こういった訳で本書は本当の意味でギリシア神話を知る格好のテキストでもあります。また英雄たちの生い立ちの大筋は記載されていますし。さらに巻末には固有名詞索引があります。故に気になる英雄や神々などをピックアップし、彼らの血統や生い立ち、顛末を知るにも十分役立ちます。言い換えればギリシア神話の人名辞典として使用できるのです。他の方が「人名の洪水」といっていますが、これは誇張でもなんでもなく、ただただ事実なのです。
さて後半には「摘要」という部分があります。こちらは主にホメロスの二編(トロイア戦争)について大いに補完してくれています。この部分だけでも大いにお勧めしたい一冊ですね。 丁寧に作られた訳本西洋古典をやる人ではなくても、たとえば英文学をやる人にとっても、ギリシャ神話の知識は必要不可欠です。ナルシッソスの話などは、一般にも有名になっていますし。この本はいろいろなエディションを参考にしながら忠実に訳し、原典に欠損やバリエーションのあるところなどは丁寧に註をつけ、解説した本で、いろいろな版を考慮にいれて丁寧に訳した努力の伝わる作品です。話そのものは、誰々がどこの誰のもとに生まれて結婚して冒険したとか神々とどうこうやったとかそういった話が延々と続き、けっこう退屈です。ひとりの物語が長く続くのではなく、多数の人々の物語が次々に出てきます。誰が誰だかわからなくなるほど出てきます。でもなくてはならない知識だし、トロイやオデュッセイアの話も入っていて有用です。膨大な固有名詞にはちゃんと索引がついています。 人名の洪水で溺れそうになる1冊。玄人向けかも。 古代ギリシアの神話、英雄伝説、諸王家の系譜を1冊に集大成した名著。この本を初めて読んだとき、ギリシア神話について、自分がいかに知らないかを痛感しました。この小さな文庫1冊を読めば、ギリシア神話について、たいてい理解できるはず。また有名な英雄の背景には何代にも渡る系譜が存在し、普通では述べられることの無い人物がたくさん存在したのだということもわかります。 これを片手に、神々からギリシア諸王家にいたる系図を作成し、一望してみるのも一興かも。ただし実際に作ってみた経験から言うと、かなり苦労します。つまりはそういうことが出来るくらい詳しいギリシア神話の本、というわけ。 キ゛リシア神話の基礎的な文献ですおよそギリシア神話について語る人であれば、必読の書です。 もちろん古代ギリシアの文献なので、出来れば同じく高津春繁氏の『ギリシア・ローマ神話辞典』(岩波書店)を片手にひもとかれると良いでしょう。 英語の読める人は、LOEB版のフレイザーの解説を参照しつつお読みになることをおすすめします。