神話時代は『古事記』との読み比べが魅力的です。『古事記』では一筋の物語として語られますが、『日本書紀』では、どこが本文なのかわからなくなるくらいたくさんの別伝が記載されていて、微妙な差異など、読んでいて面白いです。
しかし注目すべきは崇神天皇ではないでしょうか。崇神天皇は祭祀王、三輪王朝(イリ王朝)の祖、神武天皇のモデルなど様々な言われ方をされます。果ては騎馬民族の王で、朝鮮半島から日本に渡ってきたと主張されたりします。しかし、実際の『日本書紀』ではどのように記されているのだろう。まだ知らない人はぜひ確かめてみてください。
このシリーズはいくつか読んだが、著者の取材力や構成力は認めるが、いまひとつ姿勢に賛同出来ない部分がある。変に斜に構えて現代文明を批評する態度である。著者が考えるようにかつての日本は不便でどうしようもない暗黒世界であった、現代文明・西洋文明万歳といったようなステレオタイプの思考は殆ど存在しないであろう。西洋文明の代わりに江戸のリサイクル文明を御輿に担いでいるだけで、ひとつの尺度から他を測ろうとする態度は結局は著者が批判したがっている(批判したつもりでいる)人々の思考態度と何ら変わりのないものに見えてくるからである。 手本とすべき事例は日本の歴史の中にある今、環境問題が深刻化しています。エネルギーを始めとする天然資源は過剰消費され、廃棄物処理場は不足し、温暖化ガスは増加する一方です。国を挙げた省エネ、リサイクル、バイオマスの活用が求められており、北欧やドイツにおける成功例が多く紹介されています。しかし、これらの取組は、人口、気象条件、社会条件が異なる我が国では、必ずしも成功するとは限りません。
江戸時代、我々の御先祖様は、植物、つまり短期間に国土に降り注ぐ太陽エネルギーだけを徹底的に活用した循環型社会を築いていました。決して豊かな生活ではありません。明かりは字も読めないほど暗く、移動手段はすべて徒歩、あらゆる日用品は何度も使い回されていました。しかし、江戸の人口は西欧諸国のどの首都よりも多く、屎尿処理などの廃棄物問題にも、エネルギー問題にも無縁でした。現代に比べれば不便。でも決して劣ってはいない。我が国の財産を徹底的に生かし切って、300年近くも持続した社会があったのです。
「伝統と文化」がなぜ大切なのか。本書を読めば自ずから理解できます。我々の未来のために、先人の知恵に学びましょう。
著者自身がチャーチルの伝記に基づいていると述べている通り,本書は彼の生い立ちから政治家として頂点を極めた時期までを伝記風にまとめている。ロイド=ジョージほか,19世紀末から20世紀半ばまでの主要な英政治家も登場し,英近代史を学べる点もある。
ただ,著者はチャーチルの「政治的人格」を探ることを目的としているが,やや物足りない部分があることは否めない。たとえば,ドイツへの無差別爆撃や英ソ間によるバルカン半島利権分割に対し,彼の「人格」はどのように働いたのか。上述の通り,英近代史への掘りは深いが,外交(戦争は究極の外交手段)上における彼の叙述に欠けている。 斜陽の大英帝国を率いる大宰相の手軽な伝記ヒトラーがポーランド、フランスを下し、西欧を事実上支配化においた時、チャーチルは英国宰相の地位についた。降伏を突きつけるドイツに対し、チャーチルはイギリス一国でナチスと対決する決断をした。彼は「過去の私の生涯は、すべてただこの時、この試練のための準備に他ならなかったと感じた」と記している。その後ドイツのソ連奇襲、真珠湾攻撃による米国参戦によりルーズベルト、スターリンと共に枢軸国側と戦うことになる。その勝利は祖国が存亡の淵に立たされた際の、この宰相の迷いなき決断がなければあり得なかった。反共主義者なのにヒトラーを倒すためにはスターリンとも手を組む現実主義者。ノーベル文学賞を取るほどの文才。この特異な個性はどのように生まれ、育まれたかを追う手軽な伝記。
ベトナムの古代から、中国支配、統一王朝、そしてフランス植民地時代とホー・チ・ミンに指導される独立運動まで、歴史記述のみならず、ベトナムの地政学的考察、文化の紹介まで触れたベトナム史の好著。 手ごろなヴェトナム史の概説書<物語〜の歴史>シリーズの中では、お勧めの1冊です。ドイツや中国などは1冊にまとめるには無理がある素材ですし、わざわざ、この物語シリーズで刊行しなくとも他にも概説書がたくさんあるわけですから、あまり必要ないでしょう。ヴェトナムをはじめとする東南アジアの歴史は、日本では軽視されがちです。世界史の教科書でもなかなか
詳しく扱っていません。ヴェトナムの通史的な理解と、その時々の英雄やエピソードなどがまんべんなく語られているこの書は、入門書としては最適だと思われます。中国文化の影響の強いヴェトナム史に出てくる人物たちの物語は知名度は低いですが、三国志的な面白さも秘めた読み物としても十分に堪能できます。