シリーズ全体を通して言えることですが、人が歴史を動かしてきた、という事実を改めて認識させられます。その時そのときの社会情勢、経済情勢にあわせて、各社会集団(この巻で言えば、貴族、武士、農民など)の利害がぶつかり合い、新しい社会システムが組みあがっていく過程が克明に描かれます。そして、各集団の相対的立場は、リーダーのエゴ・ビジョン・組織力によって、相対的に強くもなれば弱くもなる、そんな現実が見えてきます。つまり、自分の社会的ポジションは、意識的にせよ無意識にせよ、自動的に付与されるものではなく、他の社会集団との激しい相克のうちに勝ち取るもので、そのせめぎ合いこそが歴史に他ならない、そんなメッセージを受け取りました。日本史はつまらない、と思っている人にもお勧めできるシリーズです。 面白い!ためになfる!室町文化、一揆の真実が分かります。「う〜ん、そうだったのか。」と思わず声が出ます。まさに目から鱗です。一気に読んでしまいました。歴史好きにはたまりません。そうでない人も、これを読めばきっと歴史好きになります。
ではなぜ幸村は人気を博すようになったのか。その答えを導くには幸村の最期を見ればいいだろう。時の権力者・徳川家康と秀吉の後継者・秀頼とが対峙する大阪の陣。徳川の軍勢約20万に対し豊臣方約10万。明らかに豊臣の劣勢は目に見えている。そんな時家康は持ち前の交渉術で幸村を自陣に取り込もうとする。しかし、徳川の使者に対する幸村の返答は次のようなものであった。
「信州一国はおろか、日本国中の半分をいただけるとしても、私の気持ちは変わりません。また、この戦は勝利を得られる戦ではありませんので、私ははじめから討ち死にを覚悟しています。もう二度とおいでになりませんように」
そう、彼の人気の裏には「忠義」という言葉が隠されているのだ。最期まで彼は豊臣に忠義を尽くし46年の生涯を閉じる。確かにそのような歴史上の英雄は他にもいる。古くは源頼朝に忠誠を誓った、源義経。幕末では「誠」を掲げ徳川に信義を尽くした、新撰組。いずれも「情」や「義」を非常に重んじた偉大なる人物たちだ。
本書はそんな彼の生涯をコンパクトに収めた幸村入門書である。本書には高度な専門用語などは見られず、どんな読者層にも通ずるであろう。史実と虚構とが判りやすく区別されて描かれている点も良い。混乱せずに読み進めていくことが出来るはずである。とにかく幸村の一生を知るには打って付けの一書だ。
さて、筆者は、その「信長公記」をおおむね信頼できる史料価値のあるもの、後世の「甫庵信長記」を伝記小説的な史料価値のないものという基本的なスタンスに立ち、「甫庵信長記」などに基づいた桶狭間の奇襲戦などの現代に伝わる通説を、「信長公記」の記述を詳細に分析したり、誤った史実の成り立ちの経過を明らかにして否定してみせ、「なるほど」と納得させてくれる。
ただ、この本を読んで、疑問に思うことが一つある。「信長公記」は、別に近年になって発見された本でもなく、我々一般大衆はともかく、研究者にとっては、その存在と、その中に書かれている内容については、以前から周知の事実のはずであり、そこから、昭和57年になって、ようやく通説を覆すような新説が出たということを、どう捉えればよいのだろうか。
実際、筆者のあとがきによると、昭和57年に筆者の新説が発表される前は、研究者の間でも桶狭間の奇襲戦などは通説となっており、現在でも、まだ通説を支持する研究者は、少なくないのだそうだ。こうなると、私などには、通説と新説の違いは、「信長公記」と、「甫庵信長記」などの後世に書かれた古文書を、それぞれどう評価するかのスタンスの違いに過ぎないのかとも思えてしまう。一度、通説を支持する立場の研究者の理論にも触れてみたいものである。
ただの回顧録、という文体ではなく、ホメロスからの長いギリシャ文学の形式は引き継がれている。訳注も充実しているので、古代ギリシャに興味がある人なら楽しめるだろう。しかし、クセノポンよ、自分のことをここまで格好良く描けるとは、さすがにギリシャ人だ。 2400年の時を越えて今に伝えられた貴重な書物この書は、紀元前401年ペルシアの小キュロスの叛乱に参加したギリシア部隊の物語であるが、戦闘の様子ばかりでなく多くのことを今に伝えてくれる。○小アジアからバビロンまでの日程や、途中にある町の様子やその規模○当時のギリシア兵が戦闘の技術ではペルシア人より遥かに上であったこと○戦利品に共同のものと個人のものがあったことや、組織内の細かな取り決めがあったこと○行軍中の食糧の入手の仕方や、集会を催しての意思決定の仕方○現在の我々から見れば戦争に行って、帰る先は家族の元という感じがするが当時のギリシアでは傭兵として転々とするのが普通であったらしいこと
この書を読み終えて強く感じることは今も昔も人間の感情が殆ど変わっていないということ。 古代の傭兵部隊に飛び込んでこれは非常にユニークかつ貴重な記録です。他の歴史書と違って、 著者であるクセノポン自身が全て自ら体験した事だからです。 有名なマラトンの戦いやサラミスの戦いなどについて書かれたものは、 全て事後の取材によって書かれたものなので、自国びいきや誇張癖など 割り引かなければならない要素がたくさんあります。
ヘロドトスやトゥキュディデスのそうした歴史書が上空からの カメラで捉えた像とするならば、このアナバシスでは、 カメラは一行と労苦を共にしているわけです。 著者がその一行のリーダーであった事は、現在こうしてこの記録を 読む我々にとってはこの上もない幸運でした。
各地を通るそのたびにかけひきをし、兵士たちを食べさせ、
安全を計り、不満が爆発すればなだめた本人の書ですから、当時の同盟国、 敵対国とはどういうものなのか、当時の行軍は、モラルはどんなもの だったのかが、淡々とした事実の記録を通して赤裸々に語られます。
一兵士の記録であったら、ここまで「なぜ」はわからなかったでしょう。 なぜそっちを通るのか、どうやって食物を調達したのか、
なぜその民族が追ってくるのか、など、読者は読みながら その全てを一緒に体験していくことになります。
星4つとしたのは読者を選ぶためです。 古代ギリシアについてある程度知っていないと、あまり 意義がわからず冗漫に感じるかもしれません。 間違いなく古代ギリシアの入門書ではありませんが、 主な歴史書を読んだ後、戦争の現場を知るために
ぜひ読まれることをお勧めします。