後はこのビジョンに沿った技術革新によって、2050年には経済活動がどうなるのか、経済学者による検証に期待したいと思います。 資源問題の基本的な考え方が身につく。 エネルギー資源の代表格・石油は、今世紀中に枯渇するとされている。こうしたエネルギー資源問題への対策には一般的に、[1]エネルギーをむやみに使わず節約する(省エネルギー)、[2]同じ量のエネルギーを使うにしても、より効率よく使う(エネルギーの高効率化)、[3]太陽光などのクリーンなエネルギーを使う(新エネルギー開発)、といったことが考えられる。 この本でおもに扱われているのは2番目の、エネルギーをいまよりもっと効率よく活かす技術だ。いまの人間活動には、まだまだエネルギーを効率よく使う余地が多くあるという。たとえば自動車。二酸化炭素排出の大きな要因となっている自動車ではあるが、理論的にいえばなんと燃料いっさいなしで走ることができるのだそうだ!(タイヤ・道路間の摩擦で生まれる熱を車の発進時に使えば、燃料は要らなくなるという)。
人間活動を各作業ごとに区分けして比で表すとすると、燃焼、還元は1000、吸熱、発熱反応は100、蒸発、凝縮、膨張は10、融解、凝固、加熱、冷却、分離は1、輸送、形成は0になるという(熱燃焼を100とする)。この数値を知っておけば、自分を含めた社会がしている行為がどのくらいのエネルギーを使っているかを考えることもできる。実体の掴みづらいエネルギーというものを数値として計算できるようになるので、たとえば「リサイクルはエネルギーの無駄づかい」といった話も誤解であることがよく理解できるようになる。
エネルギー問題の基本的な考え方がしっかりと身につく本だ。知っているようで知らなかったことが多いと気付かされる。数字の話もけっこう多く出てくるけれど、どれも無駄な情報はない。逆にこれらの基本的数値を把握しておけば、環境の時代を生きていく上でなにかと優位に立つことができるだろう。とくに、これから素材や製品の技術開発を目指すような方や、環境問題をビジネスチャンスとお考えの方には格好の入門書になると思う。