この書で語られている現象学は、竹田青嗣氏によって脱構築され、新たに構築された、竹田現象学だと思われる。私自身、哲学を始めた初期の段階で竹田氏の解説する現象学を正しい解釈だと思い込んでしまった為に、その後多くの弊害に出会った。確かに氏のテクストは明晰で、生き生きしており、説得力に富むおもしろい文章だ。ただ、それだけに批判の精神も忘れがちになってしまう。
著者の現象学で特筆すべきなのは、実践性が高いということ、即ち、我々の日常生活や他の部門へ、氏の理論を適用し、応用しやすいというところだと思う。一般的な現象学の研究では、超越論的領野の問題や、現象学の抱える限界などが、理論的世界で抽象的に語られているが氏の理論は我々の生活に密着したところで語られている。
ただ、そういったオリジナリティーにあふれた竹田氏現象学理解も、「私たちしか現象学を正しく理解していない」等と言ってしまうと、それは傲慢なのではないか、ちょっと意固地になっているのではないかという反論を招き、オリジナリティーが間違った理解として読者に捉えかねられない。私自身も、そのような感想を抱いてしまった。
平易な文体しか用いられていないので、解釈に悩むことは無いでしょう。語彙を制限するのではなく、文法構造を(うまく)制限してあるようです。読了語、巻末に簡単な解説が付いていることに気付きましたが、それらを参照する必要もないかと思います。
一番笑ったのは、お婆ちゃんのささやきかな?
本書の感想について。結論から言うと初めの3章はフレームワークや情報ルート、情報処理の役割分担等が記載されなかなか興味深かったものの、4章以降は第二次世界大戦中の2年間に記述が集中しすぎてやや冗長的な印象を受けました。新書の場合論文と違って「浅く広く」にすべきかと思いました。
私はむしろ世界大戦後のコミュニズムとの戦いにおけるMI6の活躍(暗躍?)に関心があったので是非今後はそのようなテーマの本を書いて欲しいと思いました。共産主義との戦い、石油の利権確保、中近東の勢力図(政権転覆)、という切り口でMI6は歴史の教科書にはまず記載されていないような重要な役割を果たしているはずです。続編を期待します。 タイトルに騙されて買ったけど面白かったData、information、intelligence。これらの一般論と事例を期待して読んだけれど、それは第1章のみ。あとは1940から1941年の太平洋戦争勃発までの、英国から見た対日本の経過であった。しかし昭和史にも興味があり、この時期の日本や米国に関する本も読んでいたので、面白く読めた。タイトルは「英国の対日情報外交 1940-1941」といったものが妥当だろう。 はたしてとっつけるかどうか、前書きをよく読もうまえがきをもっとよく読めば良かったのです。MI6がどうとかCIAがどうとかKGBがどうとか、情報機関の分析本という内容ではありません。第二次世界大戦時の約5年間、イギリスの情報機関が日本を始めアメリカ、ロシア、フランスの情報を分析し、いかに有利に戦争を進めたか、この話題に限定されています。極めて精緻な分析です。そんなわけで、近代世界史にあまり興味のない私は、途中でしんどくなって読むのをやめてしまいました。だから、まえがきをもっとよく読んでいれば良かったのです。でもおそらく、大変価値のある本だろうと思います。
多重債務者の役に立ちたい、これだけは知識として蓄えて戦って欲しい!という著者の圧倒的な信念と、温かい思いやりや愛情が終始根底に感じられる。
実にお薦めの一冊です。