持って推薦できる。内容についてはここでは述べない。ぜひ皆さんが手にとって、じっくり読んで味わってほしい。
この本がいっているように人間にも季節の四季のようなことが起こりうる。いつまでも春でいることが必ずしも幸せというものではない。冬の厳しさが春の喜びも深めるように、あるがままにその季節を体験するという姿勢こそ、本当に深みのある生き方につながるということでは無いだろうか。 中年の危機をチャンスへ 私は昨年4月の配置換えを機に鬱病を患い、9月から休職中である。もう、職場復帰は目前であるが衰えた体力回復のため書店巡りをした。書店で、本書を見つけ、読みやすそうなので買った。有名な日本の小説12編を素材に中年の危機のありようとその克服法が優しい筆致で描かれた好エッセイである。久しぶりに喫茶店へ入り、フルーツ・パフェを食べながら3時間ちょっとで一気に読み終えた。文学作品を病跡学的に扱うわけではなく、ましてや本格的な論文でもない。12編の作品の分析は心理療法家ならではという冴えわたった感はしないが著者の視点が優しいのである。この優しさが本書の魅力である。肩肘張る読書ではなく、リラックスした読書体験をさせてくれた本書は全体を通して私から重荷を降ろしてくれた。エレンベルガーはフロイトやユングが中年期に重い病的体験をしていることに注目し、「創造の病」という考えを提唱したそうである。読後、私の鬱体験が「創造」に向かう気がしてきた。不思議な魅力をたたえた河合隼雄の一冊である。
以下は、同著者の「安心感」でも私は少し述べて重複するかもしれない。
私は思うのだが、自分の権威・権力を使って自分や本当に世の人が住み良く変えようとしている人間を挙げろと言われたらこの人をあげるかもしれない。
この著者の狙いは、まずは商業的な目的である。次に自己のためである。この人の過去の著作を読めばそれは一目瞭然で、辛い昔を思い出しそれを自分なりに整理しようとして書いている。もちろん読者の為にと言う余裕はそこには感じられなかった。ただただ、単に読んでいて暗いだけ。が、次第に彼自身の権威の故に周りの人間が彼の意見に反対or茶々入れ出来ないため、徐々に認められ(専門の研究者以外は逆らえないだろう)、精神の余裕が出てくるようになった。そして、彼は、自己と同じような辛い思いをした人間、あるいは弱い人間が本当に人生を謳歌できるようにという方針に転換しかけている。
その為に自分の権威を使い、後押しor世間の偏見を取り除こうとしているのが感じられる。その典型例が本書である。感情を思い切って出せ。親であろうとなんであろうと!と。狙いは良いのだが、もうちょっと具体性が欲しかった。
著者には善意悪意・過失無過失に関わらず、悪い方向に使わなければ、と願っている。
私は、このレビュアーを書きながらなんのために勉強しているかを「そうだ!力や権威を手に入れて、それを自分が理想としている世の中に向かって使うんだ」と思い返した。 感情を出そうと思います。自分が書いたレビューが参考にならない人もいるんだな…と思って、それが少し悲しくて、もう書かない方が自分も辛くならないしいいかな?と思っていました。でも、この本に出会って「この自分の正直な感情を書けばいいんだ、思い切って」と気付きました。
勇気を出して書こうと思いました。感情を出そうと思いました。
【自分のレビューが参考にならない時って少し悲しいな】そういう些細な感情でも出せる勇気の出る本だと思います。素直で正直な自分を否定せず、だからといってそれを【甘える口実】にもしてはいけない、とても勉強になりました。
タイトルだけでも一読をオススメしたい本です。