この本を書き上げるのには、おそらく膨大な資料を参照し、大勢の方にインタビューしたことは想像に難くない。各個人の人格、技量、戦闘記録など、細部に渡って記述されており、読者を唸らせる。また文章も初心者にも読みやすく、読む者に感動を与えるものでした。文才のない私にとっては、真に素晴らしいの一言に尽きます。内容は詳細を極め、伝記の域を超えて戦闘記録資料としても貴重である。武藤少尉はこの六名の中で唯一の妻帯者である。奥様へ宛てた手紙も多数紹介されているが、その優しい心根が伝わり、涙せずにはいられない。
このたび、詳細な注と解説を付した文庫版が出版された。九鬼は西洋哲学や文学・芸術だけでなく、江戸時代の風俗や衣装、文学などを縦横に引用するので、言葉の注釈や図版が豊富なのは本当に助かる。これによって「いき」のイメージが生き生きと甦る。何よりもまず美的であることを重んじた九鬼周造その人の魅力と、芸の広さにあらためて感服。