こうした点を強く見れば、この当時のアカデミックな水準から見て、この本の主張にオリジナリティを見るのは、やや過大評価の嫌いがある。
が、ルポタージュとして見ると評価は一変する。特に、研究レベルで為されなかった特殊法人の出資を伴わない互助会や認可法人の驚くべき蛸足的実態、「熟眠法人」を巡るブローカーの告白、互助会を経由した公益性を全く無縁のサラ金貸出等々、今までアンダーグラウンドでしか語られなかった「暗部」を見事に抉り取った。
この本でのクリティカルな主張は、上は事務次官経験者、族議員から、下は認可法人の従業員まで、この国の公共部門に属する存在が、上も下も皆それぞれに腐敗し、その腐敗に一般市民が乗っからざるを得ないという構造を暴いたことそのものであり、これは残念ながら現在でも妥当する部分を強く持っている。その意味で、この本の指摘は未だ色褪せておらず、賛成批判の立場を問わず、現在でも一読に値する書物である。
でも、君の客観性はまちがってるよ、といわれてこれを読むように薦められた場合、これを読んでもよくわからないかもしれません。
もっと平易な新書レベルの本を読んだほうがいいかもしれません。
しかし、このシリーズは1巻5,000円以上するうえに13巻まで出ていて、なかなか手の出せるものではなかった。
そこへ、同じ講談社から文庫版『世界遺産』が出た。出版社は同じでも『ユネスコ世界遺産』とは内容は全く別物で、全7巻で約300件前後が紹介されている。世界遺産に関する本は文庫でもほかにもあるが、選定基準があいまいだったり、地域別になっていないなど体系性にかけていた。
本シリーズは地域別に分冊になっていて、1冊の中でも文化遺産と登録遺産とに分かれているので資料として利用できる。全巻そろえても低価格で済むのも魅力。
第1巻のヨーロッパ(1)では、東欧諸国とイタリアが掲載範囲で、ヴァチカン市国・パルテノン神殿などの有名なものから、キジー島の木造教会(ロシア)など
一般に知られていない名所まで魅力的な遺産が40件弱収録されている。写真はとても美しく、文庫としては満足できる大きさである。登録遺産の個々の解説は少々物足りないが、そういう人は『ユネスコ世界遺産』を参照すればいいだろう。
なお、世界遺産を紹介する映像ソフトに、TBS系列の『世界遺産』という
芸術的なまでにすばらしいテレビ番組があることを紹介しておきます。