最初から比べるとだいぶ時代が下ってきて、とくに戦国時代ならではの個性的な役者ぞろいで、一気に読めてしまいます。また時代が下ってきて、古代のものに比べると資料が豊富にあるためか、キャラクターがますます生きいきとしています。氏の視点は、いつの世も人の営みの本質は変わらない、という哲学に基づいているようです。なんでも鵜呑みにするのではなく、特に公式発表などは、まずは疑ってかかること、またどうしてそういう発表のしかたになっているのか、その裏の裏まで読んでみる、そんな知的努力が必要だ、そんなメッセージがこめられているように感じました。
日本という共同体を考察する上での、これが正しいかどうかは別として、有効な視座を提供してくれるように思います。
現在の時点から当時を批判的に捉えることは簡単である。では自分が当時に生きていたとして、軍縮条約に賛成出来たか、2.26事件の反乱軍兵士に反感を抱いたか、三国同盟に反対したか、を問い直してみると良いと思う。本書はその点でも最良のテキストに成り得る。
江戸時代以降「非人」などと呼ばれて差別の対象とされてきた人々は、古代にあっては人と異界の狭間に暮らす「人ならぬ存在」すなわち「聖なる存在」であったと著者は喝破します。農業以外の生業に携わり、特殊な技能によって社会に関わった彼らは、天皇直属の隷属民であり、その他の人々とは異なる存在と観念されつつもけして差別される者ではありませんでした。そして彼らの柿色の衣装をまとい、頭を布で覆うという出で立ちは、「異形」と呼ばれ、「人ならぬ者」の象徴と考えられていました。そして「非人」とされる人々以外でも、時に応じてこのような姿になることで自ら非日常の世界に入り込もうとする態度が見られたことが文字史料や絵画資料をもとに論証されています。
ところが鎌倉時代後期からこのような様相は変化をはじめ、「非人」たちは差別・侮蔑の対象へと貶められるようになります。この本では仮説として示唆されるだけですが、「非人」たちを自ら権力基盤として積極的に利用しようとした後醍醐王権のあり方が一つの画期になったのではないか、と著者は提起しています。
民俗学と歴史学の強調、絵画資料の利用などを積極的に進めようとする著者の態度はこれから歴史学が模索すべき道の一つを示しています。また、現在も生々しい差別が残る問題ではありますが、このような問題関心は我々の聖性に対するイメージの変遷を浮き彫りにするよすがになるのではないでしょうか。著者の論証は(飛礫の問題など)まだ一部思弁的でこなれていないところもありますが。 なお、冒頭から読むより、まず最後の「異形の王権」を読んで、しかる後に冒頭に戻って読む、という進め方の方が理解が早いかも知れません。
さて、この本ではあまり表舞台に出てこなかった王達もすべて記載されているので、おおまかな流れがつかみ易くなります。王妃の記述も少なからずあり、それがまた大体政略結婚ですから当時の周辺国との関係も幾分かわかります(すべてではないですよ〜)。例えば、私はこちらを読んでから「ブレイブハート」を観ました。もちろん映画のイザベル妃の行動は創作されたものに過ぎないのですが、やはり史実を知っていると興味深く楽しめました。また、小説で結構格好良かったリチャード獅子心王も、母であるアキテーヌ女公の話を経由すると...イメージが(笑)更に、フランスとの密着な関係を知るとばら戦争の見方もまた変わるし、シェイクスピア作品もより深く味わえます。
こんなカンジで「フランス王国史話」も誰方が書いてくれないかしらと思いつつ。 英国政治史の概観にはとても便利 どこかの国の歴史を知ろうとする場合、人によっていろんなアプローチがあります。政治から入る人もあれば経済に注目する人もいるでしょうし、もっと特殊な分野(例えば軍事史や美術史)に重きを置く人もいるかも知れません。小生の場合、やはり人並みに政治史に親近感を覚えますので、統治体制の変遷や権力闘争の流れが分かると、その国の歴史の一端を理解したような気になります。 この本は、そうしたアプローチをするに際して大変便利な本です。各王朝ごとに、歴代イングランド国王の治績が、興味深いエピソードを交えつつ、要領よく簡単にまとめられています。
もとより、この本は王室の歴史を描いたものであって英国史の書物ではありません。社会・経済面への考察は乏しいし、時代感覚的なものをつかむ上でも十分とはいえないでしょう。
しかしながら、英国史理解ないし英国理解のために、ひとつのバックボーンとなるべき知識を提供するという意味で、まことによく出来た書物であり、また、レファレンス的に活用するのも便利ですよ。 イギリスに興味のある人はイギリスに興味のある人には読んでもらいたいです。分かりやすく家系ごとに分類してあるし、読みやすく一人一人について書いてあります。私はイギリスが大好きなので、旅行前や後に見た場所を思い出しながら読んでいます。エリザベス1世やヘンリー8世など読めば読むほど、昔の貴族はいろんなことをしていたんだなぁと思います。政略や傲慢さが
渦巻く歴史です。最後に家系図も載っており、本当に分かりやすいです。