いま社会では、映画文化を見直し、映画館の開設計画や映画祭が各地で進められている。映画文化を理解する資料の一つとして是非読んでおきたい本である。 だいぶ物足りない予告篇製作ビジネスの紹介本だが、それ以上の踏み込みがないので読後の印象は薄い。第1章の「予告篇から映画がわかる」が映画ビジネスと予告篇の関係について論じている部分だが、費やしたページ数はわずか20ページ。ここにもっとボリュームがあると、ずっと面白い本になったと思うのだけれど……。予告篇の歴史や海外の予告篇事情など、予告篇について語れる内容はまだまだあると思う。
最終章で著者が自分の“今の仕事”を紹介していることからもわかるとおり、この本は何年も読まれ続けることを目指しているわけではなく、雑誌のように賞味期限のある本として作られているようだ。映画ファン向けの軽い読み物としてなら、この程度でも構わないのかもしれない。でも資料的価値は限りなくゼロに近い。 職人芸の世界私には、予告編で期待したのに本編でがっかりしたという経験がたくさんある。で、予告編を作った奴はけしからぬ奴と思ったりしていたが、彼らは彼らで、客をだますのが仕事のひとつなのであるということが良く分かった。
しかし、面白い世界である。駄作の予告編作りの方がたのしいというような記述もあり、なるほどと納得した次第である。
この本を読めば、予告編がまったく違って見えてくる。