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七回死んだ男 (講談社文庫)
・西澤 保彦
【講談社】
発売日: 1998-10
参考価格: 620 円(税込)
販売価格: 620 円(税込)
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・西澤 保彦
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カスタマー平均評価: 5
ミステリだが緊迫した感じはなく笑えた 同じ日を一人だけ9日間繰り返す「反復落し穴」という不思議な体質をもった高校一年生の久太郎。これは毎日発生するわけではなく、月に数回の頻度で偶然発生するのだが、正月のある日、突然久太郎の祖父が殺害される事件が発生し、その日が「反復落し穴」と重なる。祖父が殺害されるのを防ごうと孤軍奮闘する久太郎だが、どんなに頑張っても祖父の殺害を食い止めることができない。
これはミステリなのだが、ミステリにありがちな緊迫した様子はなく、何度阻止しても祖父が亡くなる事件が繰り返される様子はとても笑えた。回数を重ねるごとに新たな事実が次々と判明し、繰り返しの事件でも飽きることなく読めた。また、「反復落し穴」にも思わぬ「落とし穴」があり最後まで楽しめた。
SFにロジックミステリを持ち込むと 以前から時間旅行をテーマにしたミステリーがあると聞いていて読みたかった一冊。図書館でないものかとおもっても、常に貸し出し中なのでとうとう購入してしまいました。
妙に老成した高校生・大庭久太郎には妙な「体質」がある。普通に暮らしている最中にある一日がリプレイされてしまうのだ。リプレイされてしまう日は不定期だが、リプレイされる回数はちょうど9回。野球と同じその最終回のリプレイが確定した事実になってしまう。
1月2日、親戚の集まった日に祖父が殺されてしまう。ところが、久太郎にとってはそれは異常な事態……祖父は死ぬはずがない……リプレイが始まってしまった1周目には死ななかった祖父が、2周目には死んでしまう。3周目、4周目、久太郎は祖父の死の原因を突き止めてなんとかそれを回避する行動をとるのだが、やはり祖父は死んでしまう。
ミステリにSFを持ち込んだとも言われますが、どちらかというとSFにミステリを持ち込んだような作品です。奇抜な組み合わせに見えて、これが絶妙。同じ日を9回繰り返すことで、推理のトライアル&エラーを繰り返しながら少しずつ真相を突き詰めていくことや、きちんとミステリの常道に従ったどんでん返しに至るところにちりばめられた伏線。
とんでもなく面白い作品でした。
タイムトラベルとミステリー タイムトラベルとミステリーを合体させた作品です。
主人公がタイムトラベラーなのですが、一般的なタイムトラベラーと違い、自分で制御できない部分が多いので、自由自在というわけではありません。限られた自分の能力の中で、何とか事件を解決させようと努力する様がコミカルに書かれています。
ラストのどんでん返しが、良い意味で裏切られます。正直、3分の1くらい読み進んだところで、犯人がわかった気になっていましたが・・・。
ミステリー好きよりも、SF好きの人に読ませたい作品です。
推理小説ではなかった 推理小説を求めて手にとった作品でしたが、謎解きのカタルシスよりも作品のエンターテインメント性に目を引かれました。
おそらく序盤の「主人公が時間を跳躍してしまう」という設定説明の部分で、引っかかってしまう人は少なくないだろうと思います。
でも、それで作品の底を知った気になるのは早すぎます。
なんとか事件を食い止めようとする主人公と、次から次へと湧き出てくる事件の種。
そのいたちごっこに「まだ出てくるのか」「次はこれか」と笑ってしまいます。
出てくる要因をひとつずつ潰していって最後に残った謎とその結果に、分かってた人もそうでない人もニヤリとしてしまうはず。
君は【反復落し穴】から抜け出せるか?!僕は底で死んだ。だって、しつこ、、、 七回死んだ男―目次
・とりあえず事件のさわりだけでも―9
・主人公は設定を説明する
・登場人物たちが一堂に会す
・不穏な空気はさらに高まる
・そして事件は起きる
・やっぱり事件は起きる
・しつこく事件は起きる
・まだまだ事件は起きる
・それでも事件は起きる
・嫌でも事件は起きる
・事件は最後にあがく
・そして誰も死ななかったりする
・事件は逆襲する
・螺旋を抜ける時
・時の螺旋は終わらない―337
愉快だねぇ。。
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チャイルド44 下巻 (新潮文庫)
・トム・ロブ スミス
【新潮社】
発売日: 2008-08-28
参考価格: 700 円(税込)
販売価格: 700 円(税込)
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・トム・ロブ スミス ・Tom Rob Smith
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カスタマー平均評価: 4
主人公の変化がすごい 悪役として登場した主人公が、正義を追求する男に変わっていく様がすごい。
ラストも良い。映画化も当然だ。
人間は変われるはずという信念に裏打ちされたサスペンス小説 1950年代のスターリン体制下ソ連。国家保安省の捜査官レオは妻にスパイの容疑がかけられていることを知らされる。妻の捜査を命じられるものの最終的にはその無実を主張したため、夫婦で田舎町の民警へと左遷されてしまう。そこで起きた児童惨殺事件が実は広範囲にわたる連続殺人であることを確信したレオは犯人を追うことにするのだが、同僚の策略と妨害を前に、その捜査は命を賭したものになっていく…。
上下巻合計で800頁近い長編サスペンス小説です。
主人公レオはソビエト社会における特権階級として物語に登場します。職場を同じくする者の息子が死亡した事件を、なんとか事故死として穏便に片付けようとする彼は、事なかれ主義を通すことで全体主義国家の中で餓えと寒さを免れた生活を安穏と送ることが出来ています。
しかし、児童連続殺人事件を追い始めた彼は、前門の虎(連続殺人鬼)と後門の狼(全体主義国家)の両方と対峙せざるをえないほど過酷な捜査活動を通じて、むしろ少しずつ人間性を取り戻していくことになります。
優れた物語とは、主人公がわずかであっても成長を遂げていく物語のことだと強く思います。この小説は、共産党一党独裁のソビエトの厳しい閉塞感を実に見事に表現し、そのやりきれない逆境の中でレオが人として、また夫として、確実に良き方向へと変わりいく姿が描かれ、それが胸に強く迫ってきます。
そしてまた彼が変わることが出来るのも、周囲の名もなき人々、貧しき人々の手助けがあるから。まかり間違えば国家に対する反逆者として命を失いかねない状況の中で彼らがとる行動もこの小説の中では決して現実離れしたものには見えません。読むものをぐいぐいと最終場面まで引っ張っていく力があります。
頁を繰る手を緩めることの難しい一級のサスペンス小説でした。
一気惰性 下巻も買ってしまったので仕方なく一応消化。銭が無駄だった。こんな事もある…。
息つく暇もないエンターテイメント巨編 間違いなどあってはならない。従って間違いなどない。机上の空論によって無視される連続猟奇殺人。国家権力を傘に執拗に変質的に主人公を追いかける秘密警察の元部下。
レオはなぜ、そこまでして犯人を追うのか。生死を超えた自分の存在意義を賭けて、レオは真実に近づいていく。
夫婦の絆、親子の、兄弟の絆をサブテーマに、ソ連スターリン体制下のゆがんだ社会を描き出した。息つく暇もないエンターテイメント巨編。
動機は世界を矮小にしかねない。 社会主義の不条理と恐怖を徹底的に描いた上巻だったが、下巻ではレオの目覚め、事件へと迫る過程が描かれ、アクション、男たちの友情、夫婦の愛の復活などが本作を古典的なハードボイルド小説へと転調する。
それにしても巧みな筆致、息をもつかさずラストまで読める傑作には違いないのだけれど、事件の核心、犯人の動機については折角大風呂敷を広げた社会派サスペンスの世界観を矮小化してはいないか。レオが主人公足りうるのは因縁があるからではなく、全てを失ったときに子供の死を前にして正義の信念に目覚めるからではなかったのか?
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蒼穹の昴(1) (講談社文庫)
・浅田 次郎
【講談社】
発売日: 2004-10-15
参考価格: 620 円(税込)
販売価格: 620 円(税込)
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・浅田 次郎
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カスタマー平均評価: 4.5
近代中国をここまで面白く書けるとは。 高校時代,世界史で中国近代史も少しだけやったけど,教科書に「李鴻章」とか「袁世凱」の名前がゴチック体太字になってるので,興味ないけど覚えた。
つまらなかったので,その後,忘れた。
そんな「李鴻章」や「袁世凱」を激動時代に生きる血の通った人物として
生き生きと描き出す浅田次郎さんの筆力はさすがでした。
「面白い」という意味では文句なく,4巻一気に読みました。
マジメに書いているとはいえ,浅田節は健在で,会話はテンポ良く,時折ひょうきんですらあります。
西太后の権力に対する執着ぶりを慈悲と解釈するのは,
ちょっと無理があったように思いますが,
全体が面白いので,評価を損ねるほどではありませんでした。
個人的には,主人公春児の妹「玲玲」がよかったです。
春児のように出世階段を登っていくわけではないので,
大人になっても,遠い世界の人物として描かれず,
常に身近な存在として現実感をもって登場します。
ひたむきでチャーミングな名脇役でした。
フィクションながら,ストーリーの最後,
彼女の昴をつかんで幸せになってほしいなあと思いました。
浅田作品の最高峰! 読み終えたときにこんなに衝撃を受けた作品は初めてでした。
続編の「珍妃の井戸」、「中原の虹」とともに、
浅田次郎作品の最高傑作と言える一作ではないでしょうか。
ご存知の方も多いと思いますが、著者のエッセイ「勇気凛々ルリの色」にも、
この本の編集者さんが登場しています(名前は伏せられていますが・・・)。
こちらもオススメです!
こんなに夢中にさせてくれた作品は久し振りです。 浅田先生の作品が好きで、『地下鉄に乗って』は、原作と映画を観、
特に『壬生義士伝』においては、映画、そして渡辺謙主演の長編ドラマも観ました。
そして『蒼穹の昴』。ああ、どうしよう。気づけば4冊。読むの大変そうだな。。
そんな思いで久々に浅田作品を手に取りました。
そんな私が仕事中でも仕事をほっぽり出しても、本を読みたくなったのは初めてかも
しれません。格別に、群を抜いて面白かった。
春児、文秀、そして小説の登場人物すべての生き様が心に焼きつきました。
キャラクター、そして背景描写の素晴らしさに何度も唸らせられました。
後半が残念という意見もありますが、これだけ膨大な情報量を1本のストーリー
としてまとめられたこと自体に感服です。
登場人物が綺麗事でまとめられていると言われると、確かにそうかもしれません。
春児などは心が清らか過ぎて本当に雲の上のような存在に思え、
最初はこんな人間っているのか。と、私も抵抗を抱きました。
ただ、それは荒廃した目で物事を見ようとする心に映る一つの真実なんだろうとも思っています。
(決してそれが間違っているとは思いません)
しかし、結局、人間が心を打たれるもの、そして求め続けて止まないものとは、
そんな綺麗事とも思えるような希望であって、決してドロドロとした陰鬱なものでは無い。
どんなに心が打ちひしがれようと、ズタズタになろうとも、人間が人間として生きる為に必要なもの、
抱き続けなくてはいけないものは、春児のようなまっすぐに輝く昴の光なんだろうと思います。
『蒼穹の昴』は私の愛読書のひとつになりました。
この作品に出会えて本当に良かった。
後半が残念 浅田次郎の作品の多くには好感を持ちファンですが、この「蒼穹の昴」は前半が力強く、すばらしい出来なだけに後半の不完全燃焼が非常に残念で、結果、星は3つです。
歴史ドラマとしては、近代中国の興味深い時代を取り上げて、実在・架空の魅力的な人物を混在させ、独自の解釈と創造性を持って非常に面白いストーリー展開です。登場人物の成長や苦難を乗り越えていく様を読み進むのは、確かな手ごたえがあり、どんどん話の中に引き込まれます。
ただし、後半になると、他のリビューアーの方もコメントされていた通り、あまりに多くの人物を起用して飽和状態になり、一つの話の大きな流れが滞ってしまいました。まるで、デッサンはしっかり出来ていたはずなのに、色を沢山塗りすぎてゴチャゴチャになった絵画のようです。もっとメインのキャラクターにしっかり光を当てて強弱をつけて話を終えて欲しかった。それが出来る力のある作家だと思いますが、思い入れが強すぎ、あれもこれも盛り込んでしてしまったのが敗因でしょうか・・・。
また、これも既に指摘されている点ですが、西太后が数多の解釈と異なり愛情豊かな女性として描かれていますが、その割に残酷な仕置きの場面が多く、いささか説得力に欠けているように感じました。
歴史物が好きな方もあまり興味のない方も前半は「科挙」「宦官」制度など、非常に興味深く読ませるので、充分楽しめると思います。後半は前半の勢いは感じられません。
時間を忘れます。 清朝末期の混乱を描いた壮大で陰鬱で、そして爽快な物語です。
一部、歴史上の人物が出てきますが、あくまでもこれはフィクション。
それでも、綿密な人物描写、混沌の社会構図。拡散した複線が一気に
加速していく速度感を行間の端々に感じることができます。
それぞれの、魅力的に描かれた人物も花を添えています。
4巻すべて一度に読破してしまうほど引き込まれました。
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とある魔術の禁書目録(インデックス)〈2〉 (電撃文庫)
・鎌池 和馬 ・灰村 キヨタカ
【メディアワークス】
発売日: 2004-06
参考価格: 599 円(税込)
販売価格: 599 円(税込)
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・鎌池 和馬 ・灰村 キヨタカ
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カスタマー平均評価: 2.5
インデックスを巡る この巻はインデックスを巡る戦いです。まぁとにかく熱い。当麻は格好いい!!片腕を切り落とされた時の当麻のハったりは最高だった
1巻のハードな後日譚 1巻にして重大な障害を背負ってしまった主人公は、どのように周囲と接していくのか?日常生活はどう変わるの?
驚愕するような強大な力を前に、チームあるいは手駒としての主人公たちはどう動くのか。
強力無比の力を振るうキャラクターってどんな人なんだろう。何の為に暴れるんだろう。単独で破壊的な力を行使することは、強い自我やアイデンティティか必要。
そういった後続の巻に引き継がれていく世界の枠組みを拵えたのがこの作品のように思います。故にどうしても作者のエチュードという意味合いが強く感じられてしまい、読み終わると何やら得体の知れないすっきりしない印象が残ってしまいました。5巻やSSのような組み立てにしたほうがキャラクターが活きたような気もします。この時点ではまだインデックスのアクションも迷走中で、お姫様のような頼りない存在です。7巻以降は魔道図書館として活躍する彼女ですが、同じ人物とは思えません。ネセサリウスとしてアウレオルスに対峙させたほうが面白い場面になったのではないかなあ・・・
ただし、作者の作る枠組みに魅力も感じるのは事実で、そういった意味では、錬金術「アルス=マグナ」、アウレオルスの破天荒で、それにどう対処するのか?というサスペンスで読ませられます。
この巻のエピソードは後続のお話でも引用されることが多いので、3巻以降も読もうという方は読んだほうがよいと思います。ただし、今回のメインは敵役の男と完全無欠の錬金術の謎なので、いつものような華はありません。姫神はヒロインとして機能はしていませんので、彼女に期待してはいけません。
欠点は多いですが、シリーズを読むなら読んでおいたほうがいいという点で、点数は付けにくいですが間をとって3点としておきます。
いや?レビューというものは・・ みなさんは、レビューで作品の文章力が甘いとかほざいてますけど一応作者の鎌池先生はプロの小説家なんです。
それを否定するのは予想ではありませんか。
文章がどうこう言うのはレビューではない・・・
レビューは、作品自体がいいのか悪いのか論議するもの。
文章が悪いというあなたこの先生より、素晴らしい作品が書けますか・・・
いや書けません。何か月もしぼって描いた作品なのだから文章が悪いといった作者を馬鹿にするのはレビューではないとだけ言っておきましょう。
いや、だからね… 一巻のレビューでも書いたんですが、作風を生かせてない+文章力が甘いです。自分、アニメから入った口だし全巻読み終えた訳ではないんですが、この時点では「熱血!やっつけ小説の巻き!!」のように感じる。主人公の行動理念がよく解りませんでした。急にヒートアップして敵をボコボコにして、ゴリ押し終演…もうちょっと、やり方がないかのぅ…いや、なんだかんだでお前世界感設定やキャラ設定にハマってんだろ?って言われれば否定出来ないですが…ね
やっつけ小説。 一言で言うなら「なんでもアリ」。ただ勢いに任せて書いたという感じで、話の照準もバラバラ。主人公が記憶喪失という設定も全く生かされていないばかりか、準ヒロインの姫神の存在も希薄。(インデックスに至っては空気。)見切り発車にも程があるだろうと。敵の能力もめちゃくちゃで、おいおい、と苦笑してしまいます。
そしてこのシリーズ全体に言えると思うのですが、設定やストーリーは大体「どこかで見たな」と思うものばかりです。
シリーズを読破したいなら通らなければいけない道ですが、正直二巻でこれでは・・・。
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現代語訳 日本書紀 (河出文庫)
【河出書房新社】
発売日: 2005-10-05
参考価格: 840 円(税込)
販売価格: 840 円(税込)
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カスタマー平均評価: 4
現代語の日本書紀といえば、、、 ある神職さんから、現代語で日本書紀を読むならと紹介された本です。
文章もこなれていて読みやすく、解りやすい本です。
文庫本と言うこともあり、日本書紀全てではないのですが、重要なところは入っています。全部入っていれば言うことなしです。
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ナルキッソス (MF文庫 J か 5-1)
・片岡とも
【メディアファクトリー】
発売日: 2008-07-23
参考価格: 609 円(税込)
販売価格: 609 円(税込)
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・片岡とも ・ごとP ・いくたたかのん
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カスタマー平均評価: 4.5
原作やろう えっと、まず思ったのが、読む前に原作してからの方がいいと。やってなかった場合「誰やねんこいつ」と言いたくなったりするかもしれません。というかむしろ原作やった人向けにかかれているのかもと思いました。まあでもストーリーは好きなのでそこまで減点対象にはする気はありません。問題は絵です完全に人選ミスだと。別にごとPさんの絵が個人的に嫌いな訳じゃないんです。ただ……あんな健康な絵描いちゃだめでしょうと思いました。雰囲気は絵に左右されやすいので、ライトノベル化したこの本では致命的です。特にラストの写真とかもう
一概に悪いとは言えない・・・ 深い作品だと思います・・・
セツミが選んだ道、阿東の行動・・・一概にいけないとは言えない・・・
実話ではありませんが、現実に起こりうる事だと思います。
良く感じようも悪く感じようも、まずは一度お読みになる事をお勧めいたします。確実と言える事は、必ず皆さんの心に何かを残す作品だという事です。
以下にここは改善したほうが良かったのではと思った事等を記載します。
・表紙、如何でしょうか・・・もう少し一般の人達にも手に取りやすいものにすれば良かったのではと思います。私はPC版・Docomo版共に知っていたので気になりませんでしたが・・・
例えば、PC版のOP画面に表示される白を基調とした背景に「narcissu」の文字と、「眩しかった日のこと、そんな冬の日のこと。」の文だけを載せる等・・・
一度は 他の方も言っているように疑問や人によっては気に入らない表現等があり他に方法がある気もするがとにかく一度読んでみて欲しい。読めばわかる。
私は(文句なしで)好きです 本を開いてすぐのイラストがスク水だったのでかなり驚いたのですが、なぜもっと良いイラストにしなかったのか・・・。これだと実際の内容とのギャップがかなり激しい気がするのですが。―――まあそこは好みによるでしょうから敢えてこれ以上は言いません。ただ死を待つだけの時間・・・ これを自分の立場に置き換えると非常に辛いですね・・・。最後に主人公がとった行動は良くも悪くも“笑顔で見送る&自分もいつかは見送られる”だったので、物語としての結末は終わっても、実際にはまだ話が続いているような印象を受けました。主人公のとった行動は果たして適切だったのか、もっと良いやり方があったのではないか、と思ってしまいますが、追い詰められた若者たちの決断・死への思いなどについて、非常に考えさせられた内容です。もっと大々的に広告すれば良かったのに・・・勿体ない。世に埋もれるような作品ではないです
??? ゲーム版がとてもよかったので購入しました。
数あるノベルゲームの中でも最高峰とも思えるほど感動したゲームです。
でも、この小説版はどうなんでしょう。
ゲーム版をそのまま媒体を変えただけで、小説としての完成度はかなり低くなってしまっています。
取って付けたような追加エピソードも少し興ざめでした。
それでもラストはやっぱり感動したけど・・・
ゲーム版をプレイできる環境にある方は、そちらをお勧めします。
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オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)
・米原 万里
【集英社】
発売日: 2005-10-20
参考価格: 780 円(税込)
販売価格: 780 円(税込)
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・米原 万里
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カスタマー平均評価: 5
重厚かつ壮大なソビエトへの弔辞 「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」と対をなす米原さんの数少ない本格小説。こちらはわけあり風だった個性派の恩師を探しに行くというようなお話で、(いちおう)フィクションということになっていますが、諸般の事情で登場人物を仮名にしただけなのでは?と勘繰りたくなるような、描写のリアルすぎるお話です。
ヒロインが弘世志摩って、米原ファンが聞いたらすぐネタバレしそうだし。(笑)
わけあり恩師(?)の重すぎる人生をソビエトという国の重すぎる歴史に謎解き付きで絡めて描いた、壮大なスケール感のある作品で、本当に面白かったです。
ロシア政府が公開したソビエト時代の機密文書など現地での資料収集、存命中の収容所経験者へのコンタクトなど執筆するのはやはり大変だったようだ。というか、このような取材ができる作家は米原さんだけだったのでは? 彼女なら当時の恩師を本当に探しに行ってたとしてもおかしくないのでは・・・。
このような作品をもっと書いてほしかったです。
通訳のイメージの強い米原さんの年譜が(短期間ですが)舞踊学校に在籍していたことになっていて疑問に思っていましたが、その理由はこの作品を読めば理解できます。
ミステリーとしても、思想小説としても、歴史小説としても、天下一品 「私小説」が日本の伝統だ、なんてことが昔、言われていましたが、ある意味この小説も、一種の「私小説」と言えるでしょう。
しかし、これまでの日本で、これほどのテーマ、スケール、おもしろさ...高貴さと猥雑さを併せ持った、「私小説」は存在したでしょうか? 「私小説」でありながらも、表題のような異なる要素をしっかり保持している。
他の多くのレビュワーもそうだと思いますが、私も、最初は寝酒がわりに、2、3章をちょこっとつまみ読み...と思っていたところが、「この先どうなるんだろう?」というワクワクドキドキ感で本を置く事が出来ず、結局、明け方まで掛かって一気に読了してしまいました。
こんなに面白い本、はっきり言って。アガサ・クリスティ並みです。
先に「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」を読んでいて、佐藤優が、同じテーマを扱っていると語っているのを読んでいたので、ある程度はイメージが出来ていたのですが、「アーニャ」には登場しなかった「オリガ・モリソヴナ」および、もう一人の「オールド・ファッション・コンビ」という構図が、また別の謎を呼び、初源は同じでも、また別の川の流れになった、という感じです。
ただ、タイトルはやっぱり、あやまった先入観をあたえるかもしれません。私も一番最初は、「反語法」という単語に引っかかり、プラハ時代のロシア語教師の物語かな、と思っていました。
本書は、もちろん、何の先入観もなくそのまま読んでも十分に面白いですが、共産党やソ連なんかに知識や関心が無い方は、「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」および、「終生ヒトのオスは飼わず」の第二部を読んで下地を付けてからの方が、より深く味わえるのではないか、と考えます。
それから、下世話な話題を一つ。
自分は無知なので、他の方に取っては常識なのかもしれませんが。
小説中で「亜紀バレエ団」のプリンシパルとして登場する女性って、もしかして、大ヒットした映画に主演したあの人がモデルなのかな? 名前の漢字、二文字まで合ってたから...
ソビエト社会の悲劇が痛々しいほど伝わってくる 同じ著者の「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」がとても面白かったので、この本を手に取った。著者の経験にかなり基づいたフィクションであるということだが、プラハでのソビエト学校での生活、スターリン時代のソ連の暗黒社会、ラーゲリ(強制収容所)での悲惨な生活、時代と運命に翻弄される人々。映画「シンドラーのリスト」やフランクル「夜と霧」で描写されているような人が人を傷つけあう残酷な出来事が語られる。唯一の明るさは、そんな地獄のような世界でたくましく生きる人々とパンチ力のある「反語法」。長編で若干中だるみしたが、様々な示唆を得られる貴重な本だと思う。
「反語法」は悲劇を乗り越えるための手段 ロシア語通訳の第一人者にしてエッセイの名手の米原氏が遺した唯一の小説。フィクションと断ってあるが、米原氏の実体験が活かされている事は間違いがなく、主人公の志摩は米原氏の分身と考えて良いだろう。
「プラハの春」が目前に迫ったチェコのロシア学校で小中学生時代を過ごした志摩が、30年近くの時を経てソ連崩壊直後のモスクワで級友と旧交を温めると言う構図は「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」に似ているが、本作は単なる感傷小説ではない。反語法(太った人に対して、「あなたって、ガリガリね」と揶揄するような話術)を用いる強烈な個性の持ち主だったダンスの先生オリガと優雅なフランス語教師の謎と波乱に満ちた人生を志摩と級友が辿る過程で、旧ソ連の共産主義体制の腐敗と非人道性の告発とそれに耐えるロシア女性の逞しさと友情、そして自由の尊さをテーマにした骨太の大作である。作中で挿入される旧ソ連のNKVD(内務人民委員部、KGBの前身)に強制連行・収容される女性の苛酷な手記の内容は、とても想像で書き得るものではなく、米原氏の知人の実体験かグラスチノフの成果をベースにしたものだろう。米原氏の舌鋒は旧ソ連にだけ向けられている訳ではなく、日本の画一化した学校・社会制度にも言及している点も銘記したい。また、深刻なテーマを扱いながら、文章の端々にユーモアを滲ませている点も米原氏らしい。
志摩達の奔走とグラスチノフによって、オリガ達の謎が一枚づつ明かされて行く度に読者の心も切なくなる。「「反語法」は悲劇を乗り越えるための手段だった」。異国の級友との再会と言う感傷の舞台を背景に、歴史の非情な運命に翻弄されながらも精一杯生きたロシア女性の姿を描いた感動作。
次作を考えず、蓄えたもの全てを出した純情無垢な処女小説 タイトルは同時通訳者として元橋本首相のロシア訪問(エリツィン大統領との会談)に同行し首相に口説かれた(実際襲われた)故人米原万理さんが巻末の対談で本書を評した言葉です。
スターリン時代を生きた実在のオリガ・モリソヴナという舞踊の先生と彼女の周りの悲愴な運命を背負うソ連の人々の生き様を、著者のプラハ・ソビエト学校の経験と過去の人生を総動員して創作した、人間の悪意と善意・人生の不条理を曝け出した大変深みのある小説です。
質の高い文学作品を求める読者には強くお薦めします。本書の内容を推し量るのには、以下の巻末の著者の言葉が役立つと思います。
「スターリン時代の独裁体制の国は、悪い人は絶望的に悪い。その一方で、こんなに人が良くて大丈夫なのかと心配になるほどの人がたくさんいます。でも、猜疑心を持たないいい人が巨悪を許す、という点では、いい人の罪も重い」
「ロシア人の良いところは何よりも自分の良心に忠実であろうとすること」
「バレエのような芸術が、西側に来ると商品になってしまう。商品になって媚びて駄目になっていく。それがソ連にはなかった」
「(ジャクリーヌ・デュプレも師事し尊敬した)世界最高の亡命ロシア人チェリストのロストロボーヴィチはロシアにいる時は才能があるだけで皆が愛し、支えてくれたけれど、西側に来たとたんにものすごい足の引っ張り合いと嫉妬で、心がずたずたになっていると言っていました。彼にとって才能は自分のものじゃなくて、神様が与えてくれたものなんです」
「人間を商品として考えないところが社会主義の良いところだと思います」
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神々の山嶺〈下〉 (集英社文庫)
・夢枕 獏
【集英社】
発売日: 2000-08
参考価格: 840 円(税込)
販売価格: 840 円(税込)
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・夢枕 獏
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カスタマー平均評価: 5
確かに力作だが。。。 情感の続きとなる本編では、いよいよ神々の頂に挑戦し昇りつめていく。
話の中心は極限状態でのヒマラヤ登山をテーマにしてある。
内容としては、上巻が事件の推理を推し進めていくものであったのに対して、こちらは実際の登山を中心に描いている。
著者が全力を尽くして書き上げたと述べているとおり、頂きに向かってのぼりつめていく登山の様子は正に鬼気迫る思いでハラハラしながら読ませてもらった。
興奮して読むことはできたのだが、上巻の方が事件を推理していく面白みがあり個人的には好きだった。
その点で★4つとしたが、上下巻合わせての一作品なので、作品全体では★5つを与えたいと思う。
書き残したことはない 著者あとがきの「書き残したことはない」。
大納得。全て出し切っている。
エベレストの調査がリアル、と思っていたら、著者は実際ヒマラヤに行かれていたようですね。氷壁を登る場面、8千メートルあたりでの幻聴、幻覚(ちょっと怖い)、臨場感がすごかった・・。自分も擬似エベレスト登山したような気分になります。
内容も骨太で、深い、本当に質の良い小説だった。
山を登る人も登らない人も。 山に登る人も登らない人もこの本には感じ入るところがあると思います。
足がダメなら手で、手がダメになったら歯で、それでも、それでもダメになったら...想え。
そういう想いこそ本当の『祈る』ということだと身震いした記憶があります。
羽生丈二と長谷には明確なモデルがいます。二人とも実在し山に命を散らしたクライマーです。
長谷が長谷川恒男そして羽生が森田勝。特に羽生の人物像、軌跡は森田勝そのものです。
森田勝と言う人をリアルタイムでは知らないのですが日本の登山史において伝説的な人物です。
読んでるうちに羽生は自分の中で森田勝になってました。リアルタイムで知らないはずの森田さんがしゃべり、
森田さんが山に登り、また森田さんが山に何を賭けていたか。それをこの小説は語ってくれた気がします。
羽生と言う人間は破天荒で現代にはありえない人物に思えるかもしれません。しかしこと山屋ということになれば、こういう人物が本当に実在しえ、現在も岩と氷に取り付いている人間がいるのは本当です。実際には森田勝さんは作中にも出てくるグランドジョラス、長谷川恒男さんは風の谷のナウシカのモデルになったと噂されるフンザに程近いウルタルで命を散らしてしまいます。長谷川恒男さんは生前現地の人の為に何かしたいと言っていたらしく、フンザには彼の遺志を継いだ『ハセガワメモリアルスクール』があります。
この小説を気に入った方はぜひ森田さんの伝記『狼は帰らず』、長谷川恒男さんの伝記『虚空の登攀者』も読んでみて下さい。
素晴らしい小説だ(谷口ジローのファンより) 私は谷口ジローのマンガのファンなので、この小説の存在を知ったのは彼のマンガである。(谷口ジローは、著者の「餓狼伝」をマンガ化した作家である。著者は彼のことをプロボクサー・アマレスラー・プロレスラーの肉体の違いを明確に描き分ける作家と絶賛している)だから、読む前からストーリーは知っていた。しかし、この作品はそれでも面白い。ストーリーがわかっていても、読む者(自分)をその世界に引きずり込んでしまう文章力、短い文章が延々と続く心理描写、極限に生きる男の圧倒的な迫力が迫ってくる。
山を舞台とした作品なので、絵で表現できる(それを表現する実力のある谷口ジローの)マンガの方がいい作品なのかと思っていた。確かにエベレストをはじめとする山々、それを登る羽生や深町の描写は一目でわかるマンガの方がいい。しかし、登場人物の心の揺れを細かく表現する描写は、やはり文章を武器とする(優れた)小説の世界のものであり、マンガの敵わない部分である。
マンガも小説も読んだ私の結論は、どちらかだけを読むだけではもったいないということである。マンガしか読んでいない人は小説を、小説しか読んでいない人はマンガを是非読んで欲しい。両方読むことで両方の作品の世界が広がるに違いない。
著者があとがきで、自画自賛ともいえる文章を書いてしまったのもわかるような気がする、本当に素晴らしい作品だ。
いただき・・・ 山に登るのは何故か?
何故、生きるのか?
何故?なぜ?ナゼ?
そんなことはどうでもいい
「俺がいるから・・・」、それで充分だ
人生論・書評なんか不要
ただ読めばいい
そして・・・
想え
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[ 文庫 ]
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邪魔〈下〉 (講談社文庫)
・奥田 英朗
【講談社】
発売日: 2004-03
参考価格: 660 円(税込)
販売価格: 660 円(税込)
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・奥田 英朗
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カスタマー平均評価: 4
疑惑、確信、絶望・・・奈落に落ちてゆく主婦のリアリティー 奥田英朗=伊良部先生のイメージが強烈なのだが、
「最悪」「邪魔」のミステリー2作も実はとても面白い。
平凡な主婦が第三者に人生を狂わされる話なのだが、
読みながら桐野夏生さんの「OUT」(文庫上下巻)を思い出した。
ただ、あれほどまでに底辺の底辺まで落ちてしまった女性達の話ではなく、
この作品はあくまで「夫の犯罪によって苦しむ主婦の話」。
彼女の気持ちが疑惑から確信へ、そして絶望、開き直り、と変化してゆく様が
ものすごくリアリティーがあってぐいぐい引き込まれた。
「ガール」や「マドンナ」でも実感したが、
奥田さんは生身の人間の感情を描くのが本当に上手い。
小説の中の出来事がなんだか他人事ではないような気持ちになる。
この主婦はもしかしたら隣人や友人の姿かもしれないし、または自分の姿かもしれない。
身内が犯罪を犯すことは容易には想像はつかないが、
家族という”運命共同体”の中でたった一人の過ちがその全員の人生を狂わせることの恐怖、
そして自分達に降りかかる災難、転落の様を考えると心からゾっとする。
ただ、堪忍袋の緒が切れてしまった人間が突然プツっと自棄を起こす姿が、
ちょっとパターン化してるかな・・・という感じもした。
まぁ、殆どの奥田作品を読んでいるからこその感想なのだが、正直「ああ、またそれか」と思わないでもない。
しかし、最後まで飽きずに一気に読まされた筆力には感服。
個人的には「最悪」よりも好きな作品で、自身を持ってお勧め出来る。
最高傑作!! 奥田作品の中でもベストの一つだと思います。偶然手にとって読んでみたら
止まらない!エンディングも良い意味の意外性があり、読み終わったらまた
すぐ読み直したくなる本。長編を感じさせない、スリリング+複線の重厚さには
あっぱれ!の一言。楽しみました!
絡み合う人間模様とミステリー 「サウスバウンド」読んで奥田作品好きになり読みました。
前半はやや単調、下巻に入って、いろいろと物語が展開してくる感じで、
後半部分は一挙に読めました。
ミステリーと人間ドラマを織り交ぜた、
そつないおもしろ作品に仕上がっています。
ただややインパクトに欠けるかなと思い、
星4つにしました。
どんどん追い詰められていく及川夫妻 下巻になって、cといった感じだろうか。恭子の立場になって考えてみると、なんでろくでもない夫のために自分が落ちていかなければならないのかという風に思うだろう。恭子の子供を守らないといけないという気持ちが強いので、今の生活を保つために自分が何とかしないといけないという風に思ったのだろう。
久野は、火災事故の犯人を挙げたいと思っている。それと同時にヤクザとつながった同僚の花村との確執や警察内部の確執とも闘っているように思える。また、7年前に最愛の妻を事故でなくしているという現実とも闘っているように思える。
最後の結論は、少しあっけないなという感じだった。久野と及川夫妻のからみがもう少しあってもいいのかなと思った。
奥田氏の小説は伊良部シリーズみたいに軽い気持ちで読めるものが多いが、『邪魔』や『最悪』のような重厚なミステリーも新しく上梓してほしいなと思うのは私だけではないと思う。
人生の転落 平凡な主婦が夫の放火が原因でそれまでの不自由ない生活が一転し、階段を転げ落ちるように不幸になっていきます。 自分の今の生活を守ろうとすればするほど、不幸になってしまいなんだか切なくなってしまった。 刑事・九野の義母の存在が良く分からなかったんですけど、どういうことですか? 交通事故の2日後に死んだということですが・・・。 でも、作中に普通に登場しますよねぇ・・・?
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[ 文庫 ]
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壬生義士伝 上 文春文庫 あ 39-2
・浅田 次郎
【文藝春秋】
発売日: 2002-09
参考価格: 700 円(税込)
販売価格: 700 円(税込)
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・浅田 次郎
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カスタマー平均評価: 5
確かに面白いのですが 明治維新前後について、様々な人の視点から語られるとても興味深い本で、読ませます。ただ、“泣かせようとする”箇所やくどい部分でつい冷めてしまい、それが残念でなりませんでした。
生き抜く苦しみ 盛岡南部藩を脱藩して新撰組に入った庶民の視点から見た幕末を描いている。
テーマはたった一点、生き抜くこと、だと感じた。
飢饉や戦のために、当時の想像を絶するほどの死の身近さを感じる。
とりわけ、命懸けの真剣での勝負や切腹の介錯をする時の気構え、
当時の飢饉の酷さ等々、死に直面する時の人間の気持ちの描写が生々しい。
人間は弱肉強食の世界に生きる動物で、心がある分、苦しみが大きい。
現代、人間は長寿になり、その分、生への真剣さが失われたが、ほんの少し前まで、
人間はこの様な世界に生き、自分達にも、その血は受け継がれている筈だ、と驚愕した。
長編では、浅田さんの本で一番好き! この本を読んで、浅田さんにはまり、40冊以上読んできましたが、長編ではこの本が一番好きで完成度も高いと思います。以下、2007年9月に「下巻」の方のレビューに書いたものを少し修正しました。
武士道=家族愛という破天荒な価値観を何と新撰組に持ち込んで読者を納得させてしまう作者の筆力に驚愕してしまう。インタビューの形を通して、吉村貫一郎の人物像を浮かび上がらせる一方で、インタビューを受けるさまざまな人の人物像+時代背景まで浮かびあがらせてしまう。それがあまりにリアルなので、ノンフィクションかと思うくらいだが、実はフィクションなのである。
また、最後の大野次郎右衛門の手紙には、国家主義批判が隠されている。人は、自分の妻子のためになら死ねるのであって、主君や国のために死ねという風潮がはびこると国は亡ぶと読める。最後をあえて漢文調にしたのは、作者のこの思いを控えめに主張することを目的としたと思われる。この主張は、「蒼穹の昴」「珍姫の井戸」「天切り松闇がたり」「日輪の遺産」「シェエラザード」にも脈々として流れている。浅田さんは自衛隊出身でもあり、そのヒューマニズムは付け焼き刃ではない力強さがある。
盛岡に帰りたい(泣) 感想に関しては皆さんと同じ。泣きました。
他の方々とは違う泣き所がもう一つ。
私の実家が盛岡なんです。
やっぱり仕事をするとなるとこんな田舎では、と考えて盛岡を離れました。
作品中にでてくる山や橋、地名、城跡、そして石を割って咲く桜(石割桜)。盛岡の方言とおせっかい過ぎるほどの(失礼)人々のやさしさ。はっきりと思い出して泣きそうになりました。非常に丁寧な描写だと思いました。
ちなみに雫石から盛岡の城下町ってかなり遠いんですよ。
幼い「みつ」が兄に付いてきたところでまた涙です。
義士 義(あるいは正義)とは何なのだろう.正義対悪の単純な二元論で満足していた幼少時代.反体制的なものあるいは滅びの美学とでも言うべきものに惹かれていた青年時代.見方を変えることで誰が振りかざす正義にも言い分があり,何が正義なのか分からなくなってしまった今日この頃.そんな私だがこの本には感動に値する義が書いてあった.
風雲急を告げる幕末,吉村貫一朗が貫いた義は多くの人が二分された倒幕でも佐幕でもなく,武士としての矜持でもなかった.藩校の助教を勤めるほどの知性と類まれなる剣術の技量という文武の才を持ちながら,生活に逼迫し家族を養うために脱藩.新撰組に加わったのは志からではなく給金が良いため.金に意地汚く,他者からは「出稼ぎ浪人」と罵られ様とひたすら家族に送金を続ける.鳥羽伏見の戦いで誰よりも勇敢に戦いながら,討ち死にを潔しとせず旧主である南部藩の屋敷に逃げ込み幼馴染に助けを求める.今一度家族に会いたいという想いを果たすためだけに.
彼が最後まで貫いた家族愛に元ずく正義.涙無しに読むことはできなかった.
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